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「引き出しの奥のひみつ」より一部抜粋

カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:人妻熟女 官能小説   
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1: 「引き出しの奥のひみつ」より一部抜粋
投稿者: 白野賛次郎
<「元部下に妻を口説かせた結果」の投稿でお馴染みの白野賛次郎著、『引き出しの奥のひみつ』より、元部下がモデルである登場人物・藤原範人が活躍する章の一部を投稿致します。お楽しみください>



ー2015年8月 藤原範人の場合ー

 後方へと飛び去っていく緑の合間に、ときおり夏の日差しを反射してキラキラと光る内房の海がみえる。房総半島を縦断する高速自動車道を北上する愛車は今日も快調に路面を滑る。
俺は助手席に座る根来京子の話に相槌を打ちながら、ときおり彼女の話を聴くなかで感じた疑問や、俺自身の感想を合いの手の様に差しはさむ。女性は夫や彼氏に悩みや不満を話すとき、相手にその解決策を提示されることなど微塵も求めてはいない。まして、女性に対して論理的な正論を提示することなど、もっての外だ。そんなことは発達になんらかの問題を抱える男でなければ百も承知なことだろうが、だからといって、「うん、うん。」とただ聴いているだけでは、今度は「聴いていないでしょう。」となる。傾聴しながらも、ときおり合いの手をはさみ、真摯に聴いていることの証左を示すことが肝要だ。
「それでね、あのとき三田先生がそのようにおっしゃったんですよって答えたわけ。そうしたら、『もう二時五十分になったので帰る支度を始めないといけないので。失礼。』だって。ほんと呆れて笑っちゃったわよ、自分からふっかけてきておいて。三田先生も相当程度にアスペだよね。」アスペとはアスペルガー障害のことらしい。
「確かに。俺も先生と同意見。」と答えながら、やや大げさに首肯した。はたから見ると医師という職業集団こそ、偏っている人間の割合が他の集団と比べて、有意に高いように感じるが、医師同士で「あいつは発達障害だ。」とか「彼女はアスペだ。」などと言い合っているのをみると、滑稽に感じてしまうのは俺のなかの一種のルサンチマンだろうか。いやそんなことはないだろう。俺は国立大学薬学部出身で、卒業後はわけあって医学部の大学院で学位を取得したが、一度も医者になりたいと思ったことはないし、憧れたこともない。また、自分が医者に向いているとも思えない。
「でも今日は早く終わってよかったわね、のどが渇いたし、おなかも空いたわね。冷えたワインが楽しみ。」
「俺にはもっと楽しみなものがありますけどね。我慢できないから、少し飛ばしますよ。」隣ではしゃぐ根来京子に意識してとびきりのスマイルをおくると、ギアを一速落とし、同時にアクセルを踏み込んだ。エンジン音が一段高くなり、ベージュのレザーシートにわずかに体が押し付けられる。高級スポーツカーのラインナップで有名なこのドイツメーカーの車はハンドルやギアボックスに遊びがなくて好きだ。運転するものの意図がわずかな遅延もなく車の挙動に反映される。女も車と同じですぐ反応するのがいい。俺の言葉に反応して漏れた、京子のため息が助手席から聴こえる。潤んだ瞳で俺の横顔をみつめている気配に気がつかないふりをして、さらにアクセルを踏み込んだ。

