食事を終え、僕らは軽く飲んでいた。僕はマティーニ、K子は薄目のモスコミュール。少し緊張が解けたのか、K子が機嫌よくしゃべりだした。やはり明るいK子が一番だ。
『お料理おいしかったね、ちょっと緊張しちゃったよ・・』とK子はグラスを傾けて言った。
『おいしかったね。・・・そろそろ部屋に帰ろうか?』と、席を立ち、ラウンジを出た。K子が珍しく僕に腕を組んで来た。目が合うとニコッと微笑んだので、僕も微笑んだ・・・。
部屋に戻り、僕はジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩める。K子は部屋の隅々を見回っていた。どうした?と聞くとラブホと違うねと言った。そりゃ違うよ・・。
ベッドに腰掛けると、K子も隣に座った。手を握ると、ずっと握った手を見ていた。そんなK子を見つめながら僕は、
『K子、大好きだよ』と言うと、僕を見て、
『あたしも・・・お兄ちゃん・・・大好き・・・』と、ポツリと言うとK子の瞳が潤んできた。
『んん?どうした?』と聞く。K子は、
『ううん・・・』と答えると、僕の肩にしがみつき、
『お兄ちゃん大好き!』と言った。ワナワナとK子が僕の肩で震えているのがわかる。僕も少し目が潤んでしまった・・・。