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1:オカズの子・里山写生日誌
投稿者:
浦島プウ
一月下旬、年間で一番寒い季節に私はいつも体調を崩すのだった。
時として、入院するようなこともあったが、肺炎で入院した時は、ひと月近くに及んだ。 そんな時でも職場からは早く復帰するよう檄が飛んでいた。 確かに忙しいと言ってはきりがないが、朝から晩まで何かと気ぜわしい職場だった。 入院中は、何もしなかった。 というか、激痛やら高熱やらでとても何かをしようとは思えなかったのである。 なぜか眠れた。 昼となく夜となく、死んだように際限なく眠れるのである。 午後二時ごろ、隣の病棟の灰色の壁が見える。 なぜかそんな記憶しかない。 ケータイを取り出し、いつもお世話になっているサイトで、モデルさんの水着写真を参照。 それは午前二時のことだった。 大部屋の暗闇の中で。 看護師さんがペンライトを持って巡回に来る。 慌ててケータイの電源を落とし毛布にくるまる。 息をひそめ目を閉じていると、ペンライトの明かりが容赦なく私を照らす。 そして何事もなく難は去った。 私はもう深い眠りに落ちていたのである。 それは、とある前世の夢だった。 暗黒の中世の夜、場所は山の中深々と雪の降る晩だった。 とんとんと雨戸をたたく音がする。 「どちらさんですかの」 尋ねる先で、木戸に倒れこむ音。 雨戸をあけて雪明りの中人影を確認。 「お侍さん」 声をかけると、 「お、おおう」 男は立ち上がり、みの傘についた雪をはらった。 「道に迷うてしもうた。すまんが泊めてもらえないかの」 「ああ、それは結構でございますが、そうだ、炭小屋から炭を取ってまいりやしょう」 囲炉裏の熾火に炭を置き、火吹き竹で火をおこすと、つかの間の暖がおとずれた。 「お侍さん、あいにく布団がありません。お体も冷えておりましょうし」 しばらくの沈黙。 「おさと」 障子の向こうで床に就いた娘を呼んだ。 「お侍さんを温めておあげ」 次の日にはお城に上がる十九の娘だった。 「おおう。これはかたじけない。拙者も明日、城で仕官することになっておるのじゃ。その節はよろしくの」 「それは。よござんした。ねんごろになさってくださいまし」 暗闇の中二人は障子の向こうで抱き合っている。 一晩囲炉裏の番をしておろうかの。 ああ 娘の甲高い声が響いた。 『明日、お殿様にはなんと申し開きいたそうか』 うっ その時であった。 夢から覚めるとパンツが濡れていた。
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2025/01/07 06:56:29(J/TE9fYg)
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