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1:今朝も窓の向こうには ②
投稿者:
ともひろ
お詫び…
つづきを期待して下さった方もいらっやる中 事情が有ったとは言え 長期間の放置 大変失礼致しました。 幾らか時間が経過した所から始まりますが遡りながら進めてみたいと思います。 あらためまして 今朝も窓の向こうには② 夜勤明け。朝日の眩しい朝だった。 もう随分と 孝子さんからの朝食の〔お誘い〕は無い。 〔年度変わりに 次女さんが小学生の女の子をつれて戻って来たのだから3ヶ月にはなるのかぁ〕 そんな事を思いながら車に乗った。 〔この道も以前は砂利だったよな?〕 そんな事も思いながら 我が家につづく私道を入ってきた。 『出るのが面倒…』 何度もそう言っていた妻の軽自動車のお尻が相変わらず此方を向いている。 俺は そのその妻の車を右手に見ながら 車の頭を振った。 ふと目に入った、寺田さんちの畑で葉っぱが揺すられている。 〔幸ちゃん?〕 そう思いながら俺は駐車場にバックで車を停めた。 『ピピッ』車のロックされる音に 幸子さんが顔を覗かせた。 『朋さん、お帰りぃ』 小声ではあったが そう言いながら 小さく手を振っている。 うっすら日焼けした顔 小さな麦わら帽子を手で押し上げながら。 「おはよう、幸ちゃん」 俺も手を振りながら小声で返した。 「幸ちゃん」『朋さん』と呼び合うようになって半年近く…。 あれは昨年間末、集会所の年末大掃除に妻に代わって参加した時だった。 地域の集会所とあって 参加した人は 別の班の人達も来ていた。 そこには孝子さん顔も有った。 ほとんどが御婦人、男性は僅か数名、奥さんが仕事の人や 俺のように〔高い所用員〕。 掃除も終わり、それぞれに挨拶を交わし解散、みな四方に散って行った。 俺と寺田さんちの奥さん、それと孝子さん、そして顔と名前と自宅の一致しない方々。 『あそこの嫁は こうだ…』 『おそこの婆ちゃんの具合がどうだ…』 そんな話しをしながらも 1人2人と減っていった。 俺と孝子さん、家は背中合わせとは言っても そこにたどり着く道は2本違う、まぁ全て私道の袋小路なのだが。 『スミマセン、お疲れ様でした』 そう言って孝子さんが私道にそれた。 途端、寺田さんちの奥さんが 『野平さん、最近 北村さんと お近づきでしょ?』 「はいッ??」 『…でしょ?』 『あの小川の辺りで良く…』 『前から何度か お見かけしてて…』 「…そうなんですね」 「まぁ、色々と…」 「・・・・・」 「そろそろ完成ですか?、畑とか…」 『ええ』 『毎日うるさかったでしょ?、ゴメンなさいね』 『ようやく終わりそう…』 『そうだ、あの人(ご主人)がね、お詫びと忘年会と色々兼ねて お呼びしようって、ジジイ達の道楽小屋に…』 『手伝ってくれた人達や うるさくしちゃった人達に来てもらって』 『野平さんも いらしてね』 「はい、喜んで…」 「私道まで舗装して頂いて…」 「で?、いつですか?」 『舗装なんて そんな…、余ったコンクリート撒いただけよぉ(笑)』 『今度の週末あたりかな…』 『金曜と土曜と どっちが良いのかしら?、野平は?どっち?』 「うーん、どぅだろ?」 『大丈夫よ、北村さんにも声かけるから、フフッ』 「フフッ、って…」 『フフッ、大丈夫、大丈夫よッ!』 『でもね、(小屋)狭いからさ、どのお宅も御夫婦で…って分けにはいかないけどさ』 「なら、金曜ですかね?」 「うちのも お疲れ会 とか言ってたんで」 『あら、野平さん ご本人は?』 「俺ですか?」 「俺は お断り致しました、仕事関係は丁重に…」 『フフッ、奥さんには内緒で?』 『断った事は言って無かったりして』 寺田さんちの奥さんが 意味ありげに微笑んでいた。 『じぁ、お疲れ様ぁぁ』 『あとで(知らせに)伺いますね』 『おやすみなさぁい』 寺田さんちの奥さん、意味深だったなあ?〔お近づき〕って…。 どこまで気付いてんだろ? 気付いてるよな?やっぱり。 だけど、いつ?、いつ気付いたん?、何処で?、……???。 その事ばかりに気を取られていた。
