第7章 - 幻想
槌
槌
背中からの柔らかい感触は心地良く、いつまでも感じていたいものだった。
槌
『かよさん、どうしたんだろう。本意が全然わからない。でも、柔らかく気持ちいい、手で触っても許してくれるかな?　でも、いきなりはやめた方がいいかな』
槌
お互いに焦らしあっているような感覚だった。

「ごめんなさい、誰にも言わないで」
槌
「何も謝る必要ないですよ。かよさんの柔らかい感触気持ち良かったです」
槌
「なんか急に抱き締めて欲しくなっちゃったの」
槌
「本当ですか?　ハグしていいですか?」

『やばい、ついに勢いで言ってしまったけど、ハグで近づくと勃起してるの完全にバレるよな』
槌
かよさんの正面に振り返りながら聞くと、かよさんは黙って頷いてくれた。
槌
ぎこちないハグになってしまったと思う。勃起を悟られないないように腰を少し引いていたし、そのせいで力も入らなかったからだ。それでも上半身はかよさんの乳房の柔らかい感触がダイレクトに伝わって、ますます腰を引かなければいけない状況になった。
槌
お互いに無言のまま３０秒くらいいただろうか、キスしたい衝動に駆られてしまったが、一方で冷静に分析する自分がいた。
槌
『この流れだとキスしても拒まれることはないだろう。でも、ファーストキスが昨日初めて会ったばかりの歳上の女性で良いのか?　夏休みに彼女を作る予定だっただろ?　部活の練習場所で知り合った子と今度映画に行くんじゃなかったか?　やっぱりダメだ』

「密着させちゃったね藤田くん」
槌
「ドキドキしました」

「わたしのおっぱい柔らかかったでしょ?　自分で開くとおっぱいが大きいのがコンプレックスなの」

「なんでコンプレックスを感じる必要があるんですか?」
槌
「女子高生のとき友達が勝手に触ってくるし、同級生に言われたの『胸の大きい女は頭悪そうに見える』って。それに『エロくて男を誘ってる女と思われる』って。その子たちは別に悪気は無かったんだけどね」
槌
「ぼくは好きですけど、柔らかいおっぱい」

『好きどころじゃないよ。パイズリ出来るくらい大きい槌おおっぱいなんて最高じゃん』
槌
友人の家で見せてもらったエロ本のシーンを思い出してしまった。
槌
「本当?若い時はもっと張りがあったけど、最近は自分でも柔らか過ぎるかなって。ブラをしないと垂れちゃうの」
槌
『やばい想像しちゃうよかよさん。マシュマロのようなおっぱいに挟まれて気持ち良くなってることを。そうだ、デカメロンちゃんに対抗してマシュマロちゃんと呼ばせてもらうかな?』
槌
どう反応して良いのかと黙っているしかなかった。エロ本で見たパイズリ槌のシーンで見た女も巨乳で垂れていた。友人達とはホルスタインみたいだと感想を言い合った。
槌
「じゃあ事務所に戻りましょ」
槌
「そうですね」
槌
いくら腰を引いていたとはいえあそこはフル勃起していた。背の高さの違いから、当たるとすればかよさんのお腹のはずだ。そのことに何も言わないことの意味がわからなかった。
槌
槌
エレベーターが地下１階に到着し扉が開いた瞬間に大きな笑い声が聞こえ始めた。ボス猿おじさんこと高崎さんや股間タッチおばさんこと中野さんが休憩しているのだろうとすぐにわかった。

現場事務所のドアを開くと見覚えのある制服の女性が立っていた。槌

「おおっ色男が戻って来たね」

ボス猿おじさん高崎さんが大きな声で叫んだ。
槌
「あんたのお陰で、わたしたちもお裾分けを貰えたんだよ」
槌
股間タッチおばさんが大きな声に振り返ったのはデカメロンちゃんだった。

『なんでデカメロンちゃんがいるんだ? それにお裾分けって?』

「貰い物で悪いけど差し入れよ。後で皆さんで食べてね」

美由紀さんが微笑みながらソファのテーブルに置かれた洋菓子の箱を指差した。

「ありがとうございます、後でいただきます」
槌
『なんなんだ背中に感じる痛い視線は?　そうだ、かよさんが嫉妬してるんだろうな。後でどうフォローするか考えなきゃ』

「じゃあ、皆さん。失礼します」槌

そう言うとデカメロンこと美由紀さんが事務所を出て行った。振り返らなかったからかよさんと美由紀さんが視線を交わしたかはわからない。

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