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『あっ!みっくん??』 「ん?……おー!お嬢!」 『ひさしぶり~!』 酒のつまみと娘のデザートを買いに寄ったコンビニで、15年ぶりに同級生に会った。 小学校から高校までずっと一緒だった、私の初恋の人でもあるその同級生は、ふわっとした雰囲気を残したまま相応に歳を重ねた感じになっていた。 昔と変わらず相手の目をじっと見つめながら話しをする彼女は猫目で三白眼。 加えて身長が低い為に必ず上目遣いになるので、この眼と仕草に惚れた男はたくさんいた。 『相変わらずトラックでいろんな所行ってるの?』 「いや、もーけっこう前にやめたよ。今は自営…みたいな事やってる」 『そーなんだ?ユキは?元気?』 「元気……だと思う。別れたからわからんけど」 『えっ!?なんで??』 「まぁ……いろいろあって………」 〈パパ~!プリンとシュークリーム両方買ってもい……ん?〉 「あー…この人はパパの同級生だよ。小学校からのね。」 『こんにちは!』 〈あ…こんにちは…〉 両手にデザートを持った娘が、あまり周りの人に聞かれたくない話を遮るように絶妙なタイミングで来てくれた。 娘につまみの入ったカゴと財布を渡して、私は同級生の彼女と一旦店の外に出て話を続けた。 『……で、いろいろって?』 「んー……まぁあれだよ。他に男が出来たって感じの…ありきたりなやつだよ」 『へぇぇ…。みっくんちは絶対そーゆーのないと思ってたけどなぁ…。わかんないもんだね』 「まぁ年取ればいろいろ変わってくよ。お嬢は?金持ちイケメンと仲良くやってんの?」 『うん……って言いたいとこだけど、ウチもあんまりだよ。じゃなきゃ地元のコンビニに来ないでしょ~?』 彼女は少し寂しそうな顔をして視線を落とした。 『みっくんってSNSってやってないよね?探してもヒットしないんだけど…』 「あー…何もやってない。今どきだけどメールだけだよ。他人の情報とか別にどうでもいいし、自分の事もあんまり知られたくないし…」 『そーなんだ。……でも私は知りたいからさ、メールだけ教えてくれない?』 首を傾げながらの上目遣いの仕草に、淡い気持ちを持っていた昔を思い出してついついOKしてしまった。 ポケットからスマホを出すと、彼女は私の手からそれをスッと取り上げて手慣れた感じで自分の電話番号とメールアドレスを入力していた。 沙織 090-****-**** *****@****** 数字とアルファベットが並ぶ画面のままスマホを返され、そのままポケットに入れると、彼女は人差し指を立てて私を指差した。 『あとで絶対メールしてよ?』 そう言って目尻にシワをつくって笑うと、手を振りながら真っ赤なワーゲンに乗り込んだ。
2020/01/25 04:06:22(fpTls/um)
投稿者:
(無名)
何か企んでるとは思ったが、2人の計画は予想外だった。 娘に聞いても秘密だからの一点張り、夕飯を作ろうとすればダメだと言われ、風呂からあがってビールを飲んで待っているくらいしかなかった。 19時を回った頃、娘のスマホに彼女からあと10分くらいで到着すると連絡があった。 ピンポーン… インターホンの画面には彼女と…もうひとり誰かが映っていた。 玄関に立ち娘がドアを開けると、彼女と…彼女の後ろには初めて見たがすぐにそれが彼女の息子だと気がついた。 〈あがってあがって~!〉 『またおじゃましま~す!あ!みっくん、私の息子ね!』 《こんばんは。はじめましてユウセイと言います。いつも母がお世話になっています》 あまりにきっちりとした挨拶をされて私も戸惑ってしまった。 「あ…あぁ、はじめまして…えーと…中へどうぞ?」 〈ヒヒヒッ!