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家が近くなるにつれて、町内の所々で子供たちが集まっているのが見えた。
「あ、そうか、もうすぐ地蔵盆だな」 この界隈では、毎年八月二十四日に地蔵盆のお祭りをする。 町内ごとに祀ってあるお地蔵様のところにテントを張って、子供たちが集まって周辺を綺麗にしたり一軒一軒お賽銭を集めに回ったりするのだ。 勿論それだけでなく、この日お供えされたお菓子等は食べ放題だし、集めたお金で近所の食堂で何を食べてもいいので、食いしん坊のガキッズには年に一度のフリーダムを味わえるまたとない機会なのである。 飾りやチラシや提灯などの準備のために、数日前から子供会や仲良し同士での動きが活発になるのだ。また女の子はおめかしして浴衣や着物を着て夜のお参りに行くので、そのための準備に夢中になったりしている。 我が家でも、本来なら子供から娘へと変化している真っ只中の美しい二人の浴衣姿を拝めるはずなんだけど、どうにもそれは望めそうにない。 浴衣そのものは二人ともちゃんとしたものを持っているので、衣装がないわけではない。ただこんな険悪な空気では、地蔵盆だからといって浮かれた気分になれないのである。 地蔵盆の主役は小学生以下の子供たちだ。 ――賽の河原の地蔵尊――親に先立ちこの世を去った子供たちを、地獄の獄卒から守ってくれるという地蔵菩薩。 そのお地蔵様との縁結びの行事なのだから、本来なら十歳未満の子供が対象になるんだろうけど、線引きが難しいので小学生以下という括りになったのだろう。 余談になるが、対象から外れるとは言っても、中学生や高校生になっても地蔵盆には世話役として大人に混じって参加できる。 そっちはそっちで小学生では味わえない『大人扱い』のメリットがあって、ちょっと高級な料理屋での打ち上げや、お参りの後の全体BBQなんかに堂々と参加できるので、大人気分を味わいたい少年少女には楽しい場だ。 それは結果的にちょっとした合コンにもなるので、中高生の出会いの場でもあるし、町の若者が女子高生の彼女を作るのにこんなチャンスはないのである。 そういう点において、この地域はとても大らかである。 娘盛りの女子高生をターゲットに、車も収入もある若者がアタックしてくるのだから、男子高校生にとっては安穏としていられない日々だ。 小説やアニメにあるような高校生同士の初々しくて切ない恋物語なんてのは滅多に成立しない。暢気な顔して告白を先延ばしにしていると、お目当ての彼女がいつの間にか車持ち(彼氏持ちの別称)になってしまう。 片想いに胸を焦がし、手を握るどころか朝の挨拶さえ緊張してできないような可憐な同級生が、ある日突然車で送迎されるようになり、卒業を待たずして退学して結婚、半年も経たずに出産なんて場合もあるので、男子がショックで寝込んでしまった事例もある。 そんな時には見かねた仲間が一緒になって『ヤケ風俗』で童貞を卒業したりしながら、恋に対するガッツを養うのである。 そうやって目の前の欲望と快楽を追い求め、喜怒哀楽に溺れるのは、愚かかもしれないけど、大切なことだと思う。 人間の美しさや愚かさ、人生の喜びや悲しみ、社会の優しさや汚さを実体験として知ることは、人格形成において、必須科目と言っていい。 それによってそれぞれの価値基準が作られ、そして結婚し、子供を授かり、再びお地蔵様を通じて仏教に触れ、目に見えない法則の不思議を感じるのである。 仏教では子供でさえも罪があると説く。 よく世間で言われる『罪のない子供』という表現は、仏教ではありえないことなのだ。 それは人間が生まれた時から強弱美醜賢愚貧富などの差があるのは何故かというお話で、なんとなく納得している。 十悪の教えに至っては人間は生きているだけで罪を作るということなのだから、なんとも容赦のない話である。 