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お誘いいただいた男性から詳細を聞くと
そんなに遠くもないのに周辺には何もなく ちょっと面白そうだと思って承諾してしまった。 ワークマンで買い揃えた服と Columbiaのトレッキングシューズ、 40Lのバックパックを背負って 私鉄の駅に降り立った私は、 そこに似つかわしくない女性達と合流する S級とまではいかないが、かなりの美人の女性。 カップルでスワッピングなどを楽しんでいるそう。 香水のいい匂りがする。 ここには旦那さんに車で送ってもらったらしい。 もう一人は年齢不詳のぽっちゃりした若い女性。 肉便器になるのが趣味のドMらしい。 一緒の電車に乗ってたみたい。 二人とも軽装で 私だけがっつり登山の格好をしているのが これまたウケる。 軽く挨拶を交わしたが 人見知りの私はそそくさとその場を離れて、 何もない無人駅周辺を散策していた。 こんなお誘いがないと一生来ないであろう駅。 しばらくすると白い車に乗った男性が車から降りて、 彼女達と談笑しているのが見えたので、 私もそこに向かって挨拶を交わす。 眼鏡をかけた30代くらいの男性が主催者。 5人いた女性参加者は2人がドタキャンしたという話だった。 代々受け継いだ土地で林業を営んでおり、 竹林の伐採作業をしていて広大な私有地は 電波塔などが建てられており、 電力会社だか通信会社だかの収益などもあり、 それなりに裕福なんだそう。 そこで不定期に開催されるイベントは、 主催者の男性が見つけてきた女性達を 獲物と見立て、狩りを楽しむリアル鬼ごっこ。 事前にしっかりとした説明がなされ、 電子署名で契約書が交わされた。 性病検査もいくつか指定されたものがあり、 男女共に参加者には陰性証明を提出する必要があった。 結構しっかりしてる。 女性は事前に避妊リングの施術が必須で 領収書の写真を提出すれば その費用を負担してくれるということだった。 男性参加者の人数によって変動するが、 女性達には報酬もあるという。 男性参加者の人数を聞くと、12名とのこと。 ほとんどがリピーターらしく、 年代は30代から40代の人ばかりらしい。 主催者「女性参加者が減ったので、 1人あたりの報酬が増えましたよ、良かったですね」 口には出さなかったが、 笑顔の見せない淡々とした話し方に 一抹の不安を覚えたのは確かだった。
2024/04/06 15:15:21(hCMHUfZH)
現地に向かう車内の中で
シリコン製のリストバンドを渡された。 リストバンドは参加者の目印となるもので 音に反応して光る仕様になっており 物珍しさに私たちはわざと音を出して リストバンドの反応を楽しんでいた。 山林の中での鬼ごっこということで 遭難防止のためにエアタグを各自持たされる。 山林の地図を渡されたものの ちょっと難しくてよくわからない。 肉便器女はその地図を見ようともしないで 鞄の中に仕舞い込んでいた 現地に到着すると参加者の男性陣はすでに集合しており さっきまで和気藹々としていた女性達からは 一瞬サッと笑顔が消える 山林の中で男性達を前にした瞬間 想像を上回る恐怖が襲いかかってきた 大自然の中で、明らかに弱者の我々女性陣は これから野に放たれ、鬼達から逃げなければならない 私は血の気が引いた気がした 制限時間は4時間。 まず、女性が各自逃げ、30分後に鬼が放たれる。 つまり、3時間半逃げ切ればいいわけだ。 男性参加者からチラッと聞こえたことを信じるなら 女性1人あたり20万の報酬ということだった。 美人さんが恐怖と不安からか、私の手を握ってくる。 それに気づいた私は、肉便器女にも手を差し出し 私たち女3人は軽く震えながら手を繋いだ 主催者が倉庫から警報器を取り出し、 合図を出そうとしていた。 午前10時ぴったり ブォーーーーーーーン 警報器の爆音とともに 私たちは散り散りに駆け出した。 鬼ごっこの始まりだ
