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1:雨音に潜む兄妹
投稿者:
名無しのお兄ちゃん
◆NNlncmoxmM
ずっと、雨音が 聞こえている夜。
常夜灯のオレンジがかった灯りが、隣で寝息を立てている妹のひとみの裸体を、白く浮かび上がらせる。雨音は、さっきまで、俺と妹が愛し合う吐息と息遣いを、外に漏れない様に消してくれていた。 「あたし、雨の音、好きだなぁ…」 今夜、俺の布団にいつものように潜り込んで来た時に、ひとみが呟いた。 「…なんで…?」 俺は、ひとみを抱き寄せながら聞いた。 「…あたしとお兄ちゃんを、結び付けた音…だからかな…」 ひとみは、俺の目を 大きな黒眼で じっと見つめ、ふっ と笑顔になる。 俺が、妹のひとみに欲情して、兄妹でありながら、こうして、肉体関係を結んでしまった現在に至るきっかけ。あの初めての時も、確かに、窓を打つ激しい雨の音がしていた。 あれは、俺が高校二年、ひとみは中学三年の、夏休み。 その夏、俺は、春休みに先輩のつてで手に入れたばかりだった中古の中型バイク の為に、バイト三昧の毎日だった。 俺の家は、駅前商店街で自営の飲食店を借りて開いていた。それなりに繁盛しているようだったが、裕福と言える状態ではなかった。俺が中学に上がってからは、母もほとんどの時間を店の手伝いに出ているようになっていた。 だから、学校が終わると、俺は妹と二人で家で過ごす日々が4年ほどの間、当たり前の毎日になっていた。 ところが、その前の年の夏前頃から、俺もバイトで家を空けることが多くなってきていたから、たぶん妹は少し淋しかったのだと思う。 「海に連れてって!」 バイトから帰ると、開口一番ひとみに言われた。 「なに?突然…」 俺は、要領を得ないまま聞いた。 「だって、お兄ちゃん、バイクの為に、毎日バイトぢゃん。家のこと全部あたしがやってるんだよ。あたしが、留守番してるから、お兄ちゃんは、バイト出来るの、解る?そしたら、偉い妹に、感謝して、なにかプレゼントするべきだって思わない?それなのに、前のバイト休みには、一人でバイク乗って出かけちゃってさ、お兄ちゃん自分だけズルイって思わない?」 立て板に水で、ひとみがまくし立てる。昔から、理屈では、絶対コイツには敵わない。 「で、海水浴なの?」 プレゼントって、服とか物とかではないのか… 「そう。夏休みなのに、旅行にも、遊びにも行けないで、家のことと勉強を独りでやってる可哀相な妹に、夏休みの楽しい思い出を!」 ひとみは、ガッツポーズ付きで、ニッコリ笑う。 こうして、次にバイトが休みになる日に、海水浴に連れて行くことになった。 その日は、朝から太陽が照り付け、暑かった。友達からヘルメットを借りて、妹をケツに乗せて、県内の海水浴場までバイクを走らせた。一人なら1時間ちょっとの道のりを、少し抑え気味に走った。それでも2時間弱の距離だ。バイクを停められる海の家を見つけて、荷物を預け着替えした。 「お待たせ~!」 そう言って現れたひとみの水着は、上からシャツを羽織っておりスタイルも手伝って一見それとは判らないが、学校の体育で使っているものだった。 (海水浴の前に、水着をねだれよ…) 4時過ぎまで遊んで、さて、帰ろうか、という頃になって、急に空が暗くなりだした。夕立が来るかもしれない。慌てて、着替え、バイクに乗って走り出した。しかし、いくらも走らない内に雨が落ちてきた。 雨は、あっという間に、叩きつけるような強さになり、雷もなりだした。 「お兄ちゃん、大丈夫なの?」 雷嫌いなひとみが、背中にしがみ付きながら聞いてきた。 