しかし、冷静に自分のこれまでや、裕未や亜季も含めて周囲の人達を見て、そして新聞やニュースを見るにつけ、人間って生き物は、欲にまみれて罪を重ねて、修羅みたいに争って、餓鬼みたいに満足できなくて、畜生みたいに疑心暗鬼になって、地獄の猛火みたいな怒りで身を焦がし、を繰り返してるだけなのかもしれないなと思ってしまう。 そんな事を考える時、子供の頃に母親と一緒に見たお地蔵様の紙芝居のことや、近所のお婆さんが蝋燭の明かりの中でしてくれた賽の河原のお話が蘇ってきて、不思議と心を安らかにしてくれるのだ。 ――賽の河原の地蔵尊―― 恐ろしい獄卒がやってきて積み上げた石を打ち壊される場面になると、裕未はよく俺の膝に顔をうずめて怖がっていた。 裕未は、地獄を怖がった。 そして、死を怖がった。 由希子があんな死に方をしたせいじゃなくて、それ以前から裕未は怖い夢を見たといっては俺に泣き付いてくることがあった。 お地蔵様に守ってくださいってお願いしようね、と言うと喜んでお参りに行った。近所のお地蔵様だけでなく、通学路周辺にあるお地蔵様は殆ど毎日のようにお参りに回っていた。 なんだか、不意にそんなことを思い出していた。 留守がちだった由希子より、俺と過ごすことが多かった裕未。 お風呂も一緒、寝るのも一緒、近所のお地蔵様には毎日のように手をつないでお参りに行った。 小学校4年生の夏ぐらいまではどこに行くにも手をつないでいたのに、いつだったか友達に「裕未ったらまだお父さんと手つないでるの~、こっども~」と囃し立てられて、それからぴたっとなくなってしまった。 あの頃から裕未が離れて行ったんだよな。 助手席に目をやると、裕未はきちんと自立して座っていた。恥ずかしいぐらいにべったりだった謎の恋人モードはもう影を潜めていた。 口をきゅっと結び、難しい顔をして外を眺めている。 その姿が、すっかりお姉さんに見えて、小さかった子供が急に遠くへ行ってしまうような感覚に襲われ、今頃になって俺の方から手をつなぎたくなった。 「あ、そうだ、明日ポスター作るんだった・・・」 「行ってこいよ、お前、もう小学校最後なんだし」 「え?・・・うん・・・そうだね」 あの小学校から自宅までの約45分間で、交わされた言葉はこれだけだった。 裕未は不安で傷ついた心をどう制御したのだろう。 亜季の過去を知って、亜季に対する感情に変化はあったのだろうか。 家に到着。 車を降りると亜季が玄関から飛び出してきた。 「お、おかえり、あまり遅いから、何かあったのかと思って」 これは悪い事をした。本気で心配していた顔だ。 裕未が一緒にいるのを何も突っ込んでこないとこをみると、裕未の行動は把握済みってことか。 「ごめん、ちょっと大事な用があって」 これまで亜季が俺に話しかけようとすると露骨に邪魔をしていた裕未だったが、この時は何も絡んでこなかった。 だからといって、亜季に話しかけたりはしない。 紙袋を抱えたまま、ぷいっと顔を背けて家の中に入ってしまった。 「ふぅ・・・ごめんな、亜季」 「いえ、私が悪いんです」 伏し目がちにか細い声でこんな事を言う。なんか嫌だった。 中に入ると、もう裕未の姿はなかった。 どうやら部屋に閉じ籠ったようである。 もしかしたら、すぐにでも亜季と和解するんじゃないかと期待していたのだけど、そう簡単にはいかないようだ。 亜季は元気のないまま俺にお茶を出してくれた。 「ごめんな、俺が裕未を叱ってやればいいんだろうけど」 「ううん、全部私のせいですから・・・」 せっかく久しぶりの亜季との時間なのに、互いのテンションがだだ下がりしていて、ちっとも盛り上がらない。 「それに、今のたっくんじゃ裕未ちゃんを叱れないと思うし」 妙に含みを持った言い方じゃないか? まあ確かに俺は裕未を叱る術を失ってはいるけどさ。 