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今夜、不倫します。
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:人妻熟女 官能小説   
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1:今夜、不倫します。
投稿者: (無名)
長い雨が続いていた、今日も雨だったら会わない、晴れたら会う。 ネットで知り合った彼は読書家で同じ作家のとある作品の内容と結末に関して捨てアドで何度かやり取りしてから個人的な事も相談しあえるようになった、彼が書いた作品も読ませてもらった、文才が無いと言うより、物語を早く進めたくて途中からは会話ばかりで、書き進めるうちに止まらなくなった会話は彼が孤独でそれに耐えきれないのが痛くて悲しかった。
 私が書いた小説も読んでもらった、女子高生の恋愛ものそこには私の人生に起きなかったもしもが詰め込まれている、クラスメイトの京子は私と同じくらいの可愛さだったのに子供の頃からピアノを習っていた、中3の受験勉強で習うことを辞めた、私が密かに憧れていた隣のクラスの男子は高2の秋の文化祭でライブやりたいからと楽器弾けるメンバーを集めていて彼女が前にピアノ弾いてたことはけっこう皆なが知っていたから結局強引に参加することになった。 視聴覚室で練習し始めたのを観に行った、ドラムは柔道部の人で学年で一番体が大きい、ただ力任せでひどかった、ベースの人はイケメンでけっこう人気あるけど素人だし、でもアニヲタできもいって陰口叩かれていた子がギターが上手なのには驚いた、京子は余裕でキーボードを弾きこなす。 私が上手って感じたギターの子にもダメ出ししていて彼女の別の一面を初めて見た、ああ音楽を愛するって美しいけどやっぱりとても厳しい、恩田陸の蜜蜂と遠雷と映画セッションでしか知らなかった音楽の世界は私の中で矛盾なく結びついた、まあまあ歌える彼と一緒にいれる方法が思いついたのは小説のおかげ、誕生日に強引におねだりしたスマホは最新型でとても高くて高校生には贅沢品で皆んなにうらやましがられた、まさか私の家が離婚しそうで喧嘩が絶えずそのお詫びにプレゼントされたものなのは秘密だ。
 ドキュメンタリー撮らせて、あとマネージャーみたいなううんスタッフ、私はKing Gnuが大好きだ、映像作品も常田さんはチーム持っていて、私の発言に最初に反応してくれたのはギターのヲタク、俺も好きだよ常田さんってチェロで芸大まで行ってるのにロックバンド始めてさ、尊敬してる、もちろん僕にはクラッシクの素養が無いから京子さんにこれから教えてもらおうと思っているんだ。 いいぞヲタク、君が京子と仲良くなれば私にチャンスが、ドラムの柔道くんは録音したの聞き返して自信なくしていた、なあ俺はパワーだけだからさ、ほらダンスやってるさそういう連中のほうがリズムいいと思うんだわ、誰かさダンスの知り合いいねえか? 憧れの彼はカールスモーキー石井にちょっと似てる、お母さんの影響で子供の頃から米米のは聞かされていたし見せられていたその影響が娘の恋愛観に影響与えてしまってるぞ、サブカルに詳しい母。
 憧れのカール君は自信満々にカバンの中から古い漫画を出してきた、これを読んでくれ格闘家は打楽器に向いてることはこれで証明されてるのだ、コータローまかりとおる、それはいいけど途中からって。
 ああなんだろう、私達の世代って親の読んでた漫画だったりアーティスト刷り込まれてる。 そこを分析しながら秋の文化祭に成果が結集する、退屈な勉強よりもこっちのほうが面白い。
