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家路
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:痴漢 官能小説   
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1:家路
「また来週ね。」
 
麻美はファーストフード店の前で同級生に手を振ると、
薄っすらと雪化粧をしたレンガ張りの歩道を、
滑らないように注意して体重移動しながら、
バス停に向かって歩き出した。
 
期末試験が近づいた3月の初め、
試験勉強のためにと部活も休部になっているのに、
麻美は学校近くの駅前にあるバーガーショップで、
日の落ちるまで友達と無益な話を続けてしまった。
 
別に麻美が話したいわけではなかった。
ただ、友達に誘われると断れない性格だった。
それがどんなに適当でいい加減な付き合い程度の友達でも、
麻美は人に嫌われることを極端に怖れていたのだ。
 
 
 
麻美は幼いころから個性の強い娘だった。
特に、絵には独特の才能を発揮し、
その個性的で、しかし鋭いデッサン力と、
独特の色彩感覚は、いつも人々の目を惹きつけた。
だから、麻美が自分たちに無いものを持っていると、
本能的に察した同級生たちは、
ちょっとしたきっかけで麻美に虐めを仕掛けるようになった。
そんなことの繰り返しが、麻美を極端に臆病にさせた。
進学するたびに新たに出会う、さほど多くない友達(らしき人)に嫌われること、
それを失うことは、
麻美にとっては耐え難い心の負担だったのである。
 
 
 
バス停につくころには、さっきまで何を話していたのか、
もうすっかり忘れてしまった麻美だった。
歩道の暗がりの中に、ちらつき始めた蛍光灯が灯る停留所の行灯が、
陰鬱な冬の空気を露わにさせるように立っている。
待っているのは帰宅を急ぐサラリーマンとОL、
買い物帰りの中年の主婦、
特急列車の一部が止まる駅とはいえ、
北陸の小さな街の駅前から郊外に向かうバス路線の客は、
帰宅の時間帯でも、麻美を入れて10人に満たないようだった。
 
本数が少ない路線ゆえ、皆時間を合わせてバス停にやってくる。
麻美が並んで程なく、時刻どおり、
雪解けの跳ね汚れで下半分を泥色にした路線バスが、
鈍い前照灯の光で闇を切り裂きながら、
ロータリーを回り込んできた。
 
 
 
列の最後に並んでいた麻美がステップに上がると同時に、
運転手はそれが当然のようにドアを閉め、
何の合図もせずバスを発車させた。
不意を突かれた麻美は少しよろめきながら、
しかし何故か自分から「すいません」と謝って、
運転手に通学定期を見せると後方に向かった。
 
帰りのバスに乗ったときは、最後列の座席と麻美は決めていた。
一人掛けの席は疲れた身体に狭苦しく、
かといって二人掛けの席は、
他人と二人だけで座る可能性がある、
という息苦しさに麻美は耐えられなかった。
決して満員にならないこの路線では、最後列の席だけが、 
ゆとりを持って、人との距離を保てる唯一の場所だった。
 
もっとも、最後列に座っても、
麻美はいつもくつろげる訳ではなかった。
空いている車内で、不自然に隣へ座ってくる男性の存在・・・。
高校に進学するあたりで、麻美にもその「感じ」がなんとなくわかりはじめたのだ
が、
麻美は何故か、屈折した性的嗜好の持ち主に、
目をつけられやすい雰囲気を持っていたのだ。
 
幼いころ、地元の農道や、鎮守様の祠の陰で、
何度も大人の男が、下半身を露出させているのを目撃した。
しばしば目撃するので、何も知らなかった麻美は、
男は普通にそういうことをするものだと思っていたときがあったくらいである。
やがてそうした男たちは、
麻美が反応しないとさらに近寄り、
より見せつけるようにしたり、
場合によっては麻美の視線を受けながら、
白濁した粘液を吐き出す者さえいた。
 
思春期を迎えるころには、
そうしたあからさまな露出は減ったものの、
今度は痴漢行為に悩まされるようになった。
チェーンの大型古書店で、
すれ違いざまに尻に触れるオタクっぽい若者。
人もまばらな映画館で、
何故か隣に座り、太腿に手を置いてくる初老の男。
麻美は中学に入ったころから、
自分の服は自分で選ぶようになっていたが、
その少しゴシックがかったロリータっぽい趣味が、
そういう輩を吸い寄せるのかと思った。
 
しかし、そのような行為は、
学校の制服を着ているときにも少なからず起こった。
だから麻美はもう半分はあきらめるようになっていた。
自分のアイデンティティーを曲げてまで服装を変えたところで、
不埒な行為が皆無になる訳でもないのなら、
自分のスタイルを貫こうと。
幸い、麻美に狙いをつけてくるのは、
皆臆病な心の持ち主ばかりであったので、
手を払ったり、視線で一撃牽制すれば、
大事に至るようなこともなかったのである。
 
 
 
