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その日の夕方、俺は自宅目指して車を走らせていた。 助手席には保冷剤入りの箱。隣町にある有名パティスリー『ドンブッフ』のケーキをお土産に買ってきたのだ。なんとなく亜季にも裕未にもお礼というかお詫びというか、なんか感謝の気持ちみたいなものを形にしたかったんだな。 家までもう数分って所まで来て、小さな交差点の赤信号に捕まった。ぼーっと交差点の向こうを見てたら、対角にある図書館の駐車場から見覚えのあるワゴンRが出てきた。BBS16インチに超扁平タイヤなんか履いてるから目立つのだ。 「お、ホーコの奴、図書館なんか行くことあるのか」 ぼーっと見てたら助手席に誰か乗ってるのに気付いた。 「おやー、彼氏かー??」 と目を凝らして見ると、亜季だった。 「あ!亜季!なんでまた!あのやろー本当に亜季に手出したのか!」 一気に怒りモードになったのだけど、よく見たら亜季が笑顔でやけに楽しそうだった。 「あれ?」 なんとも変な気分でホーコの車を目で追っていたら、後ろの車にクラクション鳴らされた。 「あ、青か」 追いかけようかとも思ったけど、亜季の笑顔が目に焼き付いていて、野暮になってもと思い取りやめた。保冷剤もそろそろ時間切れだったので、とりあえず家路を急いた。 「たーだいまー」 「あ、お父さん、お帰り!どこ行ってたの?」 「あー、ちょっと仕事に使う工具を買いに行ってた」 「そうなんだ。起きたら誰もいないんでビビってたんだ」 「え?亜季もおらんのか?」 「うん。たぶん、本屋か図書館か釣り掘かケータイショップだと思うんだけど」 「釣り堀!?」 「亜季あそこのアイドルなんだよ。タダでやらせてくれるんだって」 「へー」初耳だった。釣り堀のアイドル?なんじゃそりゃ? 「いやー、爆ってたわー。部屋まで運んでくれたのお父さんでしょ?」 「そうですよ、お嬢様」 「ありがとうね、お父さん」 「いやいや、当然のことですよ」 「あ、それ何!?」 「じゃじゃーん、夕飯の後に食べようと思って」 「あ!あ!これ、ドンブッフの箱じゃない!?ケーキ?ねえ、ケーキ?」 「そう!ちょっと奮発してきました」 「なんで?今日って何かの記念日だったっけ?」 「ははは!特に記念日って訳じゃないけど、そうだな、親子記念日って感じかな?」 「なにそれ?」 「俺的な記念日だよ」 亜季のおかげだ。 あの妄想つぶしのおかげで、裕未に対する不安や勝手な思惑がなくなっていた。もちろん女らしくなってきた体つきを見ても、無粋な気持ちは何も湧いてこない。『ちゃんと知ってる』という事実が、心にこれほど大きな余裕を生んでくれるなんて思ってもなかった。そして改めて、裕未に対していかがわしい好奇心を抱いていたことを思い知った。本当に危なかったのだ。 『何が娘の初物つぶしだ。情けない』もしまたそんな妄想するようだったら、俺の睾丸をつぶそう、そう決心した。 20分ほどして亜季が帰ってきた。 「ただいまー」 「亜季ー!お帰り!ね、ね、凄いんだよ、お父さんドンブッフのケーキ買ってきてくれたんだよ!」 「え!ドンブッフなんて近所にないよ!わざわざ買いに行ったの?」 「なんか買うもんあったなんだって、そんなのいいから、ちょっと見てよこれ」 また冷蔵庫から箱を出してる。そんなに嬉しいものなのかね~。 「どれ食べる?どれ食べる?」 「裕未ちゃんはー、これでしょ?」 「なんでわかんの?亜季すげー」 ハイテンションの裕未と亜季のやり取りを台所から見てた。何故だろう、だんだん親子に見えてくる。 亜季がそんな俺に気が付いた。こっちを見てすぐ目を逸らした。何故目を合わそうとしないのかは分かっていた。 「モンブラン入ってるだろ?」 「あ、このなんかウニウニした奴だよね」 「それ、亜季のな」 「え?亜季ってこんなの好きなん?」 「たっくん」 「あれ?違ったっけ?あは、勘違いしたかも、好きじゃないなら残しといて、俺食うし」 そしてまた夕飯の支度にとりかかる。 娘二人は再びコロコロとはしゃいでいた。 