アパートでの生活も一か月が過ぎておりました。
母と子の二人暮らしと言うふれ込みで、何とかここでの生活も落ち着けるか
と思っておりました。そんな矢先、思いがけない出来事が発生しました。
何処からか私達の関係が知られた様なのです。外に於いては十分な位に注意
していた事なのですが、部屋の中ではついつい油断してしまうのかもしれま
せん。有り得ない出来事が原因で、私達親子の中を疑われる事態に陥りまし
た。そう・・私達の連夜の交尾が、隣室の方の疑いを招いてしまったのでし
た。となりの方は独身の方でしたので、私達の話し声や、あの時の声がどう
やら漏れていたようです。その事を大家さんに訴え、その大家さんが私の所
に訪ねてまいりました。
「どう言う事ですか？　貴方方は親子と言う事でしたよね？　こんな事を言
うのは何ですが、こう言う場所ですから、少しは自重して欲しいのですよ。
お隣の＊＊さんはお独りの方ですからね。何か・・毎晩変な声が聞こえて困
ると言うのですよ。あなた方、本当に親子なんですか？」　
目から火の出る思いでした。
「はい、私はあの子の母親です。その事は間違いありません。」
「なら変じゃないですか？　夜聞こえてくる声と言うのは・・その・・。」
私はどう答えていいか判りませんでした。
「ともかく・・いいですか、今月一杯で此処を出てもらいますか？」
突然の退室願を通告されてしまいました。
「その・・あまり変な方々に住んでもらうの、困るんですよね。いいです
ね、お願いしますよ。」
それが大家さんからの話でした。
卓也にはその夜伝えました。当然の様に彼は怒っていました。
「隣に文句言ってやる！」
今にも怒鳴り込むような剣幕でしたが、かろうじて止めさせました。
「お願いだから・・やめて、隣に迷惑掛けたのは事実だから・・。」
私の頼みで何とか彼も承諾してくれました。
「今度の休みにでも、新しい処探しに行こう・・・。」
卓也はそう言って、治めてくれました。

その夜、卓也は意外な報復行動を取って来ました。
それは、私にも驚きでしたが、悔しい思いは私も同じです。結局は卓也の報
復に私も加担しました。
隣室の住人に、ジックリと私達の行為を聞かせてやる事でした。
いつにも増して、濃密な行為で、目に見えぬ報復をしてやる事にしたので
す。