 京子ちゃんの家だってピアノ習わせれるくらいだからちゃんとしてる、アップライトピアノはこのリビングの主役って感じだけれど、周りに迷惑かからないように二重サッシにしてあるけど音は外に漏れる、けれどピアノの音が外に聞こえることに関して日本人はなぜか寛大なのだ。 子供にピアノ習わせたいって考える家庭環境って羨ましいって、それに京子ちゃんのお母さんはとっても美人で美味しい紅茶とスコーンを焼いて出してくれた、うちでは考えられない。 音楽って音に楽しむでしょう、そうあるべきよね、京子もお母さんもそこは同意していた、ピアノを習うの辞めるにあたってバトルがあったのは彼女から聞いていたけど、公立の中でもけっこう上の進学校に合格して、ポップスやロックでも娘がまたピアノ弾くようになってお母さんはそれで良しとした。 ヲタクはもう何度もこの家に来ているとお母さんから聞かされて驚いた、有言実行だよ。 ヲタクは才能うんぬんじゃなくて実は圧倒的な努力の人だと聞かされてイメージが変わる。 これはヲタクにも個人的に取材しないとだ。
 困ったなあ、母ちゃんがいない時だったらいいけど、その一人で来るのってよくないから京子さんと二人でならかまわないけど、ヲタクは気が利く男だった、京子と部屋に二階建ての一軒家はこれまたちゃんとしてる、うちのマンションってこう比べたらなんかねって、でも彼の部屋はばっちりキモかった、声優さんのポスターがもうそれは堂々と張ってあるし、でもそんな事を吹き飛ばすくらいに彼は真剣だった、京子さんにカノン進行って教わって、それをねDTMで組んでね、自分なりのソロをつけてみたんだけど聞いてもらえる? ああいいなあ京子に聞かせたくていったいどれくらい時間がかかるのだろう、京子はすごいって拍手したくせに、すぐに外した音の指摘と彼がまだ早く弾くとリズムが良くないとこれまた駄目を出す、デジタルピアノはバンド始めてすぐに買った、京子にいつでも弾きに来てもらえるようにかは知らない、彼女がカノンを弾き始める、弾きながら彼にもう一度ギターソロを求めた。
 あれさっきよりも情感が伝わってくる、京子の演奏にヲタクはあわせているのか、ヲタクのギターに京子がよりそうのか、二人はそこからロックがリズムが変わらないでテンポがって興奮したら早くなるのは当然だと、心拍数の話しまで、私も勉強しないと。
 柔道の家は団地だった、私と京子でチャイム鳴らすとすごい勢いで扉が開くと、日焼けした中学生くらいの女の子だ、私達二人を品定めてして、どっちがお兄ちゃんの彼女なんですかとすごい直球を投げてきた、ソフトボール部のエースなのがわかったのは10分後。 すまんうちは狭いからそこの公園でと、じゃあ私は部活とさっきの日焼けさんは駆け出した、体の大きな柔道くんの後ろには小学生の女の子と男の子。 団地どうしの間にはちょうどいい公園があって、車も来ないから安心して遊ばせれる。
 「大変だよ今さ夫婦喧嘩の真っ最中でさ、いいんだけどさ、オヤジの器が小さいっていうか、まあ息子の俺から見ても母ちゃんは美人じゃないわ、ほら京子さんのママだったらわかるんだ。」
 個人のプライバシーなんて無い狭い家、机にスティック乗せたまま漫画を読む柔道こと長男。 母親は洗い物終わると懐かしいって漫画を覗き込む、私の初恋よ、高校に入学してさ自己紹介でねギター弾いてますって、カッコいいの顔がねアイドルみたいで、もうさ大変学年中の女の子が狙っててさ、私だってさあちょっとはお近づきになりたいって思ったけどさ、空手忙しいしさ顔面いれないのは意味ないとかさ、ちょうどね総合格闘技のブームもあって、ねえ貴方、柔道のほうだって色々あったわよね。 基本無口なオヤジだが柔道や格闘技の話になると、そこには言いたいことがある、道着が無いとレスリングのほうが強いって、いやタックルに来たら膝で終わりだとか、オヤジのテンションが上がってきたのを母ちゃんは無視、きっとこの話しいっぱいしてきたんだと思う。 