夕飯の後のケーキタイム、裕未はチーズタルトとフランポワーズムースの2つを取って上機嫌。亜季の皿にはモンブランが乗っていた。 「お父さんもおいでー、一緒に食べようよ」 「余ったらでいいよ、全部食べていいからな!」 「ひゃっほーい!」 食器の片付けをしながら、美味しいを連発する二人の声を聞く。なんとも言えず幸福だった。 裕未と亜季がお風呂に入っている間に俺は洗濯をする。裕未のブラジャーとド派手なショーツは入っていなかった。 亜季が言うには、色の濃いショーツは急な生理やオリモノで汚れてしまっても、それを目立たなくする為に履くらしい。 つまりは、生理があることを俺に言えずにいる裕未にとって、それは見せられない物なのだ。 それはそれで女子としての恥じらいの一つだと思うし、いつか自然と乗り越えられる類のものだろうから、何の心配もない。 しかし、亜季のやつ、あんなこと言ってたわりには、自分はちゃっかり縞パン履いてるのな。まぁあんな発言の後だから、俺を誘惑する目的ではないのだろうけど。 賢いくせに、ちょっとヌケたとこあるんだよな、亜季は。 「じゃあお父さんお休みなさーい」 「あ、裕未、ちょっと」 「なぁに?」 「亜季もおいで」 「ん? パジャマ姿で髪が濡れたままの二人が居間にやってくる。 「裕未の胸、もうブラジャーいるだろ」 「な!ま、ま、まだいいって、そんなの」 「いや、俺は親だけど男だからそういうのよくわかんなくてな。でも、そうやってても膨らんでるのわかるんだから、もういるんだって」 ぱっと胸を隠す仕草をする。 「何見てんの?お父さんエロだー」 「エロで結構。だから親だけど男だからって言ってるんだ」 「たっくん」 「これで買っておいで」 銀行の封筒を差し出す。 「え?」 「俺が一緒に買いに行くわけにはいかんだろ?亜季と行っておいで。2万円入ってるから」 「ありがとう…。2万円もいいの?」 「足りるかわからんけど、とりあえずだ」 「足りるよー、ってか足りるように買ってくるよ」 「亜季も買っておいで」 亜季にも同じ封筒を渡した。 「たっくん」 「お前も随分と目立ってきた。早過ぎることもないやろ。二人でゆっくり選んで来い」 「うん。 ありがとう」 「それとな、裕未」 「ん?」 「俺は由希子と結婚してお前を授かった。と、いうことは、女の子の体の仕組みはだいたいわかっとるつもりだ」 「仕組み?」 「裕未や亜季の年頃だと、いつ生理が始まってもおかしくない。学校でも習っただろ?」 「うん」 「最初はびっくりするだろうし、恥ずかしいって思うかもしれないけど、女の子なら当たり前のことだし、俺でも知ってる普通の事なんだから、一人で悩むなよ」 「うん、わかった。大丈夫だよ、亜季がいるもん」 「そうだな、亜季は頼れる妹だもんな」 「先生と呼ぶがよい」 「調子こきやがった!」 「たっくん、ありがとう、私にまで」 「お?」 「明日、裕未ちゃんと買いに行ってきます」 「うん、早い方がいいだろ。気を付けて行くんだぞ」 「裕未ちゃん、いいよね?」 「もち☆可愛いの買っちゃおう~」 「たっくんに感謝の気持ちを込めて、明日の夜はここでブラジャーショーやります!」 「ちょ!何言ってんの亜季!そんな」 「え?何?」 「バ、バ、バカ、そんなことやんないよ、私やんないよ」 「ブラジャーぐらいいいじゃないですか」 「で、でも、女の子として、それは、やっぱり」 「変に意識してブラジャー程度を見せられないって、裕未ちゃん、もしかしてファザコン?」 「違うって!」 「じゃ、やろ?」 「ううー」 「へへ、たっくん、お楽しみに☆」 「あはは、そりゃ楽しみだ。ビデオに録っちゃおうっと♪」 「それはダメ!!」 二人に怒られた。息ぴったりだった。残念だなぁ。 22時頃、亜季がトイレに降りてきた。 「裕未ちゃん、もうぐっすりですよ」 「あんなに昼寝したのになー」 一応会話はできるんだけど、やっぱり亜季は俺の目を見ようとしなかった。 「お前も疲れただろ、早く寝ろよ」 「・・・うん」 洗濯物は干したし、朝食用のお米を研いだら風呂に入ってビール飲んで寝る。これで今日は終わりだ。 「たっくん」 「ん?」 