良く晴れた日の商店街。優子が買い物をしている。香織はいない。習い事だと香織は言っていたが、優子は信じなかった。おそらく浮気相手だ。しばらくは会えないだろう。
　必要なものを買い終え、スーパーから出た。
　「あら？」
　携帯電話が振動した。取り出して開く。メールが届いていた。
　―　誰かしら？　え？　―
　光雄だった。
　
　「この前はどうもありがとう。とても楽しかったです。また今度遊びに来てください。優子さんは素敵な人ですね。ご主人がうらやましいです。それではまた」
　
　―　どうしてアドレスを・・・香織さんかな。でも、『素敵な人』って・・・　―
　顔が熱くなった。足取りが自然と速くなる。急いで家に帰った。　
　ドアを閉め、キッチンに入り、テーブルに買い物籠を置いた。動悸が止まらない。
　―　なに舞い上がってるの？　メールもらっただけじゃない・・・　―
　光雄の姿が頭から離れない。性器がうずいている事を必死に否定しようとしたが、無視できなかった。
　―　認めるわ・・・私、光雄さんに魅かれてる・・・　―
　優子は、テーブルの角に下腹部を押し付けた。じんわりと、快感が下半身に広がっていく。子供の時、鉄棒にまたがっていておぼえた快感。その時は自分が何をしているのか自覚していなかった。だが今ははっきりと分かっている。
　スカートをめくり、下着越しに性器を角にこすり付ける。止めようとしても止められなかった。
　「光雄さん・・・好き・・・」
　下着は濡れていた。脱ぎたかった。
　―　もう我慢できないわ　―
　脱いだ。下着だけではない。まだ昼のさなかに、優子は全裸になった。
　―　誰も見てないんだわ。誰も。　―
　首筋から乳房にかけて手でさすった。甘くて切ない気持ちになった。じゅんと性器から愛液があふれた。思い切り恥ずかしい姿になりたかった。
　優子は居間に行き、ひんやりとしたフローリングの床によつんばいになった。足を広げ、尻を高く上げた。窓の外から、子供のはしゃぐ声や、車の音が聞こえる。
　
　空想が始まった。
　
　優子は見られていた。光雄だ。むきだしとなった自分の性器に、光雄の視線が注がれているのを感じた。光雄は服を着ている。自分だけが裸で、しりを突き出しているのだ。死ぬほど恥ずかしかった。
　優子はまたの下に手をくぐらせ、自分の性器を指で開いた。愛液が指に伝わってくる。
　「み、見て・・・私の・・・私の・・・」
　優子は性器をいじりだした。ひとさし指と中指を挿入して、そのまま、出し入れを始めた。
　「ああ！　いや！　いや！」
　優子は後ろから光雄のペニスを受け入れていた。
　
　『旦那だって、あっちの方は結構すごいのよ。』
　香織の声だ。
　
　「すごいわ！　光雄さんすごいわ！　出して！　中に出して！」
　誰もいない部屋に、性器のたてる音が響いた。指の動きが加速し、ハイピッチで性器を責め立てた。
　「あうう！」
　優子は倒れ、体を硬直させた。意識が遠のいた。自慰でこんなに感じたのは、久しぶりだ。優子は、長い間、体をえびのように曲げて、じっとしていた。
　冷たいフローリングの床が頬に当り、気持ちが静まってきた。同時に激しい羞恥心と自己嫌悪の気持ちが湧き上がってきた。
　―　私って最低・・・どうしようもない、すけべ女じゃない・・・　―
　優子はのろのろと立ち上がり、裸のまま、返信メールを打った。気持ちを込めることなく、形式的な文面でお返しの御礼を書き、送信した。
　再び光雄からメールが届くのに時間はかからなかった。
　
　その日以来、メールの交換は、ほとんど毎日行われた。光雄は世間話の中に優子への賛辞をさりげなく紛れ込ませ、優子を喜ばせた。優子も少しづつ夫への不満と光雄への気持ちを行間に込めるようになった。光雄は確実に優子の心の中に侵入していった。
　
　決定的なメールが届いた。
　
　「優子さん、正直に言って、あなたに魅かれています。もしかまわなければ、二人きりでお会いしませんか？」
　
<To Be Continued>

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