2021/04/11 09:44:00(2cg.yyX7)
投稿者:
(無名)
再開ありがとうございます。
ファーストシーズンから楽しく読ませていただいてました。 ご自分のペースでこれからもお願いしますね。
21/04/25 15:59
(jLqEF1JJ)
投稿者:
ともひろ
2さん、ありがとうございます。
放置ぎみになってしまってます、申し訳ありません。
21/05/02 08:09
(o4ns3NuO)
投稿者:
ともひろ
今朝も窓の向こうには ②-2
1日おいて翌々日、俺が残業から帰るのを待ってたかの様にチャイムが鳴った。 『こんばんわ』と寺田さんの声、続けて『こんばんわ』と奥さんの声もした。 「はい…」俺がドアをあけた。 『悪いね、帰ってくるの待ってたみたいで』と、ご主人。 『スミマセンね、こんな時間に』と言った奥さんがつづけた 『あの、これ、ご迷惑お掛けしたお詫びに…』 と、何やら紙の袋を差し出している。 「そんな、迷惑だなんて」と、妻。 『お留守の時には駐車場まで勝手に拝借しちゃって…』と奥さん、『つまらない物ですが…』とつづけた。 「遠慮なく…」と、妻。 『あ、あの、今度の金曜日なんだけどさ…、その、お騒がせした、その、お詫びとさ、あの、年末だしさ…、その、親睦もかねてさ…、その…、一杯 どうなかな?、ってさぁ』 『もぉ、何いってんの?この人(笑)、ゴメンね、分かりにくかったでしょ?』と奥さんが割って入った。 『要はね、ご迷惑をお掛けした方々に、お詫びと親睦と忘年会と色々兼ねて お集まり願って道楽小屋で一杯やりましょ、って話なのよぉ、今度の金曜日、18:00位から』 『で、野平さんち、ご都合はどうかなぁ?って…』 「そんな、頂き物までしたのに…、ねぇともさん?」 「うん、かえって申し訳ないですよ」 『そぅよね、時期が時期ですものね、ご予定 お有りよね?』 『でも ほら、この人も含めて まわりは皆んな 半分リタイアした様な人達だからさ、土曜日(仕事に)でてくれなんて言われない人達なのよ、だから金曜日と思ったんだけどね…』 「私は…、職場の忘年会が…、抜けられないので…。ともさんは土曜日でしょ?、お邪魔させて頂く?」 「…なら…」 『ゴメンなさいね、無理言って…』 「とんでもないですぅ」 「うち、寺田さん位しか お見かけしても判る人が居なくて…、たぶん すれ違っても 知らん顔で…、失礼な話ですよね?、今度は そんな事にならない様に…、お願いね ともさん?」 「(笑)では、そぅ言う事で私だけになりますが お邪魔させて頂きます、金曜日18:00ですね?」 『はい、ありがとうございます、よろしくね、じゃ、ゴメンなさいね、こんな時間に、失礼しまぁす』と、奥さん 『あっ、手ぶらで来てよ野平さん、何か持ってきたら帰って貰うから、押すなよ!押すなよ!ってアレじゃないからホント手ぶらで来て…、じゃ金曜日、頼むね』と、ご主人が付け加えて帰って行った。 『半分リタイアとか言ってだけど、幾つになるのかしら?ご主人』 「どぅだろ?」 「お幾つですか?、なんて聞いた事ないし俺、シルバーさんなのかな?っては思ったけど…」 『…退職金で?(土地も小屋も)』 「…じゃない?」 『奥さんは?』 「〔ひまわり(介護施設)〕さん らしいよ、前は看護士さんだったんだってよ、週に2日か3日とか言ってた」 『…いいなぁ』 「もう1人の人と 月半分づつ にしてるんだって、だから2日か3日なんだとか言ってた」 『でも ひまわりさん 土日もやってるよね?』 「そぅ言えば そうだね?…」 『金曜日なんて大丈夫なのかしら?奥さん、大変そう?』 「どうだろ?、料理好き みたいだよご主人」 『去年(年越し)蕎麦頂いたわね、今年もくんないかなぁ、アレもご主人が打ったんでしょ?』 「…らしいね」 「小屋に揃えたってよ、蕎麦打ち 一式、うどんも打つって言ってた」 『貰ってきてぇ』 奥さんの幸子さんが、孝子さんも誘うと言っていた〔寺田家忘年会〕の お誘いがあった。