「正直、ヤバイ…」 雨で視界も悪いし、車も多い。おまけに妹と慣れないニケツ運転。何処かにバイクを停めて、雨が止むのを待つ方が良い。俺も妹もバイクもずぶ濡れである。でも店では嫌がられるだろう … と思った矢先、左側にラブホが見えた。 一番安い値段が表示されている部屋の番号を押し、鍵を持ってエレベーターに乗る。 「なんか、お兄ちゃん、馴れてない…?」 ひとみが小声で聞いてきた。 「そりゃあ、大人ですから」 冗談めかして応える。 「ふ~ん…」 いつもなら、小馬鹿にしたような調子で、ポンポンと台詞を返してくるはずなのに、妙に神妙な調子で返されてしまい、会話が途切れてしまった。 確かに、俺は、ラブホに入るのは、初めてではなかった。しかし、馴れているというほどでもなかった。ただ、連れているのが 妹 で、雷雨から避難してきた訳だし、なんというか、エッチなドキドキ感みたいなものは、一切なかった。 部屋に入ると、幸い冷房が効いていた。とりあえず、風呂を洗い、お湯を張り、着ていた物を脱いで軽く絞りハンガーに掛けて乾かす段取りで動いた。部屋の短めのバスロブを着る。膝上15センチってところだろうか。 「今、お湯張ってるから、お前も座ってないで、服絞って掛けとけよ」 ベットの脇に、申し訳程度に置かれたテーブルの椅子に、ちょこんと座っていた妹に声をかけた。 「え… あ うん」 いつものひとみと違い、妙におとなしくて、どうも調子が狂う。 「どうした? 具合でも悪い?」 椅子に腰掛けたまま、なかなか動き出さないひとみに声をかけた。 「え? あ、 平気 … なんか 緊張しちゃって…」 「初ラブホだから?(笑)」 「…うん。 なんかね…」 「ったって、俺となんだから、家と変わらんだろうよ(笑)」 「…ん。 そうなんだけどね…」 「とにかく、風邪引く前に、風呂場で服絞って、コレに着替えて来いよ」 「…ぅん。」 ようやく、ひとみも動き出した。俺は、お湯を沸かして、温かいコーヒーを入れる用意を始める。 ひとみが戻って来て、角から顔だけ出して聞いてくる。 「お兄ちゃん…」 「ん?」 「下着どうした?」 「脱いだよ、けっこー濡れちゃってたし、」 ひとみは再び、ひょい、と隠れた。 すっかり コーヒー が出来上がってしまった。 「おい!コーヒー入れたぞ。」 「コレさ、短いよね…」 バスロブの裾を両手で下に引っ張るように身体を曲げて、ようやく、ひとみが戻ってきた。確かに、座ると見えてしまう丈しかないから、俺も立ったまま、コーヒーカップを持っていた。 「別に、見ねえよ (笑) まぁ 布団に入っちゃえば 好いぢゃん」 「お兄ちゃんは ?」 「風呂浸かるかな、お前先に入るか?」 「ん~ 好いの ?」 「どうぞ」 「どうしよかなぁ …」 結局、ひとみが先にお湯で温まることになり、俺は、布団に潜り、親に携帯から連絡を入れた。 「あ、母さん … うん、こっちも すごい雷雨 … うん、 大丈夫、 雨宿りしてるから … うん、 雨止んでから帰る … うん … うん … 止まなかったら、電車とかあるから … ん、気をつける … うん … ぢゃあね」 母親は、俺が事故らないかを、随分と心配していたらしいが、雨宿りしてると聞いて安心したらしい。 ひとみが風呂場から出て来た。 「家に連絡入れといたから」 布団から声をかけると、短めのバスロブの裾を気にしながら、風呂の横にある大きな鏡を覗き込むようにして、タオルで濡れた髪を拭いていたひとみは、ビックリしたような目で俺を見た。 「え!? なんて?」 ひとみの、その驚いたような声の調子に、俺の方が驚いた。 