妻の電話をする様子が、少し変だったので聞き耳を立てた。

「・・もう、いいです。いえ、そうじゃなくて、本当に。・・だからそういうお誘
いはちょっと、、困ります。はい。え？主人ですか。いますよ。でも、、」

しぶしぶ妻は私に受話器を手渡した。息子の同級生の母親からだった。
山本さんは、私に息子の少年サッカーチームの父兄懇親会に是非出席をと言ってき
た。妻がかたくなに断っていたので、何か都合が悪いのだろうと思って、一応は断
った。しかし日頃、妻任せにしているのだから、こんな時ぐらい出席して欲しいと
強引に誘われて、断りきれなかった。

「強引な人だな。お前が無理なら、なんとか段取りしてみるよ」と言うと、
「わかったわ。あなた一人じゃ、行きにくいでしょ。私も行く」妻はそう答えた。
あんなに嫌がっていたのにと腑に落ちなかったが、妻には私に言えない理由があっ
た。

懇親会は街中の焼肉屋で行われた。私達夫婦が少し遅れて店に入ると、茶髪の奥
さんが奥の座敷から出てきた。
「遅かったじゃない。もう来ないのかと思ったわよ」山本さんの奥さんらしい。
山本さんに案内されて座敷に上がると、二十人くらいの親達がわいわいと賑やか
にやっていた。こういう寄り合いは、少々気疲れする。
お開きになって、妻と帰ろうとすると、また山本さんが駆け寄ってきた。
「ねぇねぇ、もう一軒いきましょうよ。今度は少し落ちついた店で」
妻に尋ねるように視線を移すと「いいわよね。奥さん」と横から妻に催促した。
「え、ええ。あまり遅くならなければ」妻は山本さんの言葉に従った。

山本さん夫婦と４人で、裏筋にあるバーに入った。落ちついた所というより、
不気味な店だった。

勧められるまま、グラスを傾けていると何だか眠気がさしてきた。
酒には強い方だと自負していたが、酔いが回るのが早いなと思った。

やたらに喋る山本さんの奥さんの声にエコーがかかったように聞こえたかと思
うと、その声がだんだん遠くに聞こえてきた。目も焦点があいにくい。

自分の指に指をからめられている。その指は妻のものではなかった。触感だけ
が敏感になっているのか、やたらに気持ちが良い。
しばらくその感覚を味わっていると、耳にふぅっと息をかけられた。それだけ
なのに、下半身に血液が集中していく。海綿体が加速度的に膨張して、男の猛
りが起こった。

女に促されてふらふらと店の中を歩いて、奥の階段を昇っていった。その部屋
で、女は私のネクタイをはずし、Ｙシャツの胸を開けて舌を這わせはじめた。
夢か現実か、思考力が落ち、動物としての感覚のみが鋭敏になった私は、その
女に挑みかかり、女の中で何度か精を放った。不思議なことに、射精してもな
お、私の性欲は衰えなかった。しばらくすると再び心地よい眠りに落ちた。

何時間経過したのかわからないまま、異様な物音で目が覚めた。頭の芯に疼痛
が残っていた。横にいるはずの女はそこにいなかった。

ふらつきながら階段を降りると、縛り付けられた人影の横に大きな人影が立っ
ている。
「ぴしぃっ！　ぴしぃっ！」
皮が鋭く弾くような音と女のわななきが聞こえた。

目を凝らして見ると、店の天井から吊るされているのは女の影だった。
縛られて絞り出された大きな乳房、つま先立った足はようやく床に着地するか
どうかという感じで、ゆらゆら揺れていた。

吊るされた女の影に、容赦なく皮の鞭が飛ぶ。
乾いた音の後を追うように聞こる喘ぎ声は、妻のそれだった。

反射的に妻の方に駆け寄ろうとしたが、足元がもつれて転倒してしまった。
それに気付いた女がゆっくりと私に近付いた。

「あらあら、そんなに慌てると怪我をするわよ」山本さんの奥さんの声だ。
「見てても良いけど、暴れちゃだめよ。奥さん悦んでるんだから」
私ははだけたＹシャツ姿のまま、後ろ手に縛られそこに座らせられた。

ぼやけていた視界が元に戻ると、吊るされて鞭打たれている妻の姿が見えた。
色の白い妻の裸身に、赤い跡が無数についている。
豊かな胸の先はクリップで挟まれ、クリップについた錘が乳首を引き伸ばし
ている。妻の体が揺れるたび、錘は円を描くように乳首をひっぱった。

鞭が飛ぶと、うな垂れていた顔が仰け反り、白い喉元が妖しく見える。
「ああ！」妻の声は、女の言うように悦びに打ち震えているようにも思えた。

鞭を振るう男の肩や背中には、刺青が彫ってある。男が振り返った。山本と
名乗った男だった。男は腹に巻いたさらしの下の褌を高く持ち上げるほどの
物をエレクトさせていた。

