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熱病
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:痴漢 官能小説   
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1:熱病
投稿者: 通快ウキウキ通り ◆VMdQS8tgwI
きっと暑さのせいだったんだ・・・。

あの日は朝の準備に手間取って、
社長に厭味を言われた。 
仕事用の軽トラはエアコンがちっとも効かないし、
いつもの販売機のお気に入りのコーヒーは売り切れていた。
 
そんなささいなことがきっと、
俺の歯車の一コマを、微妙に狂わせた。
噛み合わせの狂った回転運動は
ガリガリと音を立て、次々に連鎖し、
予想もし得なかった出力軸へと俺を導いた・・・。
 
きっと、暑さのせいだったんだ・・・。
 
 
------------------------------------------------------
 
 
あの日、あの場所の蒸し暑さが、
私を狂わせたのです。
 
その場を支配するような、圧倒的な湿度。
隠すことのできない、お互いの息づかい、体臭・・・。
 
わずかばかりの、
無防備な布地に包まれただけの夏の肌が、
表の私の意識を私から遠ざけ、
裏の私が心の「芯」で望んでいるものを発露させた。
 
あの日、あの場所の蒸し暑さが、
私を狂わせたのです。


------------------------------------------------------
 
 
マリが住んでいたのは、都心から北へ電車で45分ほど、
隣県の中核都市であるS市の外れにあるアパートだった。
 
マリは28歳、
2年前に職場の同僚と、平凡な結婚をした。
子供はまだいない。
夫は平凡ゆえに、マリに専業主婦になることを望んだ。
今までの仕事にも、それから将来の目標も、
特段希望のなかったマリは、その提案を受け入れ、
結婚と同時に仕事をやめ、今日に至っている。
マリもまた、平凡な女だったのだ。
 
アパートの部屋は広くも狭くもない2DKで、
二人だけの暮らしには十分広かったが、
子供ができれば手狭になることは容易に知れた。
もっとも夫一人の稼ぎでは、
都心から離れたこのあたりで、
この程度の広さの住まいが限界だった。
だから意識的に、マリ近所の婦人科から、
ピルを処方してもらっていた。

マリたち夫婦の住戸は、1階の一番奥で、
どこからともなく微かに漂ってくる下水の匂いと、
無駄に昼間陽射しの入る風呂場が、
マリには少し不満だった。
瀟洒なサイディング貼りの建物は、
しかし軽量鉄骨構造ゆえ、
隣や上階の振動や物音が伝わってくる、
それなりの建物でしかなく、
周辺にはまだ農地が広がり、
夏の夜にはたくさんの昆虫たちが、
網戸に張り付くようなところだった。
 
だからマリには此処が「我が家」という感覚はなく、
新婚当初の甘い一定期間を過ぎた後は、
充足感のない、退屈な日々を過ごしていた。
最近ではその退屈さにも慣れてしまい、
ただ慣性に任せて、毎日を送っているような、
そんな夏の日の出来事だった。
 
 
 
その日、マリは夫を送り出した後、
いつものように洗濯機を回すと、
窓を開け放ち、掃除機をかける。
午前中だというのに、太陽は暴力的な熱線を投げかけ、
眼前に広がる田んぼからは、夏の匂いが立ち昇ってくる。
むせ返るようなその空気に押し戻されたマリは、
ソファに横になってテレビのスイッチを入れた。
 
暦の上では立秋を過ぎたというのに、
既に30度を超える暑さに、体のだるさを覚えながら、
退屈なワイドショーの芸能レポートを聞いているうち、
マリはつかの間、眠りに落ちていってしまった。
 
 
 
激しい渇きに目を覚ますと、すでに時計はお昼近くだった。
全身に噴き出した汗が、肌を覆っている。
部屋着専用にしてしまった、
くたびれかけた薄い生地の花柄のワンピースは、
汗に濡れて肌に張り付いていた。
 