「え?…だから…、雨で、危ないから、雨宿りしてるって…」 すると、ひとみは、安心したように、いつもの表情に戻り、一瞬の間をおいて、ふっと笑顔になった。 「流石にお兄ちゃんでも、ラブホに居るとは、言わなかったんだね」 「まぁ、それは…まぁ、な」 「そう?結構、言っちゃいそうぢゃん、お兄ちゃん。変なとこ正直だし」 「いや、流石に、俺だって、雨宿りとはいえ、中学生の妹連れて、ラブホに居ますとは、ヒトサマに言えないよ(笑)」 実際、あれほど酷い雷雨で、ずぶ濡れになってなかったら、ファミレスで充分だったと思う。 「そだね、(笑)初めてラブホに入った相手は、お兄ちゃんでした…とは、あたしも言えないなぁ(笑)」 「当たり前だ」 タオルを肩にかけたまま、ひとみがベットの所までやって来て、腰を下ろした。 「秘密だね」 「ん、秘密だ」 「ちょっと、ドキドキするね」 「しねぇよ(笑)」 「え~ そうかなぁ、あたしには、結構、衝撃的な、ひと夏の体験だけどなぁ」 「バーカ、身体冷えないように、布団入ってろ」 ひとみと入れ代わる様に、ベットの反対側から抜けて、下りる。確かに、このバスロブ短い。そそくさと風呂場に急いだ。 ゆっくりとお湯に浸かって、部屋に戻った。部屋に居ると分かりにくいが、風呂場では、外の雨の音が、まだ、聞こえていた。 「まだ、結構、降ってるなぁ」 布団から、半分だけ顔を覗かせて、ひとみが眼だけ俺の方を見る。 「雷も鳴ってるもんね」 そう言って、ひとみが、自分と反対側の布団をめくる。頷きながら、俺も布団に潜り込んだ。 考えてみると、妹と同じ布団に入るのは、いつ以来になるのだろう。 「お兄ちゃん」 不意に、ひとみに呼ばれて、首を曲げると、すぐ目の前に、こちらに首を曲げたひとみの顔が在った。 「ん?」 「クーラー効き過ぎてない?」 自分が湯上がりのせいか、気持ち好い位にしか感じていなかったが、そういわれてみると、ちょっと、冷え過ぎてる感じだろうか? 「寒いか? クーラー弱くするか…?」 言い終わらない前に、ひとみが脚を絡めて、ぴとんと身体を寄せてきた。 「お兄ちゃん、温かい」 ひとみの脚は、ひんやりしてた。 「お前、脚、冷たいな」 「足の裏とか、もっと冷たいよ、ほら!」 ひとみの膝が、一瞬離れて、ふくらはぎに足の裏を当てる。 「うわっ!ツメテ!よせ!お前!やめろって!こら!おいてば!」 ひとみの足の裏は、身体を引く程に冷たくなっている。俺がびくびく逃げるのを面白がって、ひとみは、笑いながら、俺の身体のアチコチに足の裏を着けようとする。 しばらく、布団の中で、ジタバタと兄妹でじゃれ合った。ひとみの両腕、両脚を、俺の両手と両足が押さえ込む形になり決着。二人とも息が荒くなっていた。 「勝ったね」 ひとみに身体を重ね、体重を預ける形になっていた。耳許で勝利宣言。 「重い~ぃ、お兄ちゃん!どいて!」 「もうしないか?」 「しない、しない」 「ホントか?」 「ホント、ホント」 もう、いいか、と力を緩めた途端、ひとみが暴れ出す。 「甘いね!お兄ちゃん!」 今度は、逆に俺の両腕をひとみの両手が掴む。 そんなジャレ合いを続けているうちに、マジで息が切れて来て、俺はいい加減、負けてやることにした。仰向けになって、転がると、ひとみが俺の手足を押さえ込むように、上に重なり、体重をかけてきた。 「参った…」 ひとみも肩で息をしている。少し上体を起こし、俺の顔をみるとニッコリ笑った。 「あたしの勝ちぃ~!」 そう言うと、笑いながら俺の胸に横顔をつけて力を緩めた。 