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1:叔母を妊娠させたら…
投稿者:
ノン
中野貴教は中学校からの帰り道、家に向かう足取りが心なしか重かった。
「ノンくん、やっと追いついた」息を切らして後ろから貴教の肩を叩いたのは、内藤美咲、貴教の彼女である。 「もう、ノンくんったら、一緒に帰ろって言ってるのに上の空で先に行っちゃうんだもん」クラスでも群を抜いた可愛さを誇る美咲のショートヘアが風にそよいだ。五月の風は心地良かった。 「ごめん、ちょっと考え事してて」 「もう、何うかない顔してんの~」先月誕生日を迎えた美咲はすでに15歳、対して3月生まれの貴教にはいつもお姉さん口調だ。身長170センチにとどきそうな貴教を下から見上げながら言った。 「今日、ママの誕生日なんだよ。いつもメッセージカードを渡して、ママのお願いを一つ聞くんだけど、今年のお願いがちょっと」 「どんなお願いなの?」美咲は自然に貴教の腕に自分の腕を絡めた。 「それは、言えないかも」 「もう、言いかけておいてずるい~」美咲が頬を膨らませた。その頬を貴教が軽く指でつついた 「ブー」美咲が擬音を発したのがおかしくて貴教は噴き出していた 「美咲にはかなわないな~」 「もう、美咲ちゃんでしょ、あたしの方がお姉ちゃんなんだから~」 「ごめん美咲ちゃん」二人は歩き出した。 「お母さんのお願いって添い寝なの?」周りに人がいないのを確認して貴教は母の誕生日のお願いが添い寝であったと告げた 「うん、パパが単身赴任したばっかりは毎日添い寝してたんだ~」貴教の父、中野巧は大手の商社に勤務し、ほとんどが海外勤務だった。現在はパリに赴任している 「添い寝って、お母さん寂ししのかな?」 「うん、パパは半年に1回くらいしか帰って来ないからね、もう5年以上そんな生活が続いてるよ」 「そっか、お母さん何歳だっけ?」 「今日で38歳だよ」 「そう、それって、女盛りってやつよね」美咲が意味深な笑いを浮かべた 「ええ?そんなことないよ~」 「母親にとって息子はいつまでたっても可愛くてしかたのないものよ」 「って美咲息子いるの~」 「いるわけないでしょ!もうバカ」美咲はすねたふりをして、3歩前を歩き出した 「ごめんよ、美咲ちゃん」 「それじゃ、今度の土曜、泊りに来たら許す!」 「えt?でもママが許してくれるかな?」 「何よ、彼女とママどっちが大事なの!」 「はい、彼女です」 「だったら、お母さん説得して必ず泊りに来てよね、家、両親と妹、旅行に行って留守にする予定だから」 「う、うん、絶対行く」 「それじゃ楽しみにしてるね」美咲の笑顔が可愛くて、貴教も思わず笑顔になっていた
2020/10/04 21:38:09(0ZNPX4Ge)
事件の全容が解明されたのは2週間後のことだった。新聞記事には小さく続報として報じられた。その裏には世間に公表すると残された関係者がどのようなバッシングを受けるかわからないといった配慮がなされていた。
「離婚で精神を病んだ母親が、担任の教師と関係を持った息子との将来を悲観し、まず教師を葬り、次に息子を刺した、最後に自分もリストを切りつけ命を終わらせた。検察は容疑者死亡のまま書類送検とし、捜査本部も解散となった」と記事が掲載された。二人の死亡者を出した学校もようやく日常を取り戻そうとしていた。 高田裕介のもとに警察から電話が入った。 「事件について申し上げておくことがございますので、本日来署いただけませんか」世話になった婦警の中山からだった。 「ええ、伺います」婦警は事件後、高田にふと漏らした 「あの時、私がなんらかの注意をしていれば、二人はこんなことには…」婦警は私服で警戒中の公園で親子ほど年の離れた女性と少年が仲睦まじく歩いているのを目撃し、淫行の恐れありと考え女性にコンタクトを取った。だが女性は自分たちは親子だと話し、少年と目元がそっくりであることから、婦警はそれ以上追及しなかったのだと言う 「それなら私も同罪です。二人の笑顔を遠くさら撮影していながら、二人に話かけることもせず、お似合いのカップルとしてそのままにしていた。あのアザレアの咲き乱れる公園で…」裕介は婦警に共感したいた。 「高田裕介さん、あなたは被害者に近しい存在であり、社会的地位もあることから、世間に口外しなことを条件に事件の全てをお話しします、よろしいですか」警察の応接室には結城・友田の両刑事と警察署長、婦警の中山が同席していた 「はい、口外は致しません」 「それでは、友田から説明いたします」事件直後からだいぶやつれた感じの女刑事が立ち上がった 「本件は、1件の殺人事件と無理〇〇事件にようるもので、容疑者は中野美佐子、事件当時はすでに離婚が成立していたので河合美佐子となります。被害者は〇害された島田莉穂と妊娠2か月だった彼女の胎児、美佐子の息子の中野貴教、そして自〇した美佐子は妊娠3か月だったので、その胎児となります」 「妊娠していたんですか…」裕介は口唇を噛んだ。