マリはシャワーを浴びようと浴室に向かった。
ドアを開けると、むっとした熱気が漂っている。
真上に近い太陽は、しかし午前中たっぷり、
この浴室に陽射しを差し入れ、温度を上げていたのだ。
 
マリは換気扇を回したまま、
湯沸かし器のスイッチを入れて、
とりあえず顔を洗おうと、脱衣場の洗面台の蛇口を捻った。
 
おかしかった。
いつもなら30秒ほどでお湯が出てくるはずなのに、
この日はいつまでたっても、
やる気のないぬるい水が出続けるだけだった。
ふと湯沸かし器のスイッチに目をやると、
見慣れないランプが点滅している。

故障だと理解するのに時間はかからなかった。
すぐにでも汗を流したかったマリは、
即刻キッチンにとって返し、電話台の下を探ってみる。
雑多に投げ込まれたピザ屋のメニューや郵便物に混じって、
「水まわり110番」と書かれたカードが見つかった。
「お風呂やトイレ・台所、水まわりのことで困ったときは24時間対応しま
す。」
の文字とともに、フリーダイアルの数字が並ぶ。
 
マリは躊躇なくダイアルし、住所と用件を告げた。
 
 
------------------------------------------------------
 
 
水落工務店ではちょうど、
健二が準備を終えて仕事に出ようとしているところだった。
 
この日は頼んでいたはずの資材が見当たらず、
朝から仕事に出ることができなかった。
結局のところ、健二の発注の仕方が悪く、
朝一番の配達が昼前にずれ込んでしまったのが原因だった。
地元の工業高校をやっとの思いでなんとか卒業し、
知り合いの口利きで、どうにかこの工務店に雇ってもらって3年。
仕事は一通り覚えたとはいえ、
要領が悪く、ミスが多く、
言われたことをこなすのがやっとの健二は、
いつも社長を苛つかせた。
この日も2時間近くを無駄に費やしたことで、
社長からはグチグチと荷物が届くまで厭味を言われ続けた。
おまけにこの日は、資材が届いたところで、
あらかじめ決まっている仕事はなかったのだ。
 
エアコンの効かない軽トラックで、
音の割れかけたテープをエンドレスでがなり立てながら、
ゆっくりと市内を周回する。
一番嫌な仕事が待っているはずだった。
何しろエアコンが効かないのに、
風が抜けていくような速度で走れないばかりか、
全開にした窓からは、割れ鐘のようなテープの騒音が、
容赦なく浴びせられるのだ。
 
だから、出かける直前に電話がなったとき、
もうエンジンをかけて乗り込んでいた健二は、
社長がその電話を終わるまで、出発するのを待っていた。
目的の客があれば、少なくともそこまでは普通に走っていける。
それだけでも大きな違いだった。
 
「おい、仕事だ。湯沸かし器の不調だとさ。」
 
社長が不機嫌そうに殴り書きのメモを投げつける。
健二はそれを受け取り、地図で場所を確認すると、
社長にわからないように小さく舌打ちをして車を出した。
 
 
 
国道に出る手前の小さなタバコ屋の店先で、
健二はいつも車を止めた。
ささやかな贅沢と言うほどのことでさえもないが、
仕事に向かう健二は、いつも此処の自動販売機で、
お気に入りの缶コーヒーを買うのだ。
しかしこの日は、異様に暑かった気温のせいか、
それとも出遅れてしまった出発のせいか、
いつも健二が楽しみにしていた、
無糖ブラックの缶コーヒーが売り切れていた。
ボタンの下の赤い2文字を見ながら、
健二はさっきよりはっきりと、大きく舌打ちをした。


