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1:緊股呪 2 暴走
投稿者:
シラノTHE D
「脇沢秀明。あいつを奴隷のように扱ってやる」
運が向いてきた。翌日の昼にはなんとか樹海を抜け出た宇阿は、無事アパートへ帰り着き、緊股呪を握り締めながら、その翌日まで泥のように眠った。 次の日、朝から件のスポーツクラブの前へ出向き、脇沢秀明を待った。時折不審な目で見られたが、それもポケットに忍ばせた緊股呪による期待の前に苦ではなかった。 永遠の少年ワッキーこと、脇沢秀明。地方のコンサートへ出てしまえば、なかなか戻ることはない。今日はダメかと諦めかけた午後4時過ぎ、帽子とサングラスで顔を隠したワッキーが建物に入っていくのを見た。 宇阿は心臓が飛び出そうな興奮を抑え、時間をおいて入館し、軽く汗を流したワッキーがシャワー室へ向かうのを目撃すると、ポケットから握った手を出した。そして何事かつぶやきながらフワッと手を開く。 その手から滑り落ちた緊股呪は、床に落ちる前に小さな光に変わり、それは羽の生えた虫が飛ぶように脇沢秀明を追って見えなくなった。 ワッキーにとっていつもの行動であったが、シャワー室で頭を洗っていると、突然股間に違和感を覚える。 「ん?」そのくらいの感覚である。何事か自分のペニスを見ようとしたとき、外から声をかけられた。もちろん声をかけたのは宇阿である。 「何ですか~」 ドアを半分開け、白いガウンをまとって現れたワッキーは、さも不機嫌そうに言う。ニコッとしながら「こんばんわ」と挨拶する宇阿を見て、ハッと気付いたように、そして迷惑そうに言った。 「君はあの時のサル…いや、君、…スタッフになっちゃったんだ。何?俺、忙しいんだけど」 なっちゃった、その言葉の意味を知っている宇阿は「おかげさまで」と吐き捨てるように言って続けた 「脇沢さん、何か困った事がないですか?特におちんちんの辺りに」 「な、何?」驚きの声をあげる。 ほとんど面識のない女性にペニスの話題、しかも自分のペニスの話題をいきなり振られたのだ、驚かないはずがない。…確かに、たった今股間の違和感があった。しかし、「そうなんです、ちょっとちんちんが」と答える必要もないので、 「へ、変な事を言わないでください。頭がおかしいんじゃないですか」と、少し焦りながら答えた。 その反応で宇阿は自信を持って満面の笑顔になって言った。 「そんなこと言って、おちんちんとか痛くなってもいいの?これからどんどん痛くなるよ。どんな事をしても絶対に取れない。それが何だか知っているのは私だけ。私はこの近くの男野公園に少しの時間いるから、もし困ったら来なさい」 「取るとか取れないとか何だよ?ばかじゃないの?」 そう言って宇阿の目の前でドアを閉める。そして、自分のペニスを見たのだろう、「な、何?これ~」という悲鳴が聞こえた。「あ~っはっは」高笑いしながら宇阿はシャワー室の前から立ち去り、ゆっくりと外に出ると、止めてあった車に乗り込み男野公園へ向かった。 男野公園は巨大な自然公園である。昼間はピクニック気分の家族連れで賑わうが、なんの施設も無い丘と林、宇阿が到着したとき、夕方とはいえ、まだ明るいのに一台の車も無く、人も皆無であった。 ほどなく、見知った帽子とサングラスが現れた。脇沢秀明である。 股間に変な物、緊股呪を付けられた脇沢は、初め、宇阿を無視しようと思った。しかし、無視しよう、公園へは行くまいと思う度、言いようの無い痛みが身体を走り抜ける。どうやっても外せない。こうなったらしかたがない、これの原因があのサル女ならば、殴ってでも外させよう、そんなふうに考えてやって来たのである。 キョロキョロと宇阿を探す脇沢の背後から宇阿が声をかけた。 