21/05/02 09:12
(o4ns3NuO)
投稿者:
ともひろ
②-3
『浮気は男の甲斐性なんて、そんなの明治や大正の話よぉぉ、まだ〔お妾さん〕が許された時代の…、ねぇ岩瀬さん?』 そぅ言っているのは 寺田さんの裏 阿久さんの奥さん、道楽小屋を建ててる時 差し入れをしていたのを何度か見かけた。 寺田さんのご主人と阿久さんのご主人、この2人が一番の道楽仲間らしい、その2人が阿久さんの奥さんに〔くぎ〕を刺されていた。 〔寺田 道楽小屋 忘年会〕 集まった顔ぶれは、寺田さんの裏の阿久さん夫婦、寺田さん阿久さん共通の遊び仲間の男性2名(名前はなんだっけ?)、寺田さんの奥さん幸子さんの友人 岩瀬さん、そして俺と孝子さん。この他にも乾杯だけで〔おいとま〕なさった方々が数名いた。 小屋のリビングは八畳ほど、その中央にレンガで囲った〔囲炉裏〕、その囲炉裏のなかで〔すみ〕がパチパチと時折はねた。 「そんな事言ったって、なぁ阿久、こんな色っぽい奥さん見たら誰だって一度は…、なぁそうだろ?」(寺田さん) 「そりゃそうだ、それが男ってもんだ」(阿久さん) 『もぉ、おとうさん!、飲みすぎよ!、知らないわよ また悪化しても』(幸子さん) 「何だ?、糖尿か?」(阿久さん) 『そうなのよぉ、ただてさえ ろくに役にたたないくせに(笑)』(幸子さん) 「…なのか?寺さん?(笑)」(阿久さん) 「面目ねぇ(笑笑)」(寺田さん) 『てもねぇ(笑)、それは女も同じよぉ、ねぇ幸ちゃん?』(阿久奥さん) 『ちょッ、なぁに?あきちゃんまで』(幸子さん) 『だって そうでしょ?、あそこの奥さんがどぅしただのって聞くとさ…、その相手が知ってる男の人だったりするとさ…、好きとか何とかじゃなくてもさ 妙に気になったりするじゃない?、あるでしょ?幸ちゃんも』(阿久奥さん) 『あるある(笑)、だからって そんな事出来ないけどね(笑)』(幸子さん) 『でしょう?(笑)』(阿久奥さん) 「…だろ?、なら しかたねぇじゃねぇか、俺らが岩瀬さんに ちょっかい出したって、なぁ阿久?」(寺田さん) 『そぅよねぇ(笑)、私なんて さっきから野平さんが 気になって気になって(笑)』(阿久奥さん) 『私もぉぉ(笑)』(幸子さん) どうやら女性には好き嫌いとは別に 妙な対抗心と言うか〔私だって まだまだ…〕そんな思いが有るらしい。 『…にしてもさ、もぅちょっと広くても良かったんじゃないの?畑、小屋(場所)とりすぎよ、おとうさん達の遊び道具ばっかり…』(幸子さん) 「んな事ねぇぞだろ?、蕎麦も打てるし うどんだって…、なぁ阿久?」(寺田さん) 「そっかぁ?、自転車だろ?、釣竿だろ?、ゴルフクラブだろ?、車の何だかんだだろ?、どんだけぇぇ(笑)」(阿久さん) 『…でしょう(笑)。車だって結局4台しか停めらんないしさ』(幸子さん) 『スミマセン、その内の1台分 貸して頂いちゃって』(孝子さん) 『そんなの良いのよぉ気にしないで孝子そん。おとうさんのオモチャで溢れてるって言ってんの!、聞いてる?おとうさん?』(幸子さん) 『車って言えば、私 勝手に停めちゃって…、野平さんちに…、ごめんなさいね』(岩瀬さん) 『そうよぉ、ちゃんと お礼しなさい!紀(のり)ちゃん?』(幸子さん) 「そんな、お礼なんで良いですって」(俺) 『そんな訳にはいきませんよ、ねぇ幸ちゃん?』(岩瀬) 岩瀬さんは 岩瀬 紀何とかさんなんだ?、俺は そんな事を考えながら 「ホント、気にしないで下さい お礼なんて…」 『でも、申し訳ないわ』(岩瀬さん) 「なら こうしましょ、〔頬っぺにチュッ〕って たまに…、それで結構ですから(笑)」(俺) 『何それぇ(笑)。そうだ! 今度から幸ちゃんち来る時 車で来る!、そしたら私も〔お礼〕して良いんでしょ?、…でしょ野平さん?』(阿久奥さん) 「おめぇは裏から来いよ、エンジン掛けるより早ぇだろ!」