パパなんかへ~ん!〉 『アハハ!びっくりしてるからしょうがないでしょ~!あ、これ一緒に食べよ!』 彼女は息子が持っていた袋を私に差し出すと、娘に手を引かれて奥へ入っていった。 残された息子にもあがって奥へ行くように勧めると、私に対して礼儀正しくお辞儀をしてリビングへと入っていった。 彼女から受け取った寿司と取り皿を持っていると、サッと息子が手伝いに来て慣れた感じでそれをテーブルに並べていた。 準備が済んで私と娘、彼女と彼女の息子で別れて座った。 『じゃあみっくん!乾杯しよ?私もビールもらうね!』 「あ…あぁ…。」 〈じゃあかんぱ~い!〉 娘と彼女がグラスを合わせ、私は彼女の息子にグラスを向けられて戸惑いながらそれに応えた。
20/02/04 09:40
(RaNzVCtf)
娘と彼女がワイワイ話しながら夕食が進み、まだ状況がいまいち掴めない私に彼女の息子が説明をしてくれた。 《いきなりお邪魔してすいません。母から話は聞いて僕もこちらの事情は知っているので、変に警戒されなくても大丈夫です。》 「あ…あぁ、そうなんだ?」 《母とコハルちゃんとで今日いろいろ計画していたみたいで。》 「そうなんだ?じゃあ…ユウセイ君だっけ?今日君が来たってことは…」 《はい。まぁそういう事だと…。僕もさっき聞かされたばかりで。》 「なんかごめんね。急に来てもらっちゃって」 《いえ、特に用事とかはないんで大丈夫だったんですけど、母は思い立ったらすぐな人なんで…》 「まぁ…昔からそこは変わらないね。あ、同級生なのも知ってるんだよね?」 《はい、全部聞きました。少し前に様子がおかしかったんですが、それも後であなたに久しぶりに会ってと聞いて納得でした。》 「あー……ずっとスマホ持ってたり?」 《はい、ずっとにらめっこしてました。メールが来たら顔が変わってました》 『ユウセイ!それ言わなくてもいいの!』 「ハハハ…返信早いのはそれでか。」 『みっくんそれ以上聞かないで!ユウセイも!』 〈ヒヒヒッ!沙織ちゃんかわいい!〉 彼女の息子と少し話をして、何か違和感を感じていた。 端正な顔にしっかりした言葉遣いで言うことないんだろうが、何か引っかかりがあった。 何か隠している、抑えている感じがしていた。
20/02/04 17:08
(RaNzVCtf)
食べ終えた食器類を片付けながら娘を呼び、キッチンで聞いた。 「コハル、ユウセイ君って何か隠している雰囲気ないか?」 〈ん?何かってなに?〉 「いやわからん。なんとなく素を見せてないって言うか…」 〈あー。普段はすごい甘えっ子って聞いたから、そこじゃない?〉 「そーなのか?」 〈うん、沙織ちゃんが家じゃいつもくっついてるって言ってたよ?〉 「ウチみたいな感じかな?」 〈そ~じゃない?〉 「ほぉん。まぁいいや、とりあえず向こう行こうか」 追加の酒とソフトドリンクをテーブルに運び、彼女らの前に座った。 「さてと…コハル、お嬢。今日は夕飯だけ食べに来たってワケじゃないよな?お嬢は飲んじゃってるし」 『エヘヘ…まぁね。コハルちゃんと相談しながら…ね!』 〈うん!内緒にしてごめんねパパ。でも…ね!沙織ちゃん?〉 『うん。みっくんに全部知ってもらいたいし見てもらいたいから、今日はユウセイ連れてきたの。』 「ユウセイ君は…了解して来てるって言ってたよね?抵抗ないのかな?母親とするのを見られたり、父親と娘が関係持ってる私らには…」 《はい。大丈夫です!…と言うより、僕も興味があったので》 「今日ってのはいつ聞いたの?」 《今日の夜お邪魔するからって、母から昼間に連絡がありました》 「おぉ…。昼間にね。私と娘の事はいつ聞いたのかな?」 《先週母がこちらに来た日ですね。母が帰って来てから聞きました》 「どう思った?」 《驚いたんですけど、ちょっと嬉しかったです。親子で仲良くしている人が他にもいるんだと思って》 彼女の息子はソファに座っていても背もたれには寄り掛からず、浅く座って背筋を伸ばしたまま受け答えしていた。