 根来(旧制 森)京子は千葉市内で三代続く、もり眼科医院の院長だ。年齢は五十歳手前、夫は都内の某大学病院眼科の教授である。外資系製薬大手であるわが社は、社運をかけて、眼科領域の難病とされる『ある変性疾患』を、医院レベルの施設で簡便に、そして変性があまり進行しない早期に、スクリーニングできる検査試薬を開発、数年かけて販売にこぎつけた。俺はいち早く伝統ある眼科医院であり、多くの患者を有し、かつ、その変性疾患の治療を担うことのできる大学病院にも強いパイプを持っているもり眼科医院に目を付けた。院長の京子も目端がきく人間であり、こちらの提案を受けて、迅速に全面的な協力体制を敷いてくれた。さらに、女優、松〇慶〇似の美人で恰幅もよく、押し出しのきく京子が、地域の保健だよりや、週刊誌の健康コラムへの寄稿に留まらず、国営放送の特集番組に出演、この変性疾患に関する積極的な啓蒙をおこなった。その結果、この分野においては県内全域、さらには全国から、もり眼科医院に患者が集まるようになった。同医院でわが社が供給する検査薬で確定診断が下ると、その患者はこの変性疾患を専門のひとつと謳う、京子の夫が教授を務める大学病院に紹介され、早期治療を受けることができるというルートを構築することができた。これまで早期発見は難しいとされる一方、早期に治療を開始しない場合、完治の難しかったこの変性疾患の遺伝的な負因をもつ患者にとって、まさに福音となったことは言うまでもないが、早期発見から治療に至るネットワークを全国に先駆けて構築した我々にとっても、経済的恩恵は大きかった。今となってはこの検査も全国的に普及したが、当初の京子のマスコミへの露出のせいか、もり眼科医院での検査を求めて、京子の外来を受診する患者数は依然として右肩上がりであった。半年前からは房総半島南端の街にある、京子の親族が経営する眼科病院で月に一回の専門外来も受け持っていた。俺は社の肝いりで診療中の検査機器や薬剤の準備、彼女の送迎などのサポートをおこなうことを仰せつかり、いまこうして京子とふたりの時間を過ごしているというわけだ。

内房の海に面した切り立った崖の上にある、欧風創作料理が自慢の瀟洒なプティホテルで遅めの昼食を摂る。京子がお気に入りのこのホテルで、月に一回の出張外来後のひとときをふたりで過ごすことが定例となっていた。日差しが非常に強く、全てが白っぽくみえる外の景色のせいか、照明を点けていないレストランのなかは非常に暗く、そしてひんやりと感じる。海のみえる大きな窓に向けて並べられた籐編みのチェアに座り、俺はコーヒーを、京子は白ワインのグラスを片手にコース料理の余韻を楽しんでいた。 
「先生、今日は珍しくナースたちに刺々しかったじゃないですか? なにかあったんですか?」言い難いことでもあるのか、京子は一瞬こちらの目をのぞき込み、さらにもったいぶるように、白ワインに口をつけてから答えた。
「だって検査中に私語ばかりでイライラしちゃって。」
「いつもはもっとうるさくしゃべっていたって機嫌よくしているじゃないですか。」
「あら、そうかしら。うぅん、でもやっぱりノリ君はするどいわね。」いつからか、彼女は俺のことを『ノリ君』と呼ぶ。
「別に全然たいしたことじゃないの。ほら、三件目の患者さんの同意書に不備があったじゃない。それでノリ君が途中ぬけたでしょ。あのときに看護師たちがあなたのことを、あれやこれやと噂してて、それがいちいち耳に入ってきちゃうもんだから、私イライラしちゃって。やっぱり更年期かしらね。」京子はグラスに残ったワインを一気に飲み干した。
「へぇ~、なんて言ってたんですか? 彼女たち。気になるな。根来先生の腰巾着のくせに感じ悪いよね・・・とか?」
「そういうことにしとくわ。」鼻で笑いながらも、無表情でサイドテーブルにワイングラスを置いた。この話題を続けることに彼女が不快感を覚えることは自明の理とも思えたが、彼女の感情をもう少し突いてみるのも、ちょっとしたスパイスになるだろうと思った。そんなことを考えていると、俺のスマートフォンの着信音が鳴った。画面には珍しい相手の名前が表示されていた。
