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1:母娘・陵辱
投稿者:
マコト
駅前商店街のアーケードを抜けたところの路地
を曲がった雑然とした通りにそのマンションはあ った。 鉄筋コンクリート造の四階建てで、入り口に 『ロイヤルマンション』と洒落た名前が書かれて いたが、くすんだ灰色の壁面のあちこちにクラッ クが幾筋も入っていた。 午前九時半を少し過ぎていた。 高野奈津子はその建物の入り口の真向かいに立 ちすくみ、かたちのいい唇をきっと噛み締めなが ら、切れ長の目を険しくして、前面の古びたマン ションを見上げていた。 約束の刻限は十時だった。 三階の三百五号室が訪ねる目的の室である。 そこに昨夜から奈津子の母の礼子が、おそらく 数人の男たちに監禁されているのだった 奈津子の弟の正人が、数週間前に仕出かした不 祥事の処理に、母は昨夜からここを訪ねているの だ。 弟の不祥事というのは、数週間前の昼間、駅近 くのスーパーの事務用品売り場からシャープペン シル二本を正人が万引きをしたということだっ た。 大学の仲間三人とそのスーパーに入り、度胸試 しのようなふざけ気分でしたのが、正人だけが警 備員に現行犯で捕まり、そのことが警備員から母 の耳に入り、そして母は娘の奈津子に内緒で単独 で事後の処理にあたっていたのだった。 母の礼子は娘の奈津子が勤務する私立鈴峰学園 高校の教頭職をしている。 息子の仕出かした恥ずべき行為に、母はおそら く自分が聖職の身であることを忘れ、子を持つ親 の心情を不覚にも優先させてしまい、事を穏便に 済まそうとして動いていたのだ。 これまでにも数度の交渉に母は単独で出かけて いたということだった。 相手は正人を捕まえた警備員一人で、いまのと ころはスーパーの店長にも知らせていないとのこ とで、子供の親として母は迂闊にもその警備員と の示談に持ち込んでしまったのだった。 そんな不埒な顛末の全てを奈津子が知ったの は、昨夜の正人の口からで、愕然とした思いでい るところへ、その警備員から自宅へ電話がかかっ てきたのだ。 「娘さんですか?もうご承知だと思うが例の件 でお母さんと何度も交渉しているんだが、埒が明 かないんで、あんた来てもらえるかな?」 そして訪ねる場所と時間だけいって、その電話 は一方的に切れた。 その警備員のいった場所が、奈津子が立ちすく んでいる前面のマンションだった。 奈津子は地味な黒のスーツ姿で下はスラックス だった。 気持ちは一刻も早くその室を訪ね、母を無事に 救け出したかったのだが、奈津子の心の中にある 逡巡のような思いがあった。 昨夜の警備員が電話の最後で、 「今晩はお母さんが償いの奉仕をしてくれるみ たいだから、明日の朝ゆっくりでいいよ」 と含み笑いをしながらいった言葉が、奈津子を 逡巡させていたのだ。 母がどうされているのか? 二十七才の奈津子にも警備員の言葉の意味のお ぞましさがわかった。 母は男に陵辱されている! 汚らわしく不浄な想像が、奈津子の頭の中を何 度も何度もかけ巡った。 母の年齢は五十七才である。 聖職の身に長くつき、五年前に夫と死別してる が、子供の目から見ても女性という面をほとんど 見せず、教師としてそして子供の母として毅然と 生きてきている母だった。 何度も何度もそう思おうとした奈津子だった が、男がいった奉仕という言葉の意味を突き詰め ると、おぞましい不安はさらに増幅するばかりだ った。 腕時計に目をやると十時まであと七分くらいに なっていた。 意を決したように整った顔の表情を険しくし て、奈津子はマンションの入り口に向かって歩き 出した。 三階の三百五号室のドアの前で奈津子は一瞬躊 躇したが、そのままチャイムボタンを押した。 