「でも、たっくん、大丈夫なんですか?」 と、なんとも妙な表情で訊いてきた。 なるほど、と思う。 亜季の心配は、俺の傷の回復具合や体調だけでなく、裕未との密着で俺がまた妄想を暴走させて自己制御不能に陥らないかが気がかりなのだ。 「裕未のことなら心配するな、いい方法編み出したんだ」 「方法? なんか嫌な予感しかしないんですけど」 「へっへー、自己暗示型自己嫌悪って言ってな、ありとあらゆる方向から俺自身を全否定するんだよ」 「な・・・」 思いがけず亜季が愕然とした表情をした。そんなにショッキングな発言はしてないつもりなんだけどな。 「そうすれば俺はただのゴミになって、裕未に邪な好奇心なんて持てないようになるし、体も反応しなくなるんだ」 「たっくん、そんな」 「裕未がどんなに接近しようが、どこを触られようが、耐えてみせるぜ☆」 「馬鹿っ!」 「え?」 「たっくん、なんてことしてるんですか」 亜季が泣きそうになって怒ってる。俺、叱られてるのか? 「全否定?自己嫌悪?そんなことしてるからそんな顔色になっちゃうんじゃない!何キロ痩せたの?うんことか出てる?」 「あー、そういえば・・・昨日から出てないや」 「自分の全てを否定してダメ出ししてって、そんなこと普通やんないよ!心が病気になっちゃうよ!」 「え?あ、ああ、でも、これやんないと」 「そんな最終兵器みたいな、自分で自分を殺すみたいなことまでしないと、耐えられないの?」 「あ・・」 「もう、どうしようもないとこまで行っちゃってるじゃないですか・・・」 その通りだった。 俺はいやらしい目で裕未を見てはいけないと思い、裕未の感触に興奮してはいけないと思い必死になって勃起を我慢していたけど、裏を返せば、我慢しなかったら勃起していたということだ。 それはもう裕未をエロい目で見ていたということであり、あの時に封じたはずの邪な好奇心や妄想はとっくに解放され大繁盛していたということだ。 俺は・・・最低じゃないか。 「はぁーーーーーーー」 亜季が凄く大きく溜め息をついて俯いてしまった。 殴られるのだろうか、泣かれるのだろうか、それとも優しく諭してくれるのだろうか、あるいは・・・ と思っていると、亜季が徐に顔を上げた。 「この、マイナス思考の変態野郎、よく聞きなさい」 ええっ!いきなり野郎呼ばわりですか!? 「自己暗示型自己嫌悪法と言いましたね」 「あ、はい」 「自己嫌悪ということは、自分で自分を嫌いになることです」 「そうなりますです」 「たっくんにとって嫌いな自分って何なんですか?」 「えーっと、臆病で低収入で空気読めなくて幼稚で我がままで」 「そんなプロフィールを聞いているんじゃありません!今は裕未ちゃん関連でしょうに!」 「プ、プロフィーる!?」 「裕未ちゃんとエッチな事をしてしまう自分は好きですか?」 「嫌だ、そんな自分は嫌いだ」 「じゃあ裕未ちゃんの魅力に負けまいと耐えて頑張っている自分は嫌いですか?」 「いや、よく頑張ってると思う。嫌いじゃない」 「それのどこが自己嫌悪なんですか!たっくんがやってるのは自分大好き『自己満足型自己肯定法』ですよ!」 一気に血の気が引いた。 全くもってその通りだった。 重ねて俺は何を勘違いしていたんだ・・・ 「たっくんの自己嫌悪法を完成させるためには自分が嫌いな自分になる必要があります。それは無意識のうちの目標になっているのです」 「目標?」 「さっき自分で言ったじゃないですか、どんな自分が嫌いなんですか?」 「ゆ、裕未と、エッチな事をしてしまう自分」 「そうです!その間違った自己嫌悪法が行きつく先は、嫌いな自分を完成させること」 「それって、つまり」 「たっくんは無意識のうちに、裕未ちゃんとの生殖活動に励む自分を目指していたのです」 「そんな生々しい、生殖活動とか言わないで、せっかくエッチってぼやけた言葉使ってたのに」 「じゃ交尾」 「もっと悪いわ!」 