「あの・・・」 「どした?」 「その・・・、きょ、今日、どうだったのかなーと思って」 「あ、あー、あはは、あれかー、聞くなよー」 「ごめん、そうだよね、そんな事、きいちゃいけないよね、へへへ、」 やっぱりこれで苦しんでたか。 「すっげースッキリした」 「え?」 「どれだけぶりかなー、こんなスッキリした気分」 「そ、そうなんだ」 「亜季のおかげだ、ありがとうな」 「へー、そーなんだ、そんなに、よかったんだ」 なんて顔してるんだよ。 「はい、これ」 「え?」 「返す」 「え?でも、行ってきたんじゃ」 「行ってきたよ。店の前まで行ってきた」 「でも、すっきりしたって」 「したよ」 「じゃあ」 「店には入ってない。お金も使わなかった。そんな顔すんな、何もいかがわしいことはしてないって」 「でも、でも、それじゃあ」 「あんな顔して渡された金で、女遊びなんかできるわけないやん」 亜季の表情がぱぁっと明るくなった。わかりやすいにもほどがある。 「我慢しちゃったの?また苦しむのに?」 「大丈夫。それは自分でなんとかするよ」 「また活字のお世話になるつもりですか」 「俺を単なる消費者だと思うなよ。お前らを題材にエロ小説書いてやるぜ!」 「名前は伏せてくださいよ」 「亜季は明夫にして、裕未は裕一郎にしようかな」 「BLにする気ですか!?」 「BL?甘いな、ショタのBL!SBLだ!新ジャンル確立だぜ」 「あの、それでたっくんが興奮して性欲の処理ができるんだとしたら、私、この家を出たいんですけど」 「え?ショタBL、ダメか?」 「そんなぐらいだったらロリコンのままでいてください」 「わかった」 「返事早すぎます!」 「それは不本意だが、お前がどうしてもというのなら、俺は涙を飲んでロリコンと呼ばれよう」 「順番が違う!」 亜季はしっかり俺の目を見てた。いつものこの調子が出ればもう大丈夫だろう。 「でも、くれぐれも裕未ちゃんに変な気起こさないでくださいよ」 「あー、それは大丈夫。お前のお陰で変な好奇心霧散したわ」 「ほんと?」 「ああ、それもあって本当にスッキリしたんだよ。ケーキもそのお祝いのつもりで買ってきた」 「それでかぁ」 「あんだけはっきり見て知ったってのは凄く大きなことだった。俺は裕未をぜんぜん見てなかったんだよ」 「それでさっきもあんな話したんだ。ブラ買ってこいなんて、驚いちゃった」 「した、っていうより、ようやく出来るようになったんだな。亜季、ホント、ありがとな」 「いえいえ、実はやりすぎちゃったかなと思って反省してたんですよ。私が裕未ちゃんの立場だったら絶対嫌ですからね」 「誰でも嫌だろ?男でもあれは嫌だぜ」 「ふふふ、裕未ちゃんには」 「一生の秘密、だな」 くくくと背中を丸めて笑いあった。 「じゃ、俺風呂入って寝るわ」 「うん。お湯抜かないでね」 「あいよ」 二人が入った後のお湯は程よく冷めて、37℃になっていた。今夜は暑かったので、そのくらいでちょうどよかった。 亜季にはまだまだ話したいことがあった。というか訊きたいことがあった。釣り堀のアイドルはまあいいとして、何よりも今日の夕方の図書館のこと。なぜホーコと一緒にいたのか。あいつから何かされたのか、何をいわれたのか。で図書館を出てどこに行ってたのか。これが凄く気になる。 もしかしたら、花屋のおばちゃんと会ったよ、とか言ってくるかと思って待ってたけど、結局話さずじまいだった。まぁ俺のソープが気になってそれどころじゃなかったのかもしれないけど。 それともう一つはモンブランだ・・・ 「たっくん」 脱衣場から亜季の声がした。 「ん?どした?」 「入っていい?」 いつもは勝手に入ってくるのに、今日はしおらしいじゃないか。 「どーぞ」 カチャ 「おじゃましまーす」 「あれ?何その格好」 「ちょっと控えようかと思いまして」 あの亜季がバスタオルを体に巻いていた。それも胸までしっかり隠すようにして。 「見事な脱ぎっぷりのスッポンッポン大王が、あんまり無理すんなよ」 「人を裸族みたいに言わないでください」 「ら王だと言ったんだ」 「生の感触だなんてエロいキャッチコピー、よく通りましたね」 「そんなキャッチコピーではなかったはずだが」 「もう体洗っちゃいました?」 