24/04/06 19:58
(hCMHUfZH)
投稿者:
星野ひかる
私は竹林を登ることにした。
そこそこ傾斜もある鬼ごっこフィールドは結構な体力を使う とにかく少しでも鬼達から離れたかった シンと静まり返った竹林からは私の足音しか聞こえない もう私以外の二人がどこに行ったかもわからない (これ、最悪、殺されるんじゃない・・・) 私も含め、美人さんも肉便器さんも 変態セックスには慣れているはずだし 契約を交わして合意のもとにここに来ているのだから それなりの覚悟はしてきたはずで。 私有地という名の無法地帯で開催されたこのイベントは 想像を遥かに超えた不気味さを醸し出していたし 私たちの顔色が変わるくらいにはガチだった それでも案外逃げ切れるんじゃないかといった希望も多少は残されていた。 ブォーーーーーーーン(ヤバい・・・ついに鬼が開放された)
24/04/06 23:31
(hCMHUfZH)
投稿者:
(無名)
続きをおねがいします。
24/04/08 13:44
(JVqrUi3B)
投稿者:
星野ひかる
女たちが山へ消えていった。
警報器を鳴らしてから、 まだ数分しか経っていない。 「行ったねえ」 誰かが言った。 「行ったな」 それだけ。 追いかける者はいない。 ルールでは、 俺たちが山へ入れるのは30分後だ。 それまでは待機。 さっきまで女たちが立っていた広場には、 男が12名だけ残された。 急にやることがなくなる。 「コーヒーあるよ」 主催者が倉庫を指差す。 「マジすか」 「飲む人?」 「俺ほしい」 「俺も」 ぞろぞろと倉庫へ戻る。 なんとも締まらない。 さっきまであれだけ緊張した顔で女たちを見送っていた男たちが 紙コップを持った瞬間ただの休日のおっさんの集まりになった。 「今日、天気めちゃくちゃいいな」 「最高っすね」 「雨だったら中止?」 「基本はね。滑るから危ないし」 「ああ、そりゃそうか」 一人が煙草を吸いに外へ出る。 別の男はスマホを見ている。 「ここ電波弱っ」 「そっちの角、入りますよ」 「ほんとだ」 男が倉庫の隅へ移動する。 「何してんの?」 「嫁に連絡」 「ちゃんとしてんなあ」 「昼には連絡するって言っちゃったから」 「何て言って来たの?」 「キャンプ」 一瞬の沈黙。 「まあ、間違ってはいない」 全員が笑った。 確かに山には来ている。 アウトドアでもある。 「俺なんかゴルフって言ってきた」 「クラブねえじゃん」 「細長いものならいっぱい生えてる」 「竹な」 くだらない。 本当にくだらない。 主催者まで笑っている。 さっき女性たちにルールを説明していた時とはまるで別人だった。 「そういえば今日、初参加何人?」 「三人かな」 「じゃあほとんど前回組?」 「そう」 「あの黄色の人も初めて?」 「ああ、登山装備の人?」 「そうそう」 「あの人だけ装備ガチだったな」 「40リットル背負ってきてたぞ」 「何泊する気なんだよ」 笑いが起きる。 「あれ見た瞬間今日あの人が一番強そうだと思った」 「俺も」 「靴もちゃんとしてたよな」 「Columbiaだった」 「よく見てんな」 「見るだろ」 紙コップのコーヒーを飲みながら女たちの話になる。 誰が速そうだったとか。 誰が最初に捕まりそうだとか。 そんな程度の話。 「あの白、速そうじゃない?」 「美人の?」 「そう」 「でも靴がダメだろ」 「あー」 「山は靴だからな」 妙に真面目な分析が始まる。 「黒は?」 「あの子は……」 全員が少し黙る。 「逃げる気あるのかな」 また笑う。 「地図、見てなかったよな」 「鞄に入れてた」 「潔いよな」 「まあ楽しみ方は人それぞれだから」 主催者が時計を見る。 