＜５０１号室＞

　エレベーターで最上階に上がった源三は、チャイムを鳴らした。すぐにロック
が解除され、玄関にひろみが出てきた。
　「東山先生ですね。どうぞお上がり下さい」ひろみは来客用のスリッパを揃え
て、そう言った。年は若いが支店長夫人としての気品を備えている。
　ひろみには、悩みがあった。山崎と結婚して５年になるが、子宝に恵まれない
のである。若い母親である美佐江にそれとなく相談を持ちかけたことがあった。
源三は、美佐江と年嵩の由利恵に指示して自分を不妊治療の名医に仕立て上げた
のである。
　広いリビングのソファーに腰をかけた源三にコーヒーを出しながら、ひろみは
言った。「すみません。お忙しいのにわざわざお出向きいただいて」
　「いえいえ、お気遣いなく。ご主人には色々とお世話になっていますし」
　源三の名医ぶりを美佐江と由利恵がうまく吹聴しているので、話はスムーズに
進んだ。
　「私の治療法をお試しになる前に色々お聞きしたいのですが、よろしいですね」
　源三は、ひろみの生い立ちから男性遍歴、現在の夫婦生活、生理の周期などに
ついて事細かに尋ねた。医師の質問だと思い込み素直に淡々と答えるひろみ。
　「あなたの性感帯はどこですか？」源三は不躾な質問を平然としてのけた。
　「え？セイカンタイですか？」さすがにひろみは戸惑った顔をした。
　「ええ。セックスのとき、あなたが一番感じる部分です。私の治療法の中で、
とても大事なファクターなので、正直に答えてください」源三は真顔で語気を強
めてそう言った。
　「は、はい。乳首とあそこです」慌ててひろみが答えた。
　「あそこというと、ヴァギナですかそれともクリトリスの方ですか」臆面もな
く問いただす源三。
　「クリ、、トリスです」そう言うとひろみは真っ赤な顔をして俯いた。
　「わかりました。それでは右手を出してみてください」源三が言うと、ひろみ
は白い手を前に差し出した。源三はその手をとって、親指で手のひらをなぞる。
くすぐったさで、思わず手を引っ込めようとするひろみ。
　「人間の触感は、すべて性感になり得るんです。いいですか。じっとして」
　目を閉じるように言われ、ひろみはゆっくりその感覚を味わった。
　「少しずつ、汗ばんできましたね。これが潤いなんです」親指を動かしながら
源三は続けた。「これ、あくまで治療ですからね。最初は奇異に感じられるかも
しれませんが」そう前置きして、ひろみのポッと赤みを帯びた耳に手を移動させ
る。耳の淵をスーッとなぞるようにしながら、耳の内壁の方を優しく撫でた。
　ひろみは肩をすぼめるようにしながら、スカートの中の太股をもぞもぞと動か
しはじめた。
　「どうです。ヴァギナに指が這う感覚に似ているでしょう」耳元で囁くように
源三が言った。ぎゅっと目を閉じていたひろみは、こくんとうなづいた。
　源三の指はひろみの首筋をゆっくり下りたり昇ったりしながら、シルク地のブ
ラウスに辿り着いた。程よく膨らんだ胸の周囲をトントントンと二本の指で軽い
タッチで小刻みに叩く。その指は決してその頂上に触れずに、振動だけを伝えて
いる。薄いシルクの生地の衣擦れの感覚が、まったりとした気持ち良さを増幅さ
せていった。
　「リラックスしてきましたね。ゆっくり息を吐いて、そう、深呼吸しましょう」
ひろみの胸が動いた瞬間、あたかもミスタッチのように指を乳首の先にあてた。
　「あぁ」ひろみは艶かしい声を洩らす。
　「少しきつそうですね」ひろみを思いやる口ぶりで、ブラウスのボタンに手を
かける源三。
　３つほどボタンを外すと、ピンクのブラジャーに覆われた豊かな乳房の谷間が
現れた。ひろみは何度となく、唇を自らの舌で湿らせていた。To be continue..

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