------------------------------------------------------
 
 
「ごめんください。」
およそやる気のない声とともに、
健二は目指すアパートの呼び鈴を押した。
 
電話をした後、コードレスの受話器を持ったまま、
しばらくソファで放心したようになっていたマリは、
その声で我に返って玄関を開けた。
 
あまり清潔そうでない、作業服姿の青年が立っていた。
ビニールレザーの軽トラのシートは、一切の汗を吸わず、
健二の腋や背中に、大きな汗染みを作り出していた。
もっとも清潔でない、という点では、
マリもあまり変わりはなかった。
昨夜から分泌した汗や体臭を、肌に纏ったまま、
健二を迎え入れたのだから・・・。
 
「こっちです。お願いします。」
 
健二が玄関を入って、マリの後について風呂場に向かう。
 
「こちらです。」
 
風呂場の入り口で、マリがドアを開け、健二と入れ替わる。
その瞬間、
マリは健二の匂いを、
健二はマリの匂いを、
確かに感じた。
 
 
 
健二は浴槽の上の風呂場の窓を開け、
身を乗り出すように半身を外に出した。
風呂用の湯沸かし器は、窓のすぐ横についている。
通常は外から点検・修理する構造だが、
マリのアパートの敷地に張り巡らされたブロック塀と、
湯沸かし器の隙間はほんの20センチくらいしかなく、
おまけに夏草が生い茂っていた。
 
「この窓を使って、室内側から修理してもいいですか?」
 
聞かれても、そうするしかないのだろうから、
マリは「はい」と返事をするしかなかった。
 
健二が持ち込んだ工具箱を浴槽の中に置き、
留め金をはずして箱を開く。
中から工具を選ぼうとしゃがみこむと、
一段と湿度と熱気が高まったように感じて、
健二の身体から新たな汗が噴き出した。
 
「暑いですよね、ちょっと待っていてください。」
 
マリは居間から団扇を持ってくると、
浴槽にしゃがんで工具を選んでいる健二を扇いだ。
上から扇ぐのは何か失礼な気がして、
健二と同じ高さになるよう、洗い場にしゃがんで、
団扇を動かした。
 
「すいません、どうせ汗だくになるんで、気を使わないでください。」
 
幾つかの工具を選り分けていた健二が、
そう言いながら、顔をあげてマリを見た。
 
 
 
ズキン、、、とした感覚が、健二の脊椎を走った。
 
 
 
短めだったマリのワンピースは、
しゃがんだことでさらにマリを露にしていた。
着古された柔らかな生地は、尻の側で垂れ下がって、
マリの股間の下半分を隠していなかった。
健二の視線が固定される・・・。
 
 
 
今度はマリの脊椎に、同じ感覚が走った。
 
 
 
見られた・・・見られた・・・。
咄嗟にマリは、今穿いている下着を頭の中で確認した。
何の変哲もない、少しのレースとリボンをあしらった、
白の木綿の下着・・・。
 
でも、あの明るい風呂場で、
男の目を射たであろう、白・・・。
 
息苦しいほどの熱気、
纏わり付くような湿気、
お互いの身体から立ち昇る匂い・・・。
 
マリは少し目が眩み、バランスを崩した。
片方の足が開いて、かろうじてタイルの床に踏ん張る。
合わさった太腿に隠れて、下半分しか見えなかったそこが、
一瞬露わになる。
慌ててマリはワンピースを押し下げ、その隙間を覆い隠す。
 
実際には一瞬だったが、
2人にとっては奇妙に長い沈黙が流れた。
 
 
 
気まずい一瞬を断ち切るように、
健二は立ち上がり、仕事に取り掛かる。
半身を窓の外に出し、器用に手を動かしながら、
湯沸かし器のカバーを外していく。
 
健二の腕が、伸びたり戻ったり動くたびに、
作業服の腋の汗染みが形を変えていく。
窓の外へと身を伸ばすたびに、
ズボンの股間の生地が張りつめ、
男の膨らみの形を連想させた。

マリはしゃがんだ姿勢のまま、
その光景を痺れたように眺めていた。
頭の中の回路がどこか、狭窄してしまったような、
奇妙な痺れ。
その痺れは脊椎を伝わり、下半身に降りてきて、
「おんな」の別の「芯」に信号を発した。
 