「洗っちゃいました」 「ちゃんと背中も洗ったんですか?」 「ちゃんとかどうかは知らんが、洗ったぞ」 「そうですか」 ちょっとしょげた顔をする。あれ?いつもの攻撃性がみえないぞ? 「なに?もしかして、お前、俺の背中流そうと思ったのかな?」 「そうなんです。なんだか、今日はたっくんに色々大変な思いさせちゃった気がして」 「あー、大変だった。こんな濃密な一日なんて経験ないよ」 「ごめんね、なんか私、迷惑かけてない?」 「おーい、変なこと言うなよ。迷惑なんて言うな」 「でも、」 湯船の縁に腰掛ける亜季。髪は包まずにそのままだった。コイツ、その格好がすっぽんぽんより色っぽいって分かってやってんのか? 「あーそうさ、お前は俺の娘じゃない。裕未とは親子だが、亜季は違う」 「だから、ちょっと私、考えちゃって」 「由希子はな」 「え?」 「あいつは元々他人だったんだよ。他人同士が一緒に暮らして作られるのが家族なんだ」 「うん」 「だから、亜季と一緒に暮らすようになってまだ半年もたってないけど、俺たちはいい家族になれると思ってる」 「たっくん」 「お前さー、まだ小学生なんだから、もうちょっと馬鹿みたいに遊べよな」 「釣りはしてるよ」 「あー、なんだっけ?釣り堀のアイドルだったっけ?」 「え?知ってんの?」 「裕未がそんなこと言ってた」 「あの店の名誉会員なんです、私!」 「そこのオヤジ、ロリコンなんじゃねーの?」 「なんで?」 「お前、フリーパスもらったんだろ?女子小学生に親切にするオッサンなんて何か変だって」 「フリーパスは私が勝ち取ったんです」 「勝ち取った?」 「店長とガチンコ勝負して勝ったんです、私」 「え!何の勝負で勝ったんだよ」 「制限時間一時間で多く釣った方が勝ちという単純な勝負です」 「金魚?」 「そっちではありません。鱒です、トラウトです、ルアー釣りです」 「なんで亜季がそんなもん出来るんだよ」 「ミーの頭脳は優秀なんです。そのくらいの知識は持ちあせています」 「でも店長って言ったら、いつもやってるんじゃないの?」 「自信満々でしたね。でもそこに油断があったんです」 亜季は喜々としてその勝負の様子を話してくれた。専門用語がやたら出てきて、途中から俺はついていけなくなったんだけど、結局は亜季は小学生レベルじゃ満足しないんだということが分かった。同級生の友達と遊んでるところをあまり見ないし、そういう話もしない。裕未とは上手くやってるけど、それも裕未に合わせているだけなのかもしれなかった。 「お前って、すげーんだな」 「小学生にしては、という但し書きが付くからですよ」 「でも、その釣り堀って大人もやってるんだろ?」 「あの人たちにとっては娯楽ですからね。私の探究心は娯楽だからとか趣味レベルだからといった妥協ができないんですよ」 「とことん勉強しちゃうのか」 「実はまだまだ色々料理も作れるんです」 「マジで?」 「和・洋・中なんでもこいです」 「じゃあさ、来月、俺、誕生日なんだけど」 「だから何だというのです」 「ごちそう、食べたいなー」 「裕未ちゃんの手前、まだ披露できません」 「あー、そうだった。能ある鷹はじゃないけど、なんか勿体無いな」 「大丈夫です、裕未ちゃんが中学校に行けば部活の大会や合宿で留守になることありますよ」 「じゃ、その時に」 「アイアイサー」 なんだか娘の留守を期待するなんて、悪いことしてるような気になる。 「たっくん、もう出ないとふやけちゃいますよ」 「そだな」 と立つ。ふにゃふにゃのちんぽを隠しはしない。 「あらま、愛くるしい」 湯船を出て、かけ湯のつもりでシャワーをさっと浴びる。 「ずっとこうだと何の問題も起きないんだろうけどな」 シャワーを止め、扉に手をかけたとき、 「それはそうでしょうけど、まだそれは早いですよ」 と言いながら、亜季が背後から抱きついてきた。 「おや?亜季さん、どうしちゃったのかな?」 「たっくん」 「ん?」 「好き」 ぐっときた。