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1:悪魔の業。長いプロローグでごめん編
投稿者:
シラノTHE D
「どうするよ~?美嘉~」
高校の休み時間、生徒会室に10人ほどの女の子が集まっている。 美嘉と呼ばれた女の子は、腕を組んで「う~ん」と言って考え込んだ。 「なんだかかなりヤバイらしいよ。」集まった子達が不安そうに話しかける「最近の行方不明も”あいつ”の仕業だって噂もあるくらいなんだから」「なんとかしなくちゃ、美嘉~」 …なんとかって言われても… 中島美嘉、美嘉と呼ばれたその女の子は生徒会長である。タレントに中島美嘉という同姓同名がいるが、実際、サインを求められた事もあるほど容姿も良く似ていた。そんな美加は勉強ができるばかりか、空手の有段者であり、校内では親衛隊がいるほどの人気者で、下級生の憧れの存在である。 中島美嘉の通う学校は近隣に十数校がひしめいているという学園都市。美嘉が生徒会長になる前、いじめる学校といじめられる学校があって、摩擦が絶えなかったのだが、そんな学校のトップ同士をまとめ上げ、平和をもたらした立役者の一人が中島美嘉である。 「紀子、”あいつ”の事、斥候できた?」中島美嘉が聞くと、紀子と呼ばれた女の子は嬉しそうに目を輝かせてメモを取り出して読み出した。 「名前は、栗丘桃枝。私と同じ高校二年生です。どこか地方の学校から転入して来たらしいのですが、その時期が…一本筋先輩が行方不明になる数日前だと…」紀子が言いよどんだのには理由がある。 一本筋シメ子。中島美嘉の親友である。各学校のトップのほとんどが暴力で学校を掌握していたのに対して、一本筋シメ子と中島美嘉だけは、とても似た立場で生徒の信頼を得ていたのである。そして、各学校をまとめ上げた時のもう一人の立役者である。ちなみに、美嘉の空手に対して、シメ子は棒を持たせたら叶う奴はいないと言われるほどの剣道の女剣士であった。紀子は親友を心配する中島美嘉を思いやったのである。 「大丈夫よ紀子。続けて」 「実は、他はあまり判らなかったんです。みんな口をつぐんでしまって…何か弱みを握られているのか。はっきりしているのは、どの学校も栗丘の奴隷のようになってしまって、残っているのはうちの学校だけということです。」 「ありがとう紀子。よく調べてくれたわ」美嘉が言うと、紀子は真っ赤になって小さく「いえっ」とだけ言った。中島美嘉の為に働けるという事は、名誉であり、この学校には中島美嘉の為になら何でもするというような女の子が多いのだ。 「とにかく」中島美嘉が言う「栗丘がどんな事をしてくるか、相手の出方を待ちましょう。こちらから手出しをしない事。みんな、解かったわね」 相手の出方は直後に判る結果となった。 ドカンッ。生徒会室のドアを蹴破って、その場に栗岡の手先の女生徒が30名ほど、大挙押しかけたのである。 問答無用で襲い掛かり、美嘉を除く全員が縛り上げられ、猿轡をされていく。 「好きにはさせない!」 セーラー服のスカートをひるがえして美嘉の回し蹴りが飛ぶ。瞬時に4人を倒した美嘉であったが、多勢に無勢、10人に及ぶ女生徒に抑えられ後ろ手に縛り上げられた。 「悪いな、美嘉」女生徒達の後ろから現れた大女が暴れる美嘉に声をかけた「お前を連れて行かなければ困るんだよ」 「マキ!あなたまで、どうしてよ?栗丘って何者?」 マキと呼ばれた大女は、やはり他校のトップであるが、中島美嘉と一本筋シメ子に倒されるまでは、全ての学校が恐れる札付きのワルだった女だ。 「栗丘はとにかくヤバイよ。シメ子だってハム…」言いかけて他の女生徒が凍りつく雰囲気を感じたマキは「私は何も言っていないぞ!