次の日

いつものようにパソコンを開く

掲示板のショートカットをクリックする

立ち並ぶスレッドの名前を読み進めていく


昨夜、自分で打ち込んだ表題・・・その後ろに着いているレスの数字を読み軽い絶頂を感じた

４５

スレッドを開き読み進めていく
自分の名前に見知らぬ男達が群がり、貶し、罵り、脅し、命令し、凌辱を宣言していた

何度も読み、何度も体を弄った
頭の芯が熱くなり、思考が鈍るほど何度も何度も・・・

また敬子はキーボードを叩く
エンターキーを叩くためらいは、リスクを考える理性は、昨日よりも薄れていた

レスの容量が１０００のスレッドが満タンになる頃には性癖の暴露が完了していた

日に一度だけ書き込む敬子の元カレの友人と名乗る男(つまりは敬子本人)は、敬子を淫乱なマゾと罵り続けていた
そして敬子への男達の欲望が弱まらないように、マゾの根拠としてのエピソードを投下していった

わざわざ顔射されてから精液を飲まされるのが好き

乱暴に襲われないとイかない

輪姦願望がある

便器と呼ばれると濡らす


様々な行為を様々な表現で書き連ねた
経験のない処女の敬子の文字には多少の矛盾があったが、妄想を楽しむ掲示板の男達は盛り上がった
そして、敬子にとっての最悪の質問が書き込まれる

【そーいや、何線だったっけ？電車】

とても軽く読めた
シンプルだった
悪意の感じられない表現

だから、敬子が後悔したのは、エンターキーを叩き、画面に表示された文字を読んだ後だった

○○線だよ

何度もオナニーをした後の惚けた頭が、何度も書き込みをした慣れからくる油断が生んだ失敗だった

初めて書き込みをした日と同じ、心臓が締め付けられるような感覚を感じながら、敬子は後悔した

怖かった
何日間も掲示板を読めなかった
考えれば考えるほどリスクが高く感じた

敬子のプロフィールは、当然ながらいろいろ書き込んである
どこかの誰か・・・なんて書き込みで相手にされる訳がない
高校名も、学年も、身長も体型も髪型も・・・

高校の場所を考えれば、路線の最寄り駅は特定される
胸元に縫い付けられた学生証は切り取れない
何より身体的な特徴は、ホクロの位置など誤魔化しようのないものまで書き込んでしまっている
それを正解に伝える事が興奮に繋がっていたから



数日が経った
時間がたつと、なんの変化もない事が逆に不安を煽る
増し続ける不安に負けて、敬子はパソコンを開く

最初のスレッドは、路線名の確定に対する歓声で埋まっていた

そして当然のように、次のスレッドが作られていた
もちろん敬子の名の後ろには路線名が書かれていた

敬子は確認したい気持ちと、恐怖で目を反らしたい気持ちとを交互に感じながらスクロールしていく
そして、敬子自身の予想よりも、さらに悪い状況を見る


投稿者 見つけた
投稿内容 ○駅、１６時２０分

その下には画像が添付されていた
そこに写っているのは、学生服を着た敬子だった

泣きそうになる

視界から消したくてスクロールし、さらに絶望する

そして切り替わった画面にも別の男による別の日の画面報告があり、さらにスクロールした先にもあるのを見て、敬子の心が折れた


画面に表示されている自分の画像
そしてその画像に向けられた凌辱の言葉


犯す

輪姦

肉便器

性処理玩具


どれもみな、敬子が書き込み男達に植え付けた言葉
だからこそ的確に敬子の恐怖心を煽る
だからこそ的確に、敬子の性癖を刺激する

敬子は恐怖に震えながら、涙を流しながら・・・けれど指を自分の体に這わせて達した

恐怖と絶頂を同時に感じた

それは敬子の心を折り、性癖を敬子自身に自覚させた

その日から、また掲示板のチェックが日課になる