それは、私が中学一年生の時に覗き見てしまった光景から始まった出来事だった。私、達也当時13歳、中学一年、母と妹それと祖母の四人暮らし、木造の古い長屋で狭い敷地の中に同じ造りの長屋、共同の洗濯干し場それを囲む様に平家のアパートが建っていた。叔母の恭子はそのアパートの一室に住んでいた。
「婆ちゃん、お風湧いた」「湧いてるよ」
恭子の部屋には風呂がなく入浴は内に来て済ませていた。風呂場には脱衣所は無く、正面には木枠に磨りガラスを嵌め込んだ引き戸だけ。それを挟んで居間があった。目隠しに為るような物は、無く、居間にいるとどうしても目に入ってしまう。思春期の私には磨りガラスを通して映る恭子の身体が、すごく悩ましく見えた。