おいおい、俺をまたダメ人間にするつもりか? 「うん。俺も、好きだ」 「ありがと」 「ああ」 「ソープランド行くのやめてくれて、ありがと」 「今日だけかもよ。またムラムラしたら行っちゃうかもな」 「それはないですよ」 「なんでそんなことが言える」 「たっくん、ロリコンだもん」 「おいおい、証拠もないのに断言するなよ」 「だって、おっきくなってる」 「あ」 やっぱりだめだな。亜季に抱きつかれドキッとして、好きと言われキュンとして、背中の感触に喜んでしまってた。 「ね?たっくんは、私のことが好きなんですよ。他の女の人に興奮したりできないんですよ」 「それは暗に二度と風俗には行くなと言ってるんだな」 「行くなとは言ってません。行っても勃起しないだけです」 「そんなの試してみないとわかんねーぞ」 「裕未ちゃんそっくりなロリボディがお相手だとわかりませんけどね」 「それはかんべんしてくれ」 「由希子さんに似た人でもダメでしょうね」 「由希子かー、そういえばあいつ、あんまり胸とかなかったし、いわゆるロリボディだったなぁ」 「毛も薄かったですしね」 「なんで知ってる」 「今日言ってたじゃないですか」 言ったっけ?そんな事? 「たっくんは嫌かもしれませんけど」 「ん?」 「触りたいです」 「亜季」 「ダメですか?」 「その言い方じゃ、ただ触って終わりって風じゃなさそうだな」 「さすがたっくん。気持ちよくなって欲しいんです」 「性的サービスってことか」 「手だけですけど、いいですか?」 「それ以上望んだらアウトだろ」 ボディソープをシュコシュコしたなと思ったら、そのままお腹に塗りたくった。 そしてそのまま素手で撫でるように洗いだした。 「たっくんは男の子ですからねー」 「ん?」 「やっぱり出さなきゃだめなんですよ」 「そうなのかな」 「定期的に出さないと睾丸が精子を作らなくなるんですよ」 「それは男としてアウトだな」 「オナ禁しすぎてオネエになってしまった人もいます」 「小学生女子がオナ禁とかオネエとか言ってんじゃねーよ」 「こないだ体育でキンボールやりましたけど、みんな叫んでましたよ」 「あれはオムニキンだ!オナ禁ではない!」 「みんなで一緒にオナキン!」 「違うんだって!」 「オナニーによる射精を我慢しすぎてホルモンバランスが崩れ、女性に欲情しなくなったあげくに男であることを捨てた人もいます」 「ごめん、さっきのでよかったわ」 「だから、ちゃんと出して欲しいんです」 「自分でできるって」 「オナニーも浮気です」 「とうとう言ったな」 「私、たっくんが動画でも静止画でも活字でも、私の知らない女に向かって射精するなんて嫌なんです」 「でも、お前、出さなきゃいけないんなら」 「ごめんね、無茶苦茶言ってるのはわかってるんだけど、今日、どうしてもダメだった」 「ん?」 「理解あるフリしてお金まで渡して、でも、たっくんが出て行った後、苦しくて」 「亜季」 「やっぱり行かないでって言おうと思って飛び出したんだけど、もう行っちゃった後で。たっくんが知らない女の人と抱き合ったりキスしたりセックスまでしちゃうって、本当に嫌だった」 「わかってたよ」 「え?」 「お前が相当無理してるの、わかってた」 「たっくん」 「だから、言ったろ?お前スゲー顔してたんだって」 「おかしいですね、完璧に平静を装っていたはずですが」 「緑色に染まった髪を切る決心をして、マリラにハサミを渡す時のアン・シャーリーのようだった」 「とてもわかりやすい例えですけど、マニアック過ぎます」 「そんな顔見た後にソープ行っても何もできないって」 「たっくん」 亜季がキュッと強く抱きついて、背中にキスをしたのがわかった。その時、巻いていたバスタオルがほどけて落ちた。直に感じる亜季の感触に、俺は素直に喜んだ。 「触るね」 「ああ」 体を密着させて亜季の小さくしなやかな手が下りて股間に進む。左手はタマタマを、右手は竿を優しく撫でてくる。 「立派ですねー」 「気持ち悪くないのか?」 「どうでしょう、どちらかと言えば、かわいいですね」 左右の手が休みなく動いてとても気持ちよかった。 