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1:祖母と実母(麻子と奈々子)
投稿者:
博之
祖母・麻子
長野県松本市の郊外で、祖母の麻子は一人で暮らしている。 十年ほど前に夫を病気で亡くしている。 祖母の年令は六十三才だが、小柄で華奢な体型のせいもあって実際の年令よりは外見的にはかなり若く見える。 祖母の身長はおそらく百五十センチそこそこで、体重も四十キロあるかなしくらいだと思う。 色白で顔の作りも小さかったが、つんと尖った鼻やそれほど大きくもない切れ長の目と、かたちのいい唇が細い顎の上で綺麗に整っている。 おかっぱ風のショ-トカットの髪の毛は、白髪がかすかに混ざっているだけで黒かった。 祖母は僕の母親の実母である。 長く小学校の教師として勤めていたこともあって、『生真面目で清楚なおばあさん』という感じだった。 僕は幼い頃から中学の二年くらいまで、夏休みには毎年、祖母の実家で十日から二週間程度の期間遊び過ごしていた。 孫の僕に祖母の麻子は、いつもただただ優しかったように思う。 僕は十九才の一浪生で、この春から予備校に通っている。 七月の中旬頃、たまたま家にいた僕は祖母からの電話をとった。 母への何かの用事だった。 この頃の僕は予備校の受講のペ-スになかなかついていけず、気持ちが少し焦り気味でいらついていた。 そんな時に久しぶりに訊いた祖母の物静かげな優しい声は、妙に僕の心の琴線に温かく響いてほっとした気分になった。 今年の正月は祖母が風邪で寝込んだせいもあって、そういえばもう一年近くも会っていないことに僕は気づいた。 それから数日後のある日の朝、僕は長野行きの列車にバッグ一つで飛び乗っていた。 母には、田舎のおばあちゃんちへ行って少し息抜きしてくるとだけいい残して、そして祖母の方にも何も連絡しないまま僕は家を出た。 松本の駅に着いてそこからロ-カル線で高い山の方に向かって走り、午後の二時前には祖母の住む町の駅に降りることができた。 駅からバスに乗って十五分ほどで、祖母の家の近くの停留所に着いた。 垣根と庭のある田舎作りの木造の二階建てが祖母の家だった。 この時、玄関の鍵は閉まっていて祖母は留守だった。 しかし、僕には小さい頃から持たされていたこの家の合い鍵があった。 悪びれることなく、僕は鍵を開けて家の中に入った。 祖母のいない家の中は静かだった。 僕は居間の六畳の座卓の前に座って、懐かしげに周囲を見廻した。 テレビの横に高い本棚があって、文学書やら何かの専門書がぎっしりと綺麗に整頓されて詰まっていた。 女一人の生活のせいか室内に、甘くくすぐったいような化粧臭さの空気が澱んでいた。 祖母は夕方には帰ってくるのだろう、と僕は軽く考えて、久しぶりの旅でかいた汗を流そうと思い、立ち上がりその場でトランクス一枚になって台所の奥の浴室に向かった。 脱衣所の壁の角に洗濯機が置いてある。 僕はトランクスを脱いで、それを何気なく洗濯機の中へ放り込もうとした。 洗濯機の中に、小さく包まれた黒い布のようなものが、ふと僕の視線に入り足を止められた。 洗濯機を覗き込むと、その小さな黒い布以外にも入っているものが幾つかあった。 白のTシャツとグレ-の短パンのようなものと、そして薄い水色のブラジャ-があった。 僕の頭の中の回路に急激な狂いと戸惑いが生じてきていた。 僅かの時間、僕は素っ裸でその場に立ち竦んだ。 黒い小さな布を僕は手に取っていた。 鮮やかな黒のシルク地のショ-ツだった。 この家には祖母の麻子以外には誰も住んではいない。 その服地の全ては、祖母の麻子のものに間違いはなかった。 唐突な衝撃と突然の興奮の坩堝の中に、僕は圧倒的な速さで滑り落ち込んでいた。 その証が剥き出しの僕の下半身の一部に、どくどくと脈打って固いかたちとなって表れ出ていた。 両手で僕は小さく包まれた黒のショ-ツをゆっくりと押し開いた。 布の細い部分に白く濁った沁みのようなものが付着していた。 僕はその布の細い部分を顔に近づけて、少しの間凝視していた。 シャワ-を浴びて居間に戻ってからも、僕の興奮状態は少しも衰えることはなかった。 全身をタオルで拭いてから、僕は再び脱衣所に入り、そこから多分昨日の夜か今日の朝まで、祖母の下半身にまとわりついていたであろう黒のショ-ツを持って出て居間に戻った。 テレビの上にティッシュペ-パ-があった。 畳の上に僕は素っ裸のまま横になり、慌て急ぐように自慰の行為に入った。 祖母のショ-ツを鼻腔にくっつけるようにして、僕はとても恥ずかしい格好であっけなく暴発し、夥しい液体をティッシュの上だけでなく畳にまで撒き散らしていた。 祖母に対して、僕はそれまで女とか性とかの対象で見たことも考えたこともただの一度もなかった。 さすがに元小学校の教師らしく教養と品性があって、清楚で優しく慎ましやかで綺麗な祖母だとは思っていた。 しかし僕は十九才の若者だった。 いくら外見的に若く綺麗に見えるといっても、六十三才のしかも自分とは血も確実に繋がっている祖母に対して、そのような淫らな感情を持つこと自体がありえないことだった。 ほんの十数分前、脱衣所で何気なく目にした小さな黒い布一枚に、どうして唐突にもあのような反応を見せたのか、僕自身にも全く訳がわからなかった。 僕は何の邪気もなかった今回の思いつきの旅を後悔していた。 