バスは駅近くの新興住宅地を過ぎ、
車内の乗客も3人ほどになってしまった。
幸い、今夜最後列に座っていたのは麻美だけで、
だから窓に頭をもたれるようにして身体は少し横に流し、
麻美はリラックスして楽な姿勢をとることができた。
窓の外、空を見上げる。
学校を出るころには少し降っていた雪は、
すっかり止んだようだが、
まだ雪雲が残っているのか、空は漆黒にならず、
煙った紫がかった墨を流したような色をしていた。
そんな空をぼんやりと眺めながら、
暖房の効いた車内で、冬用タイヤのザラついた乗り心地に身を任せているうち、
麻美はゆっくりと眠りに落ちていった。
 
 
 
シュー、というドアの開く音と、
そこから流れ込んできた冷気で麻美が目を覚ましたのは、
麻美が下車する終点の一つ手前、
麻美の町(といっても町とは名ばかりの集落だが)の中心部にある、
農協ストアーの前の停留所だった。
残っていた買い物帰りらしき主婦もここで降りてしまい、
車内には麻美一人だけとなった。
 
少し嫌な予感がした。
麻美は眠ってしまうと、身体を丸めて縮こまってしまう癖があった。
ちょうど齧歯目のリスやヤマネが冬眠するような、あの姿勢である。
この夜も、そんな体勢で麻美はうたた寝をしていた。
 
以前、そんな体勢のまま、最後列の端に一人だけ座っていたとき、
バスの運転手に照明を落とされ、
町外れの駐泊所と呼ばれる車庫に、
そのまま運ばれてしまったことがあったのだ。
それも一度ならず、二度、三度と・・・。
 
大体いつもそうなのだが、
この農協ストアー前で、この町の客の殆どが降りてしまう。
麻美の家に近い町外れの終点は、
件の駐泊所に向かう「ついで」のような所で、
実際客のいなくなってしまったバスは、
照明を落として回送扱いになっていた。
 
途中で気づいて声をかければもちろん、
再度照明を入れて客扱いをしてくれるが、
部活帰りなどで熟睡しているときには、
そのまま気づかれずに入庫されてしまい、
最後の最後、車内を点検した運転手に発見され、
大層驚かれることとなるのである。
 
今夜は幸い手前で目が覚めた。
だから麻美はわざと自分の存在を示すように、
ちょっとだけ声を出しながら、大きく伸びをした。
ルームミラーの向こうで、
運転手の視線がチラリと動くのが感じられる。
照明は消えなかった。
 
「よかった・・・。」
 
安堵して麻美はもう一度、
あとわずかな時間を惜しむように目を閉じた。
 
 
 
 

麻美は思いのほか熟睡してしまっていたらしい。
眠って、目を閉じている瞼の裏が、
急に一段暗くなった気配に、麻美は目を覚ました。

目を開けても、目の前は闇のままだった。
半覚醒状態の麻美には、まだ状況が呑み込めない。
そのとき、鈍くドリュドリュと音を立てていたディーゼルエンジンが突然停止し
た。
キーーーーン、という耳鳴りのような静けさが、
恐ろしいほどの闇に共鳴し、麻美は一気に覚醒した。

車庫まで連れてこられている・・・。
 
さっき、運転手は私を確認したはずなのに・・・。

本能的に身の危険を感じた麻美は、
寝起きのままの体を丸めた姿勢を、
より小さく縮こまらせて息をひそめた。

前方から、気配が近づいてきた。
何か、邪念を秘めた体温が、
着古した制服の匂いと共に近付いてくる。

「す・・・すいません。」

またも麻美は、なぜか謝罪の言葉を発してしまう。
「人に嫌われたくない」という麻美の強迫観念が、
追い詰められたとき、その言葉を口にさせてしまうのだ。

急に目も眩むような閃光が、麻美の顔に照射される。
運転手が手に持ったマグライトを点灯したのだ。
麻美からは相手の顔は見えなかった。
 
そこまでだった。
その後、麻美は恐怖に支配され、
硬く閉じてしまった瞳を、開くことはなかったのである。
 
 
 
閉じた瞼の裏で、
赤黒いサーモグラフィーの影のように、
麻美の身体を光束が這い回るのがわかる。
執拗に照らしたのは、
高校生らしく短く畳んだスカートから伸びる、
滑らかで美しい下肢だった。
 
コトリ、、、と、ライトを置く音が響いた。
爪先、短靴の先に、手が添えられるのがわかった。
そこから麻美をめらめらと焼き尽くすように、
鳥肌が上っていくのを感じる。
靴が脱がされ、紺色のハイソックスに手がかかる。
運転用の手袋をしているのか、
素肌に触れた指先には、薄い布の感触があった。

