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Botanical Garden
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:痴漢 官能小説   
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1:Botanical Garden
投稿者: 通快ウキウキ通り ◆VMdQS8tgwI
真青に冴えた空に、
薄い白を刷毛で掠めたような雲。
葉を落とした欅の枝が、
箒のように天に向って伸びている、
冬枯れの植物園だった。
年が変わったばかりの寒のさ中、
見るべき花木もほとんどなく、
まだ午前中の早い時間だったこともあり、
園内の人影は僅かでしかなかった。
 
晴れているとはいえ、
冷えきった北西からの風は、
陽光を享受しようとする地上の物から、
熱を奪い去っていく。
乾ききった枯葉を踏みしめる音だけが、
あたりに僕の存在を伝えている。
この、うら寂しい一人の時間を慈しむように、
僕はゆっくりと園路を進んで行った。
 
 
 
広大な敷地の丁度中央辺り、
勇壮で端正な欧風庭園が現れる。
幾何学模様の園路と、
きっちりと面出しされた生垣。
刈り込まれた芝は、色をなくした冬模様。
噴水が、誰もいない空間に、小さな虹を創り出していた。
後方、その庭園を従えるように、
中央に巨大なドームを持ち、
その両翼に雄大な硝子の羽根を、
シンメトリーに広げたような大温室が、
冷えた体の僕を導いていた。
 
二重の自動扉を抜けると、
途端に熱を持った、密度の濃い空気に包まれる。
眼鏡のレンズが曇るほどの熱帯の世界に、
僕は迷い込んだ。
 
誰もいないガラスドームの中で、
いくつも並ぶ鉢に、カトレアが咲いている。
可憐だが、なんとなく淫靡な「何か」を連想させるその花々は、
妖しい色と香りで、自らの生殖のために、
昆虫達を誘っているのだ。
 
 
 
次の扉をくぐると、中央のドームから、
両翼に長く続く硝子の宮殿の、
その片翼に入ったようだった。
さっきより詰まった湿度が僕を包む。
そこは熱帯の睡蓮が浮葉を広げる、
幾つかの池が連なる温室だった。
 
翼の先端に近い方、
自分から一番離れた果ての池、その端に・・・、
 
女がいた。
 
髪の長い女だった。
スラリとしているようで、妙に肉付きのいい、
不思議な雰囲気を後姿に漂わせた女が、
睡蓮池の柵にもたれるように、水面を見つめていた。
ゆっくりと、僕は距離を詰めていく。
水面に開く睡蓮の花たちは、
冬寒の外界を忘れさせるように咲誇り、
閉ざされた空間に、極楽浄土を創り出している。
女が近くなり、また一段と、
周囲の気温と湿度が高まった気がする。
 
すぐ近くまで来た。
女は何も気付かぬように、水面に視線を落としたまま・・・。
僕はさりげなく、でも彼女を視界の片隅に捕らえたまま、
通路を進んで行く・・・。
女の後ろを通り過ぎた時、
妖しい香りがした・・・、確かに、した。
 
振り返る。
しばらく、時間が止まったような静寂が過ぎる。
そして女が・・・、静かに首を動かした。
僕に視線を投げる。
 
絡み合う・・・。
 
思わず自分が唾を飲み込む音が、
静寂の浄土に響いた。
踵を返し、ゆっくりと女の横へと近付いていく。
女はまた、水面に目を戻し、
素知らぬ風に佇んだままだ。
殆ど間隔を取らずに、横に並ぶ。
そのまま僕も、水面に目を落とす。
 
ほんの少し、体重を女の方に片寄せて、
すれすれ、肩が触れ合うくらいの接触を試みる。
触れる前から、彼女の体温が、
着重ねた服を通してまで、伝わってきた気がする。
 
上腕同士が、かすかに触れ合う感覚・・・。
 
その時、
  
女の体重が、少しこちらにかかったような・・・気がした。
 
それは意味深く、そして慎重な接触だった。
僕の心の中を、
そのささやかな接点から読み取ろうとするように、
控えめに、そして巧妙に、
女は僕に接触していた。
 
女の筋肉が一瞬緊張し、
その後、彼女の溜息と共に、一気に弛緩した。
読み込みが完了したのだ。
彼女の中に、僕の妄想がダウンロードされた。
それを合図に、僕は腰に手をまわすように、
彼女を引き寄せてみる。
しなやかな身体が、何の抵抗もなく僕に重なる。
 
