真夏に相反して、真っ白い肌に細い身体は、いかにも爽やかで清々しい。
風に吹かれて靡く黒髪が無造作に揺れ、シャンプーの甘くてフルーティーな香りが漂う。

白地に大人しい花柄のワンピースに茶皮の編み上げのヒールサンダルからスマートなふくらはぎがそっくりでている。
夏を無関係に思わせる、その細いふくらはぎは透明なほど白く感じる。

『ダメだ…やりたいっ!!この女…堪らないっ!!』
そう思ったのは、その女性のうしろに立ち、デパートのエレベーターを降りようとした、その、エレベーターのドアが開いた瞬間の事だった。

『パパぁ!!3階だよぉ…降りようよ』
咄嗟にズボンを引き、子供の甲高い声がする。
『くそっ…』
吐き捨てて子供の手をひいてエレベーターを降りた。

しかし、子供の手を引きながら、頭の隅でエレベーターの女性をつけていく自分がいた。
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彼女は、デパートを出ると裏側の人気の少ない路地に差し掛かる。
暗がりにまぎれ、俺は後をつける。
段々、街灯も少なくなり、人気の無くなったオフィス街に出る。
彼女は後ろを気にするでもなく、真っ直ぐｺﾂｺﾂとヒールを鳴らして歩き続けていく。
やがて、車道側に壁とも言えるようなイチイの樹の碧の壁が車道と歩道とを完全に遮った。
車道の逆側は、入り口のないビルの壁が延々とつづいていた。
『今しかない!!』
そう思って、一気に彼女に駆け寄り、いきなり後ろから羽交い締めにして、彼女の顔の前あたりにナイフをちらつかせ
『騒いだりしたら、ぶっ殺す！いいな！大人しく、言う事を聞けば、怪我はさせねぇ!!』
彼女は身体を硬直させ、前を向いたまま、小さく何度も頷いてみせて
『は、はい…。騒いだりしないので…お、お願いしますっ!!こ、殺さないでっ!!い、言う事なら聞きますから、聞きますからっ!!』
そう懇願した彼女は、恐怖で手を胸の前で拝むように組んで、俯いて震えはじめた。
羽交い締めから、腕をほどき彼女の肩を掴み、此方を向かせた。
すると、なんとっ!!テレビでよくみる女優ではないかっ!?


…………………‘з’）
いやいやっ。
まてまて。
おかしいって!!

妄想でも、女優はダメだろ。


ふと、シラケてしまっているところに無邪気な娘が真剣な表情で俺を除きこみながら『パパっ!!どうしたの？へんよ？』

こうした時の、なんとも言えぬバツの悪さ。

気を取り直して娘と並びデパートをウロチョロして、結局、エレベーターの彼女は見つからないまま、愛しい愛娘に、いつの間にかＤＳ３やら、洋服やら１７０００円も消費させられていた。

(￣□||||！！


柄にもなく、ションボリしながら、愛しい愛しい愛娘の手を引きエレベーターに乗る。

!?
いた！
彼女だっ!!


すると彼女は、こちらに一瞥。
ニコッとわらい
『かわいーお嬢様ですね？お名前は？』

愛娘は、自慢気に少し顎を突き上げ
『平井かなみですっ!!ごさいですっ!!』
俺の方がウケてしまう。
『あら、かなみちゃんって言うの？かわいーお名前ね♪パパがつけてくれたのかな？』
そして、再び自慢気な愛娘は…
正々堂々と答える！
『わかりませんっ!!』

いやいやっ!!
ふいたっ!!
大笑いだった。
彼女も、大笑いしてエレベーターが下の階に到着すると彼女は笑顔で
『それでは♪ニコッ』と、エレベーターを後にした。

家にかえり、妻に話した。
妻も一度は、大笑いしてかなみの頭を撫でた。

愛しい愛しい愛娘の一言
『パパね…エレベーター最初のったときね、降りてね、ヤりてーっていったからね、かなみね、パパもねエレベーターすきかなぁって思ったの。その後ね、パパぼーっとしてたけどねゲームもね、お洋服も買ってくれたの。かなみね、かなみね、パパしゅきっ♪』

妻。
(-_-)ｱﾅﾀ、ﾁｮｯﾄ…

俺。
(;^_^)/ ﾊｲｯ…ﾅﾝﾃﾞｼｮｳｶ。
妻。
『エレベーターの女ってぇ…? なんの事か、説明してもらえんかのぉ…。おぉ!!ごらぁ!!ぶちころしたるぞっ!!おんどらっ!!』
ドガッ♪バキッ♪ボゴッ♪

ひぃえぇ～！
ちぬーっ!!
かなみーっ!!
パパ！ちぬーっ!!
ドガッ!!


…ちーん。

これぞ、まさしく
レイプな１日でありました。