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密かな楽しみ30~孝史と香奈~
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:痴漢 官能小説   
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1:密かな楽しみ30~孝史と香奈~
投稿者: 瀬名
『いや・・・いや・・・なんで・・・近寄らないで・・いや!!』

香奈はガタガタと震えながら目の前にいる男を凝視していた。
なぜこんなところにあの男が現れるのか?
なぜ再び自分の前に姿を見せるのか?
もう少しで忘れる事が出来そうだったのに・・・。
香奈の脳裏にはあの時の恐怖と屈辱が思い出された。

今すぐにでも逃げたい。でも体が震えて動けない。
ただただ、怯えた目で男を見ることしか出来なかった。



「やっと会えた・・ずっと探してたんだ!!」

男が大きな声で言っている。

『何を言っているの?あたし?あたしに言ってるの?いや・・聞きたくな
い・・あっちへ行って・・怖い・・怖い・・誰か・・助けて!!』

香奈は目に涙を浮かべ、ガタガタと震えながらゆっくりと椅子を引き立ち上
がろうとする。

『逃げなきゃ・・逃げなきゃ・・逃げなきゃ・・。』

しかし、香奈の腰は少し浮いたかと思うとまた椅子に降りる。
何度立ち上がろうとしても力が入らずに椅子から動けない。

カタンと音がした。

恐る恐る音の下方向を見てみる。
地面にヘルメットが転がりコロコロと転げている。

突然、男は両手を地面に付き、頭を地べたに擦り付けんばかりに下げて叫び
だした。

「すまない!!ほんとうにすまない!!僕は酷いことをした!!誤った手す
まないと思っている!!君の前に姿を現すべきではなかった!!でも・・ど
うしても・・どうしても謝りたかったんだ!!許してもらおうなんて思って
いない!!償えるとも思っていない!!だから・・僕は何でもする!!警察
だってどこにだって行く!!だから・・そんなに・・そんなに・・怯えない
でくれ・・・ああ・・・俺はとんでもないことを・・・くぅっ・・・ひ
っ・・・・。」


目の前の男が地面に突っ伏して泣いている。
店の客や店員、通りすがりの人達が何事かと足を止め見ている。

『なに・・?なんなの・・?この人?・・泣いてるの?謝ってるの?』

いつのまにか香奈の震えは止まっていた。
ただ呆然と目の前で土下座して泣いている男を眺めていた。
ふと周囲を見回してみる。
人だかりが出来て、好奇の目で自分と男を見ている。

香奈はあわてて荷物を持つと立ち上がり、人だかりを押し分けて走り出し
た。
ワケが解らなかった。
自分はただあそこでコーヒーを飲んでいただけなのに、急にあの時の痴漢が
現れて・・・気が付けば自分の前で土下座して泣いていた。

『なんなの・・?いったいなんなのよ!?』

香奈は立ち止まって振り返った。
人だかりの中で、あの男はまだ地面に突っ伏している。

『知らない・・あたしは知らない・・いや・・・もう関わりたくない。』

そう思ってまた走り出そうとするが、あの男の地面に突っ伏した姿が目に焼
き付いて離れない。

『関わりたくないのに・・・。』

香奈は、また振り返ると男の元へ駆け寄った。

「ちょっと・・あの・・顔を上げてください・・人が見てるし・・あの・・
とにかく・・立って!!」

香奈は男にそう言ってまた歩き出した。

男は驚いたような顔をして地面にひざをついたまま香奈の後姿を見ていた
が、慌てて立ち上がると香奈の後を追った。




「ほんとうに・・すまないと思ってる。君の・・体に・・心に一生消えない
傷をつけてしまった。謝ったって許してもらえるとは思ってないし・・許し
てもらおうとも思っていない。ただ・・ケリつけたかったんだ。自分勝手で
申し訳ない・・・。」