女の身体から立ち昇る、妖しい香り・・・。
ぴったりとしたカシミアの、
くすんだピンクのセーター越しに、
彼女の柔らかな、ほど良い皮下脂肪が伝わってくる。
熱帯を模した空気の中でも、
彼女の熱い体温が伝わってくる。
そのまま手を尻に下ろしていくと・・・、
 
下着のラインが、なかった。
 
 
 
気付かぬ振りをして、そのまま手をだらりと落とし、
柵と彼女の間に身体を入れていく。
落とした指先を、女の前へ、
デルタゾーンのあたりに持っていく。
既に僕のプログラムを読み込んでいる彼女は、
当然のように、脱いで手に持っていたコートで、
僕の手を隠すように庇った。
 
押し付ける・・・、
撫で上げる・・・。
 
ザラリとした恥毛の感触が、
この時期には不似合いな、
薄いプリーツスカートの生地から伝わってくる。
 
 
 
女は、相変わらず水面に視線を落としたまま、
無言で立っている。
視線の先には、女の内面を発露したような、
薄桃色の睡蓮の花が咲いている。
水中では、
誰が放ったのか、グッピーという熱帯魚の一種が、
ガラス箱の中の熱帯に発情している。
この、卵胎生メダカの仲間の雄は、
尻鰭の先端が交接用の生殖器になっていて、
それを左右にもどかしく振りながら、
狂ったように雌を追い回しているのだ。
今度は女が、小さく唾を飲み込む音が響いた。
 
あの・・・妖しい香りが強まった。
 
僕は指先を器用に動かして、
女のスカートを少しずつ摘み上げる。
微かな震えが伝わって来始める。
やがて・・・むっちりと肉付きのいい、
柔らかな内腿の感触。
ピクリと女が反応する。
つけ根に近付くにつれて、
しっとりと汗ばみ・・・そして、
 
 
 
発情し、甘い香りと蜜を湛えた、カトレアがそこに咲いていた・・・。
 
 
 
そこは、花弁に達する前に、既に溢れて、流れていた。
 
自分の秘密を暴かれた恥ずかしさからか、
女が密かに悶える。
キュっと閉じられた太腿の間で、指先が溺れる。
熱く、夥しく、滑り、絡みついた。
 
指先を少し上に曲げると、
裂け目の始まり付近にあった充血した真珠の核が、
強い弾力で僕の指を押し返す。
「そこ」で指をつるりと滑らすと、
女の背骨が一瞬電撃を食らったように仰け反り、
膝がガクリと折れる。
 
崩れ落ちそうになる身体を、
柵にもたれた両腕で辛うじて支えている女。
 
腰が落ちて、指が裂け目の中に埋もれていく。
勝手に、指先が引き込まれ、飲み込まれていく。
そこは、強い収縮を繰り返し、
少しずつ、僕の指を奥へと引き込んでいく。
いやらしい水音が、密やかに伝わってくる。
 
女は目を閉じ、快楽の池を泳ぎ始める。
女のそこが、もっと強く、もっと速く泳ぎたいと、
訴えかけてくる。
僕の指が、ゆっくりとストロークを増していく。
女の腰がうねりだす。
水音が、強まっていく。
 
女の手が、水を掻くような動きで、
僕の股間を弄ってくる。
応えるように、僕は片方の手でファスナーを下ろす。
女の手が潜入してくる。
器用に下着の開口を潜り、
先端に欲望の滴を隠した僕自身を捕らえる。
女の手の中に僕のぬめりが広がり、
僕のそれは一気に最大値に達した。
 
池に向ったまま、
女の手と僕の手が交差し合い、
淫靡な濡れ音と息遣いだけが温室を満たす。
体重を柵に預け、
お互いの手が、お互いの快楽に負けまいと、
技巧の限りを尽くす。
立ち込めるのは、もはや花の香りではなく、淫臭。
 
女の、腰のうねりが激しくなる。
切ない喘ぎが加速する。
僕のそこを、激しく扱きあげ、
耐え切れず、限界に向っていく。
僕も堪らず高まり、果てに急接近する。
 
引き金を引いてやろう・・・。
女の耳元で、僕は初めて囁いた。
 
「一緒に・・・昇ろう・・・。」
 
頷く代わりに小さな悲鳴。
瞬間、没していた指に強い収縮のうねり。
流れるほどに溢れ出る体液。
そして僕にもやって来る、
脳天を貫かれるような痺れ・・・。
 
白い迸りが放物線を描き、
池の表面に波紋が広がる。
ゆっくりと沈んでいく、その曖昧な白濁に、
今度は雌のグッピー達が、
狂ったように群れ始めた・・・。
 
 
 

 
2009/01/12 17:06:11(R5hVPzJo)
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