「大介さんは生徒ってレベルじゃないからなあ、もう俺が教えてもらうことが多いのでアドバイザーというか共同で生徒を見てもらえませんか？」
　先月から週に一度二時間レッスンを受けているのだけれど、コロナで親が亡くなってしまって、実家を引き継いで遺産で仕事もしないで楽器ばっか弾いていたら高校の時にハマってたエレキギターはyoutubeのおかげで思ったよりも上達してしまっていたし、本当は音楽だけで食べていきたいという先生の高梨くんは30才になってバンドはあきらめて、レッスンで生活を成り立たせようとしてるので、それをサポートしてあげたいって気持ちで個人レッスンを頼んでるんだけれど、幼い頃に父親を亡くしてるからつい私に父親がいたらって投影してしまうのは仕方が無いのだろう。
　バツさんのわたしは事業起こしては当たったり外したりで、金が回らなくなると嫁は子供連れて実家にってそんな事を三回もしてて、人間としてはクズって自覚があるから、テレビやネットでクズ芸人って出てくると、それはまだクズって言わないって突っ込むと、高梨くんはですよねって笑う。
　「逆に教えてあげたい若い子はレッスン代高いから金持ちの子供くらいしかいなくて、でもそういう子って親に楽器買ってもらって続かないんです、それで辞めちゃうんで親が申し訳ないってギターはじめたりって、それって違うんです。」
　気持ちはわかる、それに彼がアマチュアのバンドマンの時から支えてる美樹さんは美人では無いけれどとても献身的でそれが痛々しくもあって、こんなに才能も技術もあって真面目な彼と美樹さんがうまく生きれないのに歯がゆかった。
　まあ普通だったら頑張ってよで終わるけれど、彼と二人でレッスン後に飲んでると、奥さんに本番が無い風俗させてるって聞かされて頭を抱えた。
　「あの先生、それってプレイだったら許せるけれど、生活のためだったらさ悲しいからさ、うーんさすがに今までは話してこなかったけれど、最初の奥さんは女王様になっちゃったんだよ、まあ元々そういう気質はあったんだけどさ、子育てを母親にまかせてねそっちにハマってさあ、義母だって呆れてたよ、それが実は離婚原因ね、その反動だよね次はドMの女性とお付き合いしてさ、先生はＳＭってしないか？あのねドＭとドＳって表裏一体なんだよ、ほら先生はラルクとかルナシー大好きでしょう、ドームとかでさぶっ倒れるくらい応援するじゃん、そして自分がステージに立ったらさそれくらい感動させたいってプレイするでしょ、そういう事、Ｍ女だったのにね男性をイジメて感じさせるのに目覚めてね、二回目の実験台だよ、ＳＭ関係の知り合いもさそんな人生だと増えるでしょう羨ましがられてさ、違うって、ＳＭはよそ行きで旅行みたいにたまでいいの俺は、それで三人目は高学歴でね婚期逃したからって、いい母親になるって男の子出産したらね、それでね完結しちゃったの。」
　私は自宅だしね泥酔だし、彼もねそれで思うとこあったらしくて、次のレッスンで
もう何度かお会いしてるけど奥さんも連れてきてもらった。
　「私の提案としては、自分の失敗ねそれはこの前旦那さんには話したし奥さんの状況も聞かせてもらったから、まずお酒入ってない状態でね、これからの自分の人生プレンを教えてください、それで酒ね奥さんもかなり好きなんでしょう、高梨先生ってのも他人行儀だからさ下の名前でさ呼ばせてもらうよ、和樹さあ俺はお前のこと息子だって思ってるからね。」
　他人だから言えることがある、美樹さんも小さい時にお父さんが出ていってしまった育ちで、僕はもう最初から父だってポジションって決めてる。
　理想は人それぞれだ、安定した生活って彼らは言うけれど50年以上も生きてるとそんなのは幻想なのだ。
　「まあいいや、今夜はさ飲もうしてね本音もだそうね、それで折り合いつかないなら幸せになんてならない、子供持っても駄目になるっていうかね、子供がいなかったらそのままで良かったのにってのは間抜けだからさ。」
　ああこのやりとりは少子化が止まらないこの国の全てだった、未来への不安、そこに尽きる、そしてネットニュースを見ると総理は解散はまだ早いって、理由が次の総理の調整だもん、そりゃあこのまま行ったら滅びるよ。
　「国に対してマッドマックスな姿勢は必要だけどね、とりあえずさその高い家賃からだね、寝取らせマニアのM男だったら止めないけどさ、本番無いからM女で稼ぐのは邪道ね、どうせさせてるんだろ、正直に俺に言ってみなさい、それでね彼が別れたいって言うならね美樹さんはもう子供産むための男に今ね移らないと、32でしょう、わかってるでしょう。」
　厳しいが本音で行くしか無いのだ、色々とあるけど、30過ぎたとたんにもてなくなった話しなんてそこら辺に捨てるほどある。これも幻想というか、そりゃあいつだってねバカみたいに綺麗だとかさ、成功してるとか、色んな状況はあるけどさ、彼女はまあ見た目は普通なんだから。
　「長い産休をもらって戻れるようなレベル高い会社では無いです。」
　それもある、昔は男一人が稼ぎに出たら家族食わせられた時代を終わらせておいて少子化問題って、バブルの頃から海外から盗んだ労働力を返す日がとうとう来てるのに。　
　「外国の旅行者にさサービスしてるでしょう、そういうことだからさ、まあいいや、一回楽になってね、ここに住んでいいからさ、ご飯も住むとこもあったらそれで何が出来るかさやってみなよ二人で。」

　美樹さんは今までの仕事をしばらく続けることに、旦那はスタジオ代かからないしとこの地元の近くの若い子には無料で、あとネット、それに個人レッスンで都心に。　ネットの動画だったりの相手を俺が勤める。　かといって生活できる収入ってころにはならない。
　二人と同居することを提案した。　一部完

Tweet