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1:八月の熱く熟れた夜5
投稿者:
七海 航
第5章 - 同化
アルバイトの初日である、開始時間5時には早いが4時には到着するように最寄りの駅に到着した。履歴書を提出しなければならないし、かよさんやデカメロンちゃんと会いたい気持ちが強かったのも事実だ。 バイト先のオフィスビルのひとつ手前の横断歩道に差し掛かるタイミングでエントランスから見覚えのある制服姿の女性が出て来るのが見えた。 『あっデカメロンちゃん? コンビニでも行くのか、だとしたら反対方向だな』 行き先がコンビニなのかはわからないが、想像したとおり反対方向に歩いて行ってしまった。後ろ姿からは本人だったかわからない、正面なら顔が見えなくても胸元でわかるんだけど。 ビルのエントランスではエレベーターの先に扉があり階段のホールになる、ここも掃除するエリアになる。地下まで降り扉を開くと左斜め前の扉が昨日デカメロンちゃんがノックしたビル管理会社だった。そのまま角まで進み右に曲がるとバイト先になる現場事務所だ。 ドアをノックして事務所に入ると槌、ソファの先にある事務机に現場責任者の高橋さんが見えた。 「おっ藤田くん早いね」 「はい履歴書を出したり手続きがあると思いましたので」 『かよさんやデカメロンちゃんと会いたい気持ちの方が早く来る口実なんだけど、あれ、かよさんは居ないのかな?』 「履歴書も見ずにバイトを採用したのは、きみが初めてだよ。そう言えば、昨日はよくも洗礼を受けたんだって?」 「えっ? 洗礼ってなんですか?」 『何のことを言ってるんだろ、おばさんたちに股間を触られたことも伝わってるのか? それともシャワー室のハプニングのことか?』 「おばさんたちにからかわれたと聞いたんだよ。ボディタッチが挨拶だと思ってくれ」 「はあ」 『なんて間抜けな返事だ、わかりました触りまくって喜ばせてやりますが正しい返事だろ? それとも減るもんじゃないし喜んで触らせますだったかな?』 「藤田くん、履歴書確認しておくから着替えてくれるか?ロッカーに名札を付けてあるからわかるね?」 「はい大丈夫です」 高橋さんに履歴書が入った封筒を渡しロッカー室に行くと鍵が掛かっているようだった。 『あれ、ボス猿おじさんが着替えてるのか?』 念のためノックをしてみる。中から足音がしてカチッと鍵が解除される音がし扉が開いた。 「あら藤田くん、随分と早いのね」 『なんでかよさんか男子ロッカー室にいるんだろう?』 そんな疑問をかよさんの説明槌が打ち消してくれた。 「藤田くんの制服を用意したりロッカーを掃除してたの。鍵をしておかないとエッチなおじさんたちが入って来たら大変でしょ」 「はい、ありがとうございます」 「昨日はごめんなさいね」 「えっ何がですか? 何も謝られることは」 「シャワーのことよ。わたしおっちょこちょいだから」 『やっぱりそうだよな、わざとじゃ無かったんだ。半分期待はしてたんだけど、本物の天然なのか。そうじゃなきゃこの職場では務まらないか』 「へぇおっちょこちょいなんですね。そうは見えないですけど。実はぼくも相当なおっちょこちょいです」 「本当? 藤田くんはしっかりしてて高校生なのに頼れる感じがするの。昨日も全然嫌な顔を見せなかったし、お顔も拭いてくれたでしょ。ドキドキしちゃったの」 『嘘だろかよさん!? あんなにもドキドキさせておいて。でも、昨日と比べるとなんか話し方も違って聞こえるよ』 「ぼくもドキドキしっぱなしでしたよ。だって」 『しまった、つい余計なこと言っちゃった。だから、おっちょこちょいなんだよね』 「だって? だってってなあに?」 「いやぁなんと言うか。。。」 『まさかノーブラ姿の乳首に視線が釘付けになったなんて言えないよな。そうだ、ハンドタオルがいい匂いだったと言えばいいんだ』 「そのぉシャワーのところでハンドタオルで拭いてくれて、すごくいい匂いでした」 「それだけぇ?」 『まいったな、何を言わせたいんだろ? 肘におっぱいの感触がなんて言えないよな』 かよさんは一歩前に踏み出しながら背伸びして肩に手を置き寄りかかるようにして耳元で囁いた。そのため肩と肘にかけて乳房の感触がダイレクトに伝わってきた。 「教えて欲しいの」 『ううっどうしよう言ってしまうか。。。やばいムズムズして来た、このままじゃ勃起に気付かれる』 そのとき外部がざわつき始めた。 「おかよちゃん、いるのかぁ」 『あっボス猿おじさんだ。そうか休憩かな』 「はあい、高崎さんいますよ。ちょっと待ってて」 『そっかボス猿おじさんは高崎さんって言うんだ。まさに高崎山の猿だ。名前が覚えやすくて助かった』 「なんでおかよちゃんが男のロッカーにいるんだ? あんちゃんが連れ込んで口説いてたんだな」 「何バカなこと言ってるの。