「お兄ちゃんって、甘いよね…」 「っさいな、負けてやったんだよ」 「知ってるよ、そんなこと、ずっと前から…」 「…?」 言った切り、暫くじっと息整えてる間が出来た。 「お兄ちゃん、心臓速いよ(笑)」 耳を俺の胸に当てる姿勢になってるひとみが言った。 「だって、すごい暴れたぢゃん(笑)」 「そだね、ちょっと、スッキリしたかも…」 「ん ?」 「久しぶり…」 「そだな」 元々、仲は好い方だったと思うが、それでも、昔は、取っ組み合いみたいな喧嘩になることも在った。そう言われてみると、喧嘩らしい喧嘩も最近はなかった気がする。 「ちょっとね、最近、足りなかったから…」 「喧嘩 ?」 「お兄ちゃん…」 俺が足りなかった? 「俺 …?」 「そう、お兄ちゃん。 …最近、ちっとも あたしに、構ってくれなくなったぢゃん…」 「そ、そう?」 「そうだよ」 「そっか…」 「うん。そうだよ…」 「そうだったかぁ」 「淋しかったんだからね… あたし…」 言われてみれば、ひとみが、中学生になった頃から、何となく、身体も大きくなってきていたし、大人扱いというか、アレコレ任せっぱなしになっていたかも知れない。 「ごめんな…」 ひとみが、ギュッとしがみついてきた。俺も背中に左腕を回し、右手で頭を撫でた。 「お兄ちゃん…」 ひとみの背中に回した左腕に、妹の震えが伝わってくる …。 … 泣いてる ?! … 「ひとみ… どうした?」 ひとみは、俺の胸に顔をつけたまま、イヤイヤをするように、黙って小さく頭を振った。俺は、右手でヨシヨシというように、頭を撫でた。 声を押し殺すように、妹は背中を震わせている。 「…どこか 痛かった?」 俺は、小さな子供をあやすように、左手でポムポムと軽く背中を叩きながら聞いた。また、ひとみが小さく頭を振る。 「… だいじょうぶ …」 泣き声にならないように声を絞ったかのように、ひとみが小さな声で答えた。俺は、黙ったまま、ひとみの震えが治まるまで、背中をゆっくり、柔らかく叩いていた。外では、まだ雷が鳴っているのが聞こえてきた。 「…お兄ちゃん …」 横顔を俺の胸にくっつけた姿勢で、ひとみが話しかけてきた。 「ん … どうした ?」 努めて、優しい口調を意識して、答えた。 「お兄ちゃんは … いつも そうなんだよ …」 「え?! … 何が ?」 「… いつも、 負けてくれるの …」 「そ、そうか?」 「そうだよ。 … いつも そう。 … 中学ん時だって、ホントは、バスケとか、部活やりたかったくせに、あたしが家で一人になるからって、我慢してたでしょ? …」 俺が中学に入学した頃から、それまで夕方には、店の手伝いから戻ってきていた母だったが、閉店まで手伝うことが増えた。うちみたいな、小さな飲食店では、パートの人件費も馬鹿にならない訳だし、仕方のない、当然のことだと思った。 中学生になったばかりの俺には、部活動は魅力的で、正直、かなり心惹かれるものがあった。ただ、妹のひとみは、まだ、小学五年になったばかりだったし、一人で留守番させるのは、あまりにも頼りないし、可哀相だった。 「…いや、別に、我慢とか してないし…」 実際、妹の遊び相手をしたり、勉強をみたり、家のことを一緒に片付けたりするのは、全然、嫌ではなかった。 「でも、あたしが中学入って、部活始めるまでは、高校でも、早く帰ってきてたし、今みたいに、バイトしたり、バイク乗ったりもしなかったでしょ? いつも、お兄ちゃんは、我慢して負けてくれてきたんだよ…」 ひとみは、中学二年の夏休み前になって、突然、バレーボールをやりたい と言って、部活動を始めた。