20/02/05 06:46
(T2gdRrrp)
目をそらしたりする事なく真っ直ぐ私を見て話す姿は、高校生とは思えないくらいに堂々としていて違和感があった。 「ユウセイ君、ちょっと聞きたいんだけどさ……何か無理してないかな?」 《え?…無理と言うと…?》 「ごめんね、何かちょっと…高校生っぽくないと言うか、演じてると言うか…」 〈あ……やっぱわかるんだ?〉 「お嬢何か言ったの?」 〈うん……行儀よくしてねって。〉 「普段はこんな感じじゃないってこと?」 〈うん。もっと子供っぽいかなぁ…〉 彼女は知らず知らずに息子をコントロールしていた。 いい子を演じさせる事が負担になるとは思っていなかったらしい。 自分がされていた支配を、形を変えて無意識に息子に課していた。 そのままそれを伝えるのは簡単だったけど、彼女の事を考えてやめた。無意識に息子を縛りつけていたとなれば、彼女自身もまたショックを受けるかもしれないと思った。 「そうなんだぁ。……まぁウチじゃそんなにヨソ行きな感じじゃなくてもいいよ!リラックスして……そだな、ビールでも飲む?」 《え…?ビールですか?》 「ほらほら、敬語とかいらないからさ!お嬢、いいよね?ビール一杯くらい」 『え…でも……』 「はい、いいってさ!乾杯しよ乾杯!」 彼女をおいて私は回りに水滴のついたビールを開けて息子に渡した。 「乾杯!」 《あ、はい》 初めて飲むであろうビールを彼は口元へ運び、二口三口と飲んでいた。 眉間に寄ったシワが不味いと主張していたが、私はもっともっとと勧めて半分程度飲ませた。
20/02/05 11:41
(T2gdRrrp)
彼女と娘は不安そうな顔で見ていたが、彼は缶を持ったまま私を見て答えた。 《意外と…イケる…かな?》 家に来て彼は初めて笑った。はにかんだ笑顔だったが、ずっと緊張していた顔は少しほころんで子供っぽい顔になっていた。 「いいね!いい顔になったよ。大人ぶった顔よりその顔の方が全然いいよ!な?コハル?」 〈う…うん。〉 私の腕にしがみつく娘と同じように、向かいで彼女は彼の肩にしなだれかかっていた。 普段ベタベタしているとは聞いたが、甘えていたのは彼女の方だったらしい。 空になったビールの缶が3つ4つと増えると、娘と彼女は一緒にシャワーを浴びると言ってリビングを出ていった。 彼と2人残されたが、初めのような緊張はなくなっていて、彼もリラックスしている様だった。 「ユウセイ君はお嬢の他に経験は?」 《え?ないですよぉ》 「好きな女の子とかはいないの?」 《えっと…まぁいると言えばいるんだけど…》 「お嬢の監視がキツくて…って感じかな?」 《まぁ…って母には内緒ですよ?》 「わかってるって!」 話を聞くとどうやら彼女は彼を可愛がるあまり、他の女の子と極力距離を置かせるようにしているらしい。 私も娘に対して同じように思っている節があるのでそれは理解できた。 ただ、年相応に遊ぶ事が出来ない彼が少しずつ不憫に思い、彼女の注意を引き付ける役を買ってでることにした。 《え?ホントに?》 「まぁ私も彼女は初恋相手だし、ユウセイ君がよければだけどね?」 《はい。あ……でも…》 「もちろん彼女とするのは構わないよ。……すごいもんな…身体もテクニックも」 《ハハハ……ですね》 「もっと聞いてもいいかな?」 《はい、なんでも!》
20/02/05 17:03
(T2gdRrrp)
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