その日以来、私は何事も無かったかのように予備校に通った。母はすっか
り警戒心を解いていた。もちろん　母のオナニーは止まなかった。止まな
いどころか、母は意図的にオナニーを私に覗かせていた。そして、母の自
慰は「こっそり覗く」のが暗黙の約束事になってしまった。母は覗かれて
いる事に気付かないふりをしていたし、私も気付かれていないふうを装っ
た。そして、どんなに興奮しても「覗き自慰」以上の事はしないというの
が、暗黙の約束だった。

告白すれば、母と私がけじめを守ったのは、けっして道徳心からではなか
った　こっそりと覗いた方が興奮が高まり快楽が強い事を、母も私も本能
的に知っていた。そして母が一線を越えなかったもう一つの理由。それは、
言うまでもなく幸生の存在である。母は幸生の肉棒に狂っていたのである。

この頃の我が家は、表面的には極めて平穏だった。父は甲斐甲斐しく働い
たし、家庭の団らんは話が弾んだ。しかし、その場から父が居なくなると、
忽ちにして重苦しくて淫蕩な空気が場面を被ってしまう。そして、私も
母も口数が少なくなり、私は母の身体を、舐め回す様な視線で見るのが常
だった。そして、母は母で欲望の視線を敏感に感じ取った。母は無意識の
内に、私を挑発するような媚態をみせる事も屡々だった。


覗かれる事による興奮。あられもない姿態を見られることの羞恥。不道徳
極まりない事をしているという罪の意識。それらは母を苦しめた。しかし、
一方では、これらの背徳行為は、通常では得られない禁断の快楽を母にも
たらした。そして母は、快楽の虜になった。

私と母の淫行為は、結局やめられなかった。「わたしはやめられないの　
あなたもきっとやめられないわ」と母が言った通りになってしまった。
そして、私たちの行為は、日毎にエスカレートした。

この頃の母は、深く悩んでいたと思う。しかし、母にとって悩みの源泉は、
快楽の源泉でもあった。背徳と羞恥、これこそが、母が味わった快楽の本
質だった。息子に淫らな自慰行為を覗かせて興奮と快楽を得るという、倒
錯した性衝動。母は、決して許される筈の無い快楽の虜になった。母は、
恥知らずな女性器を私に見せつけて、何度も快楽の呻きを漏らした。そし
て、それを覗いている私も又、母を覗いて射精する快感が忘れられなくな
った。

どんなに悩みが深かったとしても、やがては苦悩もボヤけてくる。
母と私は、深刻であるはずの事態を、都合よく納得させてしまった。
「このことは　誰にも言わないって約束してよ　もう　こうなってしまっ
たんだから　そうするしかないのよ」と、母が言った言葉を、私はそのま
ま実行してしまった。

やがて私は、行為する母を、猥褻な女体としか感じなくなった。もしかし
て私がそう思おうとしただけなのかも知れないが、その事により母への欲
望が強くなったのは、隠せない事実である。それに比べても普段の母は、
以前と変わらぬ母だった。母も又　母と女を都合よく使い分けたのである。
そして父の前での母は、たとえそれが演技だったとしても、申し分ない良
妻賢母だった。

やがて母は、日毎に淫蕩の度合いを強めていった。母は、私に行為を覗か
れる事を欲していた。そして、母を覗く私の行為も、徐々に大胆さを増し
ていった。母に見つかることを警戒しなくなった私は、少しでも母の様子
に欲情の兆候が見られると、すぐに母の後を追った。そして、私の欲望は
必ず充たされたのである。

昼日中にカーテンをすべて締め切った部屋に入る母。入り口の扉を丁寧に
閉めても、やがてその扉は開けられる事を、母は知っていた。そして母は
ある時を境に、畳の部屋での自慰を好むようになった。

そして、ある日の事である。勉強に疲れた私が居間に入ると、母は私に
昼寝を勧めたのである。「ねえ　お昼寝しましょうよ　寝て起きれば疲れ
が取れるわよ　その方が勉強もはかどるわ」と、母が言うのである。その
時私は、身震いするほどの期待と興奮を感じて、しばし立ち竦んだのを、
覚えている。

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