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八月の熱く熟れた夜
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:女性向け官能小説
ルール: 女性目線のエロス、恋愛要素を含むなど、女性向けの小説をご投稿下さい
  
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1:八月の熱く熟れた夜
投稿者: 七海 航
第1章-出会い

16歳の夏の出来事は、自分自身の人生に大きな影響を与えたと大人になった今でも思う。その出来事が無かった場合に、どんな大人になっていたのかなんて想像できないし、自らの人間形成の礎になったとも思えるからだ。

高校1年生の夏休みは部活の合宿から始まったんだ。週何度かの練習はあるし、補習のための登校もあるけど夕方から数時間はアルバイト槌をしたいと考えていたんだ。今みたいにインターネットでアルバイトを探すなんて手段は無かったから、求人誌で探したり高校の周囲を歩き回って貼り紙を見つけ問い合せるなんてことをしたんだ。槌


男子校に通っていたからファストフードの店でバイトして女子高生と友達になるなんてこともアルバイトをしたい理由になっていた。一応、面接を受けて『いつから始められますか?』と店長さんは直ぐにでも来て欲しい感じだった。でも、時給の安さのせいで決断は出来なかった。『少し考えさせてください』と返事を待ってもらうお願いをして、7月最終週の暑い夕方の街を彷徨ってたら、高校の最寄り駅よりも隣の駅の方が近いところに来ていた。


貿易センタービルから少し離れたオフィスビルの前に差し掛かるとエントランスドアのガラスに『急募! 年齢不問、長期出来る方希望』と大きく書かれたアルバイト募集の貼り紙を見つけた。このビルの清掃員を募集している貼り紙だったんだけど、時給がさっきのファストフード店より50く、17時から22時という時間の枠がちょうど良いかなと思ったんだ。


年齢不問と言ってるけど、16歳の高校生でも良いのか、そもそもバイト出来るのは8月だけだから無理かと思いながら、その求人の貼り紙とにらめっこしてたんだ。

その時、背後から女性に声を掛けられたんだ。

「アルバイト希望の面接の方ですか?」

手には書類が入った封筒のようなものを持ってた槌から、このビルに勤務するOLさんだと思った。

「いえ、面接ではなく、今初めて求人広告を見ました」

「そうなんだ、きみは高校生かな?」

「はい、高校生はだめですか?」

「ごめんなさい、私はこのビルの会社に勤務してるだけで、アルバイト募集はビルの管理会社なの」

「そうですか、すみませんでした」

もう暫くこの周辺を歩いてから帰ろうとお辞儀して歩き出そうとしたらOLさんがまた声を掛けてくれた。

「ちょっと待って。もしきみがアルバイトに興味あるなら管理会社に連れて行ってあげるわよ」

「ありがとうございます、でも履歴書も何も持ってないですから」

「おうちは近いの?」

「いえ、電車で30分くらいです」

「だったら、お話だけでも聞いてみたら? また来るの面倒でしょ? さあ、行きましょう」

OLさんの親切に甘えることにしようと思った。それにしても、同級生槌の女友達と比べると大人の女性はすごい気遣いが出来るんだと感心した。それに制服のベストで隠された胸元のボリュームに少し目のやり場に困ったくらいだった。

「場所を教えていただけば自分で行きます」

「遠慮しなくていいのよ、付いて来て」

「ありがとうございます」

並んでと言うよりは少し後を歩く感じだったがエントランスホールに響くヒールの音が大人の女性を感じさせた。

「管理会社の事務所は地下なの」

そう言いながらエレベーターのボタンを押すと待機していたエレベーターの扉が直ぐに開いた。

「わたしの会社は5階なの、アルバイトを始めたら顔を合わせることになるかもね」

エレベーターという密室にOLさんとふたりきりなのがドキドキした。深呼吸したくなるほど髪の毛のいい香りがしたからだ。

「ちょっと待っててね」

地下のフロアに到着するとエレベーターの正面のドアをノックしながら言った。

ノックに対する返事は無かったが、廊下の奥から清掃員の制服を着た女性が現れた。

「こんにちは、どうされました?」

OLさんと清掃員の女性は顔見知りなのだと思った。

「こんにちは、この方がアルバイト募集の広告を見てたからお連れしたんです。話を聞かせてあげてください」

「あら、そうなんですね。わかりました、後はわたしが」

二人の会話を黙って聞いていたが、清掃員の女性に促されてOLさんがドアをノックした扉とは別の扉に向かった。

「ありがとうございました」

エレベーターのボタンを押すタイミングのOLさんにお礼を言いすると一礼した。

「バイト決まるといいわね」

そう言うと軽く手を振りエレベーターに乗り込み『優しいお姉さんのような印象』を残して消えて行った。名前を聞けば良かったと思ったが、『会社が5階』と言ってたし、『バイトを槌すれば顔を合わせる』とも言ってたから改めてお礼が出来ると安心した。


現に、このオフィスビルの清掃員としてバイトを始めるとOLさんと廊下で顔を合わせ挨拶をしたし、何よりOLさんの知られたくないであろう一面に触れることになった。

16歳の8月の熱く熟れた夜に導いてくれた女性のひとりだった。

 
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2019/01/06 17:38:18(lZNOjRaJ)
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