日が暮れても祖母は帰ってはこなかった。 六時過ぎまで僕はただ呆然とした思いで、居間の畳の上に寝そべってテレビの画面を見るともなしに見ていた。 本棚の横に置いてある電話のベルが突然鳴った。 祖母の留守の間に勝手に上がり込んで、すぐに応対に出るのもまずいと思って、しばらくの間放置していたが一向に切れる気配もなかったので応対に出た。 「もしもし、博ちゃん?博ちゃんなの?」 聞き覚えのしっかりある祖母の優しい声だった。 「あれ、おばあちゃん。ど、どうして、どうして俺だってわかるの?」 僕のほうが確実に緊張していた。 「何いってるのあなた。来るなら来るって前もって連絡くれなくっちゃ駄目じゃない。おばあちゃんね、いま名古屋にいるの。学校時代の先生仲間の人たちと歌舞伎の公演を観に来ているの」 「へえっ、そうなんだ」 「何呑気なことをいってるの。それで何時に来たの?いつまでいれるの?あなたのお母さんのところへ用があって電話したらこんなことでしょ。もうおばあちゃんびっくりしちゃって」 祖母は今夜の歌舞伎の公演を観終わってから、明日の観光予定をキャンセルしてそちらへ午前中には戻るといって、二言三言僕に対する小言いって電話を切った。 冷蔵庫の横の食器棚の下の引き出しに、インスタントラ-メンか何かレンジで温めて食べれるものがあれば、今日はそれで済ませておきなさいという祖母の声を、僕は妙に漫然とした思いで訊いていた。 ラ-メンとさんまの蒲焼の缶詰という侘しい食事を済ませると、祖母が不在というせいもあって、寝るまでの時間があり余った。 居間の座卓の下に、先ほどの自慰行為の時に使った祖母の黒のショ-ツが戻し忘れて置いてあることに僕は気づいた。 それからの僕の行動は、以下の通りである。 テレビの上に戻したティッシュペ-パ-を取る。 短パンとトランクスを同時に足元に摺り下ろす。 祖母のショ-ツを再び鼻腔に近づける。 甘酸っぱいような匂いが、僕の鼻腔の中と淫らな精神の回路をまたしても急激に乱し始めてきた。 手を下半身に伸ばす。 爆発はやはり早かった。 九時過ぎ、僕は祖母の寝室にいた。 居間の隣りの六畳がそうだった。 幼い頃は別にして、祖母の寝室へはもう何年も入ったことはなかった。 壁に和箪笥と洋箪笥が整然並んでいて、反対側の壁に鏡台とスツ-ルが置かれていて、その横にものを書いたり読んだりする机と椅子がある。 机の上には小さな本立てがあり、辞書や雑誌が整って立てられていた。 室全体に、今日この家に最初に入った時に感じた化粧臭さのようなものが更に強い雰囲気をもって澱み漂っていた。 洋箪笥の横引き出しを開けてみた。 石鹸のような匂いがぷうんと鼻を突いて、祖母の下着類が丁寧に整然と置き並べられていた。 一番下の横引き出しは少し開きにくかった。 やはり祖母の夏用の衣服がかたちよく並べられていた。 ふと引き出しの左端の衣服が、歪に膨らんでいることに僕は気づいた。 手を置いてみると、衣服の下に何か固いノ-トらしきものが置いてあるような感じだった。 三冊の薄い水色の表紙の大学ノ-トだった。 何でこんなものがこんなところにあるのだろうと思いながら、一冊の表紙をめくってみた。 それは祖母の麻子の日記だった。 その日記が机の中の引き出しではなく、何で隠すようにこんな場所に置いてあるのかということを、僕は書かれている内容ですぐに合点した。 いかにも女性らしい上手で繊細な万年筆の筆体だったが、その内容は数時間前のあの脱衣所での衝撃以上に、僕の精神と神経を更に大きく逆撫でて驚愕の度合いを倍加させていた。 五月二十二日 晴れ 一昨日の午後、奈々子と博一さんが連れ立って来る。 その一日前に、博一さんからの電話がある。 「松本市で会社の支店長の葬儀があるので、妻と一緒に出かける。一泊するから楽しみにしてろ。ふふっ…」 そして一昨日の午後十一時過ぎ、博一さんが私の寝室に入ってくる。 灯りが点けられ、私の布団が引き剥がされる。 布団の上に正座した私の正面に、博一さんが仁王立ちする。 ゆっくりと私は彼のパジャマのズボンを引き下ろす。 彼は下着を穿いていなかった。 口をゆっくりと近づけ、彼のものに奉仕する。 彼のものはひどく大きかった。 数分間、彼のものを舐め続けさせられる。 彼のものが私の口から離れた。 屈み込んできた彼に、荒々しく寝巻きを剥ぎ取られる。 下着も脱がされる。 四つん這いになれと博一さんがいい、私はいわれたような姿勢をとる。 「濡れてるぜ」 そういってから彼は、私の身体の中へ背後からいきなりつらぬいてきた。 「ああっ……」 声を上げるなというほうが無理なくらいの官能の衝撃に、私の喉は高く熱い間欠の咆哮を上げていた。 声を出すのは仕方がないと私は思った。 死にそうなくらいに気持ちが良かった。 その後、身体を仰向けにされて突き続けられた。 「お、おめこっ……わ、私のおめこを……ああっ」 耐え難いような卑猥なこの言葉を、いつも博一さんから要求されて私は臆面もなく吐き続け、無茶苦茶に喘ぎのたうち廻らせられて、たまらない歓喜の絶頂を迎えさせられるのだった。 そしてその夜はそれで終わるのではなかった…。
2005/02/12 22:56:44(MRJtQrbk)
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