マリの股間に、熱いものが溢れ出る気配。
いきなり溢れるのではなく、
マリ自身の奥深く、密やかに分泌され、貯留され、
その後、マリの理性や自制心を一気に決壊させるように、
マリを包んでいる布地の裏に、夥しく溢れ出た。
 
ゴクリ・・・と唾を飲み込んだマリ。
自分の変化を気付かれたのではないかと男を見直す。
 
健二は作業に専念していた。
相変わらず汗染みの形を移ろわせ、
湯沸かし器と格闘していた。
 
気付いていない・・・。
 
『気付いてほしいの・・・?』
 
突然、痺れた頭に別の「芯」が問いかけた。
マリは愕然と息を呑む。
 
『気付いてほしかったら・・・。』
『もっと漏らさないとわからないよ・・・。』
 
体温が上がり、体臭が高まるような感じがした。
思わず身を捩った太腿の付け根が、
 
クチュリ・・・
 
と音を立てた。
 
 
 
「奥さん、コレ。」
「種火点火スイッチのコンデンサーがパンクしてます。」
健二が呼びかけると、マリは我に帰ったように覚醒し、
健二が指先でつまんでいる小さな部品を見た。
とても小さな、アルミの筒のような部品だった。
 
指は・・・、
油と煤汚れにまみれて、黒く薄汚れていた。
部品だけ見ればいいのに、マリは指を見た。
若い指、汚れた指、ささくれた指、無作法な指・・・。
部品より遥かに長い時間、マリは指を見ていた。
 
「パーツあるんで、交換しますね。」
再び健二の声で戻されるマリ。
 
「お願いしま・・・す。」
マリの返事は渇ききった喉に張り付いて、
うまく声にならなかった。

『もっと引き止めて・・・。』
『気付いてもらいなよ・・・。』
 
再び「芯」の指令が聞こえてきた。
痺れた頭でマリは考える。
 
「それで、、、お幾らくらいになります?」
 
健二がこっちを見る。
しゃがんだまま、今度は意図的にバランスを崩した。
片手を浴槽の壁に突き、大きく膝が割れる。
今度はすぐに隠さなかった・・・。
 
健二からは、
さっき一瞬見えた、白い無防備な布地が、再び見えていた。
今度は時間があった。
目が離せなかった。
白い生地の、二重となって包んでいるその部分が、
一段と濃い色に染みているのがわかった。
汗ではない、その生地の奥から湧き出るように、
中心から外側へ向かって広がる染みだった。

「あ、、あの、出張費も入れて6000円くらいかな・・・。」
 
少し震える声で健二は答えた。

『伝わったよ・・・。』
 
マリの心の中で、「芯」がニヤリと笑うのがわかった。
 
 
 
健二は手早く作業に取り掛かった。
まるで頭の中に広がりゆく邪念と、
下半身に澱のように溜まっていくむず痒さを、
振り切るように作業に専念した。
 
「時間、かかりますか?」
「いえ、交換だけなんですぐです。」
 
簡単なやり取りが交わされる間に、
たちまち作業は完了したようだった。
 
「作動するかどうかチェックしますね。」
 
健二がマリの脇をすり抜け脱衣場のスイッチに向かう。
健二の体臭もまた、強まっているのをマリは感じた。

カチカチカチ・・・
 
小さな音が窓の外で聞こえた。
健二が洗面台の蛇口をひねると、
ボッ・・・と炎の燃え上がる音がして、
湯沸かし器が仕事を始めたのが知れた。
 
「これでOK、あとはカバーを戻して完了です。」
 
「あ、ありがとうございます。なにか冷たいもの持ってきますね。」
 
マリは立ち上がってキッチンに行き、
冷蔵庫を開けて麦茶をコップに注いだ。
 
そのとき、また「芯」が囁いた。
 
『終わったら、帰っちゃうよ・・・。』
 
マリは、何かに憑かれたようにゆっくりと、
スカートの中に手を入れると、
穿いていた下着を下ろし始めた。
先程から溢れ続けていたものが、
下着を引きおろすとき、膝の辺りまで糸を引いていた。
 