10時12分。 「あと18分」 「まだそんなあんの?」 「あるよ」 暇だ。 一人が持ってきた菓子の袋を開けた。 「食べる?」 「何?」 「柿ピー」 「もらう」 紙コップ 缶コーヒー 柿ピー 煙草 山 十二人の男 これからやることを考えなければ、 町内会の草刈り前の休憩みたいだった。 「前回って何分だったっけ?」 「最初?」 「うん」 「青の子が早かった。40分くらいじゃなかった?」 「あれは早かったな」 「最初から下に逃げたから」 「あれやっちゃダメだよな」 「初参加はやるんだよ。出口探そうとするから」 「心理的には分かるけどね」 「駅に戻りたくなるんだろうな」 その言葉で、 何人かが笑った。 主催者だけは笑わずに コーヒーを飲んでいた。 「今日、どうする?」 誰かが聞く。 「普通でいいんじゃない?」 「最初から散る?」 「うん」 主催者が紙コップを置く。 地面に落ちていた小枝を拾い、 土の上に簡単な図を描いた。 途端に数人が集まってくる。 「ここが広場」 線を引く 「この辺が竹林」 また線 「多分、黄色は上へ行く」 「俺もそう思う」 「白は?」 「東じゃない?」 「じゃあ俺そっち行こうかな」 まだ口調は軽い。 作戦会議というほどでもない。 誰がどこへ行くかを、 雑談の延長で決めていく。 「最初から追わなくていいからね」 主催者が言う。 「了解」 「見つけても?」 「うん。場所だけ共有して」 「泳がす感じ?」 「最初はね」 「あいよ」 また誰かが柿ピーを食べる。 ポリポリという音がする。 10時22分。 あと8分。 さっきまで笑っていた男たちが、 少しずつ準備を始める。 靴紐を締める。 無線を確認する。 水を持つ。 煙草を消す。 「トイレ行っとこ」 「あ、俺も」 まだ緊張感はない。 10時27分。 主催者が立ち上がった。 「そろそろ行きますか」 その一言で、 なぜか雑談が止まった。 誰かが無線を腰につける。 別の男が手袋をはめる。 「今日暑いな」 「中入れば涼しいよ」 「だな」 最後まで会話は普通だった。 10時29分。 十二人が、 それぞれ決めた方向を向く。 さっきまでの笑顔が消えたわけではない。 怒っているわけでもない。 興奮して騒いでいるわけでもない。 ただ、 遊びの時間が始まるから、 遊ぶ顔になった。 主催者が警報器を持ち上げる。 誰かが小さく言った。 「さて」 別の男が笑う。 「行きますか」 10時30分。 ブォーーーーーーーン。 俺たちは散った。
26/08/16 17:16
(reokyP3Y)
投稿者:
星野ひかる
「右中腹、痕跡らしきものあり」
それまで静かだった無線が、すぐに返った。 「どの辺?」 声の質がほんの少しだけ変わっていた。 俺は位置を伝える。 「了解。近い奴だけ寄る」 誰かがそう返した。 ここで全員が一斉に集まるわけではない。まだ足跡と確定したわけでもないし、下手に人を寄せれば別の二人を取り逃がす。 俺はしゃがんだまま、地面を見る。 落ち葉のずれ。 折れた枝。 柔らかい土にわずかに残る踏み跡。 一つだけなら偶然に見えるが、同じ方向へ三つ四つと続けば話が変わる。 「こっち通ったな」 後から来た男が隣にしゃがんだ。 「たぶんな」 「上?」 「少し斜め」 「じゃあ東側に抜けるかも」 会話はそれだけだった。 さっきまで倉庫の前で缶コーヒーを飲みながら雑談していた男たちと同じ人間には見えない。 別に怒鳴るわけでもない。威嚇するわけでもない。 むしろ静かだった。 山に入った瞬間から、男たちの集中力は異様なほど高くなっていた。 足跡。 折れた草。 踏まれた落ち葉。 竹に残った泥。 人間が山の中を急いで移動すると、本人が思っている以上に痕跡が残る。 俺たちはその痕跡を一つずつ拾っていく。 「東、そっち何かある?」 