ゆっくりとソックスが脱がされ、
麻美の足先に吐息がかかる。
静かだが、興奮を押さえ込んでいる感じの息遣い。
やがて麻美の足の指に、ナメクジがゆっくりと這うような感触。
一本一本を確かめるように、
夥しい体液を塗れさせながら這っていく。
やがて何本かをまとめるように口に含み、
麻美の一日の汚れを味わうかのように吸い上げ、飲み込む。

その後は、麻美の予想通りだった。
感触は足の甲を這い上がり、踝をくるくると回って脹脛へ、
膝の表と裏を丁寧に確かめると、伸びやかな太腿へ・・・。

この頃にはもうすでに、ナメクジの感触だけではなく、
頬擦りをする髭剃り跡のざらつきや、
麻美の肌の肌理の奥まで逃さず嗅ごうとする鼻息までもが、
はっきりと感じられていた。
 
 
 
大きな力が麻美に働いた。
詰めれば5人が掛けられる後部座席に、
麻美は頭を窓のほうにして、横臥させられた。
そのまま、両方の脚が男によって担ぎ上げられる。
股間に近づいてくる荒い吐息。
麻美の全身の中で、一番柔らかな内腿の肌を、
男のイブニングシャドウが荒らしていく。
 
下着の核心部分に、男の鼻先が埋まるのがわかった。
 
嗅いでいる、
嗅いでいる、
 
新陳代謝の一番盛んな、
高校生の麻美の、一日分を嗅いでいる。
 
今度は口が押し当てられる感触。
 
舐めている、
吸っている、
 
さっきあれだけ麻美の下肢に唾液を塗りこんだのに、
更に夥しい量の唾液をそこに染み込ませ、
舌でこね回し、
麻美の分泌物と混ぜ合わせたそれを、
再び吸い取って味わっている。
 
下着の脇に指がかかった。
今度はもう、手袋は外されているようだった。
少しささくれた、不器用そうな指が、
下着のその部分を剥がすように浮かせ、
片側へと寄せる。
濡れた粘膜が、外気にさらされる冷感。
 
すぐに・・・、
 
熱い舌が・・・、
 
静寂の車内に、犬が水を飲んでいるときのような、
ピチャピチャという音と、
男の荒い息遣い、
麻美の押し殺した吐息・・・。
 
 
 
男がカチャカチャと、下半身でベルトのバックルを外す。
位置を変え、麻美の上に逆向きで覆いかぶさるように、
座席の上の麻美に跨って、再び股間に舌を差し入れる。
 
麻美のちょうど顔の上には、
いま男が衣服から開放し、
半分ほどの硬度を保って、先端に露を滴らせた肉棒が、
麻美の唇をなぞるように狙っている。
目を閉じてはいても、状況は理解できている麻美は、
固く口を閉じてそれを拒んでは見たものの、
男から滴るものはとどまることなく、
麻美の唇を汚しながら、頬に垂れていく。
 
男の舌の動きが一段と早く、複雑になっていく。
舌を助けるように、指が麻美の内側をまさぐりだす。
固く口を閉じ、鼻だけで息をしていた麻美の呼吸が、
次第に激しくなっていく。
男は自分の陰部を、麻美の顔に押し付けるように、
腰を蠢かしていく。
麻美は、自分の意思と裏腹に高まっていく呼吸と、
押し付けられた男の「部分」の匂いに耐え切れず、
とうとう口を開いてしまう。
 
その瞬間を逃さず、
「それ」は口の中に入ってきた。
麻美は、「それ」に対して、
歯を立てたり、顔を背けて排除することをしなかった。
受け入れたほうが、「楽」だったのだ。
それに、、、このまま進めば、たぶん犯されはしない。
抵抗し、苦しみ、心理的にも徹底的な陵辱に終わるより、
どこかでスイッチを切って、長れに任せ、
終わりが来るのをすすんで受け入れるほうが楽なときがある。
それが長く虐めを受けてきた麻美が得た、
一つの緊急避難的法則だったのである。
 
舌と、指のリズムに合わせるように、
男は腰を振って、麻美の喉の奥に「それ」を突き入れる。
一瞬むせそうになり、喉を締まらせる麻美。
苛つくように、腰の突き出しを強める男・・・。
 
「すいません、すいません・・・」
 
麻美の心の中で、なぜかその言葉が繰り返される。
むせないように、むしろ喉を開いて、
麻美は「それ」を深く受け入れた。
たちまち麻美の口内で「それ」は硬度を増し、
怖さや悔しさよりも、その苦しさで麻美は涙を流していた。
 
麻美の股間をいたぶっていた舌と指が疎かになり、
男の腰の動きが早くなる。
ギシギシと、シートのスプリングが音を立て始め、
男は小さく呻くと、背中を反らせた。
 
麻美の、喉の奥で、
熱く、ねっとりとした液体が爆発する。
口を塞がれ、かろうじて息をしていた麻美の鼻腔に、
その液体の強い匂いが逆流する。
 
それから逃れたくて、
麻美は一気に、男を飲み下した・・・。





2007/07/29 15:10:19(FzoGIQ74)
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