そのまま、
拭きもせず、
滑りで裏地の光った下着を洗濯カゴに放り込むと、
マリは浴室へと戻った。



健二は既に作業を終えて、
工具を片付け始めていた。
 
「ちょっと一息入れてください。」
 
片付けの手を一旦止めて、
健二はマリの差し出したコップを受け取った。
身体が近付くとき、
お互いがお互いの体臭を、はっきりと感じていた。
 
マリは浴槽の縁に置かれたドライバーを見ていた。
ゴム製の握りは、ちょうど男性器を思わせる太さで、
健二の指と同じように、油と煤汚れにまみれていた。
 
じっと見つめ、夢想した。
その様子を、健二は観察している。
健二の視線を確認して、
マリは浴室のドア下の僅かな段差に腰を下ろす。
健二の視線が下に降りてくる。
ミニのワンピースは、ほとんど体育座りのようになった、
マリの脚から腰元へと剥がれ落ちる。
濡れて光った、「おんな」の「芯」が見えた。

コップの麦茶を一気に飲み干すと、
健二はゆっくりとドライバーを手に取った。
マリは催眠術にかかったように、
そのドライバーから視線を外せない。
 
何か言って・・・何か言って・・・
 
マリの願いは、その場に満ちた密度の濃い空気を通して、
正確に健二に伝わった。
健二はドライバーの軸をつかみ、
ゴム製の握りのほうをマリに向けて差し出した。

「しゃぶれ・・・」
 
短い命令だった。
マリは待ち焦がれたように口を開く。
溜まっていた唾液が唇の端から流れる。
そこへ、健二が、
捻じ込んできた。
 
ぐ、ふぅ・・・
 
ゴムと、油汚れと、男の体臭の味がした。
滑り止めに刻まれたディンプルが、
舌をざらざらといたぶった。
それだけでマリは軽く昇りかけてしまい、
浴室のタイルに雫を垂らしていた。
 
健二が近づいてくる。
口にドライバーを捻じ込まれたまま、
マリは脚を開かされる。
さっき、あれほど凝視して、焦がれた指が、
マリの花芯を弄ぼうとしていた。
 
見た目と裏腹に、最初は繊細な指だった。
焦らすように、ぬめりの上を、
僅かな圧力だけで滑っていく。
もどかしさにマリが腰を突き出すと、
それを予測していたかのようにスッとかわす。

やがて、充血しきった淫核の頂点で円を描くように、
ゆっくりと回りながら圧をかけてきた。
 
・・・・・。
 
くぐもって声にならない声を上げながら、
マリはたちまち昇り詰めてしまう。
 
「もういっちゃったのか・・・いやらしい。」
 
お仕置きだ、というように、
今度は指を突き立ててくる健二。
男の長い指は、一気に子宮口まで届き、
それが2本、3本と増えて、
激しい往復運動でマリを責め立てる。

たまらず、ビチュビチュと品のない音を立て、
周囲に分泌物が撒き散らされる。
いやらしい匂いが浴室中を満たし、
油汚れに濁った体液が、タイルの床を流れていく。
ドライバーを咥えた口元は弛緩し、
溢れ出る涎は顎から糸となって、タイルの流れに合流した。
 


ドライバーが抜き取られ、
今度は健二の「そのもの」が差し出された。
本能に支配されたマリにとって、
この上なく官能的で魅力的な匂いを放ったそれを、
大きく息を吸いながら、喉の奥へと受け入れていく。
陰毛の中の、僅かな匂いも逃すまいと鼻を鳴らしながら、
マリは獣となっていく。

