〈後編からお読みになられる方へ〉
【堕ちゆく未亡人 -前編-】からストーリーが続いています。
ぜひ前編から順番にお読みください。
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あの日の出来事以降、亜希子にとって鮫島という男はある意味大きな存在となっていた。
彼との縁を切ろうと思えばできなくもない。
しかし、そんなことをすれば必ず仕返しとしてこの『トミタモータース』を潰しにかかってくるはず。
実のところ、今でも彼の支援と手引きなしでは工場の経営が立ち行かなくなるのもまた現実だった。
社長である亜希子の下した決断は、鮫島と内縁関係となり彼に隷属することだった。
自分ひとりが汚辱を受け入れさえすれば、夫の残したこの小さな工場だけはなんとか守れると思ったのだった。