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紀子・別離
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:人妻熟女 官能小説   
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1:紀子・別離
投稿者: (無名)
数日後、俺は支店長から企画書の提示を求められ、“中間の報告を”と呼び
つけられた。支店長の机は紀子の課の一番上座(?)に置かれている。
「あっ、そこに置いといて」支店長は他の書類に眼をやりながらそう言っ
た。指示通り書類を置いて立ち去ろうとした俺に
「ちょっと、山下課長」と呼びかけた。
「はい?なんでしょう?」
「実は君の事で変な噂を耳にしたんだが・・」と切り出した。
「君も大人なんだから、私がとやかく言うつもりはないんだが・・」それか
ら延々と俺に対してのお説教が始まった。当然その一部始終は紀子の耳目に
触れているだろうし、他の課員たちが興味津々でこちらの様子を伺っている
のは気配で判った。
ネチネチと15分は説教が続いたろうか、話の一段落を見計らって
「お話はよくわかりました。以後充分に気をつけます」
そういってきびすを返した俺の背中に支店長の追い討ちがかかった。
「フン、仕事も出来ないくせに、色気だけは一人前に・・」
瞬間に俺は切れた。振り向いて、先ほど提出した机の上の書類を鷲つかむ
と、思い切り支店長の顔めがけて投げつけた。気障たらしいメガネが吹き飛
ぶ。机を回って、支店長の胸倉を左腕で掴むと捻りあげた。右手の肘を支店
長の顔にこじりつける。書類の当たり所が悪かったのか、左の唇の端が切れ
て血がにじんでいる。
「山下君、ボ、暴力はヨセ、わかった、悪かった、私が言いすぎた」
支店長の眼には最大限の怯えが走っている。
「おい、馬鹿やろう。ふざけた事、抜かしてるとただじゃ済まねーぞ!てめ
え、自分を何様だと思っていやがる、今から半殺しにしてやる!」
俺の剣幕にあっけに取られていた回りの社員が、我に帰って走り寄って来
た。そして二人掛りで俺の身体にしがみついた。
「山下課長、やめてください!」
握り締めた右拳をもてあましたが、支店長を後に突き飛ばした。椅子と共に
無様に後ろにひっくり返ったがそのままいざって逃げ出した。
「もういいよ、これ以上やらないから手を離せ」
腰にまとわりついている男二人に話しかけると、二人は弾けた様に手を離し
て後ずさりをした。
俺は冷静には程遠かったが、肩で大きく深呼吸すると、課内をぐるっと見回
した。紀子は初めて見る俺の狼藉の姿に、他の女子社員と同様におびえた眼
で見つめていた。
部署に帰って、上司の部長から何らかのお咎めを覚悟したが、ナシのつぶて
で拍子抜けするほどだった。もっとも腫れ物に触らぬ処置といったところだ
ったのかもしれないが。
「これで俺の、この会社人生も終りか・・」
俺は腕組みをして覚悟を決めた。
翌日、胸のポケットに辞表を忍ばせて支店長のところに向かった。本来なら
ば、直属の上司の部長に提出すればそれで済むのだろうが、あえてそうし
た。
支店長は俺の姿に気づくと、一瞬逃げ腰の姿勢を見せたがあえて威厳を取り
繕うと椅子の上で背筋を伸ばした。
「これをお受け取り願います。私の一身上の都合です。大変お世話になりま
した。」
支店長は机の上に置かれた辞表と俺の顔を交互に見た。
俺は机に両腕を置くと身を乗り出して支店長に小声でつぶやいた。
「おい、厄介払いで本望だろう?だが覚えとけ、もしこれから先、変な真似
しやがったらただじゃおかねぇ。判ったな?」
紀子に対しての振る舞いへの牽制も含めて睨みつけた。返事はなかった。
「判ったのか!」
机を思い切りドスンとぶん殴ると、支店長は思わず「ハイ」と立ち上がっ
た。

幸い、大学時代の友人が以前から、彼の会社への転職を進めてくれたのを渡
りに船と、就職することを昨夜の電話で決めていたので、俺の気は楽だっ
た。むしろ積もった鬱憤を、思い切り晴らしたことへの満足感で体が震えて
いた。
退職までの引継ぎで2,3日は忙殺された。俺の裁量で保っていた案件が結
構あったので、上司からはもう少し日数をと慰留されたが、そんなこと俺の
知った事じゃない、とばかりに割り切った。
退社の事情が事情だけに、送別会はなかった。その代わり終業の合図を待っ
て、課の女の子が小さな花束を手渡してくれた。私物の入った紙袋とカバ
ン、花束を持って駐車場に向かう。面倒くさくて花束を駐車場のゴミ箱に放
り込むと車に乗り込もうとした。
いつからいたのか?後から紀子が声をかけた。あの時と同じように。
「課長、こんなことしちゃだめ」
紀子の手には今捨てた花束がある。俺が車に乗り込むと当然のように助手席
に乗り込んできた。
「課長、ずいぶん私に冷たいんですね?!課長にとっては私、遊びだったん
だ・・」
俺はあの一件以来、紀子に全く声をかけていなかった。別に忘れていたわけ
ではない。ただ言い訳やら先々のことを話すのは、正直言って億劫だし辛か
っただけだ。それに紀子にかかる迷惑を考えたり、同情されるのもいやだっ
た。俺は返事もせずクルマを出した。
その日が紀子と会った最後の日だった。

 
2006/10/19 18:03:58(sCVGV8z6)
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