 電話は俺が大学院で研究をしていたときの指導教官だった西田正行からだった。俺が大学院を修了してからも、彼とは共通の趣味があったこともあり、年に数回は会っていた。ただ、ここ数年は彼も時間や金をこれまでのように自分の趣味に割けなくなったらしく、交流が途絶えていた。電話の内容は近々、西田が勤務している病院に来ることはできるか、もし難しければ、どこかで落ち合えないだろうか、というものであった。西田が勤務する病院は京子が月一回の出張外来を担当している眼科病院ともり眼科医院のほぼ中間点にある。ふたつ返事で近日中にうかがうと答えて、電話を切ったが、少々違和感を覚えた。これまでは趣味の関係で誘いがかかるときは、いつもメールでの連絡だった。―わざわざ電話で連絡をよこし、かつ直接、彼の職場で会いたいとはどういうことだろうか―そんなことを考えいると、となりに座る京子が身を乗り出し、訝し気な表情の顔を近づけてきた。
「どうしたの? 眉間に皺を立てて。何かあったの? すぐに行かなきゃまずい?」
「いえいえ、ちょっと昔からの知人から久々に電話が架ってきて。」
「なんだぁ、ノリ君の言葉遣いからして、上司からの緊急の呼び出しか何かかと思っちゃったわ。私の経験上、昔の知人から突然連絡があって会いたいなんてときは、大概お金の相談。会わない方がいいわよ。」京子は安心したとばかりに再び籐編みのチェアに体を預けた。—西田先生からお金の相談を受ける?—考えたら妙におかしくなり、顔に出てしまっていたようだ。再び京子が訝し気な表情の顔を近づけて来た。
「なにさっきからニヤニヤしてんのよぉ。」顔を近づけてきた京子に軽くキスをすると答えた。
「いや、肝に銘じておきます。それから、たとえ社長からの呼び出しであろうが、まだ帰りませんよ。こちらはまだイチバン楽しみにしていたメインディッシュを頂いてませんからね。」
俺は立ち上がると京子に手を伸ばす。
「私だってそうよ。」上目遣いで答えながら、京子は右手を預けてきた。

 部屋に入り、先にシャワーを浴び終えた俺は全裸で、東京湾と対岸の三浦半島、さらに右奥には富士山までが見わたすことのできる大きな窓の前に立ち、ゆっくりとした船舶の往来を眺めていた。京子が浴室から出てきた気配を感じたが、俺はそのまま窓際に立ち、外の景色を眺め続けていた。京子は俺の腰に手をまわして、背後から抱き着いてきた。石鹸とゲラニオールの香がする。京子はバスローブの前をはだけているのか、背中や腰には彼女の柔らかい豊かな胸や腹の感触と温度が直に伝わってきた。
「相変わらずノリ君の体って彫刻みたい。後ろからでも見とれちゃうわ。ノリ君の前で裸になるの、いつも恥ずかしいんだから。もし、あの遠くのお船に乗ってる誰かが望遠鏡でみてたら、彫刻と白いドラム缶が抱き合ってると思うんじゃないかしら・・・。」
「なにいってるんですか、先生だっていつも綺麗でセクシーですよ。毎月、この日が本当に楽しみなんですから。」そう答えながらも俺は京子に背を向け続けた。
「ふたりのときは先生っていうのはよしてって言ってるでしょ。」京子は俺の臀部を両手でまさぐりながら、俺の肩甲骨付近にしっとりと、ゆっくりと、甘噛みのような丁寧な口づけを始めた。背中に当たる彼女の吐息が次第に熱を帯び、ゲラニオールの香に白ワインの香が交じる。彼女の口づけは腰部、臀部と少しずつ下がっていった。その間も彼女の手は俺の双臀をまさぐり続けている。
「今日は天気も良いし、空気も澄んでいるから、ここからの景色も一段と素晴らしいですね。」京子は答えず、彼女がいうところの彫刻のような筋肉に唇を這わせることに熱中している。いつしか京子は両手で俺の双臀を鷲づかみ、それを左右に押し広げており、彼女の執拗な口づけは押し広げられた臀部中央の溝に集中していた。ときおり排泄口周囲を這う舌に、こそばゆさを感じながらも、そんなことは気取られないよう、意識して飄々と続けた。
「観音崎があんなに近くにみえる。この辺が狭義での東京湾の入り口なんですもんね。大型船があんなに行き来する天下の大東京湾の入り口がこんなに狭いんだもんなぁ。」俺は白々しく感心してみせた。
京子は俺の尻の割れ目から一端顔を離すと、ハイステータスな女性とは到底思えない、だらしない声で答えた。