俯き目を伏せて話す男の声を、香奈も同じように俯きながら聞いていた。
どうしても話がしたいという男を、香奈はこの店に連れて来た。
沙耶香や由美と何度か着たことのある喫茶店。
すぐ近くだったし、ここなら周りに人もいるし安心だと思ったからだ。
二人は同じテーブルに向かい合わせで座っている。
奇妙な感じだった。
あの夜、自分に痴漢をはたらいた男が今、目の前にいる。
そしてその話を聞いている自分がいる。


「ほんとに・・申し訳ないことをした。警察に突き出してくれてもかまわな
い・・・。」

「そんなこと・・出来るわけ無いじゃないですか・・あたしは・・恥ずかし
くて・・・そんなこと・・誰にも知られたくないんです。あなたは・・それ
で気が済んでも・・あたしはどうなるんですか・・・。」

香奈は怒りがこみ上げてきた。
この男は結局自分のことしか考えていない。
贖罪の為に自分の前に姿を現したけれども、それはせっかく忘れようと決め
た記憶を呼び覚まし、なおも自分に恥をかかせようとしている。
そんな風に思えてしまった。


「・・・君の言うとおりだ。僕は・・罪の意識から逃れたかった。その為に
また君を傷つけてしまっている・・・。なんて浅はかなんだろう・・・。す
まない。僕には・・謝る事しか出来ないなんて・・・。」

「・・・いくら謝られても・・許すとか・・そんなんじゃなくて・・忘れた
いんです。だから・・・。」

そう言って香奈はその男を見た。
うなだれて目に涙を溜めている。

「すまない・・・・。」

男はテーブルにぶつかるくらいに深々と頭を下げて言った。


香奈はもうこれ以上話す事は無いと思い、立ち上がろうとしたが、いくつか
の疑問が頭の中に浮かび、座りなおすと男に問いかけた。

「あなたは・・・どうしてあんなことをしたんですか?どうして謝ろうと思
ったんですか?」


「本田・・・本田孝史というんだ・・・僕の名前。」

そういって男は懐から名刺をとりだし香奈の前に差し出した。

「妻が・・あ・・いや・・言い訳になってしまう・・・。つまり・・なんて
いうか・・あの時・・・君をはじめて見た時に・・すごく気になって
て・・・あれは僕の趣味というか性癖みたいなもので、ああいう場所で人に
見られながら・・オナニーをするのが好きで・・たまたま君がその行為を見
てて・・それで・・すごく気になってて・・妻が浮気をしてて・・正気じゃ
なかったんだと思う・・でも君をもう一度見かけたときにどうしても・・・
君が欲しくなって・・あんなことするつもりじゃなかった・・いや・・ゴメ
ン・・嘘だ。あの時から・・君が欲しくて仕方なかったんだと思う。」

香奈は俯いてボソボソと話す男をじっと見つめた。
傍から見れば痴漢をはたらくようには見えない。
実直そうな感じで、身なりもキチンとしている。
女性に不自由しているようにも見えず、むしろモテそうな感じだ。

『どうしてこんな人があたしにあんなことを・・・。たまたまあたしがこの
人のオナニーを見てしまったから?あたしが気になってた?欲しくて仕方が
無かった?やめてよ・・そんなこと言うの・・。』

少しの嫌悪感と「欲しかった」といわれたことに対する恥ずかしさで香奈の
顔は赤くなっていった。

「娘がいるんだ。まだ五歳だけど・・。その子がもし・・僕が君にしたよう
なことをされたらと思うととてつもない罪悪感に苛まされて・・・。それ
に、妻が浮気相手の彼女を殴っちゃってね。警察のご厄介になったんだ。君
と同じくらいの年の女の子に怪我を負わせて・・・。妻は、警察でお咎め食
ったけど僕は君にあんなことをしても何の罰も受けてないから・・・。で
も・・・多分、僕は自分の心を救いたかったんだろう。勿論、君に謝って君
が気の済むようにして、それで君の傷が癒えるんであれば僕はなんだってす
るつもりでいたんだ。キミには信じてはもらえないかもしれないけど。」