すでに母と息子は男女の関係なっていた、そして裕介が一度でいいから見たいと願っていた情事のシーンは冷たくなった状態で裸で重なっていた二人を目撃することによって不本意ではあるが遂げられた 「続けてもよろしいですか」 「ええ、続けてください」 「この事件は物証が多く残されていました。それはなぜ美佐子が〇人と無理〇中を引き起こしたのか動機を探るのには充分でした。つまり、美佐子は遺書の代わりに物証を残したのです」 「どんなものがあったのでしょう」 「まずは美佐子のノートPCです。これは島田莉穂のマンションで見つかっています。まずはハードディスクに残されていた、息子への盗聴記録です」 「盗聴をしていたんですか?」 「ええ、息子を他の女に渡したくない一心からだったのでしょう、犯行の3か月前からボイスレコーダーを息子のバッグか何かに忍ばせておいたのでしょう、学校の様子が録音されたものがほとんどだったのですが、島田莉穂殺害の前日の盗聴データに残っていた莉穂と貴教の会話が〇害のきっかけになったようです」 「どのような内容だったのでしょうか」 「大筋を申し上げますと、莉穂と貴教の関係は彼が中学1年の時から始まっていました。その思い出を語りながら、女性たちを妊娠させたことをゲームに例えて話をしています」 「ゲームですか?」 「ええ、二人はもともとオンラインゲームで知り合っていた。偶然同じ中学校で出会い、二人の言い方をしますと、恋愛の経験値レベルを上げて行ったとなります。その実力を試すために、彼らはリアルワールドの難関ステージに挑んだと言っています」 「難関ステージですか?ちょっと理解に苦しみますが」 「若者独特の考え方です。難しければ難しいほど攻略の楽しみが大きいというのです」 「なるほで、そのステージとやらはどんなものだったんでしょう」 「あくまでも彼らの会話から推測していますが、第一ステージは「叔母」と言っており、第二ステージは「彼女の母」第三ステージは「実母」と言っています」 「それは、彼らのゲームにおけるターゲットだったのですか、私の妻や、内藤さんの奥さん、そして母親の美佐子が!」裕介は声を荒げていた 「残念ながら、恋愛と言うより、ゲームとしてそれぞれの女性と関係を持ったようなのです。そしてそのステージをクリアした先にあったのが、莉穂の妊娠と二人の結婚です」 「…」裕介は言葉を失っていた。14歳の少年と24歳の女教師、彼らの描いたシナリオはあまりにも残酷であったのだ…
20/10/27 21:14
(v6pAyGW5)
「物証はもう一つありました。続けてよろしいですか?」
「少し休憩にしましょう」中山婦警がお茶を出してくれた。裕介は妻を貴教のもとに送った自分を悔いていた 「召し上がってください、これ以上は聞かれないほうがよろしいかと思いますが」裕介はお茶を一口飲んだ 「聞かせてください」 「それでは、美佐子が自宅からノートPCを莉穂のマンションに持ち込んだ理由はSDカードを見るためでした。盗聴記録にSDカードの存在が語られていて、その中に莉穂が貴教に言っていたのが、あなたのママでも絶対にできないこと、と言っていたことが映像に記録されていると言っています」 「それは何ですか」 「それは、非常にもうし上げにくいのですが…」女刑事は言いあぐんでいた 「代わるか友田」結城刑事が声をかけた 「いいえ、大丈夫です。その行為は、貴教の排便を莉穂が食しているものでした」 「は、はいべんですか?」 「ええ、精液、排尿、排便と莉穂の行為はエスカレートしていきました。それは自分が誰よりも貴教を愛しているということを証明するためだったようです。まだ12歳だった少年の排便を食することで女教師は少年の永遠を愛を勝ち取ったようです」 「そんな、12歳の少年になんてことを…」 「そのようなSDカードが30枚ほど存在していました。美佐子はそれをすべて見たかはわかりませんが、それらを見ながら、息子はすでに自分のものではないとさとったのかもしれません。そして犯行に及んだ。家に戻った美佐子は息子と最後の情事を行ったあと、眠っている息子の心臓にナイフを突き立てます。そして自らリストを切り、意識のあるうちに息子顔についている血液を舐め取ります。この時美佐子は莉穂に勝ったと思ったのでしょう、息子の血液を飲み込み、身体を重ね、穏やかな表情で口唇を重ね、絶命しています」言い終わると女刑事は目を閉じ、口唇を噛み締めた 凄惨な事件の顛末を裕介は誰にも語らなかった。 高田美智子は事件の直後、早産で女の子を出産した。母子とも元気に過ごしている。 半年後、内藤久美子は元気な男の子を出産した。夫とは離婚せずに、ある条件を突き付けられた。12歳の美波のお腹の中にいる自分との子供を出産させること、それが条件だった。真っ先に賛成したのは美咲だった。妹と父親より、ノンと母との子供を第一に考えてほしいと美咲は久美子を説得したのだ。 叔母を妊娠させたら…、凄惨な事件のあとに、それぞれにささやかな平穏が訪れた。
20/10/27 21:55
(v6pAyGW5)
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