智之君とは、朝９時すぎの便ということもあり、早朝に空港で待ち合わせを
しました。私が待ち合わせ場所につくと、ジーパンにＴシャツという格好
で、大きなスポーツバックをかかえて待っていてくれました。それに比べて
私は、ミニ丈のノースリーブのワンピースにカーディガン、それに海外に行
くほどもあるスーツケースを引きずっています。このミニのワンピースは、
夫との「子作り旅行」用に以前から用意していたものです。この年では、ち
ょっと短すぎるかな？とか、やっぱり30代半ばのおばさんと高校を卒業した
ばかりの男の子じゃ不釣合いだな。なんて内心、笑ってしまいました。そん
な私を察してか智之君も照れくさそうに笑っていました。チケットカウンタ
ーで、チケットを受け取るとコーヒーを飲む間もなく出発でした。飛行機の
中でも、なにか話しかけようと思っても、智之君はさっさとヘッドフォンを
つけて寝てしまいました。彼もきっと夕べは夜中から、荷造りをしたのだろ
うから仕方ないかと、沖縄までの２時間、私はつまらない機内上映の映画を
ひとりで見ていました。
飛行機は那覇で、ちいさなプロペラ機に乗り継ぎです。乗り継ぎの時間が１
時間近くあり、私は智之君を誘って空港内の喫茶店に入りました。そこでは
じめて、彼の顔を正面から見たと言っても言い過ぎではありません。私が気
を使って「こんなオバサンとじゃ、せっかくの宮古島も楽しくないでしょ」
って言うと、「そうだね、でも友達と卒業旅行にＴＤＬに行く予定もキャン
セルになってしまったし。それにこっちでは、もう泳げるだろうから人より
先に日焼けできるだろうから来たんだ。」だって。「ところでＴＤＬってな
に？」「東京ディズニーランドのことだよ。そんなことも知らないの？」。
なんだか、話せば話すほど年齢のギャップを感じてしまいました。しかし、
そんな会話で打ち解けてくれたのか、宮古島に向かう飛行機の中では、こっ
ちが聞いていないことまでいっぱい話してくれました。ＴＤＬへは高校のと
きから付合っている彼女と行くつもりだったこと、その彼女とは卒業間近に
別れてしまったこと、去年のクリスマスにはじめて彼女とセックスしたこと
まで話してくれました。きっと智之君も久しぶりに会う叔母さんと、いきな
り旅行ってことで緊張していたのだと思います。それとも眠気がさめただけ
なのかな？
宮古島についてからは、無理やりの半日観光が待っていました。ホテルのチ
ェックインまでの時間調整なのでしょうが、リピーターの私にとっては結構
つらいものです。けど、智之君は始めてなので大喜びです。初夏の日差しを
浴びて、はしゃぐ男の子の姿に、私もなんだか若返った気分でした。ホテル
に着いたのは午後の３時くらいです。チェックインをして、ボーイさんに案
内されるまま部屋へ通されましたが、そこで私はとんでもない失敗をしてい
たことに気づきました。もともとが、夫との「子作り旅行」なので、キング
サイズのベッドのあるダブルの部屋を予約していたのです。私はフロントに
事情を話し、部屋のタイプを代えてくれるように頼みましたが、卒業旅行の
シーズンということもあり、他の部屋は満室。明日になれば部屋のチェンジ
もできるので、今日だけは辛抱して欲しいとのことでした。智之君に話す
と、自分はソファーでも床ででも寝るのでかまわないと言ってくれました。
彼は、私がフロントに交渉に行っている間に、ジーンズから短パンに履き替
えていました。「叔母ちゃんも着替えないの？俺、ちょっとホテルの中を探
検してくる。」そう言って部屋を出て行ってしまいました。私は、ひとり部
屋に残されて、大きなスーツケースを開けたときに、もうひとつ大きな失敗
をしている事に気がついてしまいました。それは、昨日の夜まで「子作り旅
行」の予定だったので、用意してきた洋服や下着は全部、夫と楽しむ為のも
の、セクシーなものばかりでした。下着もＴバック程度は普段でも普通には
いていますがスーツケースに入っているのは、ほとんどカップのないブラジ
ャーや、ヒモだけのショーツ、洋服もミニや脚の付け根あたりまでスリット
の入ったもの、水着にいたってはブラジル系の三角ビキニです。

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