「亜季、すごく上手だな」 「えへへ、色々勉強したんですよ」 「誰か別の男と練習したのか?」 力いっぱい握られた。 「いでででで、嘘です嘘です、ごめんなさい」 「冗談でもそういうのはダメですよ」 背中をペロンと舐められた。ぞくっとした。 「気持ちいいですか?」 「ああ、気持ちいい。すごく興奮してくる」 「でも、今の私じゃセックスは無理だと思いますので、我慢してくださいね」 「あ、ああ」 「でも、でも、どうしても我慢できなくなったら、言ってください」 「ああ、大丈夫だ」 ここで夢で見た泡を吹いて死にそうになった亜季の顔が浮かんだ。あれを実現させたくはない。 「こういうのって、どうでしょう」 と、亜季の右手がピストン運動になった。小さな手の感触、まとわりつくような五本の指の感触が、たまらなく気持ちよかった。 「うっ、あ、亜季、おまえ」 「気持ちいいですか?」 「あ、ああ、気持ち いい、すごく」 「よかった」 左手がお腹や乳首まで丹念に撫でまわしてくる。これもたまらなかった。そして両手ピストンになったり左右交代したり、タマタマを撫でる指が肛門をなぞった時にはビクンと反応してしまった。 「えへへ、弱点みっけ」 亜季の左手が肛門を頻繁になぞるようになった。時々指を入れそうになる動きもあってたまらなかった。 「気持ちい?」 ちょっと意地悪な感じに訊いてくる 「あ、う、うん」 「『うん』だって、えへへ、可愛いなぁ」 でヌルっと肛門から指が入ってきた。 「おわ!」 「うわ、硬くなった」 まさかアナルを責めてくるとは! 「あ、亜季、そこは」 「凄く硬くなってる」 「ああ、気持ちいいんだ、凄いよ亜季」 もう任せるしかない俺は、壁に手をついて喘ぐだけだった。 亜季の右手の動きがどんどん速くなる。背中に押し付けられた青い乳房の弾力の中に、最初は感じなかった乳首の感触が現れた。これは大発見だった。 『亜季の乳首が勃起してる!亜季も興奮してるのか!』 それが決めてとなって俺は限界を迎えた。 「はぁ、はぁ、はぁ、亜季、もう、出る」 「は、はい、いいですよ、出してください」 「はぁ、はぁ、はぁ、はっ、亜季、亜季、あうぅっ!」 腰が引けて、ガクガクと痙攣してしまった。精液は飛び散り、壁や鏡にべったりと着いていた。射精中も亜季の手は動き続け、立っていられないほど気持ちよかった。 そんな俺を亜季はずっと抱きかかえ、支えてくれていた。 息が整い、落ち着いたのを見計らって 「じゃ、流しますね」と亜季がシャワーを出した。 なんとなく亜季の顔が見れない。恥ずかしいっていうか、なんというか。 「今はこれが精いっぱい」 「・・・」 「やっぱりオナニーの方が気持ちいいですか?」 「そんなわけないだろ」 「こんなので良ければ、いつでもしてあげますよ」 「・・・ああ、すまない」 「だから、もう、夜中に隠れてオナニーとか、しなくて、いいんですよ」 「そういうこと言われるの、恥ずかしいんだぞ」 「もしまた、夢精とかしちゃっても、自分でパンツ洗わなくていいんですよ」 それが言いたかったのか。俺の羞恥心を取り除くには、なるほど、亜季の前で射精するのが一番だ。 「なんでわかった」 「男の子が自分でパンツ洗ってたら『夢精しちゃいました、テヘ』って宣言してるのと同じじゃないですか」 「わからないぞ、屁とウンコを間違えて汚した時かもしれないぞ」 「それでも私が洗います」 そんなの当たり前じゃないですかと言いたげな口ぶりだった。 「いくときに亜季って呼んでくれて嬉しかった」 「え?言ってたっけ?」 「あは、無意識なら余計嬉しいかも。すっごくキュンとしました」 「そういうものなの?」 「はい。すごく嬉しいです。私に向かって射精したんだーって思って。なんだか、妊娠しちゃいそう」 「いつかちゃんと結婚しよ」 「え?」 「そしたら、本気で妊娠させてやる」 「たっくん」 亜季の方を向いて跪いた。 「亜季、ずっと一緒にいたい。お前が大きくなっても気が変わらなかったら、俺と結婚してくれ」 「たっくん」 「嫌か?」 「ううん、一発抜いたら私に興味なくすんじゃないかって、怖かったんだ」 一発抜いたらという表現もスーパー小学生だな! 