「ノリ君の入り口も狭すぎるよ。舌が入らない。」
俺は微笑みながら、顔だけ振り返り、跪く京子を見下ろすと京子の頭を二、三度なでてやった。京子は何か別個の軟体動物のように先端を尖らせた舌を出しながら、嬉しそうに頷くと、再び尻の割れ目に鼻先を突っ込んだ。俺は意識して肛門括約筋を弛緩させる。
―それを察知したのか、白ワインの香りのする体液に全身を覆われたその軟体動物は巣穴をみつけようと、動きを活発化させた。周囲を這いまわり、ときに頭部を尖らせて地表をつつくことを繰り返す。先程までとは異なり、巣穴の周りが少し盛り上がっており、簡単に入り口が特定できたようだ。この動物は一端、巣穴から身を離し、白ワインの香りのする体液で体を再コーティングすると、頭部をさらに硬く尖らせた。そして位置を特定した巣穴の入り口にずぶりと頭を潜り込ませ、潜り込ませた部分で巣穴を激しくかき回した。思わず漏れる巣穴の持ち主の声、それを聴いたとき、この軟体動物は自身の体を貫くような喜びに全身を震わせた―

「のひふぅん、あはひ、いひゃっはぁ。」俺に舌先を突っ込んだまま、話されても聴き取れない。
俺は顔だけ振り返り、両眉を軽くあげて、聴き取れなかった意思表示をした。京子は舌先を抜き取ると、しどけなくはだけたバスローブの重ねを直すと、床にペタリと腰を落とした。切なげで、いかにも情けないといった表情を浮かべて、改めてもう一度繰り返した。
「ノリ君、私、いちゃった。」
―愛おしい―と思った。ひと回り以上も年が離れ、先ほどまで糊のよく効いた白衣を着て、凛とした表情で細隙灯を操り、看護師や検査技師に適格な指示を与えていた。理解の悪い高齢者には丁寧に根気よく説明を重ね、ときに混じるクレーマー然とした患者に対しては毅然とした態度を崩さない。そんな社会的地位の極めて高い女性が、俺のケツの穴に舌を突っ込んだだけでオーガズムに達してしまったと、床にへたり込んでいる。やはり、―愛おしい―といった表現が的確だと思う。そして、それはサディスティックな感情へと次第に置き換わっていく。俺にとって愛おしさとサディスティックな感情はどうやら同源であるらしい。あるいはやはり、一種のルサンチマンなのだろうか。
 ようやく俺は身体ごと振り向き、床にへたり込んだままの彼女に正面をむける。京子は目の前で凶悪に怒張するものが視界にはいるや否や、オーガズムに達して以来、ぼんやりと焦点の定まらなかった目に喜色が満ちていく。
「先生はいつからそんな風になってしまったんですか?」
京子は一瞬、恨めし気な視線を送ってきたが、質問には答えることなく、うっとりとした表情で半開きの唇をはち切れそうな亀頭に近づけてくる。先ほどまで俺の直腸をまさぐっていた舌の先端が顔を出し、亀頭に触れようとしたその瞬間に俺はわずかに腰を引いた。京子は再び、恨めし気な表情に戻り、見上げてくる。
「おっと。いくらお世話になっている先生でも欲張り過ぎです。」
俺は彼女が期待する料理にちょっとしたスパイスを使うことを思いついた。
「さっき食事中に話に出た、先生が注意した外来看護師の話、あれなんですけど・・・。」
「だからふたりのときは先生っていうのは止めて。名前で呼んで。」京子はあからさまに柳眉をひそめた。
「わかりました、わかりました。だってそんな白衣みたいなバスローブをいつまできているからですよ。そんなの脱いでください。そうしたら、先生なんて呼ばないから。」
京子ははにかむように、わずかに頷くと、しゃがんだまま少しだけ腰を上げ、腕で胸を隠しながらバスローブから片肩ずつ抜いた。床に落ちたバスローブは京子の周りに馬蹄形を作る。
「では、改めて。さっきの話ですけど、看護師は僕のことをなんていっていたんです?」
「良く聴こえなかったのよ。いい歳してキャピキャピうるさかったのは確かだけど。」
俺はわざとらしく大げさに疑いの表情を作るといった。「それはおかしいなぁ、さっきは『いちいち耳に入ってきちゃうから・・・』って言っていたのに。」