「充血した陰茎が小陰唇を押し広げ」 「それじゃ昭和の官能小説だよ!」 「みだらな行為」 「実名報道だけはやめて!」 「親子でセックス」 「どこの学年行事だよ!」 「PTAも真っ青ですよ」 「・・・ごめんなさい」 「たっくんともあろう人が、そんな単純な罠に引っかかってしまうなんて」 「いやー、自分で編み出したと思って喜んでしまっていた、迂闊だった」 「本当は、ついうっかりを装って、やっちゃうつもりだったんじゃないですか?」 「人聞きが悪いにも程があるよ!」 「ほら御覧なさい、自己嫌悪とかいいながら、貶されれば反発するじゃないですか。自己愛の塊じゃないですか、俺はこんなに苦労して娘への邪心を抑えてるんだぜーって結局俺って凄いだろっていう幼稚な自慢じゃないですか!」 「今が自己嫌悪のピークだよ!」 「漏れ聞こえていますよ」 「な、何を」 「お腹の傷、絆創膏レベルだったのに、ビビッて動転して心肺停止しちゃったそうじゃないですか」 「なんで俺の最高機密が漏洩してるんだよ!」 「漏洩?早漏の間違いじゃありませんか?」 「やめてくれよ!気にしてるんだからっ」 「早漏がヘタレ死に」 「死んどきゃよかった!」 「活力に溢れ勇気ある立派な男性がそんな事になったなら不名誉なことでしょうけど、元々がマイナス思考のヘタレが死ぬんですから、それは至って自然な姿だったのではありませんか?」 「お前、言葉のナイフって知ってるか?」 「知りませんよ、そんなもの。単なる低周波振動で伝わる言語をナイフとか言ってる時点で中二病確定ですね。いい歳こいて」 「痛いって!刺さってるって!」 「私はね、そんなヘタレでも優しくて、チキンでも暖かいたっくんが大好きだったんですよ」 「お願いだから過去形で言わないで」 「まあ今も辛うじて好きではありますけど、正直見捨てようか思案しています」 「お前に見捨てられたら、俺、この先どうやって生きていけば」 「裕未ちゃんがいるでしょうに。二人で仲良く家庭を築いていけばいいじゃないですか」 「さらっと生臭い表現をするなよ!」 「自分の娘に欲情するヘタレ親父」 「だから、それは猛省してるから」 「自分の父親に欲情する変態娘」 「は?」 「相思相愛とはこの事じゃないですか、どうぞお幸せにって感じですよ」 「ちょっと待てよ、裕未は、そんなんじゃないだろうに。俺が死にそうになったことで、心に傷を負って子供返りしてるだけで」 「ヘタレでチキンでマイナス思考のロリコンの変態という肩書に、鈍感が加わりました」 「嬉しくないなー」 「裕未ちゃんと私はパソコンを共有していますが、管理者は私です」 「だからなんだというんだ」 「ここ最近の裕未ちゃんがインターネットで検索した検索ワードを教えてあげましょうか」 「お、お、おう」 「心の準備はいいですか?」 「ばっちこーい」 「“初体験”“12歳セックス”“妊娠”」 「い、今、 なんと おっしゃいました?」 「“中学生出産”“親子で結婚”“体験告白”」 「いやいやいや、そんなの・・・嘘だよ、裕未がそんな」 「何をへこたれてるんですか、まだ主砲は撃ってませんよ」 「ええっ!もうダメージ中破レベル超えてるんですけどっ!」 「キリがないのでトドメ、いきますよ」 「逃げろ!全速力で回避!」 「目標左四百、魚雷発射用意」 「やめてくれえぇー!」 「“ お 父 さ ん と セ ッ ク ス ”」 「直撃だよ!大破どころじゃないよ!轟沈だよっ!」 嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ・・・ 裕未が、そんな、セックスとか妊娠とかを調べた上で、理解した上で、俺に抱きついてきてたってのか。 「閲覧履歴なんか見た日には流石の私でもドン引きしましたよ。