「亜季」 抱き寄せ、抱きしめた。 ちょっと間があって、亜季の腕が俺の背中に回る。 「これは妄想でも夢でもないという前提にして、つまり俺の逃げ道を断った上でお前に言う」 「はい」 「好きだ」 「はい」 「愛してる」 「はい」 「俺の嫁さんになれ」 「・・・かしこまりました」 亜季の声が泣き声になっていた。腕をほどいて顔を見る。ほにゃっとした笑顔なんだけど涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。 「お前の泣き顔って、萌えるな」 「へ、変態」 「じゃ嫌いになれ」 「ばか」 そして俺はキスをした。 俺からキスをした。そこには亜季の悪戯も思惑も策略も何もない。純粋に俺が愛しいと思った女性への愛の告白だった。 緊張してるのか、亜季の口が開くことはなかったけど、何度も何度もキスをした。 「えへへ、キスされちゃった」 「してしまったなー」 見つめあう。離れようとしたら亜季が顔を近づける。俺たちは何度も、何度もキスをした。 「あはは、結局、裸だな」 「あまり見ないでください。減ります」 「いや、でも可愛いよ」 「あまり好きにならないでください。真正のロリマニアになられても困ります」 「ロリって言うほどツルペタじゃないやん」 「ペドとロリを間違えないでください、私は十分ロリです。造形は女子っぽくてもスケールを考えてください。72の53の73ですよ」 「胸だけ成長したんだな」 「覚えてたんですか!?」 「実は俺、お前のマニアだもん」 「やめてください、流石にちょっとゾクッとしました」 「そんな目で見ないでくれ!マニア撤回!ファンだ!ファンファンファンだ!」 「子供は4人欲しいんですね」 「何故お前がナイアガラレーベルを知っている」 「学校の掃除の音楽です」 「マジで?」 「下校の曲はさらばシベリア鉄道です」 「不意に愛の意味を知っちゃうのか!」 「校庭の銅像は金治郎ではなく銀次です」 「誰もわからないよ!」 「校訓『好きなものは好き』」 「かっけー!」 何なんだ、その小学校。行きたくなるじゃねーか。 「だから私は、たっくんへの気持ちに素直になったんです」 「校長のおかげだったのか」 校長先生、ありがとうございました。 「ムラムラしたら正直に私に言ってください」 「亜季」 「たっくんは遠慮しーですからねー、少しはこっちを見習ったらどうですか?」 見ればイッたばかりだというのに、おちんぽ様が再び天を仰いでヒクヒクしていた。 「絶倫っていうんでしたっけ」 「いや、今日だけだと思う」 「うふ♪よかったら、もう一回、しましょうか?」 「あ・・・うん、じゃ、頼む」 「ふふふ、10年たってもこのくらい元気でいてくださいよ」 「いやー、それはー、ちょっとー」 「その頃私は21歳。毎日襲っちゃいますよ」 「10年後が21歳!?」 愕然とした。 改めて亜季との年齢差を痛感したのであった。
2013/12/12 13:17:03(abZI0tMY)
投稿者:
(無名)
家族の状況設定が、よくわかりません。読者に考えさせるのは
のは、酷な気がします。読者にわかるようにしてください。
13/12/12 15:19
(UvKfvDvH)
投稿者:
通りすがり
↑1から順に読めばわかりますよ。
13/12/12 19:11
(2osSuy.D)
投稿者:
(無名)
サイコーです、続きメッチャ気になる。
続き希望です。
13/12/13 10:24
(4epGLVkw)
投稿者:
ガル王
いやぁ知識、文才共に何とも。
暇をみては覗かせていたたいてます。 今後も楽しみにさせていただきます。
13/12/13 21:19
(BKQimhSB)
投稿者:
ハマ
もう何回よみかえしただろう。
登場人物の気持ちの変化がわかり、 読んでいて気持ちが揺さぶられます。 続きを期待しています!
13/12/13 21:38
(Xk72bJ8i)
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