「その先の林の向こうへ行きなさい」 「おまえ…」いいかけて、「ちっ」と舌打ちすると指示に従い、無言のまま林の間の遊歩道を抜けた。そこは、ベンチが二つほど。刈り込まれた芝生のある小さな丘になっていて、公園の隠れ家的場所だった。 「おまえ、何をしたんだ?」脇沢が喧嘩腰に言った。 「見せてよ。どうなっているか」 「何を?」 「どんなふうに付いているか見せてって言ってるの」 「な、何が?」 脇沢自身、股間に何かを付けられた記憶がない。もちろん付けさせるはずがないのだから、股間に付いた緊股呪と痛み、そしてこのサル女との因果関係が解らない、いや、何がどうなているかさっぱり解らないのだ。 「ふざけないで!!」そう言うと、何事か唱える宇阿。 同時に脇沢が、くの字に身体を曲げ、「ぐわっ」っと言ってその場に倒れ込んだ。ここへ来るまでの痛みとは比べ物にならない痛さである。 「言うこと聞かないと痛いでしょ?両手を出しなさい」 脇沢が呻きながらも両手を出したので、宇阿がまた何事か唱えると、その痛みはなくなった、が、痛みの恐怖からか、脇沢の呼吸は浅く速く、身体を動かすことも怖いのだろう、宇阿にされるがまま、両手をひとつに縛られてゆく。 宇阿は、かんじがらめに縛った縄尻を、ベンチの脇にある桜の根元に縛りつけ、四つん這いになった脇沢を見下ろし、トレパンの腰に手をかると下着ごと膝まで下ろしてしまった。 「何すんだ!やめろよ!」 「見せてって言ったでしょ。えっ?こうなの!?」脇沢の後ろから覗き込みながら嬉しそうな声を上げた。 緊股呪は玉袋の根元に巾着の紐のように巻き付いていたのだ。 「お、おまえがやったんだろう!外せ!ちくしょう。俺が何をしたんだ?くそっ、サル女!!」 その脇沢の言葉で宇阿が、泣き声混じりの大声で反論した。 「そうよ、私は可愛くないわ。サル顔で…それで、でもそれであなたにどんな迷惑をかけたの?なんでそれで仕事まで奪うの!?」 「えっ!…」脇沢にとって、何気ない、数日前の話を思い出した。 「覚えていたの。私を傷付けて、俺が何をしたって?ふんっ、もう謝ってもダメよ」脇沢の足からトレパンも下着も奪い取り、「じゃあね」と言って歩きだす。 「ちょ、ちょっと待って。こんな格好で置いて行かれたら…」 「ふふっ、大丈夫よ、ここ、普通の人は来ないから」 その場を離れた宇阿は、藪に身を隠し、持ってきた双眼鏡を出し待つ。 宇阿の言ったのは嘘ではない。普通の人は来ない。この公園の夜は、いわゆるハッテンバである。ホモしか来ない。 待ち人はすぐに来た。腕を組んだ二人。二人とも身長180㎝は超える、一人は縦じまの背広を着た巨デブ、一人はヒョウ柄のタイツをはいたヤセ、どうやらヤセのほうが女役のようだ。巨デブの腕にすがるように歩いて来る。 二人はすぐに尻を出した男の存在に気が付いた。帽子とサングラスで、それが脇沢秀明だとは知られることはなかったが。 「うひょ~っ、供え物だ!縛られてるぞ」 「へへっ、これは私刑よ。この男、何かトラブルを起こして、それで刑の執行を僕らにやってってことよ」 この会話で脇沢は青くなって言った 「あ、あっちへ行け!来るな!気持ち悪いホモ野郎」 「気持ち悪いだ~、この野郎」言うなり男は、脇沢の閉じていた片足を腋に抱えて持ち上げてしまった。犬が小便をするときの格好で丸出状態、隠れた宇阿の位置からヘソまで見える。ヤセの方が声を出した 「あれっ?この子、金玉に飾りを付けてる、かわいい~」 「どれどれ、おおっ、何だこりゃ」背広の巨デブが玉袋をいじりまわす。 「やめろ、触るな、やめろ~~っ」脇沢の絶叫が響くと、宇阿が何事か唱えた。脇沢の身体に異変が起きる。 肛門にそよ風があたる。