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「いらっしゃいませ。こんにちわ」
いつものように明るく声を掛けながら、私の前にコーヒーを出してくれた友美。 私の息子と同年代の、どこにでもいそうな 田舎町のごく普通のお嬢さんだと思っていた友美が、人妻だと知った時には驚いた。 二十七歳という年齢も見た目にはとても信じられない驚きの情報だった。 どこか幼さが残る彼女が、まさか人妻だとは思ってもみなかったがそのことを知らされてからは、友美に対する私の気持ちには変化が生じていた。 何でもない友美の仕草が、私の眼にはとても色っぽく写り、白いブラウスに包まれた胸の膨らみや、後ろ姿の丸みをおびた尻が左右に揺れる様を、つい眼で追いかけてしまう。 人妻という言葉の響き一つで、女性に対する見方が変わるとは、何と男の性の悲しさか。 新車の売れ行きが伸びないからと、セールスマンに泣きつかれた為に、乗り換えの予定を数ヶ月早めることに決めた。 契約書に署名を済ませた私を、営業課長が 昼食に誘い、友美を伴って三人で出掛けた。 近くのレストランで食事を摂った後、課長の隙を狙って友美に声を掛けてみた。 「友美ちゃん、今度二人で食事に行こうよ」 「良いですよ、ウチは出張の多い仕事ですし子供もいませんから、いつでも出られます」 聞けば友美の旦那は、大手の電機メーカーの技師で、長期出張に出る機会が多いと言う。 猫の目前に鰹節を投げたようなものだった。 いや、ライオンの目前に子羊か? 友美の都合に合わせてデートすることに決め連絡を待つと約束した。 私の方は、会社の仕事はほぼ任せっきりで、 時間だけはいつでも自由に操作できる立場。 待ち望んだ友美からの連絡が入ってきたのは土曜日の昼頃だった。 月曜日が公休日なので、日曜日にして欲しいと言う友美の希望通りに予定を決めた。 当日は車で二十分程の距離にあるイタリアン料理店で食事を済ませ、酒を呑まない私達は車で近くの夜景を望む丘の上の公園に移動。 「久し振りに来たわ。相変わらず素敵ねぇ」 「ん?俺のこと?」 「いやあねぇ、嶋崎さんったらぁ」 笑い転げて私の肩を叩く友美の腕を掴まえ、そっと抱き寄せて肩に手を廻した。 友美は私の胸に寄り添ってくる。 酔っている訳でもないのに、友美の頬が紅潮していた。 大きく吸い込んだ空気が吐息となって友美の口からゆっくり吐き出される…。 耳に唇を寄せて、そっと息を吹き掛けながら耳朶を甘噛みすると、友美の身体が震えた。 吐息が洩れた唇に私の唇を重ねる。 おずおずという感じで友美の舌が、私の舌の動きに合わせていたが、やがて私に縋りつく腕に力が込められ、舌の動きと吸引力も強まった。 激しいキスの後唇を離した友美の胸が大きく波打っていた。 「嶋崎さんがお父さんだったらなぁって いつも考えていたんです私…」 幼い頃両親が離婚して、父親を知らないまま成長したのだと言う。 「私も友美ちゃんのことを娘のように思っていたんだよ」 「じゃあ私達近親相姦になっちゃいますね」 笑みを浮かべた友美が悪戯っぽく私を睨む。 友美の言葉に、彼女が今夜私に抱かれる事を覚悟して来ているのだと、この時確信した。
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2017/04/26 09:44:32(G0/esoH4)
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