(阿久さん) 『なぁに?、妬いてんの?あんた』(阿久奥さん) 「んな訳ねぇだろ!、ガソリンが勿体ねぇって言ってんの!」(阿久さん) 『だってぇ!。良いじゃない!、ねぇ幸ちゃん?』(阿久奥さん) 『…ねぇ孝子さん?(笑)』(幸子さん) 『…ええ(苦笑)。そぅだ寺田さんのご主人?、私 年明けから野平さんに貸して頂きます 駐車場、良いかしら野平さん?』(孝子さん) 「まぁ、それは構ないですけど…、何でまた?」(寺田さん) 『…だってぇ(恥笑)』 『ほんのちょっと停めさせて頂いて お礼が頬っぺにチュッなんですよね?、なら1ヶ月停めさせて頂いたら どんなお礼をすれば良いのかしら?、って…(笑恥)』(孝子さん) 『それ良いぃ!、私も貸してもらう!、野平さんちの駐車場、ねぇあきちゃん?』(幸子さん) 『うん!、貸して貸して野平さん』(阿久奥さん) 『えぇッ、私はぁ?。私も貸して欲しい!、けど ここから家まで どうやって帰ろうかしら(笑)』(岩瀬さん) 『そんなの何も車停めなくったって…、駐車場だけ貸して頂けば良いんでしょ?、月極めで、ね?野平さん?』(阿久奥さん) 『そぅよねぇ』と、女性陣が笑っていた。 岩瀬紀何とかさん、その容姿は確かに魅力的だった。 黒いレギンスの様な物は履いているものの 白いニットのワンピース その上の丈の長いカーディガンで見え隠れするボリューミーなライン、魅せられていた。 「モテモテだな?野平さん」(寺田さん) 『そりゃそぅよ!、途中でダメになったりしなそぅだもの!』 『優しいし、格好いいし、ねぇあきちゃん?』(幸子さん) 『そうそう!、ねぇ幸ちゃん?』 『でも多そうよ、ライバルが(笑)』(阿久奥さん) 『大丈夫よ!、ね?野平さん?』 『1人や2人増えたって、1度にお相手してくれるわ きっと…、野平さんなら …、でしょ?(笑)』(幸子さん) それなりの年齢のオヤジやオバサンが集まれば 結局 下ネタ、そのあとも下らない話しで解散をした。 どこまでが冗談なんだか? 俺は 大いに期待を膨らませながら 皆んなに手を振った。 〔車、良いかしら?〕 〔香代さんには 改めてお願いに伺うから〕 〔寺田さん 娘さんご夫婦とか お客さんも多そうだし、ダメ?〕 家に帰ると すぐに ショートメールの着信、差出人は孝介。 〔大丈夫〕 俺は そう 返した、差出人は朋子。 いつだったか どちらからともなく 念のため 名字は消されていた。
21/05/03 11:05
(.Rm55nA3)
投稿者:
ともひろ
②-4
翌朝。 「裏の北村さんがさ、駐車場 貸してくんないか?、ってさ」 『え?、寺田さんとこ借りてんでしょ?、何でまた…』 「ゆうべさ、駐車場の話しになって、手伝いに来てくれた人の中で うちに停めてた人が居たらしくて…、そんな話ししてる内にさ…」 『奥さん、向こう(自宅側)でしょ?停めてるの』 「何か停めるのも 乗り降りも こっちに停めた方が楽だから…とか」 「娘さんご夫婦も 結構 来てるみたいだしさ、お子さん連れて」 「かえって寺田さんちが気ぃ使うんじゃん?北村さんの車があると」 「で、お互い気を使わない方に…、みたいな事 ゆうべ言ってた」 『そう、別に構わないわよ、空いてるんだし…、そんなに出たり入ったりしないみたいだし北村さんの奥さん、おつかい位なんてしょ?、良いんじゃない?』 「改めてお願いに来るってよ、香代さんに」 『そぅ、分かった』 『朋さん、今夜でしょ(忘年会)?、何時に出るの?、送ってこうか?』 「武島に拾ってもらう、コインランドリーの前で、15:00位かな?」 「二木ゴルフ寄って それから…」 『打ち納め?』 『武島さん 呑めないの?、(ゴルフの)昼食でも呑んでるの見た事ないけど』 「乾杯で真っ赤!」 『そうだ朋さん、ボール買って来て 初打ち用の、いつものやつ、ロストで良いから、ね?』 「あいよ!」 『じぁね、行ってきます』 そんな会話で妻を送りだした。 ボールは きっと そぅなるだろうと あらかじめ買っておいた。 