藤田くんの制服を用意したりロッカーを綺麗にしてたのよ」 「なんだ、つまんねえな」 「藤田くんの倍の年齢なんだから口説かれる訳ないでしょ」 『倍の年齢なんだ。32歳か』 「藤田くんだっけなあんちゃん、よく来たな、後で面白いもん見せてやるから楽しみにしとけよ」 「はい楽しみにしてます」 槌「じゃあ藤田くん、着替えてね。高崎さんは休憩? 変なものを見せちゃダメよ」 「変なものじゃないだろ、きっとあんちゃんも喜ぶよ」 『おれが喜ぶいいもの? なんだろう楽しみだ』 ロッカー室で制服に着替えて外に出ると、昨日股間にタッチして来たおばさんのひとりが出社して来たところだった。ボス猿おじさんの高崎さんは、おばさんの尻を撫でながら挨拶を交わした。おばさんは、嫌がるでもなく軽く交わしていたが股間に手を伸ばすことはなかった。 「ちょっと高崎さん、痴漢で警察に付き出すわよ」 「勘弁してくれよ中野ちゃん、その代わり、このあんちゃんの触っていいからよ」 『ボス猿さん何を言ってくれちゃってるんですか!? まじで触ってきそうだよな』 「そうなの、じゃあ後で触らせてもらうよ」 冗談なのか本気なのか中野ちゃんと呼ばれた槌おばさんが豪快に笑いながら言った。 「もう高崎さんも中野さんも若い子が来たからってはしゃぎ過ぎ」 「いいじゃないの、減るもんじゃないんだから」 槌『なになに中野さん、減るもんじゃないって槌さっきおれが思ったことを言ってるじゃん』 「そうだよ、おかよちゃん減るもんじゃないだろ? それにおかよちゃんだって本音は嬉しいんだろ?」 ボス猿おじさんの言葉に反論も反応もしない代わりに、かよさんが赤面してしまった。 『まじか!? かよさんが赤面したってことは図星? それって、おれが来て嬉しいってこと? よし、こうなったら中野さんが触りそうになったら触らせるぞ』 「中野さん、こんにちは。今日からよろしくお願いします」 「何硬いこと言ってるの、昨日からよろしくされたでしょ? 硬いのは頭よりアソコがいいんじゃないか」 『うまいことを言ってくれるじゃん。ふざけてるけど、このおばさん頭の回転早いな』 「ははははっ、中野ちゃんに座布団一枚だな。あんちゃん、ご褒美に尻でも乳でも揉んでやんなよ。オレがやれば痴漢だけど、若い子ならご褒美だ」 「マジっすか高崎さん」 「おっ名前を覚えてくれたのか。嬉しいね、気に入った。とびっきりのもん見せてやっからな」 『高崎山のボス猿と繋げて覚えたなんて言えないよな』 「中野さん、ちょっと早いけど仕事の手順を藤田くんに教えてあげるからいい?」 「はいはい、お好きなように」 『中野さん、お好きなようにってなんか意味深じゃない』 「藤田くん、じゃあ実際に掃除するフロアに行きますよ」 「はいお願いします」 かよさんは、ちょっとはしゃぎ過ぎのおじさんとおばさんから逃げるようにおれを連れ出してエレベーターに向かった。 「ごめんなさいね、驚いちゃった?」 「いえ大丈夫です。高橋さんにも聞かされてましたので。ボディタッチが挨拶だと」 「もう高橋さんまでそんなこと言ってたの?」 ほど無く到着したエレベーターに並んで乗り込むと、エレベーターが1階で止まり扉が開いた。乗り込んで来たのはデカメロンちゃんこと5階のOLさんだった。 「あら来てたのね、アルバイトは5時だから後で顔を見に行こうと思ってたの」 『なんなんだ、この展開は? デカメロンちゃんがわざわざ顔を見になんて、なんていい人なんだ』 「昨日は本当にありがとうございました」 「どう致しまして、私が最後になってしまうと事務所の鍵を返しに行くから顔見知りが多いの」 『それってボス猿おじさんや中野さんにからかわれたりしてるのかな?』 「藤田と申します、よろしくお願いします」 「こちらこそよろしくお願いします。坂井です、坂井美由紀です」 『美由紀さんって言うんだ。可愛い名前だな』 エレベーターは5階までノンストップだった。手を振りながら『またね』と降りて行くデカメロンちゃんに手を振りかえした。隣のかよさんを見るとほっぺたを膨らませ拗ねたような顔をしていたのに驚いた。 「坂井さんは若いし可愛いからおじさんたちのアイドルなのよ。もしかして藤田くんもそう思ってるでしょ?」 『なになに、おかよちゃんどうした? 嫉妬してんのかよ』 「かよさんもお綺麗で魅力的な女性だと思います」 「本当にぃ?」 「本当です」 「嬉しいぃ」 そう言いながら、まるで子供のように抱きついて槌来たのには驚かされた。
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2019/01/09 22:56:13(5QsqDvjx)
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