その時は、ちらっと、一体どうしたんだろうと思ったのだが、まぁ、身長もあるし、運動神経もよかったから、周りからも薦められてて、本人もその気になったのかな?くらいに考えた。 「…お前、まさか、バレーボールやりたいって言ったの …」 ひとみは、ちらっと顔をあげた。俺と目が合うと、また、俺の胸に横顔を押し付けるように顔を臥せた。 「バレーは、好きだよ … 部活も、うちはそんなに強くないし、練習もキツクない … うん … 居心地も 好いし … お兄ちゃんにも 甘えなくて済むかなぁって … あたしが甘えてたら、 お兄ちゃん、 いつまでも 妹離れできないぢゃん (笑)」 やられた … 俺は、どこかで、幼い妹の面倒見てるつもりになっていた。一緒に遊んでやってるつもりに、構ってやってるつもりに、なっていた。でも、妹は妹で、兄の様子や立場を、ちゃんと見て、しっかり考えてきてたんだ。 「だから、ホントは、もう、お兄ちゃんに、甘えないようにしなきゃって、思ってたのに … わがまま 言っちゃった …」 俺は、思わず、しっかりとひとみを抱きしめていた。 「ごめんね … お兄ちゃん …」 ひとみの腕にも力が入り、俺にしっかりと抱き着いてきた。 「ばかだな、お前 … んなこと、 好いのに…」 突然、俺は、自分の股間が勃起し始めたのが判った。 ヤバイ! 兄のくせに、妹に勃起しちゃうなんて、 何してんだ俺。 とにも、かくにも、ひとみには絶対、バレたくない。 「ばかな奴、妹の癖に、生意気だよ」 俺は、自分の動揺と焦りを隠すように、ことさら投げやりな口調で言い、妹を抱きしめていた腕を、力無く投げ出す感じで解いた。 「お兄ちゃん…」 ひとみが、上体を少し起こして、俺の顔を覗き込む。 「ん?」 無愛想な調子で応える。 「あたしたち、兄妹だよね」 心臓が飛び出しそうなほど、ドキっとする … バレたのか? 「… ん … なんで?」 出来るだけ、普通に応えたつもりが、声がかすれる。 「あたしは、ずっと、ずっと、お兄ちゃんの妹だよね?」 また、少し、ひとみは上体を起こす。ひとみの腰が、俺の腹に密着する感じが強くなり、俺の股間は、ますます硬く大きく勃ち上がってくる。 マズイ… このままでは… バレる … 「… なに、どぉしたの? お前 … 」 俺は応えながら、微妙に腰を引き、 少し下に身体をズラす。 「ん?… ん~ … お兄ちゃんが、いつか結婚して、あたしも いつか結婚する日がきたとしても、あたしは、お兄ちゃんの妹だよね。 ってことかな…」 俺が身体をずらした分、ひとみの顔が近くなり、その分、ひとみが上体を起こしたので、ひとみは、俺の腹の上に跨がるような姿勢になった。 「あ?、なに 当たり前のこと 言ってんだ?」 速くなってる心臓の動悸を悟られないように、ゆっくりと俺は応えた。 「ん… でも、当たり前のことが、 あたしには 大事なことだったりもするの …」 ひとみの大きな黒い目が、しっかりと俺を見つめて、ふっと目だけが微笑む。 「ふ~ん … そう?」 いつの間にか、痛いほどに勃起していた俺の応えは、いい加減になりつつある。 「ん。だって、妹なら、お兄ちゃんに、たまになら甘えても許されるぢゃん?」 ひとみは、ニマッという感じで、悪戯っ子みたいな笑顔になる。 「あ~今日みたいに?」 俺は時間でも気になるようなそぶりで、目線を反らして、出来るだけ、ひとみを意識しないようにしようとした。 「ん。まぁ、今日は、ちょっと、予想外に、甘え過ぎっていうか、人さまには言えないっていうか、ねぇ?(笑)」 そらそうだ。妹に勃起してますなんて、他人どころか、ひとみにも知られたくない。 