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1:アキラの姉ちゃん1
投稿者:
寅壱
作業の休憩時間に、自販機の前で地べたに座って缶ビールを飲み、タバコをふかしていた。
暑い夏が始まろうとしている6月末の頃。 埃で黒ずみ汗まみれのシャツ、首に手ぬぐいを掛け、土木作業員必須の寅壱、ニッカを履いた男が4人で真昼間からくだをまいていた。 俺はこの先の人生を少し考え始めた25歳の自称若者、43、4歳の人生の落伍者トモさんと、30代後半の筋肉バカ照夫くん。2人ともダメ人間だが、俺の愛すべき仲間に違いない。 それと俺の隣でウンコ座りが板についている、現役暴走族16歳トシオ。派遣組で会社には「18歳です。」といってやって来た可愛い後輩だ。 俺達は日雇いみたいなもんだったので、真面目に作業する奴らを小馬鹿にしている、大馬鹿者達だった。 ビルを飲みながら仕事の愚痴を言っている俺達の前に3人組の女子高生たちがキャ-キャーいいながら楽しげに通りかかった。 「何だありゃ、パンツ見えそうな制服着とるなぁ。」 「ああやって、男の気を惹いてるんだよ。」 「わざと見せてんのか。」 「最近の女子高生は、ヤリ捲くりらしいからね。」 と、メディアに踊らされた俺達は女子高生達に、「おい!女子高生!!俺らに一発ヤラしてくれや!」と大声で話しかけた。 女子高生たちは俺達を汚い物でも見るような目つきで遠巻きに見、「キモイ事、言ってんじゃねぇよっ!1人でオナってろっ!ば~か。」と言ってダッシュで走り去った。 俺達は大笑いしていた。 次の日の朝、新人の紹介があった。 派遣組で、17歳のアキラといい、スキンヘッドで中々の迫力を持った若者だった。 アキラは新人らしくなめられまいと気合に満ちた顔つきで過ごしていたが、俺が、「アキラ、昼飯食いに行こうぜ。」と誘うと笑顔で付いてきた。 ガッコじゃないから、生意気とかムカつくとかでケンカになんかならない。 トシオと年も近くすぐに仲良くなって、お互いの武勇伝を自慢し会っていた。 それからアキラは俺達とツルむ様になり、4人の仲間が5人になった。 未成年2人を含む俺ら5人は、居酒屋に行って酒を飲んでは大暴れ、ソープに行ってすぐイって、顔見知りの筋の人と出会うと愛想笑いを浮かべて深々と挨拶をして、俺等にとっての社会の常識を共有していった。 入って来た当初、クラく不幸自慢に満ちた雰囲気を持っていたアキラも心の底から笑うようになっていた。 俺たち5人が自販機の前で缶ビールを飲みながらタバコをふかしていると、2,3人の女子高生達が楽しげに通りかかった。 「おい!銭やるから俺のチンポしゃぶってくれや!」 トシオが女子高生たちに素直な御願いを大声で言った。 女子高生達は俺達に目も会わせず、小走りで走り去った。 俺達は笑いながら、「トシオ、銭やるって言ってお前やるほどあるんか!」 「お前現役のクセにカネ渡さんと女とヤレねぇのか?」 「いやぁ、俺高校行ってねぇから、現役じゃないっすよ。」 「現役のゾッキーだろが?」 「頭悪そーなのならいるんスけどね、キッツイっすよ。」 「頭悪くてもいいから手配してくれや、トシ。」 「おう、そうだ!トシオてめぇヤレる女連れて来いや!」 他愛も無い会話から、トモさんと照夫くんがトシオに女をせがんだ。 「いやぁ、そんな都合のいい女いないっすよ。」 トシオが困ったように言うのを見て俺が、「照夫くん、トシオのツラ見たらわかるでしょ、女の知り合いなんかそんなにいないんじゃないですか。」 とフォローするとトシオもソウソウとうなづき、輝夫君は、「ショボイのぉ!」と吐き捨てた。 俺は「俺も輝夫君もトモさんも女子高生とヤッたら淫行で捕まるよ。」と言うと、輝夫君が「判ってるけど、やっぱ女は若いのがエエよ。」と切なそうに言った。 そんな会話をしていると、アキラが「ヤレる女子高生いますよ。」と言い、俺達の強烈な視線を集めた。 「アキラッ!お前そんな素敵なツレがいんのか?!」 と俺が聞くと、アキラは「ツレって言うか、・・・明日でも写真持ってきますよ。」と早い行動を約束してくれた。 次の日、作業そっちのけでアキラが持ってきた写真に俺たちはクギヅケになっていた。 「アキラッ!メチャ可愛いじゃんか!っつーかキレイ系だな!」 「おうっ!こりゃ、かなりいい女になるぞっ!」 照夫くんとトモさんの批評の弁。 「この長い髪がいいっ!本当にこの娘とヤレんのか?」 お嬢様系好きの俺の弁。 「マジでマブイじゃんっ!アキラくんスッゲぇ!」 役立たずトシオの弁。 俺たちが絶賛の声をアキラに浴びせ、アキラもいい気分になっているところで、現場監督が「お前ら!仕事しないんならクビにするぞっ!」と、脅迫の弁。 休憩時間に、「この女、アキラとどういう関係?」と聞くとアキラは、「・・・皆が楽しんでもらえるなら、ヤッちゃっていいですよ。」と見当はずれな答えを言う、「じゃなくて、お前との関係は?」とさらに聞くと、アキラは「いいじゃないっすか、関係なんて。」といい難そうに言うので、「怪しいな、病気持ちとかそんなんじゃねぇだろうな?」と照夫くん。 「病気持ちでも命に関わらない病気なら、ワシOK!」と、すっかりその気のトモさん。 「そんなんじゃないですよ!普通の女子高生ですよ。みんなにとっては。」とアキラが意味深な事を言う。 「みんなにとっては、って?」と聞くと、「この女俺の姉貴ですから。」と衝撃告白をした。 「ふーん、そっか。」とトモさん、「なら、問題ないけど。」と照夫くん。 「えっ!!!」っと驚く俺をよそに、「いいなぁ、こんなにキレイな姉ちゃんがいて。」と、俊夫が言う。 1人で驚いている俺が馬鹿に思えてきた。 「姉ちゃん、ヤリマンなの?」 「いいえ。」 「・・・仲悪いの?」 「かなり。」 「ふーん、そうか。」 俺はアキラ姉弟の事情等どうでもいっか、という気になっていた。 季節は冬を感じさせる10月末だった。
レスを見る(2)
2003/11/13 16:50:35(WnHt6jux)
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