「まだなし」 「少し寄っといて」 「了解」 無線越しの声も落ち着いている。 みんな楽しんでいる。 ただし浮かれてはいない。 見つけたい。 追いつきたい。 捕まえたい。 その欲求だけが、少しずつ男たちの意識を同じ方向へ向かわせていく。 そしてその「捕まえたい」の奥に、この鬼ごっこの本当の目的がある。 だから普通の鬼ごっことは集中の質が違う。 見つけた先に何が待っているのかを全員知っている。 逃げている女たちも知っている。 その共通認識が、ただの遊びを妙に生々しいものにしていた。 しばらく痕跡を追ったところで、前方の竹の隙間に一瞬だけ光が見えた。 白っぽい、小さな光。 すぐに消える。 俺は立ち止まった。 「今、光った?」 隣の男も止まる。 「見えた」 無線を取る。 「右中腹、光確認。黄色かもしれない」 数秒後、返事が来る。 「距離?」 「まだ遠い。姿は見えない」 「了解。詰めすぎないで」 誰かが小さく笑った。 「黄色か」 登山の格好をしていた女だ。 駅から来た三人の中で、一人だけ40Lのバックパックを背負っていた。 あれを見た時は少し笑った。 だが山に入ってしまえば、一番厄介なのはたぶんあの女だ。 靴が違う。 装備が違う。 何より、あの格好なら多少の斜面でも躊躇なく進める。 「結構上まで来てんな」 「本気じゃん」 まだ笑う余裕がある。 俺たちはすぐには追わなかった。 光が見えた方向だけ確認して、少し間隔を広げる。 逃げ道を塞ぐのではない。 逃げ道が存在し続ける状態を作らない。 人間は道があると走る。 道がないと止まる。 だから完全に消すのではなく、本人が気づかないまま少しずつ選択肢を減らしていく。 「右、俺回る」 「じゃあ俺上見る」 「了解」 誰も大声を出さない。 一人が右へ回り、もう一人が上へ入る。 俺はその場で待つ。 竹林は音が多い。 風が吹けば葉が擦れ、幹が軋み、足元では枯れ葉が鳴る。 こちらが動き続ければ、相手の気配まで全部かき消してしまう。 だから止まる。 待つ。 しばらくすると、また遠くでリストバンドが光った。 今度はさっきより少し右。 「動いてるな」 「上じゃない。横だ」 「東寄せる?」 「まだいい」 追わない。 少し泳がせる。 どこへ行きたがっているのかを見る。 単純な遊びだ。 追う。 逃げる。 回り込む。 また逃げる。 なのに妙に楽しい。 数分後、竹林の奥で影が動いた。 一瞬だけ。 女の身体。 すぐに消える。 「いた」 隣の男の声から笑いが消えた。 空気が一気に張り詰める。 全員が同じものを見ているわけではない。 だが無線一本で意識が一点に集まる。 「黄色、確認」 「方向」 「東北東。上には行ってない」 「了解」 ここから少しずつ変わる。 足取り。 距離。 斜面。 進行方向。 どちらへ切るか。 見えた瞬間から、女はただの痕跡ではなくなる。 呼吸が少しだけ深くなる。 追いついた後のことが頭の片隅をよぎる。 それを考えた瞬間、追跡に別の熱が混ざる。 ただ捕まえるだけではない。 だからこそ焦って台無しにしたくない。 「まだ走るなよ」 誰かが低く言う。 「分かってる」 女の姿がまた竹の向こうへ消える。 俺たちは距離を保ったまま、静かに動き始めた。 ここからは追跡ではない。 少しずつ形を作る。 逃げる方向を読む。 その先へ誰かを置く。 振り返った時には誰もいない。 進んだ先にもまだ誰もいない。 そう思わせたまま、逃げられる余白だけを減らしていく。 リストバンドがまた光る。 ピカッ。 竹の隙間に一瞬だけ白い点が浮く。 誰かが小さく笑った。 「あれだ」 まだ遠い。 まだ捕まえない。 その距離が、今はちょうどよかった。
26/08/16 17:34
(reokyP3Y)
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