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1:息子の友人に…
投稿者:
昭子
一ヶ月に一度の割合で、昭子はこの室を訪れている。
大学生の一人息子の隆が借りているワンルームのアパ ートの掃除のために、今朝早く家を出てここに着いたの は九時半過ぎで、隆は大学に出ていて不在だった。 ワンルームなのに床やテーブルの上に散らかっている ゴミの片付けと拭き掃除だけで一時間近くかかるくらい 室内は雑然としていた。 それから流し台と浴室周りの掃除と、窓のガラス拭き やベッドのタオルケットをベランダに干し終えて一段落 したのはもう昼近い刻限だった。 隆は夕方までゼミがあって帰らないと昨夜の電話で聞 いていた。 額と首筋の汗を拭きベッドに腰を下ろして昭子は化粧 を直しながら、ふと息子の隆や家族のことを思った。 遠方へもう何年も単身赴任をしている夫。 その夫が不倫しているのがわかったのは半年ほど前の ことだった。 二十一年間の夫婦生活のあっけない崩落の、離婚はそ う遠くない時期に来ている。 口紅を引き直すのに覗いていた小さな手鏡の中の自分 の顔を覗き込んで、昭子はやるせない表情になった。 世間知らずのまま二十歳で今の夫と結婚して、四十一 歳の今日まで子供一人を育てるのに自分なりに努力はし てきたつもりだった。 身長が百五十センチそこそこで体重も四十五キロ前後 と小柄で華奢な体型だったが、大病もせず人生の半ばを 過ぎようとしている。 小さなため息をついてふとベッドの脇の棚を見ると、 カバーに入った薄いDVDが目に止まった。 何気なく手に持ち裏返すとサインペンで「マルクス・ レーニン主義の崩壊」という仰々しい文字が乱暴な字体 で書かれていた。 大学のゼミのビデオかと思い、昭子は子供がどんな勉 強しているのかという単純な好奇心で、近くのテレビを 点けそのDVDを差し込んだ。 すると黒い画面のすぐ後、どこかの室内が映し出され れ、何かが壊れる物音と同時に女性の悲鳴のような声が 飛び込んできた。 カバーのタイトルとは全然違うような場面がすぐに出 て昭子が驚きの表情をしてる間に、さらに驚愕の信じら れないような場面がテレビ画面に映し出されたのだ。 リビングルームのようだった。 テーブルの周囲を衣服の大半を剥ぎ取られた女が恐怖 に怯えたような目をして逃げ惑っている。 トランクス一枚の裸の男が女を追い回していた。 男は一人ではなくもう一人いて、やがて女は二人の男 に挟み込まれるようにして捉まり、テーブルの上に仰向 けに倒された。 一人の男が女の頭の上から両手首を掴んで持っていた 紐のようなものでテーブルの足に素早く括りつけた。 「やめてっ!許して…」 と女が首を激しく振りながら何度も声を上げ続ける。 男たちは無言のまま女の下半身のショーツを脱がしに かかり、剥き出しの両足をおし拡げて両足首を同じよう に紐でテーブルの脚に括りつけた。 サインペンで書かれたタイトルとはまるで違う女性暴 行の卑猥な画面に、昭子は息が止まるくらいの驚愕に唖 然とし、思わず全身を硬直させてしまっていた。 すぐにでもビデオを消そうとしたが身体が動かなかっ た。 画面はさらに続き、二人の男がテーブルの上で両手両 足を拘束した状態の女に襲いかかっていた。 一人が女の剥き出しにされた乳房に荒々しく舌を這わ し廻っていて、もう一人が卑猥におし割られた女の下半 身の中心部に顔を深く埋め込んでいた。 女の儚い拒絶の声だけが聞こえていた。 その行為がしばらく続いて画面が急に変わった。 畳の室だった。 布団が敷かれていて同じ女が全裸で四つん這いにされ ていた。 一人の男が背後から臀部のあたりを抱え込まれるよう にしてつらぬいていて、もう一人の男が女の顔の前で膝 を立てている。 