と、横を向いていた俺の真ん前に、ひとみが覆いかぶさるように上体を倒し、俺の顔を覗き込んできた。 近い … 「だって、お兄ちゃん、高二男子と 中三女子が、下着も着けずに、ラブホのベットに居る って、やっぱ、普通に考えたら、ヤバイよね? いや、私、妹なんですって 言ったって、逆にアレコレ想像されちゃうよね ?…」 既に、かなりヤバイんだよ、俺は。頼むから、ひとみ、それ以上、動かないでくれ …。 「アホかお前、兄と妹です。 なんて言ったら、余計にヤバイだろ …」 ひとみの目線を外すように、俺は天井に視線を向け、上を向いた。 「そうだよね …」 俺の上からゴロリと転がるようにして、ひとみは横になった。何とか勃起しているとバレずに遣り過ごせたと思う。 ひとみが、枕に顔をつけて、大きく、息を一つ吐いた。その姿勢のまま、呟くように続けた。 「あたし、いつか、誰かと、また、こんなふうにラブホに来るのかな… 」 嫌だ! その刹那、俺は、今まで感じたことのなかった、強く激しく狂おしい 「想い」 が物凄い速度で込み上げ、俺の感情を全て支配した。 ひとみは、俺の妹だ! ひとみは、俺の大事な、大切な、妹だ! ひとみは、誰にも渡さない! ひとみが、誰か知らない男に抱かれるなんて、嫌だった。許せなかった。 実体のない男に、俺は激しく嫉妬した。その嫉妬は、俺の中にあった、ひとみへの想いに火を着け、爆発させた。瞬間的に、俺に残っていた兄としての妹への想いも立場をも、粉々に打ち砕き吹き飛ばしてしまった。 「ひとみ!」 俺は、ひとみを抱きしめていた。 「お兄ちゃん?」 急に腕を回して、ひとみを引き寄せ抱きしめた俺の様子に、驚きと戸惑いの声を投げて寄越した。 … 当たってる … 勃起してしまったことを、妹に悟られないように腰を引いた姿勢をとっていたのに、自分から抱き寄せてしまったのだから当然なのだが、俺の勃起したモノは、ひとみの太腿からお腹辺りに押し付けられる形になった。 … バレちゃった … 妹に、欲情してる自分に対する恥ずかしさと、それが、ひとみにバレてしまって、ひとみから軽蔑されたり嫌われたりすることへの怖さが、一緒くたになって、俺は動けなくなってしまった。 しばらく… いや ほんの数秒だったのかもしれないが… 恥ずかしさと怖さで固まっていた俺にとっては、 その時間は永遠にも感じられた。が、多分、 さほど時を要さずに、もぞもぞとひとみが動いて、俺との間に挟まれる格好になっていたひとみの腕が、スッと抜かれ、俺の肩と背中に回されてきた。 「お兄ちゃん」 さっきに較べると、静かで小さい、しかし、限りなく優しい印象の確りとした声が、俺の顎の下から聞こえてきた。 俺が抱き寄せた距離を、更に縮め、ひとみが身体を擦り寄せる。 … 嫌われてない … ジンワリと嬉しさが、俺の中で広がっていく。妹に対して欲情した兄である俺を、ひとみは軽蔑したり嫌ったりせずにいてくれている!それが、俺を安心させ、許された喜びとでもいう感情が、心を満たしていく。 俺の腹に張り付いていた勃起したモノが、ひとみの太腿と太腿の間から下腹にかけての空間に、柔らかく包まれるように収まる。 短いタオル地のバスローブだけで、互いに下半身を曝した姿で、俺たち兄妹は密着した。ひとみの素肌がひんやりとした温かさで心地好い。 「お兄ちゃん」 さっきより、やや強さを感じる声で、再びひとみに呼び掛けらる。ひとみの腕に力がこめられたのが伝わってきて、俺も、力を込めたのが伝わるように抱きしめる。 俺の股間は、勃起したまま… いや、正確には、さらに勃起しようとするように、脈打ち続けていた。 …自分の血液が、流れ込み続けているのが判る。 