「……?」
「んとね、じゃあねぇ~……」
怪訝そうな俺を尻目に、夏姫の顔に楽しそうな笑みが浮かぶ。
「一緒に映画、観てい~い?」
「……ええ?」
それは、俺的には予想外な返答だった。てっきり部屋に戻るものとばかり思っていたからだ。
「……だめなの?」
再び夏姫は上目遣いになって、こっちを見てくる。
「いや、良いけど~……」
渋る俺。
「良いけど、なに?」
「観るとしても、途中からだぞ? しかもコレ、シリーズモノの三作目」
「いいよ、かまわないよ。どうせ寝れないんだし、お兄ちゃんに前の話教えてもらうから」
屈託のないにやにや笑いを浮かべながら、夏姫はもうさっそく、俺の隣へどんどん座りこむ。それからくつろいだ様子で俺の方を見て、画面の中で、剣呑な表情で固まっているヒロインの顔を指し示して、そうして小刻みに体を揺らした。
「ほらお兄ちゃん、再生ボタン~」
(まだちょっと前置き続きます……;)