と、「あっ」と身悶え、ペニスがビクンビクンと勃起しはじめた。緊股呪により肛門に快感を覚えるようにされたのだ。 「こいつ…勃起してる」そして、ホモの二人が調子に乗って肛門を揉むと「うんっ、あっ」と脇沢が呻く。その肛門に、ついに指を突っ込み、男が言った「ケツの穴ヌルヌルだぜ、そろそろちんぼ入れるか」ヌルヌルのはず、脇沢の肛門は傷つき出血していたのだから、 「お、お願い、です、やめて、ください」振り絞るような声が宇阿に聞こえる。そして宇阿の双眼鏡が脇沢の手を捉えた。逃れようとして手首が裂け血が流れ出ている。 ……これじゃあ私が悪者みたいじゃない。なによ、泣きそうな声で、お願いですって!!! 「や、やめなさいっ!!」隠れていた藪から、立ち上がりざま叫ぶ。「け、警察を呼ぶわよっ、いいの? お、おまわりさ~ん」 「?なんだ、あのサル女は。こんな所に調子良く警官がいるかっちゅうの」ゲラゲラ笑いながらヤセ男が走ってくる。慌てて携帯電話を出した宇阿だったが、電話は払い飛ばされ、林の中に消えた。 「痛いっ」宇阿は髪の毛をわしづかみにされ、脇沢の縛られている位置まで引きずられた。 「どうする?このサル」 「女なんか、突っ込んで、殺しちゃえば。前みたく海に沈めればいいんじゃない」 「そうだな」言いながら、強引に宇阿のパンティーに手を突っ込み、「あっはっはっ」と大笑いする 「このサル、まんこグショグショだぜ。やらしい女だ、覗いていたんだろう?」そう言って指を出して「臭せ~」と叫ぶ。 強引にまんこをいじられた痛みに顔をしかめていた宇阿が真っ赤になった。 樹海から帰って風呂にも入らぬ今日なのだ。 「や、やめなさいっ、離してっ」 「うるせえな。黙らしてまんこに芝生でも突っ込んでやらあ」男は宇阿の背後に回ると首に腕を回し頚動脈を締め上げた。それが自分達に悲劇をもたらすとも知らず。 ……き、緊股呪…薄れ行く意識の中で、宇阿の口は緊股呪の呪文を唱える。 ヤセの男はサル顔の女のポケットから金色の指輪のようなものが落ちるのを見た。落ちたはずの場所を目で追ったが何も無かったので錯覚かと思った。 そして宇阿は完全に落ちた。 ヤセ男は、グッタリした女を抱えたデブの彼氏が、笑いかけた次の瞬間、ワイヤーアクションのように後ろに飛び転がるのを見た。「ギャー」という悲鳴。何事か?と思った次の瞬間、自分にも、それ、が訪れた。全身に走る痛み。転がって苦しみ悶える。 ヤセ男は幼少の頃、稀な経験がある。歯医者の医療ミスで麻酔のないまま歯の治療を受けたことだ。そのときを上回る痛み。その治療のときは、その痛みで気絶した。しかし、この痛みは気絶を許さない。 気絶は精神を守るため、身体と精神を切り離すという人体の荒業である。それはジェット戦闘機の脱出に似ている。脱出できなかった乗組員の末路は死である。身体の痛みを切り離す事ができない精神は崩壊しかない。 落ちた宇阿は、飛んだ意識の中、ただ小便が漏れそうで、それを我慢するため、唱える。それが何の言葉か解らない、だが、何度も何度も唱えた。 最初に戻った意識は耳である。うがいをするような音が聞こえる。 「うがらがら~」それは泡を噴いてなお悲鳴を上げるデブ男であった。 ヤセのほうは痙攣を起こし、なお地面をかきむしる。 …しまった。 慌てて呪文を唱える宇阿。 ホモの男二人は、その痛みから解放された、が、呼吸のため身体が浮き沈みする以外、目を開いたまま、地面に横たわる。完全な精神崩壊、廃人となってしまったのである。 急いで脇沢の縛めを解くと、その場を後にする二人であった。
レスを見る(4)
2004/05/11 06:24:33(XyPJv4EZ)
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