ドアが外に向いて開けられ、ランニングシャツ と派手な色のトランクス姿の中年の男が応対に出 た。 「高野ですっ」 奈津子は初対面の相手の顔を強く睨みつけるよ うにして言葉を発した。 薄暗い中のほうから煙草と酒の匂いに混じっ て、嗅いだことのない饐えた体臭のようなにおい が奈津子の鼻腔を直撃してきた。 「綺麗なお嬢さんだ。…ふふっ、まぁどうぞ」 男は気色の悪い含み笑いを見せながら、奈津子 に背を向けてスタスタと中へ入っていった。 狭い玄関口には男物の靴が数足産卵していて、 隅に母の礼子のものらしき細いヒール靴が置かれ ていた。 短い廊下があって突き当たりで室が二つに分か れていた。 奈津子を迎えた男が入った右側のドアを開ける と六畳ほどのリビングになっていて、さっきの男 がソファの上に煙草を咥えながらだらしなく座り 込んでいた。 「母は…母はどこなんですかっ?」 ドアの手前で立ちすくんだまま奈津子は激しい 詰問口調で男に向かっていった。 「まぁ慌てないで…お嬢さんはここへ話し合い に来たんでしょ?」 朝の十時だというのに窓のカーテンを閉め切っ たまま、電灯を煌々と点けた室の空気は目に見え るくらいに澱みきっていた。 「早くっ…早く母を出しなさいっ」 怒りをあからさまにした強い眼差しで、奈津子 はさらにいった。 母がこの室にいないということは明らかだっ た。 「お嬢さんっ、のっけからそんな強い声でいわ れる筋合いはこっちにはないんだぜ。こつちが穏 便に事をすませてやろうと思ってるのに、いきな りそんな口調じゃあ話しにならんよ」 男が煙草の火を前の灰皿に揉み消しながら、少 し怒気を込めた声色で言葉を返してきた。 奈津子は一瞬の判断で、 「ご、ごめんなさい。別にあなたを怒らせるつ もりでは…母が、母が心配なだけでつい」 と声を落としていった。 「お母さんのことはともかく…ここははっきりと お金で解決しましょうや。ね、お嬢さん」 相手のその言葉も、昨夜の電話で一部は聞かさ れていた。 いまは母を無事にここから連れ出すことが第一 条件だった。 「わ、わかりました。ここにいま五十万用意し てます」 そういって奈津子は下げていたバッグから封筒 を取り出し、テーブルの前に素早く置いた。 「店にも話さず、自分の会社にも報告せず、私 一人の胸に収めるには満足ではないが、まぁいい でしょう」 男は封筒から札束を取り出し顔の前でペラペラ とめくる動作を続けながら、 「こういうことをもっと早くにやってくれてお けば…あんたのお母さん、あんなに苦労しなくて よかったのになぁ」 と呟くような声でいった。 奈津子の背筋に怖気のようなものが走った。 「お母さん、向こうの室にいるけど…いまは行 かないほうが」 「…………!」 奈津子は声を出せなかった。 「昨日から俺のダチが二人来てるんだ。いまは そいつらと…」 奈津子はその場にいたたまれなくなり踵を返し て廊下に出て、対面の室のドアの前に立った。 声が洩れ聞こえていた。 「ああっ…ああん」 母の声だった。 何かが軋む音もする。 母が二人の知らない男たちに何をされているの かがわからない奈津子ではなかった。 そのドアを勢いよく開ける勇気は、さすがに奈 津子にはなくゆっくりとドアノブに手をかけ、ま るで忍び除き込むようにして静かに隙間を作っ た。 そこも窓のカーテンが閉じられ、電灯の照明が 煌々としていて、ベッドの中央で二人の男と一人 の女が全裸のままで妖しく絡み合っているのが、 数センチほどのドアの隙間からはっきりと垣間見 えた。 奈津子は息が詰まりそうになるくらいの驚愕を 顔の表情で露わにしていた。 ベッドの上で全裸の母が犬のように這わされて いた。 母の剥き出しの臀部に若い男が膝をついて密着 している。 