それでねたまたまね市民会館で空手の大会でね、友達が応援に来てくれてさ彼もね来てたの、今だったら動画撮って残しておけたのにね、ああでもちゃんとVHSのカメラとかあったのよ、いいとこ見せたくてさあ、なんかねそれまでは練習の成果を発揮したいとかライバルに勝ちたいとか、そういう気持ちだったんだけど、彼が私のこと見ているそれだけこの瞬間は彼の心を独占できてるって思ったらまあ元気でまくり、優勝したわあ、あれは神がかってたって対戦相手にもさ、空手やってる女なんてさそんなに多くないしさ、知り合いなわけ、とんでもないオーラ出てたって言われてもさ、こっちはもう彼にいいとこ見せたいって視線独占したいって、実は途中で帰っちゃったんだけどもうさそれにも気が付かないくらいに集中してたわけ、そしたらね彼がね話しかけてきてね、優勝おめでとうって、そしてねこれ読んで興味あったら一緒にバンドやってみませんかって、あやうくね大声で叫びそうになったわよ、すぐに楽器屋いってドラム叩けるようになるのにはどうしたらいいかって店員に聞いてね、ほらあんたさルーディメンツからでしょ、貸してスティック、こうね右左右左、右左右右、カツカツコツコツってさ、嘘だろ母ちゃんって、その彼に天才って思われて一緒にバンドしたいために毎日内緒で何時間も練習して、空手の練習と勉強であんまり練習してなくてゴメンって言いながら、試験の前に勉強しないで寝ちゃったってブラフと一緒だ。
 それでか、柔道くんはずっとスティックでベンチを叩いていて耳障りだけれど、スティックの扱いにとても慣れてきているのはわかった。 まだじゃあご両親は喧嘩してるの? つい深堀りしてしまった。
 ああそれは大丈夫だよ、だけどさあまさかあの母ちゃんにも青春があったなんてさ、でも考えれば当たり前だよな、そこのお婆ちゃんだってさ女学生だった時代があるんだもんな。 確かにそうだうちの両親にだって初々しい付き合い始めがあって、その前には別の人とお付き合いもして、忘れられない初めての人が心の中にいる、そう考えるととても恥ずかしくなって、ちょっと何かが間違っていたら私はここにいないと思うととっても不思議だ。
 こっからちょっと面白いんだよ、そう柔道は嬉しそうに話を続けてくれた。
 「あーそうかあ、夫婦喧嘩久しぶりだな、なあそうだなあもうこういう話してもいい年か、でもまだ童貞だろう。」 親父と同時期に柔道をやられていて今は指導する立場で、たまに俺も習いに来るが鬼のように強い、居酒屋に高校生連れてくるってのはどうかと思うがそんなことを気にするタイプじゃない、俺の前には大盛りの飯と高タンパク質なつまみがおかず代わりだ。 あれから親父が無口になって3日、さすがにって相談にいって、投げられて締められて飯奢るからと馴染みの見せだからと赤ちょうちんに連れてこられた。
 「なあ顔が可愛いとか歌って踊れる、まあそれも一つのさ魅力だ、だけどよ強いってことだって魅力なのはわかるだろう、男だったら強い強くなりたい思わない奴は金玉いらないだろ。」 ガラガラ、遅れて師範代の奥さんもやってきた。俺の隣に座ると何やら古いアルバムを出してきた。
 「ほらこれねあんたのお母ちゃん、どう?」
 下の妹たちはけっこう可愛いのが不思議だと思っていたが、これで理由がハッキリした、若い頃の母ちゃんは綺麗なのだ。 トロフィー持ってピースしてる顔は今だってアイドルでもいけそうなくらいだ。
 「ほらこれオバサンが準優勝、高校の時ねあの時は凄かったもの、お母さんから聞いたでしょあの話し、もうこっちはショックよー彼氏にいいとこ見せたかったって、天才なんだなって、ねえ嫌になっちゃう。」