男の露出した下腹部のものに女が恍惚とした顔で自ら の口での愛撫を繰り返していた。 テレビのスイッチを昭子は片手で握り締めていた。 ボタンを押せば画面は消える。 しかしもう一方の手が自分の胸のあたりに伸び固く抑 えつけていた。 指が乳房をわし掴んでいた。 昭子自身、自分でも予想していなかった行動だった。 こういう如何わしいDVDがあるとは知らない昭子で はなかったが、自身が面と向かって観るのは無論初めて のことである。 普通なら一も二もなくビデオボタンを押していた。 今日の昭子は何故か違っていた。 自分が自分でなくなってしまっていることに、その時 の昭子は気づいていなかった。 テレビの画面から女の激しい喘ぎ声が間断なく洩れ続 けている。 よく見ると女は若くはなく、自分と同じ四十代くらい の熟れた身体つきをしている。 男二人は若かった。 女がいまはもういとおしげな表情になって舌を這わせ 唇を擦りつけている男のものに、昭子の目は釘付けのよ うになっていた。 それは女の唾液で妖しく濡れそぼっていたが、人間の ものとは思えないくらいの巨根で、上に向かって大きく 反り返っていた。 昭子はただ唖然とするばかりだった。 そして数分後、昭子は息子のベッドの上であられもな い姿態を晒け出していた。 ブラウスを脱ぎ、ブラジャーを上にたくし上げて片方 の手で小さくかたちのよい乳房を揉みしだいていた。 スカートも脱ぎ捨てられ、露わになった薄い水色のシ ョーツとパンストの上からもう一方の手の指を這わせて いた。 切れ長の目が薄く閉じられ、昭子の整った顔全体が朱 気色に染まり、かたちのいい唇から今にも喘ぎの声が洩 れそうになっていた。 昭子自身、自慰行為は経験している。 単身赴任の夫との行為の間隔が途方もなく長く続いた 時、布団の中で知らない内に自分で自分を慰めることが 何度かあった。 体質的なものかとくに生理の始まる数日前が堪え切れ なかったのは事実である。 しかしこのような卑猥なDVDによっての突然の発情 は当然経験のないことだった。 ショーツの中まで昭子は指を這わし入れていた。 そこは自分でも驚くくらいに熱く濡れそぼり愛液が溢 れ出そうになっていた。 「ああっ…」 忘我の境地の熱い沼底に昭子は陥ろうとしていた…。 駅前のパチンコ店を不機嫌な顔をして裕人は出た。 大学のゼミをサボってのあえない撃沈でむしゃくしゃ した気分で歩道を歩く裕人の脳裏に、この近くに住んで いる友人の隆の顔がふと思い浮かんだ。 隆に借金を申し込んでパチンコの再勝負をしようと決 め、小走りに隆のアパートを目指した。 真面目な隆のことだからアパートにはいないであろう というのはわかっていたが、裕人はその室の合鍵を持っ ていたのだ。 隆の室のドアの前に立ちノックしようとした時だった。 ドア横の流し台の前の小窓が小さく開けられていて、 中から人の声が微かに聞き洩れてきているのがわかった。 それも普通の声ではない。 裕人にはそれが以前に隆に貸したDVDから出てる声 だというのがすぐにわかった。 (なんだ、あいつサボってあんなの見てるんだ) 裕人に悪戯心が湧き、こっそりと入り込んで驚かせて やろうと思い、ドアに静かに鍵を差し込み忍び足で中に 入り込んだ。 ビデオからの声が一段と鮮明になった。 「…………!」 腰を屈めながら玄関の上がり口で身を潜めようとして いた裕人の耳に、DVDからの声とは違う女の喘ぎ声が 唐突に飛び込んできて思わず愕然とする。 声は斜め前のベッドの上からだった。 目を凝らしてそちらを見ると、一人の見知らぬ女があ られもない姿態を晒け出して横たわっていた。 ベッドの上に女の衣服が散乱していて、上半身裸でシ ョーツを膝のあたりまで下ろした恰好で、こちらに背を 向けた状態で身を横たえていたのだ。 小柄で華奢な体型だが、女の白い背中とかたちよく括 れた腰のあたりの艶かしさに裕人は思わず生唾を呑み息 を大きく吐いた。 