夏、君たちはプールへ行った帰り道、皆とても疲れた様子で口数も少ない。20分30分と車を走らせているうちに運転手以外は眠りに落ちていってしまった。散々遊んだ帰り道なのだから運転手も、もちろん疲れていた。｢何で俺が運転しなきゃいけないんだ｣愚痴をもらしながら運転を続ける君、さっきから欠伸がとまらない。もう少しこの道を行くと急カーブになる。君はウトウトしはじめた、まわりは、もうすっかり暗くなっていて、まだ車からは、カーブが見えない。車は、かなりフラフラしながらカーブへ近づいていく、そろそろカーブが見えてくる。君はうっすら目をあけた。そしてハッとした。すぐ目の前に壁がみえていた。君たちが乗っている車は曲がる素振りも見せずに壁へ向かう……　　君はバッと起き上がる体は汗でびっしょりだ。君はまわりをゆっくり見回す。部屋だ、それも自分の部屋。時計を見る｢6:30？朝か……んー｣君は大きく背伸びをして布団から出た。テレビをつけてまた背伸びをする、｢うー…汗だくだ｣君は立ち上がり風呂場に向かう。シャワーを浴びるらしい。10分ほどでトランクス一枚の君が出てきた。ソファーに腰掛けて、ふとつぶやいた｢あれ？…なんの夢みたんだっけ？‥だめだ、思い出せない｣最後に、ぽつりと｢いやな夢だったと思うんだけどなぁ｣と言いながら服を着替えはじめた。。。二時間後君はバイト先へ向かった。向かう途中でバイト先の後輩を見かけた君、｢おーい！おまえも今からバイトか？｣走っていき彼のとなりに並ぶ、しかし彼は反応しない｢おい！シカトかよ！先に行くからな！｣君は彼の肩をぽんと叩きまた走りだす。肩を叩かれた彼は不思議そうな顔をして自分の肩をなでていた。バイト先についた君、まず上司にあいさつをした、しかし上司は、なんだか考え事をしているようで、ぼーっとしている｢じゃあ俺着替えて来ますね｣君はそういってロッカールームへ向かった。ロッカールームには誰もいなかった。君はカバンを置いて近くにあったイスに座った｢あ、まだ髪セットしてねぇや｣君は持ってきた鏡をのぞきこむ…｢……は？‥ん？え？｣君の姿は鏡にうっていない、どの角度からみても君はうつらない。自分の顔をさわる、ちゃんとある。手を見た自分には、ちゃんと見える、着ている服も足もしっかりと、｢なんだよ‥｣そのとき。さっき外で追い抜いた後輩が入ってきた。｢なぁ！俺、なんか変なんだ、この鏡みてくれよ｣後輩は君を見もせずに仕事の準備をはじめる｢まじかよ…俺を見てくれよ！｣君は泣きそうな顔で後輩に怒鳴った。それでも後輩は無視して今度は今日の出勤表をみはじめた、そして｢なんだ、またあの人と一緒かよ。先輩面しててむかつくんだよな｣君の悪口を後輩は言っている。彼には君が見えていないようだ。君は自分が恐くなってバイト先の店を飛び出した。自宅まで一直線に走りだした。家に着き、鍵を締め、部屋中のカーテンをしめて、布団に潜り込んだ。君は考える、自分に何がおきたのか、これから自分はどうしたらいいのか、考えることはたくさんあった。考えているうちに、眠くなってきた｢少し眠ろう｣君は目を閉じ眠りはじめた。。。今は七時、君は外が騒がしくて目が覚めた。カーテンを開いて外を見ると近所のオバサンたちが五人くらいの集団で談話していた。それにしても声がでかい｢これだからオバサンは…｣君はぶつぶつ言いながら風呂場に向かう、服をぬぎシャワーの蛇口をひねる、しかし水がでない、｢は？とめられたのかな｣服を着て部屋にもどるとオバサンたちの声が聞こえる｢あら！お宅もお水がでないの？｣　｢そうなのよ、さっき電話がきて水道管がどうとかいってたわ｣なるほど、君は納得したが、寝起きは風呂に入ると決めている君は、気持ちが悪くてしかたがない。少し遠くに銭湯があったのを思い出した君は、財布だけ持って銭湯に向かった。。。銭湯は、この日大にぎわいだった、人がたくさん出入りしている。｢よかった、ここは水が出るらしい｣中に入りお金を払おうとする、君はハッとして思い出した、受け付けにいるおじさんに、自分は見えていない。今は自分に何が起きてあるのかあまり考えたくない君は、とりあえず、周りの人に自分が見えていないことを確認すると、何を思ったのか女湯へ、入っていく…………