「お兄ちゃん…」 閉じて合わされていた、ひとみの脚が、俺の脚の外側から絡みつくように回され、俺の右脚の膝がひとみの脚と脚を割って、更に密着度が高まる。 … 気持ち好い … 俺の勃起したモノは、少し位置がズレ、ひとみの腰骨と腹筋の間辺りになっていた。 「お兄ちゃん … エッチなことになってるね、私たち…」 少し嬉しそうな調子を抑えるように、ひとみが言った。 「そだな … 心臓バクバクいってるよ」 嫌われていない確信が、ようやく、ひとみに応える余裕をくれた。 ひとみが、少し、脚を動かす。肌と肌が擦れる気持ち良さが、身体を支配する。 「お兄ちゃんが、あたしなんかにねぇ…」 いや、兄としてから見ても、兄という立場を外して見ても、ひとみは可愛いと思うぞ … 勃起してしまった言い訳ではなくな … 「ごめんな、俺…」 「なんで謝るの?」 驚いたように、少し顔をあげて、直ぐにひとみが 聞いてきた。 「いや… その… お前に エッチな 気持ちに …」 ひとみは、横顔を俺の胸に押し付けながら、少し喉を鳴らすように笑ってから言った。 「ちょっと、びっくりしたけど…」 「 ごめん…」 「好いよ、なんか、不思議な感じ…」 「え? … 不思議?」 「ん(笑) お兄ちゃんでも、こんな風になることあるんだ… って…」 「あ、いや… それは…」 「嬉しいよ、あたし」 「え? … 嬉しい?」 「ん。 …なんか、お兄ちゃんに、女として認められたって いうか(笑)」 「そ、…そうか?」 「だって、お兄ちゃん、絶対、あたしなんか、女ぢゃないって、思ってたし…」 「や、だって、妹だし」 「そうだよ、妹だよ、今も(笑)でも、お兄ちゃん、なんかお腹に当たるんだけど(笑)」 悪戯っ子みたいな顔で、ひとみが、身体を密着させたまま、ゆっくり腰を左右に動かす。勃起した俺のモノは、ひとみの腹部に形を残すほど押し付けられる。 「だって、…嫌だったんだ!」 ひとみが動きを停めて、小さい声になって、聞き返してきた。 「…嫌って?…」 「… お前が … 他の誰かに 抱かれるの …」 今度は、俺の声が、小さくなる。 「… それって … ねぇ … お兄ちゃん … それって、 もしかして、 ヤキモチ ?」 ひとみの声に力がもどってくる。ひとみは、ムクっとおもむろに上体を起こすと、俺の顔を覗き込むようにして、嬉しそうな声で聞いてきた。 「お兄ちゃん、ヤキモチだよね? それ」 「 … ん … 多分 …」 「お兄ちゃんが、あたしに、ヤキモチかぁ」 「なんだよ」 「へぇ~って」 「悪いかよ」 「ん~ん、悪くないよぉ~ (笑)」 「なんだよ」 ひとみが ニマっと笑っている。 「あたしが、他の誰かに、抱かれるのが、嫌なんだ ? ね ? そうだよね? お兄ちゃん ?」 「…そうだよ」 「そっかぁ… 嫌なのかぁ… お兄ちゃんってば…」 「… んだよ 」 「んふふ、 そんな 怒ったって 怖くないも~ん」 なんか、俺、ひとみに、決定的に、言っちゃマズいこと、言ってしまったみたい … ひとみが、また、俺に抱き着いてきて、俺の耳許に顔を寄せてきた。 「お兄ちゃんは、妹のあたしを、誰にも渡したくないんだね」 それは、生まれた時から知っている、妹のひとみが、俺に向けて、生まれて初めて遣った「女」の声だった。
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2019/04/27 03:58:49(RZGzvxJn)
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