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セックスボランティア
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:人妻熟女 官能小説   
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1:セックスボランティア
投稿者: りこ
上司が今取り掛かっている仕事の進み具合を確認された。

信用はされているのだろうけど、神経質な性格の持ち主だけに一度はそうしないといられない。
彼の性格は皆が承知している。

外資系企業のオフィスは半分近くが外国人の同僚が占めていて、先程の上司もアメリカ人である。
このところハラスメントに対することが話題に上がりがちな日本国内だが、先進国でありながらも欧米に遅れをとっていることは否めない。
この会社であれば即アウトになる。
部下の私に確認をとらなければいられない上司が今も同じ椅子に座っていられる理由は、必要最低限に留めているからに他ならない。
優秀な人であれば部下に嫌われるようなら安泰ではいられないのだから。

柏木由美子はそんなことを思いながら、バソコンを弾く指を動かしていた。
43歳、大学生の娘がひとりと夫の3人家族。
平凡でも幸せな暮らしだとの自負がある。

夫婦関係は悪くないと思っている。
まったく不満がないかと言えば嘘になるかもしれない。
どの夫婦でも何かしらのことはあるはずで、うちもひとつだけあると思っている。
セックスレスとまではいかないまでも、近い将来にそうなる予感はしている。

50を目前にして夫は急激に億劫がるようになったのだ。
持続力も悪くなり行為の途中でだめになることが多くなってから誘われることもなくなり、こちらから誘ってもやんわりと断られることが増えていた。
妻となって20年近くにもなると女としての魅力はもうないのかと、寂しかった。

もちろん努力はした。
スポーツジムにはもう1年以上、週の半分は足を運んでいる。そのお陰で若い頃よりもスタイルは良くなっていると思う。

美容整形にも足を運んだ。
恥ずかしい話、形を変えた小陰唇が夫には気持ちが萎えるひとつの原因かもしれないと余分な部分を切除をして元の形に戻したのだ。
骨盤底筋も努力して鍛えてみた。
膣も筋肉だから鍛えれば男性を喜ばせる要因になると、目にしたからだ。

エステにも通って肌のリフレッシュを試みた。
我ながらまだ捨てたものではないと思うほどに、自分の変化を感じて嬉しくなった。
同僚の男性が敏感に気づくほどだから、久しぶりにナンパをされたときにはびっくりしてしまった。

それなのに夫には変化が見られない。
私ではなく、問題は夫なのだと今更に気付かされても慰めになるものでもない。
食事に出すものにも気おつけて、それとなくウォーキングに誘って一緒に外に出たり、ジムにも誘って汗を流した。
寝付きは良くなって体の調子も良いようだけれど、夜のほうは改善が見られないのだ。

サプリメント、最終的には勃起を促す薬へとたどり着いたけれど、プライドが邪魔をして強く拒絶してからは夫婦でセックスのことには触れなくなった。

20代の時にはしたがる当時の彼氏、夫に出会ってからは努めて求めに応じていたけれど、30代後半になるとセックスの良さに目覚めたようになっていた。
それから年齢を重ねるに任せて性欲は衰えを見せず、今日を迎えている。

夫婦はそれだけではないと、他のことに目を向ける努力をした。
性欲は浴室で自慰をすることで収めればいいと、ひっそりと処理を済ませていたのだった。


会社のトイレを利用して、手を洗いながら鏡に映る自分の顔を見る。
まだ衰える年齢ではないし、女盛りの自分をどう受け止めたらいいか答えは見つからない。
そうこうしているうちに平凡な時間はいつしか過ぎ去り、子供が巣立ったら猫か犬を迎えて暮らすのも良いのかも……そんなことをぼんやりと描く。

近づく同僚にも気づきかないので、心配になったデビーに誘われるままにランチに出掛けたのだった。

フロリダ出身の彼女は物事を難しく考えない。
彼女はアメリカ人らしく良いも悪いも切り離して効率的に生きている。
何を悩んでるの、話してみなさいよ?
彼女らしい窓口の開け方に、口を開いていた。

そんなことで悩んでるの?と、保守的な日本人らしいと言いながら彼女は日本人と結婚している。
それなら簡単、由美子なら紹介してあげる……。
彼女の口からセックスボランティアなる言葉を聞かされる。

後で調べてみた。
体の自由が効かない障害者などにも人間らしく生きる喜びを提供する、性サービスをする組織らしいと知った。
ただデビーから紹介されたところは毛色が少し違う。
私のように家庭は壊したくない、セックスの問題を解消したい人向けなのだ。
性風俗と違うのは審査が厳しくて家庭環境、病気の有無、性的志向、ある程度の美貌……審査を通過すれば良心的な年会費を支払うだけで好みの隊員を選べるらしい。隊員と呼ぶのがどこか現実離れしていた。

由美子なら大丈夫よ……。
太鼓判を押すデビーはセックスに弱い夫に替わり、時々利用していると満足そうに言っていた。夫に気後れはしたけれど試しに申し込でみた。


数日後に連絡がきた。
指定された場所は何度も店の前を通り過ぎたことのある宝石店だったことに、驚いてしまった。
何を隠そう、一度この店には入ったことがあるのだ。
これでもかと宝石が並ぶショウケースの後に立つ店員に、品のある出迎えを受ける。
そのうちのひとりに店の奥に通される。
ホテルのロビーをコンパクトにした、洋風の応接セットが設えられたそこには品の良い初老の男性が待っていた。

ようこそおいでくださいました……。

まるで得意客のような扱いに場違いなところに来てしまったと怯みそうになる。それも温和そうな初老男性の笑顔と雰囲気が打ち消してくれた。
審査は露骨な言葉を使わずに選び、一つひとつ進んで貴女様ならと問題なく通過。



ご希望の日時と時間、隊員を指定してご連絡くださいませ………。



並べられたリストにあるプロフィールと写真から、ひとりの男性に目にとまっていた。



 
2024/05/27 09:55:59(pwQE63L4)
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