小学生の性体験や近親相姦関連の告白サイトのオンパレードですよ」 「そんなバカな!それじゃこないだ逮捕されたロリコン変質者と同じじゃないか!」 「これのどこが子供返りなんですか!ド変態もいいとこですよ、こんな小学生はこの街からも日本からも排斥すべきです」 「待て、待ってやってくれ、それは何かの間違いだ、誰かの捏造かもしれないじゃないか、裕未が俺と、そんな」 「裕未ちゃんは、ファザコンです」 「う」 「下着を露出した興奮で感極まってたっくんに抱き着いたのはついこの間のことじゃないですか」 「そ、そうだけど、そうだったけど」 「毎晩毎晩布団に潜り込んで、裸同然で抱き着いて、そんなのたっくんをその気にさせるための作戦に決まってるじゃないですか」 「違う!あれは、裕未が甘えてるだけなんだ、心が疲れててそういう区別がつかなくなってるだけなんだ、そんなんじゃないんだ」 「何か確証でもあるのですか?あれが裕未ちゃんの性的欲求ではないという、あれがたっくんへの露骨なアプローチではないという」 「そんなこと考えたくもないって!」 「考えることを放棄したら、もう人間でさえありません」 「さっきから俺への攻撃が激し過ぎるっ」 「裕未ちゃんを信用してあげることと、たっくんが無防備になることは違うと思うのです」 「俺が裕未に対して変な行動さえ起こさなければ、成立しないんだよ」 「知ってますか?」 「な、何を」 「我慢が効くのは起きてる時だけですよ」 「あ」 「たっくんはね、眠ってる間に完全体になってることが多いんですよ」 「あ、あわわ」 「裕未ちゃんがそれに気づいていないとでも?」 「まさか、そんな」 「我慢してればしてるほど、睡眠時の解放は漲ってるでしょうねぇ」 「亜季、あまり変なこと」 「たっくんにその気がなくても、完全体になってさえいれば・・・裕未ちゃん次第で・・・できてしまうのではありませんか?」 「怖いこと言わないでくれよっ」 「ああん!お父さんの、大きいっ!とか言っちゃったりして」 「カンベンシテクレッ!」 「まさかとは思いますが、眠ってる間に、射精しちゃったりしてないでしょうね」 「あり得ない!それはない!絶対ない!・・・はずだ」 「今から出してその量を量れば判明します。このシャーレに出してきてください」 「不妊治療クリニックでの精子検査みたいな誘導しないでくれよ」 「採精室はあちらです」 「だからやめてくれって」 「自分で出しにくいようでしたら、補助員が参りますので、必要でしたらそのボタンを押してください」 「補助員?手伝ってくれるのか?」 「はい」 「誰が?」 「このリストからお選びください。今日はフル出勤です」 「なんでお前がそういう店の真似できるんだよ!」 「ミーの頭脳は優秀なんです、歴史風俗は一般常識として学んであります」 「風俗違いだよ!お前、まさかそんな店でバイトしてたんじゃ」 「はい、してました」 「えええっ!」 「保険は利きませんので、一回八千円かかります」 「微妙に生臭い金額を提示するなよ!財布の中身考えちゃったよ」 「税別です」 「亜季にお金払ってしてもらったら、自己嫌悪どころか本気で消えたくなるから嫌だ!」 「じゃあお金払わなかったらいいんですか?」 「どっちにしたって愛のない性行為は虐待だ」 「愛ならありますよ」 「どこに?」 「ここに」 亜季が潤んだ瞳でじっと見つめてくる。それだけで胸が高鳴る。 ふっと近づいてくる。 「亜季・・・」 「たっくん」 久しぶりの至近距離にすっげードキドキしてきた。 裕未との至近距離にはないワクワク感が膨らんでくる。 「会いたかった」 「俺も」 可愛い仕草で身体を捻って、椅子に座る俺を跨ぐようにして乗ってくる。 