何も、何も知らない!」と誰に言うでもなく、天井に向かって叫ぶと、「さあ、連れて行け」と女生徒達に号令をかけて部屋を出た。。。 シメ子の学校、つまり栗丘が待つ学校は美嘉の学校から徒歩で10分程である。 両腕を抱えられ連行される間、中島美嘉は考えた。 …マキの怖がり様、普通じゃないわ。栗丘って…マキの言いかけた言葉も気になる。力だけのマキはともかく、頭が切れて、剣の達人のシメ子が…無事だといいけど……… 校内に入った美嘉達は、ある部屋の前で「ここだ」というマキの声と共にその部屋の中に突き飛ばされた。 「ご苦労だったわねマキ」部屋の中で待っていた、不良大女のマキを軽く呼び捨てにする"あいつ"は一見普通の高校二年生である。 「ようこそ。中島美嘉先輩。噂は聞いてますよ。本当に可愛いんですね。うちのシメ子先輩も可愛いと評判だったけど、それを上回る可愛さ。」 「あなた栗丘さんね、シメ子に何をしたの?」 「まあ!うふっふっ、さすがに皆に慕われるカリスマ女子高生、中島美嘉。この状況で他人の心配?」睨む中島美嘉を見つめ、続けて言った 「そうね。せっかくだから、久しぶりの対面をさせてあげましょうか」そう言いながら、背後のテーブルに置いてあったゲージを持ってきて、倒れている美嘉の目の前に差し出した。 ゲージの中には、ごく普通のハムスターが数匹いた。 「可愛いでしょ。赤ちゃんハムスター。この子達で20匹目よ。ハムスターって本当、妊娠マシーンね。そしてね、こっちがこの子達のお母さん」もうひとつのゲージを出し、ケージの中のハムスターに話しかける 「シメ子。親友の美嘉が来てくれたわよ。お~っほっほっ」 「く、栗丘さん、あなた狂っているの?ふざけるのはやめなさい」 「うふっ。信じられない? 親友がボコボコ獣の子供を生んでいるって事」 「どこの世界にそんな話しが」言いかけた美嘉を遮って栗丘が話す。 「ビデオがあるの。可愛いハムスターの出産記録…ブハッあ~っはっはっは、最高の出来よ。マキ、用意をしなさい」 マキがビデオをセットするとすぐに栗丘が映し出された。 「撮れてるかな?わくわくしちゃうね」ビデオの中の栗丘は、そう言うと自らのスカートの中に手を入れてゴソゴソしはじめた。一回ビデオが切れるとすぐシメ子が現れた。 「く、栗丘さん、わ、私に何をしたの?」 「ふふっ、ただ首から下を動かなくしただけです、先輩。」 「どうしてこんな…」 「先輩、私がもし苛められたら相談しなさいって言ってくれましたよね。」 「……」 「うふっ、私、そういう善人が大ッ嫌いなの。だから、先輩には落ちてもらいま~す。私がペットとして可愛がってあげるね」 「そ、そんな、そんなこと…ペットって」 「先輩は可愛いから、ハムスターにしてあげる。」 画面にはそれまでシメ子が着ていた制服と、その上を動くハムスターが映っていた。 次の画面。 「シメ子、喜んで。お前の旦那さんを買ってきてあげたよ」 ゲージの中にもう一匹のハムスターを入れる栗丘。初めからいた方のハムスターは脅えて隅に隠れる。 「あっそうか、変身しても一週間くらいは人間の心のままだったね。お~っほっほっ」 次の画面 3匹の小さなハムスターが生まれている。 「ふふっ、シメ子、旦那さんはやさしくしてくれた? …」 「信じるものですか」ビデオの途中で美嘉が声を出した。 「そう。じゃあこれでどう?」 栗丘がハムスターをゲージから出すと、手をかざす。次の瞬間、全裸でしゃがみ、両手でキャベツをむさぼる一本筋シメ子が現れた。
2003/08/26 01:55:30(eELzZmEZ)
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