***第1章の1***　

　これは私の二十歳前半の頃の忘れられない思い出です。
どこまでがノンフィクションなのか、どこからフィクションな
のかは貴方の判断と妄想のままに…(笑)お読み下さい。
　
　大学を出てしばらくデザイン事務所でアルバイトした後採用
された家電メーカーの子会社に入社しました。ほとんどが40代
以上の男性だけで最初は可愛がられていたけど徐々に手間のか
かる仕事やセクハラを受けるようになってきて働き辛くなって
きてました。
実家では父親が仕事を失敗して借金を作り、母親に内緒で親
戚からお金を借り捲っていて　それが発覚して父親の親戚から
父親ではなく母親が責められるようになり実家が嫌になって、
大学は大阪の大学を選んで一人暮らしを始めたのです。
　兄夫婦が働いて借金の返済を助けていてくれていたのに自分
だけが逃げ出したことにジレンマを感じていました。だからお
寿司屋さんでアルバイトして学費を稼いで少しですが実家に仕
送りもしながら卒業しました。
　アルバイトはOLになっても続けていたんですが、仕事や実家
の事で心が不安定になって摂食障害や引き籠りに近い状態にな
ってアルバイトに穴を開けがちになました。訳を話して辞める
と言ったら、引き留めてくれたんですがやはり悪いと思い辞め
る事にしました。
　でも摂食障害とかストレスで食費等がかさみ仕送りするどこ
ろじゃなくなって、仕方なく効率のいいアルバイトを探して繁
華街をよく彷徨っていたように思います。仕事帰りにいつもの
ように梅田の近くの繁華街を歩いていた時、後に働くようにな
ったデートクラブのオーナーが声を掛けてきたんです。
「ねぇ、そこの彼女…何か探してるん？それとも誰か探してる
　ん？もしかしてアルバイトとか…ちゃうかったらごめんな気
　にせんといてや。」
と言って去って行こうしてるオーナーに
「ねぇ、おじさん、わたしアルバイト探してるんやけど、危な
　くなくて効率のいいのを…」
　普段なら知らない人にそんなこと絶対に聞かない娘だと言う
事は私自身が一番よく知ってる…でも気持ちが壊れかけてた私
だったからそうしてしまったのかもしれない。振り向いて足を
止めたおじさんは近寄ってきて詳しく説明をはじめた。
　おじさんはデートクラブのオーナーである事　最近は素人っ
ぽい子が居なくなった事、常連の指名客が付いてすぐに店を通
さずに商売をする子が増えた事、そして良い子が入ってきても
お店からみかじめ料を取っているヤクザに目を付けられて消え
てしまう娘が時々居た事、だけど自分のお店はそんな事は起き
なていない事など…私に力説して、そしてお店の新しい女の子
をスカウトしてる事を私に告げた。
　デートクラブと言われてさすがに怯みましたが、お客に付き
合って食事やカラオケとかの相手をするだけで、性的なことは
発生しないから試しにでもいいから一度体験しに来てみて欲し
い、それに貴女なら絶対にお茶っぴきにはならない、直ぐにで
も太客の指名客が付くと思うから…と、そう言われてちょっと
だけ体験見習いをして見ようかという気持ちになりました。
　何度かお客を取ってるうちに紳士的な人(滅多にいないです)
や目がぎらぎらでいかにも獲物を狙ってるって感じの人、直ぐ
に唇を奪いに来る人、お金払って連れて行ったカラオケで自分
だけ歌って満足して帰る人、何かにつけて私の太ももを撫でて
くる人、様々な客の相手を体験しました。
　さすがに風俗の様なものなだけあってオーナーが言っていた
ように性的なことは発生しないってことは無いなぁと言う事を
実感しました。だから客に付き合ってる時たまに身体を触られ
たりはしたけど身体を求められた時等は拒否をして、トラブル
とすぐにオーナーが駆けつけてくれる事も本当なんだって解っ
て、生活の問題もあったのでしばらく続けてみるとオーナーに
言って本採用されました。
　ある日、昼間の仕事が終わってお店に向かってる時、財布や
携帯の入ったリュックをひったくられて警察に届けた結果、後
日リュックは出てきたけど、財布や携帯は戻ってはきませんで
した。財布はともかく携帯は買うのを躊躇っていました。ずい
ぶん後になって、とある叔父さまに買って頂くまで使っていま
せんでした。

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