ショーツ一枚の姿でしゃがみ込む彼女の両手を取って、立たせると抱き寄せた。黒いレースがふんだんにあしらわれた、みるからに高級なショーツが彼女の豊かな臀部を覆うために横に伸びきっている様が妙にコケティッシュだ。ショーツからもれた臀部の肉はマシュマロのように柔らかいが、まだ張りも失ってはいない。彼女を抱きしめる両腕に力を込める。すかさず喜びの吐息が漏れる彼女の口を、俺の口で塞いだ。彼女は執拗に舌を絡ませ、俺の唾液を貪る。彼女の双眸は潤むことを通り越し、もはや涙であふれていた。激しく舌を絡めあいながらも、俺の股間にさりげなく忍び寄ってきた彼女の手に気が付き、それをしっかりと遠ざけた。
「もう、今日のノリ君、いちだんといじわるね。」
「だから看護師たちが僕について何を話していたか、教えてください。そうしたら、ほら、エッチな京子が大好きなコレ、好きにしていいから。ほら、なんだっけ? コレ? 」俺は一度、遠ざけた京子の手を自分の股間に戻した。彼女は顔を赤くして、俺の耳元に口を近づけると、消え入るような小さな声で、男性器の俗称を囁いた。そして俯きながら、俺の肉棒をしっかりと握り、それをしごきながら観念したように話し始めた。
「あの子達ね、ノリ君がすごくイケメンだし、いつも感じが良いって。それから彼女はいるのかとか、結婚しているのかなとか。飲みに誘ってみたらとか。でもきっとモデルみたいな奥さんとか彼女とかいそうだとか。住む世界が違いそうとか、そんなことばっかり言って盛り上がってたの。」
俺は彼女らの顔など全く覚えていなかったがうそぶくことにした。
「あの背の高い方はなかなか俺の好みのエロそうな看護婦だったなぁ、そっかぁ、俺も捨てたもんじゃないですね。今度口説いてみようかな。」京子はまたも柳眉をひそめ、「もう、勝手にして。」と横を向いてしまった。
「いつも京子は俺に『男は早く結婚したほうがいい。』って結婚をすすめてくるくせに。なんか矛盾しているなぁ。」とおどけた視線をおくると、彼女はあからさまに、にらみ返してきた。またもや彼女を愛おしいと思う気持ちが込み上げてきた。俺は再び彼女を抱き寄せると、彼女の耳元で囁いた。
「冗談だよ。でも、話してくれてありがとう。じゃあ、あの若い看護師たちも欲しがるものを好きにしていいよ。京子が独り占めにしていいから。」
京子は餌を前にして、「お預け」を解かれた犬よろしく、跪くやいなや俺の下半身に飛びついた。午前中にみた、眼科医師としての京子との大きなギャップと彼女の執拗な口奉仕に、俺は早くも射精感を感じ、硬さも太さもピークに達しているそれを京子ののど奥から引き抜いた。京子を窓際に立たせると、彼女は心得たとばかりに両手を東京湾口のパノラマが大展開する大きな窓につき、はち切れそうな黒いショーツが包む大きな臀部をこちらに向ける。俺はベッドの枕元に用意していたコンドームを取ろうと、一度窓辺から離れようとした。すると京子はそれを察したかのように、窓に手をついたまま振り返り、言った。
「大丈夫。もう大丈夫だと思うの、私。」
その意味を理解した俺は京子の背後に戻ると、柔肌に痕を残すほどにひも状に伸びきったショーツの両サイドに手をかけ、勢いよく引き下ろした。一度オーガズムをむかえた後のそこは、赤黒く、腫れぼったく、濡れそぼり、そこから膝上まで引き下ろされたショーツのクロッチ部まで幾筋かの透明な糸がひかれ、窓から差し込む日差しを受けてキラキラと光っていた。あまりの淫靡な光景に目を奪われていると、急かすように京子の臀部がせりあがってくる。とめどなく透明の蜜があふれる花芯に肉棒の先端をあてるやいなや、それは根元まで飲み込まれてしまった。抵抗もなく、しめつけも感じず、ただ人肌に温めた、くず湯に浸したような、そんな感触だった。先端が最奥部まで到達すると、やや硬い隆起にあたる。この最奥部のやや腹側に位置する隆起を押し込むように刺激し続けることで、京子の体は様々なかたちで大きく反応することを、俺は経験的に知っている。京子は俺が自分の奥深くに侵入してきたことを感じると、心地よく眠りに落ちるように、ゆっくりと目を閉じ、同時にながく、ながく息を吐いた。窓についた両手の間が彼女の熱い吐息でゆっくりと白く曇った。そして、円形の白い曇りは俺の腰の動きに合わせるように、やはりゆっくりと拡大と縮小を繰り返した。

