◯序章
1999年7月。
ノストラダムスの大予言に沸いた世紀末。
人類滅亡の気配は見えず、地球は元気に自転を続け、宇宙からのアンゴルモア襲来を告げるNASAの発表は今日もない。
19歳を迎えた僕は未だ童貞のままだ。
言い訳がましく言うならば、こんな僕とて女性に全く縁が無かった訳ではなく、何なら僕を好きだと言ってくれたバイトの後輩女子も居るには居た。
だが僕は未だ童貞のまま。この頃の僕は男子校上がりの悪影響から『女慣れ』しておらず、女子を前にすると極度に緊張して何も話せなくなる。
話題がスベったらどうしよう
嫌われたらどうしよう
不要な逡巡が僕の頭を真っ白に塗り潰す訳だが、まあ言ってしまえば意気地が無かったのである。
とはいえ、童貞のまま人類滅亡を迎えるのは絶対に嫌だ。今のところ人類滅亡の気配は薄いが、可能性がゼロで無い以上、童貞のままでいるのは危険だ。
この頃の僕は真剣に悩み、童貞を捨てるべくソープランドの門戸を叩く事にした。