昔、仕事が続かず、毎日、荒れていた。金も無く、このまま餓死するのかと、朦朧とした中で、思っていた。
そこに、煙のような白い物体が現れた。
そして、「お前は、まだ、死ぬ時ではない。これをやろう。これは、お前しか使えぬ物だ。大切に使え」と、白い物体を渡された。その後、記憶が途絶えた。
気がつくと、病院のベッドで寝ていた。
「変な夢だったなあ」
ふと見ると、夢の中で見たような白い小さなリモコンみたいな物が、置いてあった。
「夢じゃなかったのか」
赤いボタンを押してみた。少し光ったが、他は、特に何も変わった事は、無かった。
「何だあ、何も起こらないじゃないか」
「ああ、どぶねずみになるのかな」赤いボタンを押しながら、そう、呟いた。
次の瞬間、どぶねずみになっていた。
部屋に入って来たナースが、悲鳴を上げて出て行った。
戻りたいと、思うと、戻れた。これは、赤いボタンを押すと、思った物になるらしい。