俺の仕事は、死んだ人間に天国に送り込む前に最後に残る俗っぽさを昇華させて天国の住人に相応しい死者にする仕事をしている。
簡単に言うと死んだ人間には食欲が無くなるのは当然として諸々の欲は消えて無くなるのだが一番本能に近い性欲だけは残して殆どの人間は死んでこっち側にやってくる。

天国は基本的に善人ばかり住んでいるが、性欲が有ると幾ら天国と言えど痴話喧嘩や死んでるのに失恋でまた死のうとする馬鹿が出てきたりで天国の風紀が乱れると言う事で神様が最後に性欲を捨てる為に死者に今迄の人生で一番良かったセックス体験をもう一度させて死者の性欲を成仏させた上で天国に送り込む制度に日本で言うとこの昭和40年代に制度を変えた。

俺は毎日死んでくる死者にカウンセリングを行い、人生最高のセックス体験の10分前からをダイケアサービスの一室で体験させ、思い残す事は無いですと念書を取るダイケアサービスの仕事をしている。

勿論、不幸にして若くして亡くなる子供だって死者としてやって来るが、性欲が無い子供はまた別部署が担当している。

俺は日本男性の死者の担当だ。正直言って楽な仕事じゃない上に最近は面倒な案件が増えている。例えば童貞案件だ。昔は少年、青年が童貞でやって来た。
最高のセックス体験など無いので仕方なく生前に良く対象にしてマスをかいてたアイドル歌手やAV女優等とな擬似体験をプログラムして昇華させてやっていた。

近年の日本は童貞需要が増えた上に童貞バリエーションが増えて、人間界の童貞事情のリサーチが欠かせない。5年前には専属の部署が出来て、新開発された童貞レーダーアプリを入れたスマホを持ち歩いて童貞が多数集まるイベントや商業施設に出向き日々俺たちダイケア従事者に最新リポートが送られてくるのだった。

あまたある童貞バリエーションでも特に多い上にリサーチの必要性が言われているなが童貞バリエ12番2次元オタク童貞だ。とにかく対象が多岐にわたる上に年々増えているアニメ、ゲーム、同人誌その他ありとあらゆる対象キャラをラストセックスマシーンにデータを入れておかないとならない。

特に童貞バリエ12番はマニアなキャラを好む傾向がある為10話で打ち切られたアニメの第1話で開始5分で爆死した雑魚巨乳敵キャラなんてレベルは普通に取り揃えておかないと待合室で待たせる事になり面倒だ。

童貞バリエ23番素人童貞も厄介だ。ラストセックスに船橋のソープ　隣の未亡人～お暇なら来てよね二号店の夕張メロン嬢とリクエストされるのだからたまったもんじゃない。

童貞バリエ23番も近年増加傾向にあり、こちらのリサーチの重要性を唱える神様も増えて専属のリサーチ部署が出来、日々風俗誌、エロサイトの閲覧に余念がない。

詳細はこれから追って話そう。
先ずは今日の死者のラストセックスを実況する事にする。何でも現場を見るのが早いから。
今日の死者は前田太郎46歳。死因は心臓発作。未婚でアルバイトで生計を立てていたらしい。死んだ場所は赤羽のインターネットカフェ。
退室時間になっても出てこない事で店員が様子を見に行くと下着姿で死んでる前田を発見と記録されている。面倒なケースの匂いがプンプンするが、これも仕事だ。

俺は目の前のボタンを押す。俺が座るカウンター席の掲示板に73番の数字が表示されポーンと男が鳴る。
俺の前に紅白の間抜けなストライプ柄のトランクスを履いたビール腹のボサボサ頭の中年男が73と書いた紙切れを持って現れた。

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