ベッドの上の女が振り返った。 裕人と目が合う。 「ああっ!!」 と女は慌てふためきベッドから起き上がり、散らばっ ていた衣服のいくつかをわし掴んで室の隅に駆け込み蹲 った。 「あ、あんた、誰っ?な、何故ここに?」 裕人はその場で立ち上がり、少し吃音口調で女に声を かける。 「…………!」 細い両肩をこれ以上ないくらいすくめて女は蒼白の顔 を深く埋め込んでいた。 「あ、あんた…も、もしかして隆のおふくろ?そうだ ろ?隆が二、三日前にいってたよ」 早く平静を戻したのは裕人だった。 そして裸身を晒け出して小さく蹲っている隆の母親を 見て、裕人の心に卑猥の悪魔が降りた。 裕人が次にとった行動は、昭子に徐に近づき彼女が握 り締めていた衣服を強引に奪い取り、室の反対側のほう に放り投げたのだった。 それから全裸の昭子の片方の手首を掴み、ベッドの上 に嫌がる彼女を座り込ませた。 「こんなこと、息子の隆君にいったらどうなります? お母さん」 「……………」 「あいつ、俺らと違って真面目に大学行って勉強して るのに、そのお母さんが息子のベッドの上で恥ずかしい 行為をしてるなんて。…お母さん、はっきりいって俺の 胸一つですよ」 「……………?」 「俺が黙ってりゃいいってことでしょ?」 「……………!」 「俺を、ここでお母さんがその身体で楽しませてくれ たら、今日のことはすっかり忘れてあげますよ」 「…そ、そんな!」 蚊の鳴くような小さな声で拒み首を振る昭子。 「お母さん、この状態であなたには拒否権はないんで すよ。嫌なら今すぐに隆に電話入れて見たこと全部話し ます!」 激しい動揺と大きな狼狽の中で、昭子はしばらくして 裕人に対して首を小さく縦に振った。 全身をこれ以上ないくらいに固くして、昭子はベッド の上に全裸のまま仰向けに寝かされた。 昭子の胸のあたりのすぐ横に、露骨に喉を鳴らし唇を 舐め回す裕人が座り込んでいて、彼女の白い裸身を上か ら見下ろしている。 昭子は目を固く閉じ、両手を下腹部に伸ばして茂みの 垣間見える秘部を覆い隠していた。 「ひっ……」 裕人の手が唐突に昭子の片方の乳房を掴みにきていた。 そして無遠慮に揉みしだかれる。 裕人の舌が昭子の耳から首筋を這ってくる。 奥歯を噛み、足の指先を強く引き伸ばして隆の友人の 裕人の屈辱の責めに堪えようとする。 「ううっ…むむっ」 裕人の唇が昭子のかたちのいい唇に重なる。 裕人の舌の侵入を歯を閉じて必死に拒もうとしていた 昭子だったが、やがてついに根負けしたように歯と歯の 間を開けた。 長い間、昭子は唇を重ねられた。 乳房への愛撫も左右交互に執拗に繰り返された。 ついさっきまで溺れていた自慰行為で一度絶頂の近く まで昂められていた身体の反応は、昭子の屈辱の意思と は裏腹に早くもその兆しを露呈しようとしていた。 「ああっ……」 裕人の唇が昭子の赤く上気した耳朶を這いそこに熱い 息を吹きかけられた時、彼女は喉の奥から搾り出すよう な喘ぎの声を挙げた。 乳房を弄んでいた裕人の手が昭子の腕を掴み取る。 昭子のその腕に抗いの力はなかった。 自分の手を自分の乳房に当てられ掴まされた。 二十歳そこそこなのに女馴れしているのか、裕人の手 と唇の責めは丹念で老練だった。 熱い昂まりが昭子の体内から湧き出てきているのを、 恥ずかしくも彼女自身が実感させられる寸前までに追い 詰められていた。 唇を重ね合うと若い裕人の舌に昭子の舌は従順に呼応 した。 昭子は自ら犯してしまった恥ずかしい失態で、息子と 同じ年の若者の手管によって、卑猥極まりない官能の奈 落の淵に堕ちようとしていた…。 つづく
2014/10/08 18:34:32(ucMFVjKd)
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