「やだ、たっくん、もう膨らんでる」 「布団に入ってきたのがお前だったら絶対やっちゃってる」 「この、ロリコン」 「亜季コンと言ってくれ」 独特の甘い香りが脳髄をくすぐる。肩や腕や背中の感触が華奢で柔らかな女の子の主張をし、その重みが体中の血液をざわつかせる。 その血液が亜季を欲しがるように海綿体に集合する。 もう亜季には勃起は隠さない。 俺が男であることに胸を張る。 亜季の腰を両手で掴み、その股間の真ん中に勃起が当たるように押し付けた。 その感触に気付いて、ちょっと驚きつつも頬を染める亜季。 その可愛い手を俺の顔にぺたぺたと当て、細く柔らかな指が俺の眉毛を、目じりや頬骨や鼻のラインを慈しむようになぞる。 「へへへ、たっくんだ」 その指が唇に触れ、プ二プ二と遊ぶように弾んで、何度もなぞる。その感触がすごく気持ちいい。 「亜季」 と口を開けた瞬間、その指が口の中に入ってきて、歯をなぞり、頬裏をなぞり、舌をつつく。 亜季は黙ってるけど、はっきり聞こえるくらいの荒い鼻息で、どうしようもなく興奮しているのがわかった。 亜季の指に噛みつき、吸い付き、ベロベロと舐め回すと、亜季は目を閉じで軽く身をよじった。 「あぅっ・・・」 その指をゆっくりと抜くと、てらてらと光って湯気が出ていた。 少し眺めた後、その指を亜季が可愛く舐める。 「たっくん」 「ん」 「知ってますか?」 「何を」 「私も・・・濡れるんですよ」 至近距離で赤い顔して何てこと言いやがるんだ! 小さな肢体を抱きしめて、夢中で口に吸いついた。 キスだけなのに、亜季がビクビクと痙攣する。 俺の勃起は硬く大きく鋼鉄のようだった。 亜季がその感触を少しでも感じ取りたいのか、腰をうねらして押し付けてくる。 「亜季、エロすぎだぞ」 「ち、違います、たっくん欠乏症なんです」 ふわっとした表情にハニカミと興奮が混じって、すっげー可愛かった。 顔中にキスをしてまたぷっくりした唇を甘噛みして、口の中に舌を押し込んだ。 その刺激に亜季も応えて小さな舌を絡み付けてくる。 俺の頭を強く抱きしめ、もっと深く、もっと強くと求めてくる。 吐息と唾液とを何度もやり取りして、入れたり入れられたりの舌の動きはどんどん深く激しくなっていった。 これはもうキスではなく、舌と口を使ったセックスだった。 その時、ドスドスと階段を駆け下りてくる音が鳴り響いた。 「ゆ、裕未ちゃんだっ」 亜季は慌てて俺を突き飛ばすように離れて口を拭いていた。 俺も身なりを整え、袖で口を拭いた。亜季がすっぴん小学生で助かった。 俺は食卓、亜季は流しで片付けているふりをして裕未を待った。 ガラッ いかにも不機嫌そうな顔で裕未が俺を一瞥する。 「ご飯、食べちゃったの?」 「あ、いや、まだだ」 「ゆ、裕未ちゃん、ごめんなさい、ご飯なら、作っちゃった・・・食べる?」 か弱くオドオドと顔色を伺うように訊く亜季を、裕未はキッと睨みつけた。
2014/04/19 12:46:55(DKd5rvIs)
投稿者:
(無名)
続きが気になります!
大変だと思いますが、 まだまだ楽しませて下さい!
14/04/28 01:11
(JhHcwHjd)
皆様ありがとうございます。
ちまちまと続き書いてますが、キャラがすぐ暴走するので大変です。 また頑張りますm(_ _)m
14/04/29 21:13
(F67qs60V)
投稿者:
酒精
◆l1dFHT0XUA
お疲れ様です。物語も楽しみですが、各キャラの暴走も楽しんでます。
14/04/30 10:40
(Hj77iIZm)
投稿者:
むらちゃん
もうすぐかな?
わくわく
14/05/03 18:51
(.OLdchOO)
投稿者:
(無名)
たかし様
そろそろ禁断症状が・・・
14/05/07 20:45
(82Byi8qM)
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