 今や定例となった月に一回の午後の時間は、常にもり眼科医院の事務長からの定時報告で幕引きとなる。今日もクイーンサイズのベッドでまどろんでいると、彼女のスマートフォンから、事務長からの着信音に設定してあるショパンのノクターンが流れた。事務長からの報告を受け終えた彼女はベッドから出ると、床に散らばる下着を集めながら浴室にむかう。俺は唐突にその裸の背中に呼びかけた。
「京子先生、今日もありがとう。京子先生はいつも本当に素敵だし、すごく気持ちよかったよ。」
彼女はきょとんとした表情で振り向くと、「こちらこそ。ノリ君はすれ違う女性がみんな振り返るほどかっこいいのに、すごく優しいよね。」
理由は分からなかったが、今日はなぜかお互いに感傷的になっている気がした。普段と変わったことといえば、西田正行からの久々の連絡と、初めて京子のなかで遮るものななく果てたことくらいだ。あの連絡が何か新しい風を呼び込むものである気はしたが、それだけだろうか・・・。煙草に火を付け、日がかなり傾き始めている内房の空を眺めながら考えていると、シャワーを浴び終えたキャミソール姿の京子が出てきた。結んだ髪をほどき、櫛を入れおわると、ハンドバッグから化粧ポーチと一緒に封筒を取り出し、それを床頭台においた。俺は置かれた封筒を一瞥すると、鏡の前で化粧直しを始めた京子に言った。
「京子先生、こういうのはもう止めにしない? 俺は俺自身が京子先生との時間が楽しいから一緒にいるんだし。なんていうか、やっぱりこういうことされると、なんといったら良いか・・・。」
京子はルージュを片手に振り向くと、少し寂しそうな表情を浮かべた。
「うん、こういうのはノリ君があんまりいい気分でないことも、わかっているのよ。ノリ君はお金にだって全然困っていないだろうし。ただ私のなかの問題なんだ。こういう関係なんだって自分のなかで割り切るためのね。だから儀式だと思って受け取って。どうしても不潔に感じるとか、気分悪ければ、すぐ募金とかしてもらっちゃえばいいんだから・・・ね。わかってくれるとうれしいな。ごめんね。」
京子は何か気分を変えようとするかの様に、急に声のトーンをあげると続けた。
「どうせ、私にいわないだけで、たくさん若い彼女がいるんだろうから、デート代だって馬鹿にならないでしょ。有意義に使って頂戴。」
彼女は化粧道具をポーチに収めると、いたづらっ子のような目をこちらに向けながら、勢いよくスツールから立ち上がった。その途端、京子は「あぁ」と気の抜けたような声をあげると、両手でキャミソール裾をつまみ、持ち上げた。横に引き伸ばされてスキャンティーのようになった高級ショーツと肉感的な両腿が露わになる。右の内腿を白い半透明の液体がゆっくりと伝い落ちていく。
「ノリ君のがたくさん出てきちゃった。またシャワー浴びなきゃ。」京子は幼女のようにはしゃぎながら、再び浴室に消えた。俺は彼女に対し、後ろから強く抱きしめたくなるような愛おしさを感じたが、数分後に浴室から出てきた彼女は伝統ある眼科医院の敏腕女性院長の表情に戻っていた。
「チェックアウト済ませておくわ、ゆっくりでいいからね。」と、先ほどまでの彼女とは一転、抑揚のない口調でいうと、先に部屋を出て行った。女性の変わり身の早さや感情の割り切り方は、男にはとても真似のできないものだと考えながら、廊下を遠ざかっていく、規則正しいヒールの足音を聴いていた。

 
2026/09/19 13:51:48(dL22c7W2)
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