 「まあ皆んなのアイドルだったからなあ、本人だけ気がついて無くてね、天然でさあ、男に好きになってもらうのにはどうしたらいいかって俺達にも聞くわけ、もうさ男として見られてないショックで稽古しまくったからね(笑)」
 「空手じゃなくてピアノだったら良かったって泣いたりね、武道系のあの頃の男子の憧れだったもん、それからねガードつけてフルコンいって、キックとムエタイもして、今だったらきっとスターになってたわ、でもねまだ女子が顔を腫らしてまで戦うことに世間はまだね、今だってほらやっぱり女の子がさ顔腫らして殴り合いみたい人って少ないし、私だって空手やっててさ眼底骨折した時は両親に泣かれてね、まあうちの夫婦と似てるかな、ああ違った私はこの人に惚れて一緒になったけど、あんたのとこはさ逆でね純愛なのとっても、だけど天然がでるからね、自然なんだよ。ほら四人兄弟さ三才離れてるだろう、夫婦の危機が三年ごとに来ると頑張って愛情を確認しちゃうってなあ(笑)

 柔道くんも話しながら恥ずかしくなったのか最期のほうはだいぶ端折ってたけど、とても素敵なご両親だと思うし、京子は柔道くんの兄妹がうらやましいと口にした、一人っ子だからと、小さいときから部屋を与えられて寂しかった。 団地の部屋に戻ると、小学生の二人の宿題を京子は教えはじめた、自然とくっつかないとならない距離、じゃれる子どもたち、夕日がカーテンを通して優しく照らす、ピアノの先生が似合ってるかも、面倒見が良いし。
 夏休みもなるべく練習して、プールに行ったり、花火大会に行って青春を満喫できたと思う。
 一番変わったのは京子だった、ヲタクと京子の家に行くと柔道くんと下の二人がもう先に来ていて、ピアノを一緒に並んで遊んでいる、あの日から彼女は二人に好かれまくって、会いたい会いたいと柔道を困らせたあげく、訪ねることが増えたらしいただ残念なことに彼と京子の間にロマンスが産まれる気配は無い。 ヲタクはかなりギター上手になったのに少し飽きてきたのか以前の情熱はもう感じられない。

 天気予報を裏切って雨はやんだ、待ち合わせに来た男性は私の顔を見ると少し考える顔に、イメージと違ったのかなタイプじゃないとか、それでも別にかまわない、お茶飲みながら数時間だけ好きな本の話しさえできれば。
 「あのもしかして、高校の時に同じ学年だったって、バンドのドキュメンタリー撮ってましたよね、上映たまたま見たんですよ、最初は下手だったのどんどん上達していくのも凄いって、でもあれってドキュメンタリー撮ってたから上達早かったような気がして、はじめてああいうの見たのでとても強烈に覚えているんです、ほら体育館でトリで彼ら出てたから、めちゃ後悔したんですよ自分はほんの少ししか協力してなかったから、家でゲームしたり本読んだり。」
 名前も顔も知らない人だけれども、同じ学年で一緒にあの時間同じ空間にいた人。 
 記念にと動画サイトにアップしたが見た人はまだ100人ちょい、あれから10年以上たった、動画の中の私達はとても幼く傷つきやすく不安そうで、でもきっと未来が明るいってキラキラした瞳で私の構えたスマホに撮影されたのだ。
 高校の思い出とお互いの作品へのダメ出しですぐに時間は過ぎていった、旦那には悪いけれど今日はもうどうしても冒険したい、主人公になりたいから、でももう恋の仕方も始め方も忘れてしまった、指輪を外してきたのは正解かどうか、どうか上手に誘ってくれますように、そう心の中で念じた。 
                                            上巻 終わり
 
 
2023/06/17 10:18:27(qO1K.wrT)
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