「どう、立派でしょ。あれで奥さんを突き上げてもらおうね」山本の妻が私
のＹシャツの下の胸を撫でながら囁いた。

男は店のカウンターに置いてある蝋燭立てを手にした。赤い蝋燭に火をつけ
た。男はしばらく火を眺めて、私にも見えるようにゆっくりと傾けた。
ポタポタポタっと、溶けた赤い蝋が床に滴り固まった。

男は私に背を向け、妻の方に近寄って行く。妻は男の持つ蝋燭の炎を見て、
いやいやと首を振った。
男は妻のおびえる顔を舐めるように見ながら、妻の胸の上で蝋燭を傾けた。
「あっ、あっ、あつっ」ポタポタと蝋が滴る度に、妻は眉をしかめた。
美しい妻の白い乳房が、みるみるうちに赤い蝋で被われていく。
錘で伸ばされた乳首を燃えるような蝋が直撃した時、妻はひときわ大きな
喘ぎ声を放ち、白い脚を痙攣させた。

「奥さん、乳首をあんなにされて悦んでる」女はそう言うと、私の乳首に
真っ赤な唇を当てて、軽く歯を立てた。

男は妻の乳首のクリップを乱暴にひっぱり外した。ひとつ外れる度に妻は
下腹の肉を引き攣らせた。
吊るされた妻の背後から、男は腕を回し、縄に絞り出された乳房を揉みし
だいた。ポロポロと凝固した赤い塊が剥げ落ちた。
胸を揉まれながら、妻は、はぁはぁと呼吸を乱した。

「さぁ、これからよ。あなたも欲しいでしょ」女はすっかり回復しはじめ
た私の幹に舌を這わせ、陰嚢を揉みながら、温かな口の中に咥え込んだ。

男は妻を静かに下ろして抱きかかえると、私の傍に妻を横たえた。
女にしゃぶられ、痺れた私の思考はすでに、妻が男を迎え入れることを期
待しはじめていた。

男はおもむろに白い褌をはずし、長く反りかえったものを露わにした。
こんなに太くて長いものが貫くんだと、その力を誇示するようにテラテラ
と妖しく黒光りした陰茎。
まるでバネ仕掛けの道具のようなそれを、男は妻の黒い茂みに近付けた。

男は自分の右手に唾を吹き付け、指先を揉むように唾をなじませると、妻
の陰部に塗りつけた。十分、湿っているはずの妻の陰部に唾をつける行為
は、巨根男の性交前の儀式のようであった。

「あ゛～～」喉から絞り出されるような妻の叫びは、貫かれた女しか知る
ことのできない感覚をあらわしていた。

内臓を抉り取られるのではないかと思うくらい、男の長尺の物は深く深く
妻の中に突き進んでいく。
インサートが続くたびに、妻のしなやかな腕は何かを求めるように背中の
刺青をかきむしった。爪あとから血を滲ませた男はその運動を早め、一気
に昇りつめていく。
妻の口は、男のものが子宮を叩く度毎にパクパクと動いた。

それに呼応するように女は私に跨り、私の陰茎をヴァギナに呑み込んで、
腰を上下に激しく揺すった。
「あんたぁ、、あんたぁ、、」女は何度も叫びながら、私を責めた。

刺青の男は、その叫びを受けていっそう激しく腰を振り続けた。男の筋肉
が躍動感を増していく。

「はぁあん、ああん、、あああん、ああ」責めたてられてむせび泣く妻。

「あん、、ああ、固く、、なって、、ああん」私の上の女が跳ねる。
跳ねながら女は勃起した自らの乳首を指でこねまわしていた。

刺青の男は、床について上体を支えていた腕を妻の乳房に伸ばした。
妻は男に激しく貫かれながら、固くしこった乳首を捻られ上に伸ばされた。

「あっ、、はぁぁああああ！！！」妻は力いっぱい声を上げながら逝った。

私も、女の膣の中に精を勢いよく放っていた。

女はゆっくりと私から離れ、刺青の男に熱いくちづけをした。

刺青の男は、女を腹ばいにさせて未だ怒張しているものを尻の穴にぶちこ
んでいる。

女は獣のような叫びを放ち、男はそれでも横の妻の乳首を弄んでいた。

全てが終わり、山本夫妻は私達にこう言い残して帰っていった。
「私達はお互い真性のＳ（サド）なの。あなたの奥さんはＭ（マゾ）ね。
ひょっとしたらと思って、あなたに誘いをかけてみた。思った通り、あな
たは奥さんを辱められて、あんなに逞しく私を犯してくれた。お互いに愛
はあるけど、セックスの相性が合わなかったのよ。また、今度楽しみまし
ょうね。」

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