ぐうぅ・・・ぐうぅ・・・

と、マリの喉が歓喜の声を絞り出す。
健二はよりいっそう、大きさと硬度を増し、
何の遠慮もなく、一気に絶頂へ向かうつもりらしかった。
仁王立ちで、マリの髪を掴み、
自分の腰に押さえ込み、
喉の奥底へ届けとばかりに腰を振り立て、
突き入れた。

溢れるほどの圧倒的な肉感を迎え入れながら、
マリは呼吸さえも忘れ、
窮屈な口の中で舌を蠢かせ、喉を絞り、
最後のご褒美を待ち望んだ。
 
そして、そのときがやってきた。
マリの口の中で、それはひときわ大きくなったかと思うと、
強い生命力を連想させる激しい脈動が始まった。
同時に、今日のこの場の匂いを煮詰めたような、
熱く、濃い健二の体液が、
マリの喉の奥で弾けるのがわかった。
 
その瞬間、マリは触れてもいない「芯」に、
二度目の絶頂を感じて痙攣した。
 
 
 
健二は終わらなかった。
 
マリの口の中で放出した後も、
それは硬度を保ったまま、マリの口を犯し続けた。
やがて頃合を見るように、それをマリの口から開放すると、
今度はマリを立たせ、浴槽の壁に手を突かせて、
尻を突き出せと命じた。
 
マリは躊躇なく応じ、
真昼の明るい浴室で尻を突き出し、
貫かれる期待に身を振るわせた。
 
例によって最初は焦らすように、
ゆっくりゆっくり、それは進入してきた。
先端から少しずつ・・・、
我慢できずにマリが締めると、ツルリと逃げてしまう。
そんなことを何度か繰り返し、
絶えられなくなったマリは悲鳴に近い声をあげた。
 
「お願い!早く!」

「早く?なに?」

「早く・・・入れて・・・」

「入れて?なにを?」

「オチ○チ○、、、入れて・・・」

「入れて?どこに?」

「オ・・・オマ○コにぃぃぃ・・・」
 
やっと貫いてもらえた。
一気に、串刺しにされるように。
その瞬間、マリは顎を仰け反らせ、
性懲りもなくまた絶頂に達する。
 
「いやらしい女だ・・・いやらしい女だ・・・」
 
健二の呪文のような声が、
果てしない輪廻を産み出すように、
愉悦の炎を燃え上がらせていく。

止まらない、
止まらない、

もう暴走した快楽はどこまでも止まらない。
マリは健二をしっかりと咥えこみ、
自らをうねらせ、締め上げる。
健二の腰の動きが激しくなる。
耐えられず、床に崩れ、四つんばいのようになるマリ。
また髪を掴まれた。
引き上げられ、手綱のように操られ、
激しく揺さぶられる。
引きつった髪の毛の痛みも、
硬いタイルに当たる膝の痛みも、
全てがマリの「芯」から溢れる物質によって、
この上ない快感へと昇華してしまう。
 
生きてきた中で、一度もない、
今まで関係を持った男や、もちろん夫でも、
一度もない、目も眩むような絶頂の予感がした。
背後で健二が呻き、渾身の力でマリの髪を引き上げた。
健二の脈動が始まる予感がわかった。
その瞬間、マリの下半身に激しいうねりが襲ってきた。
マリは叫びそうになる。
開け放った窓に向かって、叫びかけたそのとき、
健二の手が口をふさぐ。
油と汗の匂いが鼻腔に広がり、
マリは気が狂いそうに極まった。
 
「噛め」
 
健二の指がマリの口を犯す。
その指を噛み千切らんばかりに歯を立てると、
健二は獣そのものの咆哮を上げた。
マリのうねりはいよいよ頂点に向かい、
開いているのか閉じているのかももうわからない眼前は、
真っ白な光が支配するだけだった。
はらわたの全てを搾り出すような収縮の中で、
マリは健二の脈動さえも、
手に取るように感じていた・・・。
 


 
2007/08/15 16:21:45(Nd5oWmD2)
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