友里は程なくして正樹という男と別れた。このままでは健太のためにならないと考えた。
男と別れてからか健太に笑顔が戻り友里とも親子の会話を取り戻した。
その一方で健太の友里へ向ける視線が変わった事感じていた。健太が友里を見る目付きは親子のそれとは明らかに違う"女"を見る目付きであった。健太は友里の事を一人の女性として見るようになっていた。そしていつか自分のものにしたい…そう強く願うようになっていた。
友里は半年程前から水商売のバイトを週に二日程し始めていた。昼間の仕事だけでは足らなくなってきていた。健太は派手な身なりをして出掛けていく友里を見ては心を傷めていた。
そして転機が訪れた。
友里のバイト先のスナックの常連の朝倉という56歳の男が友里に惚れ込んだ。この男、会社を経営し手に入れたいものはなんでも手にしてきたという男である。そして、友里には3LDKの新築マンションと月々数十万円という生活費を払うから愛人契約をしないかという誘惑であった。友里はきっとこの先こんなチャンスはない…しかし…。
朝倉に健太と一緒に住む事を条件にした。
朝倉は年頃の男なんてそのうち親元を離れるだろうと考え二つ返事をした。

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