日が暮れた暗がりの帰路を進み家に到着する

鞄や制服をハンガーにかけ部屋着に着替えて軽くシャワーを浴びておく

夕飯の支度をしつつ部屋の片付けや洗濯等の家事も行う
最初こそ失敗が多かったけど環境というのは無理を慣れさせるだけの力があった

先に1人夕食を済ませ食器を洗浄し父の食事の準備を済ます
家の中でぽつんと1人の時間がやってきた
物が少ないリビングの中カチカチと時計が秒針を揺らす音だけが響く

普通の子ならテレビや携帯を使って時間を過ごすのだろうけど携帯は取り上げられテレビは見てはいけない
過去に父に隠れて見ていたら見つかってしまい全身を殴られ学校を休んでしまった

母はインターネットで死んだ
綺麗で優しかった母親は不特定多数の人間によるリンチで精神を病んでこの世を去った

だから父はできるだけそれから避けるように私を促す
最初こそ理不尽に嘆いた、でも私を説得する父の顔がとても悲しそうで見ていられなかった

そうして2階建てのほぼ新築の一軒家の中、私はただ何もない壁を見つめて時間を潰す
何も考えずにボーとするのが得意になってしまったなぁ

時計を見ると9時半過ぎを指していた
そろそろ父が帰ってくる時間なので私は立ち上がり玄関の前で座り込み父を待つ

ガチャリと鍵が開けられフラフラと仕事着の父が入ってきた
おかえりと言いながら父を受け止め一度腰を下ろさせる
お酒の匂いのする父をリビングまで運び服を脱がせて寝巻きを着せる

コップに水を汲み飲むように促した後食事を冷蔵庫に移動させつつぬるま湯に浸したタオルを作り汗ばんだ父の体を拭く
疲れてうつらうつら水を飲む父は舌足らずでありがとうと呟きながら体を預けてくる

こんな状態になるまで働いてきてくれてる
父は他の人から見たらダメな人かも知れない
お酒に逃げて私に逃げて
それでも私は父が大切で一緒に居たい

お互い無言で体を拭いていたら下腹部の盛り上がりに気づいた
既に眠気と疲れで限界のはずなのにアルコールのせいか息遣いが荒くなり私を押し倒してくる

血走った目で私を舐めるように見てきた

それでも葛藤があるのか少しの時間が過ぎたあと頭を左右に振りながら体を起こし始める

私は父の手を握った

父の手はゴツゴツして硬かった
私を守ってくれる手で私を愛してくれた手だ

父はお酒が苦手だ

それなのに最近は毎晩飲んでは今日のように介抱されていた

きっと辛いんだ
吐き出す相手と肯定してくれる相手を同時に無くしてしまった

そしてその相手の代わりに私は入れてくれない
あくまで私に母の面影を重ねているだけだ

だからこういう時は逃げ道を作ってあげる

「いいよ、慰めてあげるからおいで。」

迎え入れるように両手を父の首に回して耳元でそう囁く

父はそれから理性を無くしたように私を貪った

朝の比にならないような性行為

押さえつけられて身動き一つ取れない
そんな状況の中父は容赦なく私を犯す

壊れてしまうんじゃないかと思うほど力強いピストン
両腕を掴まれ完全に手綱を握られた寝バック
私を優しく包んでくれた両手で今度は私の首を絞めてのセックス

そうして満足したのか倒れるようにベットに戻り父は寝息を立てる

全身が軋むような痛みを感じながら立ち上がる

意識が鮮明になるにつれ精液が足を伝っていく感触や口の中に残る生臭さにまたやってしまったと後悔する

父に毛布を被せたあと自室に戻りアフターピルを飲む
携帯は取り上げられたが隠し場所は知ってる
このことを知られたら壊されるか捨てられるかしてしまうと思うけどなんとか隠し通してみせる

もう一度シャワーを浴びにいく
温水と共にいろんな物が排水溝に流れていく
頭からお湯を浴びながら私は嗚咽を漏らす

父は狂っても女性には逃げなかった
甘えていい女性は母だけだと決めているんだと思う
だから私のしていることは悪いことだ
父が弱っているのを利用して愛してもらっているだけだ

実際、父は行為中一切私の名前は呼ばずに母の名前を呼ぶ
父の中ではそうなのか理解しての懺悔なのか私にはわからないし聞く気にはなれない
ただひどく悲しくなった

時間は深夜2時を過ぎた
明日はお休みなので父と一緒におじいちゃんの家に行く

素直に嬉しいとはいえない
あそこに行くと体の傷が増える
震える体を抱きしめながら私は眠った

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