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1:氷雪を溶かす絆— 北極圏の一夜妻
投稿者:
レイ
吹雪が夜空を裂くように荒れ狂う中、交易人ユウジは愛用の犬ぞりを村のイグルー前に留めた。炎を抱いたイグルーの扉を開けると、凍えた身体を溶かすような熱と蒸気が溢れ出した。彼の胸には、不安と好奇心が渦巻いている。
1.出迎え トゥク(村長) 「よく来た、旅人よ。吹雪に命を賭けてここまで来るとは錚々たる勇気だ。今宵は我が家で休め」 ユウジ 「本当に助かりました。ありがとうございます」 トゥクはにっこりと笑い、奥へとユウジを誘った。 2.儀式の始まり 村長トゥクは背筋を伸ばし、ユウジを見据えた。 「この村では、旅人をもてなすには単に寝床を提供する以上のものが要る。そこで我が妻、アヤトゥクを紹介しよう」 トゥクが一歩引くと、アヤトゥクがゆっくり前に出た。頬は淡く紅に染まり、声は小さく震えている。 「あの……一夜だけですが、私が――村と外の世界を結ぶ絆として、ユウジさんとお過ごしします……」 ユウジは目を泳がせ、息を呑んだ。 「……こんな風習は初めてで、戸惑います」 アヤトゥクは俯きながらも、そっと手を差し出した。掌に触れられると、かすかな吐息混じりに恥じらいの笑みを浮かべた。 揺れる炎に温められた毛皮の寝床が、二人を迎えている 3.儀式のはじまり 二人は寝床の端に腰をおろし、距離を保ったまま視線を交わす。 アヤトゥクの指先が、ユウジの手の甲を滑る。ランプ代わりの小さな焔のゆらめきが二人の顔を赤く染めた。 「信じられないが、悪い風習ではないと思ってる。この村の風習を尊重するよ。さぁ、私は恐れる様な男ではない。近くに来てくれるかい」 ユウジが誘う。 「はい……」風習で慣れているかと思いきやアヤトゥクはまるで純潔の娘のように震えている。 ユウジも伝わる興奮から少し震える手でアヤトゥクの身体にそっと触れた。 ユウジはそっとアヤトゥクの手を取り、毛布の上へと優しく引き寄せた。距離を詰めた二人は、炎の揺らめきに近づいたように、見つめあって頬を赤らめていた。 ユウジは低く囁くように「怖がらないで。今夜は僕がリードするよ」と言った。 アヤトゥクは一瞬だけ目を閉じ、ゆっくりと頷いた。 ユウジはアヤトゥクを静かに押し寝かせると毛布をゆっくりと掛け、自分も潜り込んだ。 アヤトゥクが身を寄せてきて、二人は添い寝の形になった。ユウジはアヤトゥクの上着の裾を徐々に捲ると、その下から指先を滑らせた。熱を帯びた肌に触れた瞬間、彼女の身体が小さく震える。ユウジはその反応を確かめるように、そっと掌を広げ、彼女の胸へと寄せていった。 4.熱を帯びる夜 「こんなにも……アヤトゥクの身体はやわらかくて温かいんだね」 アヤトゥクは唇を寄せ、小さな口づけを交わし、ユウジの頬へ手をあて、柔らかな唇を深く重ねた。小さな戸惑いが消え、代わりに優しさが広がる。 ユウジは優しく彼女の腰に手を回し、背中を引き寄せる。 肌と肌が初めて触れた瞬間、二人の間には何度となく電流のような熱が走っていた。 「アヤトゥクの温もりが、凍える夜を溶かしてくれる」 「ユウジの鼓動が、私の不安を消してくれます……」 5. 愛の営み 毛布に包まれた身体は徐々に熱を帯び、息遣いが荒くなる。 アヤトゥクの髪の香り、ユウジの胸の鼓動が交錯し、時間とともに感覚は溶けていった。二人はお互いを探るように体を寄せ合い、夜の深みに身を沈めた。 擦れ合う吐息、絡み合う指先。夜はゆるやかに、しかし確かに二人を包んでいく。 激しく抱き合い、絡み合う甘い舌先が確かな絆を刻んでいく。 毛皮の下で息遣いを合わせながら、二人はその瞬間を迎えようとしていた。 彼女の背中を撫でながら、耳元で囁く。 「アヤトゥクの温もりが、僕の身体の芯まで溶かしてくれた、熱くたぎった僕の生命の種子を受け止めてくれるかい…」 アヤトゥクは小さく頷いた。 「断っても止められないの分かってたな…ありがとう」 やがて激しい吐息が重なり合い、頭を左右に振りながらアヤトゥクの吐息が途切れ、究極の高みへと達したその時、ユウジの胸には新たな覚悟が芽吹いた。 胸の奥底からこみ上げた熱が一気に放たれる。全身を貫く波のように押し寄せる幸福感は、言葉では言い尽くせないほどに濃密だった。ふたりの鼓動が重なり合い、真夜中の静寂な氷原の世界が静止したその只中で、ただただ暖かい毛布の中で互いの存在を確かめ合った。 アヤトゥクの背中にはユウジの爪痕が深く残った。まるで村長に妻を抱いたことを見せつけるように。 6.深まる契り 少しのうたた寝の後、肉体と言葉、心が溶け合ったままの状態で、ユウジはアヤトゥクの胸に優しく口づけを続ける。彼女は小さく熱い吐息を漏らし、二人の愛し合う声音が、イグルーの暗闇を甘く震わせた。 「僕はもう、この儀式以上の何かを感じている」 「私も……あなたと分かち合う全てが、真実の絆です」 7.夜明け前の静寂 やがて、二人は静かな寝息を重ねながら眠りに落ちた。外の吹雪は依然として猛るが、イグルーの中だけは温もりに満ちている。 朝靄が雪を白く輝かせ、ユウジはゆっくりと目を覚ました。隣で穏やかに眠るアヤトゥクの寝顔を見つめ、そっと触れた花弁の奥底まで自分の雫で濡れているのを確かめ、小さく微笑む。 8.永遠の記憶 トゥクが静かに扉を開ける。 「よく眠れたか、旅人よ」 ユウジは深々と一礼し、言葉を紡いだ。 「昨夜の体験は、僕の常識を超えました。あなた方の歓迎と愛に、心から感謝します」 アヤトゥクは微笑み、静かに頷く。二人の間に芽生えた絆は、吹雪を越えた先、これから何年も消えることはない。 自分の受け皿から溢れる真珠の雫を感じながら、アヤトゥクは孕んだことを確信していた。
2025/09/05 23:32:41(y8y7OoPK)
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