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1:人妻二十五時・アネモネ
投稿者:
浦島プウ
アネモネの一輪挿しがデスクの上に飾られていた。
先輩の綾香さんが新人の僕を案内してくれるのである。 地味なワンピースにワンレンの髪をかき上げて、仕事の引継ぎをする。 女性の顔がこんなに近づくのはいつ以来だろう。 思えば、高校から大学までは男ばかりの中だった。 三十路を越して、旦那と職場婚一児の母でもあった綾香さんに僕はつい、憧れのようなものを抱いてしまったのだ。 仕事は簡単な事務だった。 繁忙期を除けば、きつい残業もなく、順調に毎日が過ぎていった。 秘書課に異動になった綾香さんからハイキングのお誘いがあったのは五月の連休を過ぎたころだった。 山登りが好きな綾香さんは、キャンプの準備もして、車に乗り込んだ。 女性はもう一人、やはり三十路の人妻だった。 男性は僕を含めた三人。いずれも職場の先輩だった。 車は、二台に分乗した。 数時間かけてたどり着いたのは、山深い渓流沿いにあるキャンプ場だった。 大き目のテントを二梁設営した。 次の日は残雪が残る山に朝から登ることになっていた。 山の中腹にある湿原に着いたのは、お昼頃だった。 天気は上々だ。 遠くまで続く木道。 何か花が咲いている。 ちょろちょろといたるところ水が湧いている。 そこは別世界だったのだ。 帰りは、山を下る。 まだ明るいうちに村の温泉場に到着した。 ゆっくりと疲れをいやす。 あとは帰るだけだ。 記念に写真を撮った。 数年後、綾香さんの旦那が亡くなった。 うつろな表情で仕事場に来る綾香さんが痛々しい。 残された一児とともに、実家には戻ることなく、苗字も変えなかった。 僕は、相変わらず女性の当てがない生活を送っていた。 溜まったときに出てくるのは、なぜか綾香さんの姿だった。 車を綾香さんの家の近くに乗り付ける。 二階の部屋に明かりがつく。 あっ 何もしていないのに精液が噴出した。 ズボンの下で、それは滴り落ちる。 綾香さん 僕は女の名前を呼んだ。 「そう、あなたはお姉さんがいないのね」 「アネモネ、姉もねえ。なんちゃって」 おっと、午前一時だというのに。 僕は車を引き返した。
2025/02/20 05:14:13(vYLPc1TJ)
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