ホテルでの出来事は、平凡な日々を送っていた私にとって衝撃的な事でした。あの日家に着くなり、私は彼との情事の匂いが残っていないか神経質な位に確認しました。主人以外との男性とセックスしたのです。これほどの強烈な事件はありません。その夜は主人から声をかけられる度にビクついたほどです。自分でも知らないうちに私自身の中に変化がおきていたのです。
そう、私は一人の女に戻っていたのです。
翌日職場に出ると彼に会いました。もう彼が身近に感じていました。
他の人の前では努めて接触を避けていました。彼が休憩に入った時、私は
昨夜書いて用意した手紙を彼に渡したのです。
もちろんそれには私の今の気持が正直に書いてありました。
（昨日は私にとって一生忘れる事の出来ない1日になりました。あの熱いひとときは、今もこの身体に染み込んでいます。）
あとは何事もなくその1日は過ぎていきました。でも、私はにとって充実した日に思えていました。
主人を裏切った行為なのは判っています。でも、あの瞬間、私が女であったのも忘れる事が出来ませんでした。アレほどまでに、私に女を感じさせてくれた彼は、もはや私の中では他人ではなくなっていました。
そんな私でした。だから再び彼とそうなるまでに、たいして時間はかかりませんでした。

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