いい大人が、たかだか16歳の女に向かって丁寧に遠慮がちに話している。
その姿が滑稽で、香奈は、この人は嘘を言っていないと思った。

「岡本・・・岡本香奈です・・あたしの名前。」

その言葉に孝史は驚いて香奈の顔を見た。

「どうして・・僕に名前を・・・?」

「もういいです。本田さんの言ってる事は解りました。ただ・・あたしは、
許すなんて事が出来るほどいい人間じゃないです。ただ・・今は・・あの時
の事は忘れたいんです。それに・・あたしの気が変われば本田さんを警察に
突き出す事だって出来るし・・もう隠すことなんて無いですから。」

香奈はきつい口調で孝史に言った。

「解ってる。僕はあの時からいつでも覚悟している。」

唇をかみ締めて自己嫌悪に陥っている孝史の姿を見た香奈は幾らか気持ちが
軽くなったのを感じた。
それは、自分を汚した男の正体がはっきりしたから。
そして、その男は真っ正直に自分に謝罪し、罰を受ける覚悟が出来るほどの
実直な人間であることを知ったからだった。

「奥さん・・・浮気してたって・・・警察に捕まっちゃったって・・こんな
ことしてる場合じゃないんじゃないですか?」

ふいに香奈は口走った。

『なぜあたしはこんなこと聞いてるんだろう・・?』

香奈は自分の口から出た言葉が不思議に思えた。
この男の家庭がどうなろうと自分の知ったことではないのだが、この本田と
いう男を見ているとその実直さから何かを犠牲にして無理をしてるのではな
いかとさえ思えて心配になったからだろう。

孝史もなぜ香奈がそんな心配をしてくれるのかと怪訝な顔をしたが、素直に
聞かれたことに対して答えた。

「妻は・・結局告訴されずに家に戻ったよ。相手の子も妻の浮気相手の部屋
に泊まったりしてたから・・親御さんが大事にしたくないということで
ね・・。君の知り合いじゃないと思うけど・・白坂って子だった。」

「白坂・・!?それ・・いつの事です!?名前は!?」

「え!?・・いつって・・君に・・だからご5日前だよ・・。名前は・・白
坂・・白坂由美って。」

「・・・由美・・・そうだったんだ・・・。」

不思議な縁だと思った。
決していい縁ではない。

『あたしはこの人に痴漢されて・・・由美はこの人の奥さんに殴られ
て・・・。でも・・それはこの人の奥さんだけが悪いわけじゃないけ
ど・・・。』


「帰ります・・・。」

香奈は荷物を持つと立ち上がった。
孝史も立ち上がり立ち去ろうとする香奈の背中に向かって言った。

「岡本・・さん。僕は・・何でもする・・君の気が済むまで・・何でもす
る・・。今日は・・ほんとに済まなかった!!」


香奈は振り返らず黙って店を出て行った。

『あたしたちって・・つくづくツイてないよね・・由美。』

そう心の中で呟いたとき、一瞬沙耶香の顔が思い出された。
しかし、香奈はその沙耶香の顔をかき消した。
今は沙耶香のことは考えたくない。
孝史に再度会った事で、確かに幾分かの鬱積した重い気持ちは晴れたけど
も、孝史とその妻との奇妙な関係が新たな憂鬱を感じさせた。
由美のことも心配で、様々な心の不安を打ち消してくれるものを探したと
き、それは中村の笑顔だと確認し、何より早く中村に会いたくなった。

孝史とのあの忌まわしい記憶が緩和されたように、沙耶香との記憶も中村の
笑顔を見れば少しは緩和されるのではないか、今よりも心が軽くなって何か
しらの解決方法が見つかるのではないかとういう根拠の無い希望にすがっ
た。

初冬の夕暮れは風が冷たく、香奈はその根拠の無い淡い期待を胸に家路に着
いた




 
2009/03/23 03:25:25(y4NV3M6J)
2
投稿者: いち
更新されてるっ♪

すっごい楽しみにしてますっ☆
09/03/23 08:35 (emcS.O9i)
3
投稿者: つん
待ってました♪
次の展開が凄く気になりますんで、また続き楽しみにしてます!!
09/03/23 15:44 (Y1ENWtNh)
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