「泣いたときはすっきりしたのに今はそうでもないわね。いったいなんな
の？」
　さも不思議そうな表情でオレを見下ろす。つま先から頭まで嘗め回すよう
な視線。
　羞恥心からか頬が高潮しているのがわかった。
「この胸でできるかしら？」
　舞の視線がオレの胸に止まる。
　しげしげと値踏みでもするように見つめていると何か思いついたのか俺に
馬乗りになった。
「な、なに……」
「フフ」
　含み笑いをしつつ、自らのスカートをたくし上げた。
　目の前に現れたのショーツを押しのけて自己主張している物体。
　痛々しいまでに勃起した肉棒だった。
「な、あ、ええ！？」
「フフ。女のあんたをかわいがるには必要でしょ？」
　男のときのオレのそれと比べてもはるかに大きな肉棒。
　オレは言い知れない恐怖を感じた。
　舞は前かがみになるとオレの胸に肉棒を押し当てる。それを包み込むよう
にオレの胸ではさむ。
　俗に言うパイズリといわれるものだ
「はぐぅ！」
　オレの胸は決して大きなものではない。無理やりおしつけて胸の周りの肉
まで集めてやっとといったところだ。
「やっぱ無理か。でもま、口があるしね」
　舞はゆっくりと腰を動かし始めた。
「あ……ぐ……く、くるし」
　胸が圧迫されてうまく呼吸ができない。
「うぶっ！」
　そして長すぎる肉棒はオレの口にまで届き、口内を犯していく。
「んー、気持ちいいけど物足りないわ」
「むぅ！うう！！」
　繰り返される挿入。
　肉棒に触れた空気が鼻を通る。あの魚介類のような生臭いにおい。
　舞はオレのことなどまったく意に介さず道具のように扱っている。
「フェラのほうが気持ちいのかしら」
　舞は胸から手を離す。
　胸には痛々しい爪あと。血がにじんでいるのが見えた。
「フフ。今度は奉仕してもらおうかしら」
　ぱちんと指を鳴らした。
　それに反応して手かせが外れる。
「さぁ、痛い目みたくなかったらこれに……」
　舞の言葉を最後まで聞かずにはじかれるようにベッドから起き上がった。
そのままドアに走る。
　今すぐにでもこの状況から、いや部屋から出たかった。
　無我夢中でドアノブを掴む。
「っ、なんで！？」
　ドアノブをひねるががちゃがちゃと音を立てるだけでびくともしない。
「開いて！開いてくれよぉ！！」
　ドアに体当たりをする。
　だがこれもむなしく音が響くだけだった。
「文也」
　すぐ後ろで舞の声が聞こえた。
「あ……」
　足から力が抜けて床にへたり込む。
「なに逃げてるのよ。奉仕しろって聞こえなかった」
　舞の手がオレに伸びる。
　また痛い目にあう。そう考えると震えがとまらなくなった。
「ふぅ、奉仕を教える前にまずは躾ね」
　反省するように言う舞の手にどこからともなく鞭が現れた。それを思い切
り床に振り下ろす。
「ひぃっ！」
　床がはぜた。木片があたりに飛び散る。
「いい？　今度からいうことを聞かなければこれではたくから。これはさっ
きの分」
　舞は鞭を大きく振りかぶる。
「や、やだぁ！許してぇえ！」
「フフ……だめ」
　鞭が振り下ろされた。空気を裂き、俺の皮膚を爆ぜる。
「ひぎぃぃ！！
　最初に感じたの熱さ。皮膚が裂け、血が噴出し、若干の間をおいて強烈な
痛みが全身に走る。
「ああああああ！！」
　痛みに床をのたうつ。ごろごろと転がり、痛みに耐える。
「あははははは！　動物と変わらないじゃない！」
「うぅぅぅぅ！」
　罵倒の声に涙がにじむ。
　舞の言うとおりだった。
　床をのたうち、いうことを聞かなければはたかれる。動物以外に形容する
言葉がなかった。
　それが悔しくてたまらない。
「あんたは動物。犬。ワンちゃん。わかる？」
「違う……」
「なら、たって見なさいよ。人間らしく。さぁ」
　犬なんて冗談じゃない。オレは人間なんだ。
　この状態が犬だというならば立ち上がる。
　そう思い、痛みに耐えて立ち上がろうとした。
「う、く、な、うわ！」
　盛大にしりもちをついた。
　立ち上がろうとしてもうまくバランスがとれず倒れてしまう。
「やっぱり犬じゃない」
「ち、違う！」
　もう一度。
　今度は壁に手をつきながら立ち上がる。
　だが、それでもうまくたつことはできず再び床にしりもちをついた。
「……どうして」
「簡単なことよ。あんたを立ち上がれないようにしたの。四つんばいじゃな
きゃ歩くこともできないわ」
「そんな……」
「次はしゃべれなくするわよ。わんわんてね。犬のようになりたくなかった
奉仕することね」
　舞は床に打ちひしがれているオレの髪を掴むと腰を突き出した。

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