が、New、初打ちだから とか言って誤魔化すか?、そんな事を思った。 妻につづいて玄関を出ると 幸子さんの姿があった。 『おはよーございます、昨夜スミマセンでした』と頭を下げた妻 「おはよーございます、ご馳走さまでした」と、つづけた。 『いいえッ、こちらこそぉ』と、幸子さん。 妻の車を見送り、改めて 『どうも ご馳走さまでした』と、 頭を下げながら 『寺田さん(ご主人)は?』 と訪ねると、もともと定期健診の日なのだと言う。 『また どっかで油売って帰って来んでしょ、いつも そうだから』 『香代さん いつも土曜日は お仕事なんでしょ?』 「はい」 『…必要よね?、1人の時間も、羨ましいわ…』 「でも、(ご主人)しばらく帰らないんじゃ?」 『そうよぉ。でもね そこが問題なの。自分は好き勝手してるくせにさ やれ何してただの 何処行ってただの、私の事は監視するのよ あの人』 「心配なんじゃないですか? 『(心配)何の?』 『ランチして来たとか言ってもさ 誰とだ? 何処行った?、って そんな事まで聞くのよ、嫌んなっちゃう!』 「じゃぁ行きますか?ランチ、俺と」 「野平さんと藍屋でランチして来た、って言えば良いじゃないですか?」 「そしたら少しは慌てるかもしんないですよ?」 『良いわね それ!』 『冗談 じゃないわよね?』 『デートしてくれるの?』 「ゴメンなさい…」 「冗談の つもりだったんですけど」 『えぇッ、してくんないの?デート』 『孝子さんとは してるのにぃ?』 「デートって程のもんじゃ…」 「それに ちゃんと報告してますし 香代さんには…」 (何処まで知ってんだろ?) 咄嗟にそぅ思った俺は 妻に報告してるなんて嘘までついてしまった。 『だから 私とはしてくれないの?』 「いえッ、そんな事は…」 「お誘いしても たぶん断られるもんだと…、その…、思ってて…」 『なら 誘って!』 「はいッ」 「・・・・・」 『誘って!』 「ラ、ランチ、ご一緒に…」 「…如何ですか?」 『はいッ、喜んでッ(笑)』 「って、俺 今夜 忘年会で14:00には戻らないと、その…」 『何ぁに?』 『忘年会じゃなかったら 夜まで付き合わせるつもりだったの?』 『どぅするつもりだったのかしら?、夜まで付き合わせて(笑)』 「いえ」 「あの…」 「だから その…」 「お見せしよぅかな、と…」 「途中でダメになったりしませんよ!、って」 『キャッ、恥ずかしい(笑)』 『でも それ 別に夜じゃなくても 構いませんことよ(笑)』 「・・・・・」 『もぉッ、野平さん?』 『冗談よ、冗談(笑)』 「ああ、びっくりしたぁ(笑)」 『でも お昼は ご一緒して、ね?』 「はい、それはもう、こちらこそ 喜んでッ」 「ダメになるか ならないかは また改めて、って事で…」 『そぅね、また改めてね?、ふふふ』 何処までが冗談で、何処までが本気なんだか解らない 寺田さんの奥さんの話しに圧倒されながらも、俺は精一杯 平静を装って 冗談っぽく返した。 『で?、何時にします?ランチ』 「10:00とかでも大丈夫ですか?」 『早くない?、ランチにしては』 「いえいえ、俺が少しでも早く寺田さんの奥さんと お出掛けしたいだけですから、迷惑ですか?」 『迷惑ではないけど、何か目的が有るんじゃないの?』 「ええ、実は二木ゴルフにちょっと…、そのあとでも良いですか?」 『二木ゴルフって!』 『目的は そっちかぁ(笑)』 『まぁ良いわ、10:00ね、出て待ってればいい?、乗せてってくれるんでしょ?』 「はい、それは勿論…」 『やったぁ!』 『デートッ! ドライブッ!』 『じゃぁ宜しくね、朋さんッ!』 はしゃぎながら 悪戯っぽく言った幸子さんの〔朋さん〕が妙に気にかかっていた。 9:57 俺が玄関を開けると、そこには既に 幸子さんの姿があった。
21/05/03 16:13
(.Rm55nA3)
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