その男の手が母のくびれた両腰を抱え込むよう にして、自分の腰を前後に律動させていた。 母の顔の前に頭の禿げた六十年配の肥った男 が、ベッドに両足を拡げて座り込んでいる。 母の顔がその男の股間のあたりに深く潜り込ん でいた。 男のものを母は口の中に咥え込んでいた。 「うぐっ…ううっ」 母の声だけが室に充満していた。 このまま踏み込むのがいいのかどうか? 奈津子の頭の中で逡巡と躊躇の二つの思考が何 度も激しくぶつかっていた。 母は犯されているのに違いはなかった。 恥ずかしく姿態を曝け出し、おそらく見ず知ら ずの男たちの好色の餌食となって翻弄されている のに間違いはないと思った。 しかし、こうしておぞましくも卑猥な光景を見 ている数分間で、奈津子は母のはしたない行為に 母自らの意思がどこかで蠢いているような感覚を 持った。 「ああっ…ああ」 と時折顔を上げて背後の男の腰の動きに呼応す るように艶かしく声を上げたり、 「うぐっ…ううっ」 と自分の意思で、前面の男の股間に顔と口を近 づけていくのを垣間見せられて、奈津子は踏み込 む勇気を喪失させてしまっていたのだ。 その時だった。 背後からいきなり男の太い腕と力で、羽交い絞 めのように両腕を高く持ち上げられて、そのまま 引きずられるようにさっきまでいた室に奈津子は 運び込まれてしまったのだ。 「い、いやっ…何するのっ…や、やめてっ」 その声を奈津子が出せたのはソファの上に引き 倒された時だった。 いまお金を渡した男だった。 ソファの上で奈津子と男の揉み合いは激しく続 いた。 男は無言だった。 奈津子もあまり大きな声を上げたりすると、そ れこそ逆に隣室の母に聞かれてしまいそうな不安 があり、短くくぐもった声での抵抗になった。 「いやあっ…ああっ」 時間の経過は女の奈津子に明らかに不利をもた らした。 奈津子はスラックスとショーツを男の強い力で 一気に引き摺り下ろされ、上のスーツも剥ぎ取ら れ、ブラウスのボタンの大半を引き千切られてい た。 そしていつの間にか両手首を脱がされたスラッ クスで括り止められていた。 男も素っ裸になっていて、ソファの上で奈津子 の剥き出しになった両足首を高く持ち上げ左右に おし拡げていた。 男が奈津子の股間の中に割って入ってきてい た。 「ああっ…だ、だめっ…いやぁ」 固く屹立した男のものがおし割られた奈津子の 股間の漆黒の中の中心部に、めりめりと音を立て るようにして深く侵入してきたのだ。 隣室の母のことも忘れ、奈津子は一際高い咆哮 の声を上げて、激しく身悶えた。 凄まじいくらいの圧迫感に、奈津子は喉の奥を 引きつらせるような声を上げ続けた。 男と奈津子の下腹部はこれ以上ないというくら いに深い密着状態になっていた。 そして男は奈津子に突き刺したまま身動きひと つしなかった。 両足を持ち上げたまま、苦渋と苦痛に歪めてい る奈津子の顔を見下ろしほくそ笑んでいるのだっ た。 そのままでさらに時間は経過して、変化の表情 を先に見せたのは奈津子のほうだった。 「ああ…あっ」 気弱げに奈津子の口からそれまでの響きとは明 らかに違う声質の声が洩れ始めていた。 汗と涙にまみれた顔が朱色に上気し始めてい た。 いやいやをするように顔が何度も左右に揺れて いた。 「どうした?」 と男がゆっくりとした声で奈津子に尋ねた。 「…………」 「そうか、このままでいいか?」 男がさらに尋ねると、奈津子の顔が激しく左右 に振られた。 「突いてほしいのか?」 「ああっ…も、もう…へ、変に」 奈津子は男の問いかけに首を縦に振って応えて いた…。 続く
2011/03/19 16:50:46(RBMvu/RR)
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